鬼神 2010-07-02 19:20:33 |
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そのころわたし達は、光中被告から7年間にわたって、子育ての相談を受けていた心理士の女性にたどり着きました。
・光中被告から相談を受けていた心理士
「おこってなくても声が大きいから、でも外の人がね、大きい声聞いたら、あのー、それだけでおこっていると思われるよう、ゆうぐらい」。
「で、家の中よりも、人がいる時のほうが叱る。人の手前、こう、あの、きちんとしつけをしてるんだ、というのをちょっと、アピールしたい、したいのかな?、と」。
心理士が語ったのは、懸命に子育てに取り組む光中被告の姿です。幼稚園への送り迎えや行事の参加は欠かさず、英会話やダンスなど熱心に習い事をさせていました。
・光中被告から相談を受けていた心理士
「翔君が字が書けるようになったり、計算ができるようになったりすると、それが、もう、自分の喜び」。
・山下洋平さん
「翔ちゃんはお母さんの事どう思ってたんですかね?」
・光中被告から相談を受けていた心理士
「大好きだったと思いますよ…。だからお母さん喜ぶ事はしたいし、うーん、だからお母さんがダンスおどってみい、というたらもう、ほんと、目の前で踊ってくれて、お母さんが笑ってくれると嬉しかったり…」
これまで伝えきれてなかった光中被告の別の顔。さらに親子により近くで接していた人達を訪ね歩きました。
・光中被告がよく使っていたタクシーの運転手
「いわゆる遊びに出る時も、翔をつれて一緒にのみに行く。あの、かわいがっとって人の前にもつれていって、そうやって『こりゃ私の子です、子なんよ』って紹介できるゆう事は、こりゃも親の愛じゃ」。
また翔ちゃんを診察していた医師は、待合や診察室での親子の様子について「お母さんに頭を叩かれた翔ちゃんが、足を蹴り返すなど、兄弟げんかのような感じだった」と話します。
一方光中被告自身との母親との関係についての証言もありました。
・幼少期の光中被告を知る人1
「虐待されとったんじゃねえかと思う。親に。 怒ったりしよった。激しゅうな」。
・幼少期の光中被告を知る人2
「お母さんが2階から彼女のものを投げてたり、あと、外に立たされてるのを見ました」。
光中被告は、生後6か月の頃両親が離婚し、母親に育てられました。裁判での弁護側での陳述によると、投げ飛ばされて骨にひびが入ったり、熱湯を腕にたらされたり、洗濯機に入れられた事もあったといいます。
・光中被告から相談を受けていた心理士
「もう、自分の中では、もう、絶対同じようにはしたくないゆう気持ちの中で…、育てるんですよね。でも、ま、しつけで、こう、ちゃんと育てないといけないいうことでやった事を、もう、近所の人にしろ、あの…、周りの人がそうやってすぐ、言って、子供を保護したり、私を悪者扱いするみたいな」。
被告自身の声を聞くため、私たちは、拘留中の光中被告に手紙を出しました。接見禁止が解けた去年9月以降、これまでに交わした手紙は四十通以上。翔ちゃんが亡くなった日のことは、こう記しています。
・光中被告の手紙
「翔が逝ってしまった日。七味を口に入れて、なんともいえない声を出していて、その時に、私自体、見た時から、パニックになって、とりあえず、翔の口の中を、どうにかしてやらなきゃってしか頭にうかばなくて…」。
「私なりにがんばって、翔を助けたかった。どうして翔じゃなくて、私じゃなかったのか」。
手紙につづられていたのは、わが子を失った事への深い悲しみでした。
・光中被告の手紙
「かん(長男の名前?)、ごめんね。かんにはママしかたよる人がいないのに、そのママが翔を守ってやれなかった。できることなら、もう一度、翔を産みたい」。
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去年8月、1年2ヵ月に及ぶ公判前整理手続きを経て、裁判が本格的に始まりました。
「自ら七味を口に入れるとは考えられない」とする検察と、「偶然よる不運な事故」だとする弁護側。ポイントは、「大量の七味が食道ではなく、器官に詰まっていた」という点です。器官に物が入った場合のメカニズムについて、専門家に聞きました。
・岡山医療技術専門学校 花崎 花音専任教員
「ここは空気の通り道の器官です。すぐ後に食道があります。私たちがものを飲み込む時には、ここの口頭蓋(こうとうがい)というふたが閉まって、食べ物は食道に入っていきます。もし、間違って、食べ物が器官に入ってきた時には、この壁を刺激して、咳が出ます。そして、咳は食べ物を外に出すという事になります」。
「こちらが風船を使った肺の模型です。吸って吐く、吸って吐く、吸って吐く。(横隔膜と肺の伸縮をあらわす)。器官に物が入ったとき、普通の呼吸では、このように出て行きませんが、咳をしたときには、一気に出て行きます」。
「通常は細かいもの吸い込むと咳が出ますので、器官を詰まらせるほど沢山、粉を吸い込むのは難しいかと思います」。
・山下洋平さん
「翔ちゃんの気道から検出された七味唐辛子は、およそ、2.9グラム。のどから、こちら、器官だけではなく、更に奥の気管支にまで、唐辛子は到達していました。 通常では考えられないこうした事態は、一体どのように起きたのか」。
裁判では、三人の医師が鑑定にあたりましたが、その見解は、それぞれ異なっていました。
1人目の医師は、翔ちゃんが激しく泣くか、息を吸っている時に外から大量の七味を入れると器官まで入る。そして咳ができないよう、そとから口や鼻をふさいだため窒息したのではないかと見ています。
2人目医師は、激しく泣くなど強く息を吸っている時に七味が器官に入れば、口や鼻を押さえなくても窒息死に至る可能性もあると証言。
そして3人目は、翔ちゃんの口や鼻をふさいで呼吸をできなくし、息を吸おうとしたところで一気に七味をいれ器官をふさいだ可能性をあげています。肺に空気を吐き出す余力がなく、咳ができないのです。
・山下洋平さん
「3人中2人の医師が、口や鼻をふさぐなど外からの力が加わった可能性をあげています。これに対し、弁護側が突いた矛盾。それは、こうして、口や鼻を押さえると、当然、激しい抵抗が予想されるんですが、翔ちゃんの顔や光中被告の手には、一切外傷がのこっていないという点です」。
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弁護側は、「三者三様の鑑定結果から、母親が飲ませたかどうか、断定はできない」と指摘。そして翔ちゃんが母親の注意を引くために、自分で七味唐辛子を口に入れたのではないかと、主張しました。
被告の供述を元に弁護側が示したシナリオは、こうです。
この日光中被告は、翔ちゃんがおかしを盗み食いした事を叱った後、居間のコタツでうつぶせになってまどろんでいました。夜間のスナックの仕事や趣味のダンスの練習で、疲れがたまっていました。翔ちゃんは叱られて、おお泣きしながら、ひとりでおもちゃを片付けていました。コタツの上には、年越しそばに入れた七味唐辛子のビン。
・山本勝敏弁護士
「子供さんが、叱られた時なんかにね、お母さんの気を引こうとして、声を上げるなり、なんらかの行動をする事があると」。
「七味唐辛子というものが、たまたま身近に合ったので、それを口元に持っていって、入れて見せるという、そういう風な事で、お母さんの気を引こうとしたところが、中蓋があいてたもんだからいっぺんにガパっと入ってしまった」。
翔ちゃんは幼稚園で、先生を叩いたり、1人だけ違う部屋でウロウロしたりと、周囲の気をひく行動が多かったという証言があります。冷蔵庫のしょう油を飲んで口の中や服を真っ黒にしていた事もあったといいます。弁護側は、「周囲が虐待のイメージを過剰に膨らませ、それを元に捜査側が筋書きを描いた」と指摘しました。
・近藤 剛弁護士
「虐待があるという風に新聞報道でされてたけど、結局近所でおったね、証人というか出てきた方もね、直接見て無いんですよね。結局大きな声を出しているのを見たと、聞いたと」。
・山本勝敏弁護士
「お母さん自体が虐待を受けてきた経験を持っていて、まあ、人に対する接し方がうまくできない。外の人から見ると、『またあの人が大きな声をあげている』とか、それから頭をちょっと叩いたような事が、言葉と一緒になって、激しい暴力のようにとらえられると」。
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そして裁判では、鑑定にあたった医師二人が、遺体の状況から「日常的な虐待を受けていた形跡は見られない」と証言したのです。
注目されたのは、リンパ系の臓器「胸腺」の大きさです。胸腺は、長期間ストレスが加われば縮み、通常大人になるにしたがって小さくなります。虐待を受けている子供の場合、2グラムから3グラムになるケースも多くありますが、翔ちゃんの胸腺は55グラムと、平均(4歳児の平均40グラム)を大きく上回っていました。
鑑定医の1人は法廷で「おそらくかわいがられて育ったんでしょう」と述べました。
・光中被告からの手紙(鑑定医からの尋問直後)
「すごくうれしくて涙が出ました。『とても大切に、すごく可愛がられて育ったお子さんだとわたしは思えますけど…?』っていう言葉です。医学がしょうめいしてくれてます」。
対する検察側は、光中被告の犯行を裏付ける「不自然な行動」をあげました。救急隊員が駆けつけた際、七味唐辛子のビンがコタツの上ではなく、台所のテーブルの上においてあった点です。しかもキャップと中蓋も締められた状態でした。さらに、すぐに119番通報をしておらず、コーポ1階の住人を呼びに行った際、普段は大声で話す被告が、静かな声だった事も指摘しました。
・検察
「被告人は、不合理な弁解に終始し、反省の情は微塵も無い。わずか四才で、母親によって命を奪われた苦痛は想像を絶する」。
検察の求刑は暴行なの罪とあわせ懲役7年。その後光中被告が最終陳述に立ちました。
・光中被告
「やってもいないことで刑務所に行くくらいなら、即刻死刑にしてほしい。天国の翔の元に行きたい」。
判決の言い渡しは、年明け、1月9日。
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1月9日午後一時半。判決公判では、70席ある傍聴席が全て埋まりました。
・高山光明裁判長
「主文、被告人を懲役4年六ヵ月に処する」。
高山光明裁判長は、「4才児が自らの口の中に七味唐辛子を入れたとは、医学的にも常識的にも到底認められない」。と判決理由を述べました。「本件現場には、被告人と被害児童しかおらず残された唯一の可能性は、被告人が入れたということだ」。
宙を見つめたまま判決理由を聞いていた光中被告は、この瞬間裁判長をキッとにらみつけました。
一方で判決は、検察が主張する「口や鼻をふさぐ暴行は、解剖所見上認定できないとして退け、被告による日常的、継続的な虐待も認められない」としました。
・高山光明裁判長
「不遇な家庭環境の中で、わが子との接し方が判らず養育方法には不適切な点が多くあったものの被告人なりに愛情を抱いて育児に取り組んでいた」。
裁判長は、光中被告が七味唐辛子を口に入れた直接のきっかけは、「全ての証拠に照らしても明らかではない」と、動機の解明は避けました。
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判決後の弁護団会見
・山下洋平さん
「なぜ裁判官達は、こういった判決を書いたんだろう思いますか?」
・山本勝敏弁護士
「あの、職業裁判官の、まあ、一番悪いところが、出たような感じはしますね。ようするに予断偏見じゃないけど、これがやったんじゃなかろうかというふうな、認識を持ってそれに沿う証拠を集めてくると」。
「ほんと裁判員裁判になったときにどうかなというのは正直思いましたね、今回の判決で」。
・近藤 剛弁護士
「検察庁がね日常的な虐待があるというような筋書きで、当初ね、その延長でやったということマスコミに流してね、それで、周りがそういう風に思い込んできた、という事があると思うね」。
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岡山県は、翔ちゃんが亡くなる前に虐待を疑う通報を6回も受けていた事から、医師や弁護士など外部の有識者による検証委員会を立ち上げました。そして児童相談所の職員から聞き取りなどを行い、「一時保護などで母と子を分離すべきだった」と結論付けていました。
私たちは、児童相談所の記録表を入手しました。そこには、激しい口調で職員にくってかかる光中被告の言動が詳細に記されています。
「食べる事着る事いちいちうるせんじゃ」、「なんでも怪我をしたら虐待といいやがって」、「わしも自分の親からナイフで切られてるんじゃ」、「逮捕しに行け~」
倉敷児童相談所は虐待の疑いで長男を施設に入所させた後、光中被告に教育プログラムを実施してきました。この最初のステップが、「自分が虐待した事を認識する事」。プログラムの実施状況を見ると、光中被告はこの第一段階で躓き(つまづき)、その後のステップに、まったく進めていませんでした。
個人的に被告の子育て相談にのっていた、心理士の女性らと行政との連携はありませんでした。
・光中被告から相談を受けていた心理士
「『虐待』いう言葉にすごく反応する、人で、虐待いう言葉出しただけでカチンときて、あとの話は聞かないぐらい。みんながみんな、虐待を認めたところからプログラムを始めましょう、そうしないと帰しませんよ、いうことで始めると…、うーん、前すすまないこともあるんじゃないかな、と」。
・こども虐待防止専門委員会 小池 将文委員長
「少なくとも検証委員会では、そういう視点からの、議論というのは…なかったです」。
「そのひとの一番、その、ひどい部分ていうところだけが、クローズアップされて、もう、それだけでその人の、あのー、全人格のようにですね、見るっていう事が、あるかもしれない」。
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光中被告の母親をたずねました。
・光中被告の母親
「私のやってる事、育てた事は全部全てが万事、逆になってるんですよ。あの子の考えがね、だから、それに対して私がお答えする事はないっていう事なんです」。
・山下洋平さん
「今回この翔ちゃんのね、事件がおきたって言う事は、」
・光中被告の母親
「翔そのものも、私生まれた事さえ知らないんですよ。顔も知らないんですよ、初めて会ったのが遺体と直面しただけですよ。そういう現状でね、私が、何が答えができますか」。
光中被告は、一審の岡山地裁の判決を不服として控訴しています。
・光中被告の手紙
「はっきり言います。期待は全くしていません。でも、今回は私だけの問題ではなく、子供達、(長男、次男)、信じてくれてる人達、そして、他の人に対して偏見を持って人の陰口を言っている大人に対して、考えをあらためてもらいたい」。
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サトシ!オツッ(笑)
またきてね
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亜也佳)えー任務なの?
ラビ)まさかユウお化けが怖いんさぁー?
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