〔1:1〕野草は花咲く。その先は

( 日が落ちるとすっかり肌寒くなるこの頃、薄手のシャツにこれまた薄汚れたズボンを履いて、なんとか体温を逃がすまいと手でしっかりと身体を抱えながらゆっくりと町外れの小道を歩く。
先程、路地裏の店から出てきた客に投げつけられた石がこめかみに当たった為に少しばかり痛むが、赤くなっているだけで大した傷にはなっていないだろう。
今年で18になったというのに、その背はきっと同世代と比べたら小さくて、細くて頼りない。歳の割に幼く見えるその顔面も律儀に出身国の特徴を捉えている。
ふと、右側に置かれていた樽に気付かず危うく転びそうになりながら、小さく小さくため息をついた。)

……早く仕事、探さなきゃ。

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