2044年 日本各地に張り巡らされた新型公共交通機関網……地下にはトンネルが、地上には桁橋が連なり、もはや個人の移動手段など不必要な社会が誕生していた。
政府主導の超大型交通改革である”全国血脈交通化”は経済バブルとニ十数年の月日によって実現され、交通という概念は自動制御によるモビリティを意味するものとなっていた。
だが、内燃機関をその身に宿した四輪車がこの世界から完全に消え去った訳ではなかった――
無用の長物と成り果てた彼らに残ったものは鉄くずとしての価値ではなく、そこにしかない”ロマン”と”スリル”。かつて法によって縛られていたエンジン達は、捨てられた公道の中で本当のスピリットを開放する。
地面を蹴り砂塵をあげながら嘶く競走車を駆るのは――女子高生!?