ユーフォルビア 2024-10-14 02:31:34 |
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【名前】ユーフォルビア(愛称/ユフィ)
【容姿】身長は156cm。女性。腰まで長く伸ばした薄紫色の髪、毛先はゆるくカールしている。穏やかな人柄が滲み出る目尻の下がった二重の目、瞳の色は金色。耳の先端は三角に尖っており一目で人間ではないことが窺える。旅裝として、髪色と似た紫色のやや裾広がりのミモレ丈スカートに白のハイネックブラウスを合わせ、その上から大きなフード付きの黒いローブを羽織り、足元は履き込まれたブーツを着用。そして曰くなんでも入るらしい斜めがけバッグを提げている。
【性格】マイペースな性格。話し方ものんびりゆっくり丁寧で何処か余裕がある。感情の起伏もあまりなく、常に落ち着いている。好奇心旺盛。
【備考】見た目もそれらしい上に魔法を扱うので多分魔法使いか聖女か何か。愛用武器は先端に禍々しい赤色の水晶が嵌め込まれた身長よりも大きい黄金の杖。しかし普段は普通に邪魔になるので首飾りの形状にして身に付けている。世間知らず。
私の自己紹介は一先ずこんな感じでしょうか。それから、ええと…、あなた様の自己紹介も簡単なもので大丈夫です。旅の中でお話をたくさん聞かせていただけるのなら、それで。私のこともそのうち知ってもらえたら嬉しいです。
それではもし興味を持っていただけたなら、どうか気軽にお声掛けくださいね。
名前/レグルス
性別/♂
容姿/身長186cm。耳にかからない長さの薄茶色でうねった癖のある髪。ツリ目気味の碧色の瞳、眉はやや太めで、目鼻立ちはくっきりしている。服装は黒い和風の羽織りに灰色の馬乗り袴。下に銀色の縁のあるメガネ着用
性格/ぐうたらで、呑気な自由人。義理人情には厚く、頼りにされると面倒くさそうにしながらも助けてしまう。受けた恩義は忘れず、キッチリ義理は果たす意外にも熱い男。
備考/異国の剣士風の風貌で片刃で幅広の剣と腕に取り付けた盾を扱う。盾は身を護るだけでなく積極的に打撃にも使用するインファイター
(/素敵な募集を見つけたので参加希望です!もっと詳細なものが必要であれば言ってください)
お声がけくださってありがとうございます。この辺りでは珍しいお召し物ですが、お見受けしたところ剣士様でしょうか。私が後衛職なので前衛職の方が居てくださると、とっても心強いです…!ぜひご一緒させてください。
それから私の年齢についてお伝えし忘れていることに気が付きました。人間でいうところの19歳くらい…らしいです。
では早速始めさせてもらいただこうかと思うのですが、レグルス様の方で希望の始め方はありますか? 特に無ければ出会いの場面からご用意させていただこうかと考えております。
剣士……ま、そういうことになるかねぇ。前に出る事ぐらいしか取り柄がないんだ、後方支援してくれるってんなら助かるよ
なるほど、それじゃあ俺の方も歳を伝えておくとしよう。俺は正真正銘混じりっ気無しの人間なんでね、フェイクやら仕掛けやらも特に無い26歳ってことで、よろしく頼むよ
俺としても出会いからということで特に異論はない、雰囲気を掴むためにも初回をまずお願いしてもいいかね?俺はそれに合わせる形でやらせてもらうよ
諸々了解しました!ということで、下に初回を置かせてもらいますね。
迷いの森でたまたま見掛けたレグルス様の後ろをこっそりついていくので、私の気配に気が付いて声を掛けていただいても、追跡を振り切ろうとしていただいても大丈夫です。何が何でもついていくのでっ。
あと絡みにくかったり分かりづらい部分などありましたら教えていただけると助かります。
※
(箱入り娘のユフィは本の中の世界しか知らない。ユフィの母は彼女を産んですぐに息を引き取り、それから彼女のことは子煩悩な父親が愛情たっぷりに育てたが、そのせいもあってか度が過ぎて過保護になった父親の指示により、生まれてこの方一切の外出を禁じられていた。だからユフィにとっては本の中の世界が全てだったのである。しかし母親に似て好奇心旺盛な彼女は、成長するにつれ自らの目で世界を見たくなった。そしてとうとう(人間でいうところの)19歳の誕生日を迎えた日、外は危険だと制止する父の言う事も聞かず、お気に入りの本数冊と必要最低限の荷物を持って物語ではない現実の世界へと飛び出したのだった。そうして実家を離れて早3日。先ず目指したのは本で読んだ、この世界の陸地にある国の中で最も美しいとされている国・オーランツ共和国。地図もあるから大丈夫と意気揚々と繰り出したはいいものの、あっちこっちと寄り道しまくり、気が付けば辺り一面木々に覆われた薄暗い場所に迷い込んでいた。当の本人はまさか自分が迷子になっているとは露程も思わずに、ずんずん無鉄砲に突き進んでいく。そのうち前方に何者かの気配を感じると、初めての誰かの気配に興味津々。こっそりとその後をついていくことにして)
……止まりな、人様をつけ回すのはあまり良い趣味とは言えないねぇ
(とある国家所属の諜報員として調査の為派遣された緑の香りの深い鬱蒼とした日の光のあまり届かない薄暗い森林地帯、生い茂る木々の間を旅する先人達が切り拓いたのか、軽く舗装されて真っ直ぐに伸びて辛うじて道と呼べるようにまでなっている、奥深くどこまでも伸びている林道を目標地点目指し一人歩く。やがて、足音が自分のものに加えてもう一つ増えた事に気づき、最初は偶々そばを通りかかった旅人のものだと思ったが、どうやらその歩調はまるで自分に合わせるようにピッタリ一定のペースで追いかけてきているようで。何者かに尾行されている、職業柄そういった事への嗅覚は人一倍優れる己がそう確信をするにはそれほど時間はかからず。不躾な追跡者、それが何者であろうとまずはその真意を正さなければならない、そして……不本意ではあるが、場合によってはこの場で始末する事も考慮に入れなければならないと考え、面倒なことになったと若干憂鬱な気持ち抱えながら不意を突くよう足を早めて道を外れて林道脇の茂みの中へ。すると此方を慌てて追跡するよう足音が早まったのがわかり、まるで自らの存在を隠そうともしていないかのようなその振る舞い、これが本当に自分に差し向けられた刺客やその類であるとすればあまりにも迂闊でお粗末なやり口だなと、思案しつつ木の背後に身を隠すとそばまでノコノコ寄ってきた対象の前に飛び出し首元に剣を突きつけて「女……?」剣の鋭利な刃部分を首に触れるか触れないかの辺りに突きつけたまま、自分の後をつけていた対象を改めて見やればそれは見たところまだ成人しているかしていないかぐらいの少女で、とても他者へ危害を加えたりするような存在には見えず軽く困惑するも、念の為警戒を解かずにいて)
(魔人だろうか、人間だろうか、それともエルフだろうか。森に居るのでエルフの可能性が一番高い気もする。というこの安直過ぎる考えは、子供の頃に何度も繰り返し読んだ絵本から得た偏った知識によるためだ。エルフは森に住んでいると。真偽は定かでない、だからこそ実際にこの目で確かめたい。見たところ住んでいるようには見えないけれど。…それにしても急に歩く速度が速くなったり、かと思えば道を逸れたり、一体何処へ向かっているのだろう。前をゆく人物の様子を探りながら、まさか此方の動きに勘付かれているとも思わず、その歩調に合わせて懸命に後を追い掛ける。長く伸びた草が体に触れて擽ったい。すると不意に例の人物が木の向こう側へと姿を消したのに気が付いて、更に後を追おうとした───その時。突如自分の首元に突き付けられた鋭利な何か。いきなりのことに少し吃驚して足を止め、そして視線は得物の先を辿って持ち主の方へ。温室育ち故に疑うことを知らないユフィは、自分へ向けられている敵意にかなり鈍感だった。その為こんな状況に陥っても呑気に目をぱちくりさせるだけで特段怯える様子はなく、それよりも気になっていたのは相手の耳。目を凝らして見ると先端が尖っていないことが分かった。恐らくこの人はエルフでも魔人でもない。人間だ。)
!…驚かせてしまってすみません。こんなところで何をしているのかつい気になって。あと、あわよくば森の出口につれて行ってくれないかな、なんて考えていました。別に迷子というわけではないんですけど…。
(怪しい動きを見せるそぶりがあれば、得物をほんの数センチ上へとずらすだけで即刻首を落とす準備がある今、自身が生殺与奪の権を握り優位な立場にあるのは明らかな状況、にも関わらず怯えや恐怖、敵意といったものが表情から一切窺えないのは一体どういうことか。どのような猛者であろうとこのような状況に追い詰められれば何かしらのリアクションを起こすのが当たり前、しかしあろうことか当人は危機感の欠片もない様子で濁りの全くない金色の輝きを湛えた瞳を瞬かせ、森の出口まで連れて行けなどと宣う。鈍感なのか無知故の怖いもの知らずか、はたまたその両方か…この時点でこちらに害意を持っている可能性は限りなく低そうだとの見立てを立てればそっと刃を引き、腰の背中側に横向きに得物を納めると、自らの顎に手をやりながらメガネ越しに改めてその姿を見遣って。一見すれば人間の少女のようにも見えるが、そうで無いことを示すように頭の横からは三角形に尖った耳が存在しており、エルフか竜人か、はたまた魔族の類いか…思考を巡らすが、他種族への排他的な思想を持つ差別主義者でも無し何者であろうがそれはこの際どうでもいいと思い直し「森の中で方向感覚を失っているんだろう?そういうのを迷子って言うんだと思うがねぇ……案内しても良いんだが今は都合が悪い。面倒だが、まだやる事が残っていてね。それが終わった後でも良ければ案内してやれないこともないが……どうかね?」別に助けてやる義理はない、無視してこの場にほったらかしても良かったのだが、魔物や肉食の獣も生息している森で自分が見捨てたことで奴らの餌にされてしまっては寝覚めが悪いというもの、任務の途中だがそれさえ済めば案内してやると自身の都合との兼ね合いで折衷案としてそう提案をして)
えっ、本当ですか? なんてご親切な方…! その“やる事”が終わった後で全然構いませんので、ぜひ案内をお願いします…!
(初めて喋る家の者以外の誰か、初めて見る本物の人間。初めてだらけのことに興味が尽きないユフィは、首元で光る刃の先端を恐れるどころか、まるでそれが視界に入っていないかの如く目をきらきらと輝かせて、相手の頭の先から足の先まで注意深く観察するのにご執心。見たことのない装いだとか、自分よりは大きいけれどお父様と比べると随分と身長が小さめだとか。しかし途中ではたと脳裏を過ったのは、レディとして相応しくない行動は慎むようにという執事のお小言。長年の教育の賜物か、不躾な視線を送ってしまったことを即座に反省して目線を落とすと、そこでふと向けられていた剣先が下げられているのに気が付いて。おまけに森の出口を知っているらしい相手は、用事が済んだあとに案内をしてくれるという。初対面の相手、どういう人物なのか全く分からない状況であるにも関わらず、出された提案を訝しむという考えすら思い付かないユフィは、素直にぱあっと顔に喜色を浮かべて相手の提案に乗り気な様子で。そして思い出したように礼儀正しく挨拶をした後、左手を上に手を重ね丁寧なお辞儀をして)
あっ、私の名前はユーフォルビアです。ユフィと呼んでください。
レグルスだ、まあ森を出るまでの短い付き合いだと思うがよろしく頼むよ
(まるで珍妙な動物でも見つけたかのような好奇心に満ちた目線、幼い子供のようなその純粋無垢な瞳が青年期後半ぐらいの容姿の彼女から向けられることで脳が軽くバグるような感覚を覚えて。整った容姿に一般的な旅人との違いを感じる小綺麗な服装、良くも悪くも世間擦れしていないお嬢様という人物像がピッタリで、そう考えると立ち振る舞いも一つ一つが非常に整ったものに見えてくるのだから不思議だ。森を抜けるまでの短い付き合いにも関わらず育ちの良さを思わせる綺麗な所作で丁寧な挨拶をしてくる彼女へと、こちらはといえば淡白に手をひらりと振って応じ「それで、俺はもう少し奥へ進むつもりだがどうする?ついてきてもらっても俺の用件が済むまでここで待っていてもらうのでもどちらでも好きにしてもらって構わんよ」自身に課せられた任務は大っぴらにするようなものでもないが、どうしても隠し通さなければならないような秘匿性の高い仕事でもない。そもそも素人が見たところで自分が何をしているのかすらわからないだろう、それも彼女のような人畜無害そうなお嬢様であれば尚更だ。同行するかここで待つかどちらにするか選択権を委ねて)
はい。こちらこそよろしくお願い致します、レグルス様。
(声のトーンや態度は素っ気ない。しかし見ず知らずの自分を案内してくれるというのだからきっと悪い人間ではない、気がする。長きにわたって世界を見てきたらしいお父様は「人間ほど恐ろしい生き物はいない」とよく仰っていたけれど、それが本当かどうかはこの目で確かめよう。だから一先ずは彼を信じることにした。ずり落ちかけた斜めがけの大きな鞄を肩にかけ直し、教えてもらった名前を早速呼びながら屈託のない笑顔で応じて。───それはさておき、先程から気になっていた彼の用事について。陽の光も届かない鬱然としたこの広大な森で、一体どんな用事があるというのか。素材集め? 食材探し? 気にならないわけがないユフィは与えられた選択肢のうち、迷うことなく“彼についていく”という選択をする。ただ大人しく待っているだけだなんて退屈極まりないからだ。「…それでは、もしお邪魔でなければご一緒させていただいてもよろしいでしょうか。私に出来ることなら何でもお手伝いしますので。例えば…、そうですね。食べられるきのこ探しとか。」これまで読んだ本の知識は全てユフィの頭の中にある。彼の目的は分からないが、折角ついていくなら何か役に立てられないかと考えて、人差し指を立てながら一例を挙げ)
ほう、中々面白い特技を持っているんだねぇ。今回の仕事には生憎と役には立たんのが残念だが
(どうやらただの温室育ちのお嬢様という訳でもないらしい、何の役に立つのかがどうにもわかりにくい学者連中の語る知識なんかよりも、旅先などでの安全な食材の確保に繋がるずっとわかりやすく実用的な知識を持ち合わせていることを失礼ながら意外に感じながらも、素直に感心し頷き。知識はあってもそれを実践する機会がなかったことがなかった……そんなところかと礼儀はしっかりしており聡明、しかし所々無知な感じを醸し出している彼女への認識をそう上書きして。しかしながら、今回の自身の目的は食材の確保ではない、残念ながらその知識が生かされる場面は無さそうだと肩を竦めれば、ポケットからコンパスのような形状の道具を取り出し、それを頼りに林道を外れて青々とした茂みを掻き分けて更に奥地へ。その時だった、森林特有の土と緑の匂い、それに混ざって肉の腐ったような不快な腐臭が鼻をつく「やれやれ……コイツは思ったより深刻だねぇ……ちっ、勘付かれた……!死にたくなければお前さんは下がっていたまえ」臭気を放っているのは土の上に蠢く真っ黒なドロドロのヘドロのような物体、その流動体はまるで意思を持つように蠢き、やがてそれはぷくぷく泡立ち始め体長2メートルはあろうかという大きな蜘蛛のような外見に変化し、8本の節足で巨体に似合わぬ跳躍でこちらへと襲いかかってきて。間一髪、彼女の身体を抱きかかえ後方に飛び退き蜘蛛の攻撃をかわす、先程まで自分たちのいた地面に蜘蛛の前腕が突き刺さっており、その地面は蜘蛛の身体を形成するヘドロのようにドロドロ溶け始めていて。明確に向けられ続ける殺意、どうやらおめおめ逃してはくれないらしい、こうなればここで討伐する他ないかと愛刀構える。アレぐらいのサイズならやってやれない相手ではないが、他者を護りながらとなれば話しは別、眼前の戦いに集中するべく彼女には後方で控えているよう忠告をして)
うぅ、不思議なにおいですね……、わわっ!
(彼の仕事は単なる食材探し、というわけではなさそうだった。コンパスを頼りに森の奥地を目指す彼の後に続いて、時には自分の身長よりも高い草を掻き分けながらその背中を追う。しかし目的地に近付くにつれ、辺りに少しずつ不穏な空気が漂い始めていることに気が付いた。彼は何を探しているのだろうか。疑問に思いながらも敢えて口に出すようなことはせず大人しく付き従っていたが、突如として今まで嗅いだことのない強烈なにおいが鼻を刺激すれば、あまりの臭気に耐え兼ね咄嗟に片手で鼻と口を覆い隠して。その瞬間、何処に顔があるのか確認できないが、何となく臭いの発生源らしいヘドロと目が合ったような気がした。それは次第に変形し始めて……。危機感のないユフィがソレの動きを興味深く観察していると不意にふわりと身体が浮くような感覚が。不思議に思う間もなく、鈍いユフィでも感じる程の殺意を持って襲い掛かってきた謎の生き物は勢いよく腕を振り降ろし、その直後ゴリゴリ…ッと音をたてて今居た場所が深く抉れた。みると険しい顔をした彼が自分を片腕に抱えながら蜘蛛と対峙している。どうやら危機一髪のところを助けてくれたらしい。この人の目的はあのおどろおどろしい見た目の巨大蜘蛛? だとすれば倒したいのか、捕まえたいのか。そこのところは分からないが、とりあえず下がっているように指示を出す彼に従い「分かりました!」と短く返事をして離れ、恐らくこれから戦闘に入るであろう彼の邪魔にならないよう後方へと下がって様子を窺い)
あの、レグルス様の用事ってソレですか?
ああ……正確には泥の調査という名目だったんだがね。直接やり合う羽目になるとはとんだ貧乏くじというやつだよ
(聞き分けよく、背後の背の高い草の中に身を隠した彼女を尻目に、姿勢低くして右腕に取り付けた飾り気のない鋼鉄製の鈍色をした無骨な円形の盾を身体の右半身を隠すよう高めの位置で前方へと突き出し、左手に携える幅広の片刃剣を腰あたりの高さで水平一直線に、左半身を引き気味に構えるという独特の型で敵と対峙して。果たして生き物なのか無機物なのか、由来や素性のいずれも定かではないが組織内では『泥』と呼んでいる存在……それは世界の各地に場所を問わず存在しており、少しずつ流動するようにして地面を這うように移動し、強い毒性によって触れた生き物の精神や肉体を蝕み犯す。そして、ある一定の期間を経た泥はやがて現実世界の生き物を象りあらゆる生物を対象に捕食行動をとるようになる。自身はその活動を始める前段階の泥の調査任務を任されていた訳だが、こうして対峙する羽目になるのは組織との協定外、とんだ面倒に巻き込まれたものだと悪態をつきつつ、投げかけられた問いへと答えて「やれやれ……まだ凶暴な肉食獣の方が可愛げがある……!…….その泥には触れないように気をつけたまえ、健常者でも長く触れればあっという間に廃人一直線という代物だ」真っ直ぐ向かってくる蜘蛛の巨体による体当たりを身体を僅かに横にズラし突き出した盾で振り払うようにして最小限の力で受け流す、そして流れるような、滑らかな動作で低めに構えた剣を自身の右腕の脇下を通し蜘蛛の腹部へと刺突、横に薙ぎ払って裂く。蜘蛛の裂かれた丸く豊満な腹からは真っ黒な悪臭を放つ泥が吐き出され、それに顔を顰めれば身体に極力泥が触れないよう勢いよく蹴っ飛ばして距離を離す。激しい攻防により、撒き散らされた泥は彼女が身を隠す茂み付近にまで飛び散り、まるで呪いやその類を思わせるそれに触れないよう言って聞かせて)
(草の合間からそっと顔を覗かせて静かに戦況を見守っていたが、『泥』と呼ばれるソレが傍にボトッ…と落ちてくると、知的欲求が抑えられず近くで観察しようとして。そんなユフィの行動を予測したかのように彼から触らないよう忠告されてしまえば、渋々といった様子で近寄るのは諦めることにして、再び草むらの中に身を隠す。───斬られるたびに泥の破片が辺りに撒き散り、毒々しい液状の何かが点々と地面を汚していく。こんなものが世に出てしまったら、この森に住む動物だけでなく、何もかもが溶かされてしまうだろう。通りかかったついでの関係ではあるけれど、このまま見ているだけというのももどかしい。何か自分に手伝えることはないだろうか。すると、ぽつ、と水滴が頬に当たる感触がした。ぽつ、ぽつ。……雨? 徐ろに上を見上げると、泥の毒素の影響で奴の移動した場所の木々が溶けたのか、葉で覆われて見えなかったはずの空が見渡せるようになっている。…そうだ、今ならあの魔法が使える。もしかしたら泥の動きを止めることが出来るかもしれない。良い感じに雨脚も強くなってきた。意を決して草むらから姿を現し、赤い水晶の首飾りに手を触れた途端、それはユフィよりも一回り大きな黄金の杖へと姿を変え、杖の先端部分に嵌め込まれた赤色水晶は禍々しい輝きを放った。この魔法が泥に有効かどうかはさておいて、試してみないことには始まらない。出会ったばかりの彼が自分を信じてくれるとも限らないが、一縷の望みに賭けて前線で戦う彼に大きな声で呼び掛けて)
レグルス様、私に考えがあります! もう少しだけそちらに引き付けておいてください…!
やれやれ、随分と簡単に言ってくれるねぇ……お嬢さん、頼むから無茶な真似だけはしてくれるなよ……!
(どれだけ有効打を与えようと動きが鈍らず、恐れ知らずにこちらへと向かってくるそれは生き物を模倣した作り物の傀儡のよう。痛覚や自らの命を守ろうという生存本能というものが欠落してしまっている生命に対する冒涜すら感じさせる泥の人形を活動停止に追い込むためにはやはり中枢となる部分に攻撃を叩き込み破壊する他無い。しかし、疲労やダメージによる身体機能の低下といったものを望めない相手に決定打を与えるというのは容易な事ではない、腹部を引き裂いてなお平気そうであったことから恐らく中枢となる部分は鋭い前腕と牙に守られた頭、攻撃能力の集中したこの部位をこちらから攻めるには多大なリスクを負う必要があり攻めあぐねていると、不意に頬にポツリ当たる雫、鼻に絡みつくような雨の降り始めのあのペトリコール。それから間をおかずして木々の隙間を縫って大地を濡らしていくは果たして戦況を動かし吉兆をもたらす恵みの雨なり得るか否か、そんな思考を遮るように背後の草むらより飛び出したかと思えば何か考えがある様子の彼女、いつの間にどこから取り出したのか、手にしている杖から放たれた妖しい赤い輝きは魔力を内包したものであることがわかる。その証拠に泥の蜘蛛は関心をこちらから彼女の方に移して一直線にそちらへと向かっていこうとしたため、横からの盾による強烈な殴打をして注意を惹くことにする。その衝撃に敵は一瞬よろめき再びこちらへと敵視を向けさせることに成功すれば、一体何をするつもりかはわからないが彼女の秘策とやらに乗っかることにして。この戦況でそんな博打に近い判断を下した根拠はただ一つ、一瞬でも彼女の放つ魔力に眼前の傀儡は反応を見せた、それは即ち取るに足らない凡百の魔導士とは違う何かがあるということ、それに賭けることにした事に他ならず)
───…っ!
(降りしきる雨の中、次第に地面は泥濘み始める。このまま戦闘が長引けば、状況としては恐らく此方が不利。そんな戦況下で、ユフィは彼に賭け、彼はユフィに賭けたようだった。彼が蜘蛛の気を引いてくれているうちにさっと杖を構え、対象を逃さないよう視界に捉えたまま杖の先端を傾けぐっと柄を握り直し、水晶に魔力を流し込むイメージで脳内にて即座にやや複雑な術式を構築していく。そして彼の攻撃を受けた泥がたじろいだ隙を見計らって、思いっきり魔法を解き放った。初の実戦ということで魔力の調整が上手く出来ず力任せにしたせいか魔法の反動で後ろによろめいてしまうが、ユフィの放った眩い青の閃光は勢い良く彼の横をすり抜け、その先にいる泥へ。そして閃光が蜘蛛の頭部を射抜いた瞬間、キキキキッ……雨に濡れた泥は頭部から脚先まで氷の柱を幾千本と生やしながら瞬く間に凍結していき、やがてぴたりと動きが止まった。ユフィが放った《対象を凍らせる魔法》は、対象が液状か、もしくは濡れている状態でなければ効果の無い魔法だが、運良く雨が降ったおかげで何とか成功したようだった。とはいえ、これは単に素早く動き回る蜘蛛を一時的に足止めしただけに過ぎず、油断するにはまだ早い状態。「時間稼ぎになるといいのですが…!」数分保てば良い方だが後は彼がどうにかするだろうと目で合図を送っては、雨に打たれるのも厭わずにその場で最後まで見守ることにして)
……!ほう……やるもんだねぇ、ここまでしてくれたんなら言う事はない
(自身の脇を抜けていく、全てを凍てつかせるかのような強烈な冷気を帯びた魔力の閃光、それが蜘蛛の顔面を正確に捉えれば瞬時に周囲の気温をガクッと下げながらその肢体を構成するドロドロした流体と体表の雨粒とを完全に凍てつき。これが対象の身体の構成物質の流体のみが対象であれば、持ち前の馬力によって時間稼ぎとしては心許ないものとなっていだろう、しかし環境を利用してより多くの水分を使っての凍結であれば話は別、一時的とはいえ氷像のようになった蜘蛛が完全に動きを止めたのを見れば想像以上の効力に舌を巻き。とはいえこれでも決して長い時間奴を留めおくことは出来ないだろう、持てる知恵と能力をフルに活用して作ってくれたチャンス、これを活かすも殺すも己次第……責任は重大だがここまでのお膳立てをしてもらってまさか不足などあろうはずがない、確実に仕留め切るためのイメージは既に出来ている「コイツで終いだよ」右手に構えた剣を勢いよく蜘蛛の中枢があると思われる、氷結した頭部に力任せに突き入れるとそれを更に奥深く叩き込むように盾で強打しダメ押しに押し込んで、仕上げに完全に頭部深くに刺さった剣の柄を真横から再び盾で殴打する。氷結したことで硬度は増したが、完全な流体では起こり得ない現象を引き起こすことになる、剣の刺さった部分から微かにヒビ割れが広がった頭部をてこの原理で完全に真っ二つに割いて)
あっ、まだ採集がっ…
(見事な力技が決まり頭部を氷ごと両断されたことで完全に機能が停止したらしい蜘蛛は凍ったまま地面に崩れ落ちた。それと同時に、辺りに散らばっていた奴の毒々しい身体?の一部もさらさらと砂のように消えていく…。その様子を眺めながら、もう必要ないだろうと杖を首飾りの形状に戻して暫し戦いの終わりを実感していたが、途中でハッと大事なことを思い出したユフィは慌てて鞄の中から特殊仕様の小瓶を取り出し、まだ残存している液状のソレらの元へ駆け寄って採取しようと試みる。『泥』の恐ろしさを知る彼からついさっき“触るな危険”と忠告されたばかりにも拘らず、募りまくった好奇心はどうしても抑えられなかったらしい。しかし当然間に合わず、傍にしゃがみ込んだところで最後の破片も目の前で消えてなくなれば、至極残念そうに眉尻を下げて。こうして、まるで何事も無かったかのように辺りは静けさを取り戻していった。雨に濡れた長い髪を耳にかけながらゆったりと立ち上がり、しょぼくれた様子で彼の元へ向かって)
お見事な剣さばきでした。捕まえられなかったのは残念でしたけど…。───…ところでレグルス様、お怪我はありませんか?
ああ、お陰様でなんともないよ。しかしまぁ……アレだけのものを目の当たりにして随分と豪胆なお嬢さんだ
(怖いもの知らずとは正に彼女のためにあるような言葉だろう、泥の危険性はこちらからも説明した通り、その脅威を実際に目の当たりにしていてなお採集を試みようとしていたらしい、その知的好奇心からくるのだろう探究心に軽く呆れて苦笑いを浮かべて。それから地面に落ちた自身の愛刀を拾い上げると、力任せにぶっ叩いて横から無理な力を加えたことで多少刃が歪んでいることに気づき、また無駄な修繕費がかかりそうだなとかかる費用のことに思いを馳せると気重そうに深いため息をこぼして「ともあれ、こちらの用件は済んだ。この後の報告の事を考えると気が重いが……まあ、それはこちらの話しだ。森の外まで案内しよう」軽い気持ちで訪れた任務で活動期の泥と対峙することになるとはとんだ面倒に巻き込まれたもの、無事に五体満足で切り抜けられたのは良かったもののこの後に待つ調査報告書の作成の事を思うと憂鬱になり髪を片手でくしゃっと軽く掻きむしるが、それは眼前の彼女には関係のないことであり気持ちを切り替えると約束通り森の外まで送り届けてやることにして)
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