人間 2024-09-29 13:36:37 ID:88fede34f |
通報 |
(やはり触れることは叶わないらしい。早々と閉め切られた頭部のガラスに眉を控えめに下げ、「ご馳走様でした」と得をしたことも含め相手へ感謝を込めてそう告げるとそのまま手を引き、乗り上げていたテーブルからも体を戻して一度立ち上がる。)
全くとは言わないがね、必要以上の会話はないかな。あまり外にも出ることは無いし…付き合いは避けてるから。ただ、それでも町の人は優しいよ。
(彼の問いを正確にするならばとガラス内へと閉じられた炎へないその視線を重ねるように首を傾けて言葉を連ねる。己からすれば人の心情、内面を読み解くのはこの世の未知を解き明かすのに等しいほど難しい。正解を知らされる訳でもなくただ複雑な読み合いをするようなやり取りに頭を悩ませられるほど器用でもないと、気楽に話せる相手ができる前に接触を避けてしまうようになったのが原因だろうが、幸いにもここの住民は世話焼きが多いらしいと白衣の継ぎ接ぎの細かな凸凹に指先を這わせ。決して広くは無い小さな規模の町、それなりの人の温情が感じられる穏やかな場所。没頭する姿に妙な噂を立てるでもなく、血縁や友人でなくとも当たり前のように心配してくれるなどお人好しも過ぎると肩を竦ませ、立ち上がったままソファへそのまま座ることはなく踵を緩く浮かせゆっくりと歩を進める。机の外周を回るように足先を進ませ、相手の方へと歩み寄ろうと話を続けながら距離を縮め。)
君が寝る部屋は無いのかい?そもそも睡眠はとる?もしとるのなら一晩中観察したいのだけど、それはダメ?
(極めた図々しさで相手から返す隙も与えないように問いに問いを重ねていき、相手が立ち上がって避けようとしない限りは問いを投げる度にどんどんと大股に歩を進めて距離を縮めていき、問い終えたならぴたりと声を止ませて歩みも緩やかに停止させる。彼が先に言っていた“きっと”という不明瞭な物言いからして恐らく、部屋の管理は怠ってはいないだろうし自分に早く早急に帰って欲しいのだろうことは察せる。ただ夜に自宅へとお邪魔している状況、見れる姿はなるべく見ておきたいと欲が抑えられず。こちらの圧に彼が離れていなければ近くまで縮めた距離で相手のランタンの輪郭を下から上へとなぞるように視線を辿らせるだろうが、彼が離れてしまっているならある程度の距離を保ったまま懐へとメモをしまって空いた手をヒラヒラと振って無害をアピールしてみせて。)
(自分が流そうとした質問に彼女が口を開いたことに驚き、ソファーの肘置きに頬杖を付いて返答を聞いてみる。外出も人付き合いもしないなんて、1ヶ月で何度も自分の屋敷を訪れているくせによく言うものだ。発言に矛盾を感じるも、自分は研究や観察の対象であり人間関係には含まれないのだろうと勝手に納得し、その違和感を突くような言葉を呑み込んだ。彼女の言うとおりこの街に住む人々は温厚で優しい。だからこそ自分が傍で暮らすことができて、間近で人間の営みを愛でることができる。それを彼女も感じられているようで、白衣を大事そうに撫でる姿に仄かに安堵し。人付き合いを心配していた訳では無いが、例え自分が居なくとも彼女の生活が腐ることはなさそう。だとしたら何故、自分にここまで夢中になることへの疑問を一層膨らませ。話しながらも彼女が立ち上がるとランタンが少し上へ傾く。身長差はあれど彼女も人間の中では背の大きい方で、自分が座っていれば頭1つ向こうの方が高さが勝っていた。先程勝手に炎を触ろうとしたこともあり、彼女が無遠慮に近付いてくることに警戒しては姿を追い見失わないようにして。)
幾ら客人いえど人の寝室にまで入ってくるのは頂けない。…泊まるのなら、この客室で大人しく休むこと。
(ソファーに脚を組みながら次々に投げ掛けられる質問にまるで重量で押されるように頭部を反対へ傾け、気が済むまで聞き流し丁寧に答えることは無く。彼女の顔に自身の炎から拡散された柔い光が掛かるほど距離が近くなると立ち上がり、さり気なくそれ以上の接触を避ける。すぐに背を越し見下ろす形になれば自ずとランタンも彼女の視界から遠退いた。ソファーから離れると手のひらを見せ何もしない意思を伝えられるも、その為に離れたのではない。相手の素振りを一瞥しつつ歩みを進め1つ部屋の前へと向かう。質問に答えることを窘めながらも断り、扉の隣へ立つと代わりにと言いたげに条件を設けて。これ以上断っても休めない夜が長引くだけ。そう思うと彼女の宿泊は仕方無く了承することにしたが、日が昇るまでずっと相手にする気はない。部屋で大人してもらうことに少しでも彼女が納得できる理由はないか言葉を付け足し。)
人間を泊めるなんて普段はしないんだ、それだけでも君にとっては貴重な経験になるだろう?
(ひとりであの町で住み始めてもう何年となるが、町中への露店へ買い出しに行くことの方が少なく倒れて診療所へ行く方が回数は多かっただろう。そう思えばここへ通うようになってからは体力もよくついた方かもしれないと視線を伏せ思い返し、温かながらも数人は混じる異分子を拒みたがる者や、単なる心配から送られる視線は未だ少なくない。森へ行けば子どもたちも真似をしかねないから控えてほしいとまで言われ、森の魔物については過去の被害をこれでもかと言い聞かせているだろうに誰が真似るものかと一蹴したこともあった。その忠告は遠回しに、それだけの意味で森へ入らせたくないという意図を感じたと同時に、ここへ訪れることへの邪魔をされたようで気に入らなかったのだと、今思い返して客観的になれば実に幼稚だったと、相手の方へ無害を示すために見せていた掌を戻して何やら考えるような仕草をとっては指先を顎にあてがい。いつもと違い身長差が逆転してこちらを見上げるようにランタンの持ち手が少し後ろのガラスに軽く当たるような音を確認すると、どことなく優越感に似た何かが滲む。愛らしいと思ったも束の間、目前へ着く頃にはもう座ってもいない彼が高い位置から見下ろすいつもの状態に自然と顎を持ち上げ腕を解いて下ろし。)
……うん、そこまで言われれば仕方ない。泊まらせて貰えるなんて思ってもいなかったからね、嬉しいよ。
(此方の接近から逃れるように離れゆく灯りに視線が釣られて動く。自身の図々しさに自覚はあれど後悔はしてないと言わんばかりに相手からの説得のひと押しに少し間を置いて口端を弛ませ、どこか薄らとにやついた面構えで納得したと意志を伝える。本来ならば急な来訪の上宿泊など、同種関係なく傍迷惑だろう、しかもこんな交流期間も少なく遠慮を知らない人間相手なら尚更だ。親切な彼の対応や寛大さに感謝すべき状況にも関わらず、あわよくばと欲を紡げば先程まで彼が座っていたソファの背もたれへと手を這わせ、あるかないかも分からない温もりを探すように触れやって)
ちなみに君もここで休めば私は君の寝室には入らず、寝姿を観察することが出来て利害が一致すると思うんだけれど…そこまでは流石に気を許せないかい?
今回きりだよ。そもそも昼に来れば良いものを…。
(まるで此方が譲歩しているような言い方になってしまったことだけ腑に落ちないが、彼女が自分の条件を飲み込んでくれたことに安心し胸を撫で下ろした。思ってもいないなんて言うが言い出したのは相手の方で、駄目元でも押せば要求が通るなんて勘違いはされたくなくて念を押す。泊めるのはこれが最初で最後、やむを得ずやっていることだ。釘を刺すとどうしてこんなことになったのかを思い返し、やはり彼女に原因があることに帰ってくる。自分がお人好しだからなんてものではなくまるで調子が狂わされているよう、壁に凭れると片手でランタンの頭部を抱え、彼女の都合の良いばかりに事が進んでいる現状に不服さを漏らした。)
あぁ…言っておくが僕は寝ないよ。今日中に手入れを済ませたい品があるからね。
(これ以上言葉を続けると説教をしているみたいで、彼女を受け入れた手前長々と不満を伝えるようなことはしたくなかった。泊めて厄介事が増えるのは困るが、彼女だからと特別追い払う理由も無い。俯かせた頭部を上げると彼女を見遣り、どうしてつい甘く彼女の要望に答えてしまうのかと考え込む。自分が目端を細める相手とは真反対に考えを巡らせていることが可笑しく、“知らなくても良い”とひとまず結論を出すことを放棄した。ソファーを撫でる動きに気付けば数秒、普段とは逆に此方が観察するように見ていた視線を外し期待に背くことを伝えて。元々夕食後に昼に行っていた続きをするつもりだったのだし、彼女の欲深さを窘めるものでもない。ただ相手にとって想定外の発言である自覚はあり、振り回す心地が面白かった。反応を窺う前に尋ねては重心を預けていた壁から離れ先に客室の扉を開ける。頭を覗かせ中を一瞥すると改めて室内が使えそうな状態であることを確認し、「何か必要であれば言ってくれ。」と彼女を置いて話を進め。)
(/お世話になっております、中の人からで失礼します…!お返事遅くなってしまっててすみません…!
リアルの方がバタバタしてしまいまだお返事が考えられておらず、早くて明日の夜頃に返信出来るかもという状況です、すみません…。お待たせしている上にご連絡もこうして遅くなってしまい大変申し訳ありません…もう少々お待ち頂けますと幸いです…!/こちらへの返信はなくても大丈夫です…!)
(友好的に接するためなのか彼の気まぐれか、それはさておきどちらとしても彼の寛容な対応に心底感謝はしている。それがあまり表へと誠実な言動として表現しきれておらず彼へ届いているのかは定かではないが、きっと彼ならば感謝をするくらいならば次からは行動にもう少し配慮を見せて欲しいと望まれてしまうか。その要望は非常に難しく恐らく制御出来ない、ときっと彼を困らせるような答えしか出ないだろうからと、彼の渋々と零した言葉に肩を柔く震わせ、「そうだね、睡眠の質を下げては万全な君に会えなくなってしまうから」と悪びれもない様子で返答する。ただ、彼から続いた答えによって自身の認識が誤っていたことがわかるとソファへ触れていた手がぴたりと動きを止め、あからさまに興味に釣られた眼差しを向け。)
寝ない、というのはいつも?それとも今日だけの話?睡眠を必要としない…?エネルギーさえとれば休息もなしに動き続けられるということかい?
(次々に疑問が浮かんでは問いかけへと変わって彼へ投げられていく。睡眠をとるのならばどのようにしてとるのか、その炎の形が変わったり、はたまた一時的に消灯のように消えたりでもするのだろうかと想像を膨らませていただけにそもそも寝ない、などと意外な返答に驚きを隠せず、彼が部屋の確認して此方へ向き直ったところへ無遠慮に質問攻めをまたもしてしまう。声のトーンこそ落ち着いているが、1ヶ月近く接してきた彼からすれば此方が年甲斐もなく高揚しているということは伝わっているだろう。手のかかる子どもとそれを寝かしつけようとするベビーシッターのような構図、後から気付いてハッとする。いい大人がと羞恥心が沸き起こったわけでなく、彼自身のことになると探究心に突き動かされて自制が効かなくなることに力が籠って僅かに上がっていた肩を鎮め。一人で研究に没頭してばかりになるとこうして相手のいるような状況の時にどうしても歯止めが効かなくなる。口元へ蓋をするかのように手指を添えて、先のように距離を詰め寄ろうとした足先に力を込めて制すると相手へ笑いかけるように目を細めて。)
すまない、君のことになるとどうも夢中になってしまう。また今度この話は聞かせてくれるかな?…それとも君が手入れの片手間に話し相手になってくれるなら、喜んでお願いしたいけれど。
(/お待たせしてしまい申し訳ありません…引き続き、よろしくお願いいたします…!/こちらもお返事不要です、度々すみません…!)
おや、よく抑えられた。
(部屋の中を確かめている間に投げ掛けらたのは自分の身を案じた言葉で、一見心配されているようだが実際は観察への影響を気にしたもの。相変わらずの自分本位さに肩を落としつつ振り返ると、此方への興味が篭った双眸と視線が合った。目と言うものは持ち合わせていないが、それでも今彼女が視界の真ん中に己を捉えていることが察せられ、見覚えのある空気に既にランタンを後ろへ傾ける。予想していた通り、堰を切ったように忙しなく彼女の口が回るといくつもの質問が向けられた。1つの言葉を皮切りによく何個も疑問が思いつくものだと感心すら湧いてくる。これで窘めるのも何度目かなんて聞き流しながら考え、言葉が途切れたのを見計らって口を出そうとしたところで彼女が自分の口元を抑えている姿に気付き呆然とし。普段ならこのまま距離を詰めるところを、その場に留まり、自分の特質を自覚してはにかむ様子が珍しく驚きで反応が数秒遅れる。これも自分が度々物申してきたからだろうかと思えば、自制のできた彼女に此方から歩みを進めて軽く頭に手を置いて。上記を添え、そのまま軽く頭を撫でる。自分からすれば彼女は充分子供らしく、出来たことはしっかり褒めてやろうと思えた。)
君も万全な状態が良いんじゃない?眠気眼で尋ねられても、答える気にはなれないな。
(あからさまに喋らないよう口元を手で抑える姿が面白く、相手は必死なのだからと笑い声がもれないよう肩を竦ませるのみで。頭に置いていた手を離すと彼女が持ち掛けてきた約束には「…まぁ、僕が覚えていたら。」とはぐらかす。食事についても睡眠についてもだが、エネルギーを補給したり消費を抑えたりする点では人間となんら変わりない。話すことが無いようにも思え、何か尋ねられても興味を擽る回答は出せる気がしなかった。当たり前のことに何をそんなに夢中になるのやら、きっと彼女の中では自分が相当異質な存在に見えているのだろう。それでも人間との会話というものは面白く、こうして話し過ぎないようにと気遣いが出来るようになった様を見るとまた相手してやっても良いなんて勝手に判断を下す。暫く空に彷徨わせていた掌を相手の肩に置くと、自身は彼女の後ろに立つように。前へ、客室への道を開けては自分より彼女のほうが睡眠を取るべき種であることを考え上記を伝え。)
(/お返事不要とのことでしたが、失礼します。
お返事遅れる際に背後のみでもお伝えいただけて助かりました…!お手隙の際にお返事なさってください。自分も返信が遅れてしまいすみません…。お互い無理せず、ゆっくり進めていけたら幸いです。)
(混じり気のない褒め言葉を向けられる機会は少なく、その上相手側から珍しく詰められた距離に息を微かに呑み込む。遠くへ位置するその灯火に顎を上げ視線を向けようとしたも、不意に頭上へと翳され差した影がそのまま降りてきて、大きな掌に頭を撫でられると視線もある程度の位置で止まり。驚きに体が固まり、撫でられ小さく揺れ動く感触とそれに比例して揺れる視界で状況を把握するとなんとも言えない心地に上を見ようと上がっていた顎が徐々に下へと落ちていき、視線も相手から外れていく。幼い頃以来の感触は、気恥しさに似通った感情の隅に嬉しさも入り交じっているようなと、蓋の役割をしていた口元を触れる手指の温度がやや高まったような気がした。頭上へ置かれていた時間は長くはなく、離れた感覚の後でゆっくりと手を下ろし、熱も落ち着いた様子で相手を見遣ろうとするもそのまま後ろへ隠れてしまうように移動した相手へ視線が追うことは適わず。)
君がいれば夜通しの研究は難しそうだな、健康的な生活を送れてしまいそうだ。
(隣接する客室へ促されるよう置かれた肩への重み、これもまた久しくぶりだとむず痒い。その手をとって絵本を読み聞かせてもらうような時期が自分にも少なからずあったことを懐かしむように思い返しふと笑って、少しだけ身を捩って肩越しに相手を見上げる。前へと進めば、その手は簡単に離れるだろうか。少しの間を要し、名残惜しそうに緩やかな足取りで客室の方へ進むと扉をくぐる直前、足を止め半身を相手の方へと振り向かせば片手を擡げ軽やかに左右に揺らして見せて)
ありがとう。おやすみなさい、フレイ。
(/温かいお返事、ありがとうございます…!そう言っていただけますと本当に有難いです、ありがとうございます…そちら様もご無理ない範囲で…!
あとちょっと迷った上で最後の描写を消してしまいましたが、ここで特別行動がなければオバナは客室へ入って大人しく就寝するかと思うので、このまま別れそうであればご都合いいように翌日に飛んでいただくか、私の方で翌日に飛ぶロルに繋げるようなロルでお返事頂ければ幸いです…!(難解説明で申し訳ありません…!) 中の人から続けて長々とすみません…!)
(後ろから彼女の頭を見下ろしながら、肩に手を置いた時の感覚を思い返す。想像していたより手を降ろしたような気がして、彼女が普段よりも小さく感じられた。自分が人間よりも大きな背丈を持つことは重々分かっていた。影が落ち、何もしなくても無条件に怖がらせやすいことも。だから人気のない森の中で過ごしたり街へ出る際は頭部を変えたり、ある程度の配慮はしているのだが、彼女はそんなのを一切気にせず自分に興味の目を向けてくる。むしろ炎がよく観察できるなんて考えるだろうか。不思議で珍しい、却って面白い…なんて、視界から外れているのを良いことに見定めるような感情を向けていた。徐ろに頭が動き此方を振り返る素振りに気が付くと、それを隠そうと頭を斜め下へと逸らす。口振りからして寝ずに研究に没頭することもあるらしい、適当な生活に呆れてはため息が漏れ、手から肩が離れたことに気付き改めて顔を向ける。彼女の清々しい笑みが見えると不思議と嫌に思えず、退屈を遠ざけてくれた自由な振る舞いを受け入れるよう手を振り返し「あぁ、おやすみ。」と短く挨拶を。しんと静まった空間から彼女の姿が吸い込まれた扉を暫く眺め、炎が空気を含み膨らむ音で現実に戻されると残っている作業へと意識を向け書斎へ足を運んでいった。)
ーーーー
(今日の内に仕上げるつもりだった指輪を3つ、それと針が止まったことを思い出してリビングの掛け時計も取り外し、ついでに気分転換に置いている骨董品の位置を変えようなんて考える。物に囲まれていると1人だと広い屋敷も色々楽しみ甲斐があって悪くない。時計盤を閉じ、今はどこに何を置いていたか確認しようと書斎を出てようやく、カーテンの隙間から白んだ光が漏れているのに気が付いた。時刻を確認しようとするも、丁度時計は外してしまったところ。書斎に戻って棚に置かれた時計を見ればすっかり朝の時刻を迎えており、時間の経過を自覚した途端、首の上で揺れる炎の勢いが弱まって。寝なくても大丈夫とはいえ、ずっと燃え続けエネルギーを消費すると疲れを感じてしまう。炎が燃えやすいように頭部のランタンを外すと、灯りの大きさも1,2回り大きくなった。人間で言うエネルギーの消費を抑えるための睡眠や息苦しくてネクタイを緩める行為が当てはまるのだろうか、と彼らのことが脳裏を過ぎったところで一時的に泊めている彼女の存在を思い出し小さく声が漏れた。身なりを整える感覚でランタンを被り直し、連日同じ姿になることが気になり手袋の上から嵌めている指輪を他のものと変える。磨いたばかりのも1つ加え、赤い石が己の炎を反射し似た煌めきを放っていた。満足気に眺めてから、リビングを通り客室の前へ。「オバナ、起きているかい?」と扉越しに声を掛ける。ノックもできれば良かったのだが、ガスで満ちた身体でははっきりと扉を叩く音を出すことができなかった。彼女の返事を待ちながらソファーへと歩みを進め、後ろから凭れ掛かりながら彼女を帰す算段を考えて。)
(/お気遣いありがとうございます。自分も忙しいと2,3日以上返信が遅れてしまうかと、一言お伝えするようにいたします;;
翌日に飛ばして朝のフレイ側の描写までさせていただきました。合わせづらさ等あれば遠慮なくお申し付けください!ちなみに朝は何もなければ屋敷からオバナちゃんを帰して一区切りかな…と思っているのですが、何か描写したいことはございますか…?)
(いつの間に落ちていただろう。完全に外界と絶った意識が徐々に戻され始め、暗い視界に滲んだ光に気付いて薄らと瞬きを繰り返し、一度溜め込むように瞼をぎゅ、と閉じてからゆっくりと上げる。覚めてまず目に入ったのは人のものにしては大きな寝台の上、と言うにも全身が乗り切ってはおらず縁に倒れ込むような体勢で突っ伏していたらしい。ゆっくりと体を起こした時にはその妙な体勢で起きるなど思ってなかったか、バランスを崩して床へ雪崩るように倒れ込む。ぼんやりとした意識の中半身を起こせば視線をゆっくりと辺りへ巡らせ、状況を理解したのか掠れた声が「ああ」と漏れでた。昨夜は室内にある骨董品を触れないようにしながら観察したり、見慣れない室内をゆっくり歩き回ったり、手元にあった彼のことを記したメモを眺めて改めて考察したりと眠りに落ちてしまうまでには随分と時間を要した。外から聞こえた小さな鳥のさえずりに擡げた頭が窓枠へ向き、ベッド側へと凭れてやや乱れてしまっていた髪を手探りで感覚的に整える。間もなく聞こえた扉越しの籠った声に少し遅れて動き始めると、床から立ち上がるなり起きて間もない覚束無い足取りで扉の方へと歩み寄り、ドアノブへと手をかけると自重で押し開けるようにして隣室へややだらしのない姿を明かし)
…おはよう、フレイ。ゆっくり寝てしまった。
(戸の先、起きて直ぐに彼の姿を見るのは新鮮で冴えてきた意識の中でじわりと込み上げる心地良さに口角をやや弛め。目覚めて間もなくして誰かと対面し、こうして挨拶を交わす機会などそうないと心地良さの余り、相手が知る由もない不本意にも眠ってしまったことを告げて室内をゆるりと跨ぎ移り。朝にはまた違った姿を見られるのではと不躾な視線が彼が動く度に追いかけるも、身なりに無頓着な研究者は彼が昨日と今日とで指に整えられた装飾が差し替えられたことなど気付きもしないだろう。起きた直後でいつもより低い声に喉を小さく鳴らして調子を整えると、挨拶の続きにと彼の体調を問いかけてみて)
本当に一晩中起きていたの?疲れていない?
(/すみません、また空いてしまいました…!
朝まで描写を飛ばして下さりありがとうございます!とても助かりました…。そうですね、今回の観察させてもらったことや記録をまとめるためにオバナはそそくさと帰りそうかと思うので、そこで一区切りつくのがいいかもしれません。
長々と中の人が出てきてしまっていて申し訳ないのですが、折角なので次の展開についてはこのまま相談させて頂いても宜しいでしょうか…?)
あぁ、見れば分かるよ。良いことじゃないか。
(泊まらせるなんて勿論初めてのことで、彼女が朝に家を訪れたこともない。となると自分の朝の様子を見せるのは今回が初めてになるのだが、特質上シャワーを浴びることが無く朝食も用意も後回しにしている。休んでいないこともあり見た目は昨日とあまり変わりが無く、新しく興味を向けられるものも無いだろうと1つ安堵のため息を付いては肩を落とした。それに呼応するように炎が大きく揺れ、己の身に溜まる疲れを実感する。普段なら一晩程度なら起きていられるはずなのだが、彼女との会話に逐一反応していたせいか一層エネルギーを使ったらしい。けれどその様を客人に見せるもことを己のプライドが許さず、彼女を帰してから、今日一日はランタンを外して過ごそうなんて考えていた。手袋に嵌めた指輪の反射越しに炎の明るさを確認していると、蝶番が軋む音が聞こえ、床の木目から客室へとランタンを向ける。そこから出てきた彼女の姿に呆然として一瞬身を強張らせるも、向こうから口を開かれると我に返ってソファーから身を離して、皺の残った衣服や抑えきれずに跳ねた毛先に言及したい気持ちを堪え「おはよう、お嬢さん。」と挨拶を返し。容姿を気にせずに口元を緩ませる様子に満足に眠れたと分かり安心しつつ、望んでいないような口ぶりに肩を竦めて小さく笑みを零し。)
一晩寝ないことはそう珍しく無いし、特に変化も無いよ。昨日と何ら、変わりない。
(次に言葉が続いたと思えば質問が投げかけられ、寝起きにも関わらず昨夜と同様に研究熱心で呆れてしまう。心配されることは自分の性には合わず、少し見栄を張るくらいが丁度良い。そう思うと彼女を帰す用意をしようと背を向け、玄関口へと足を運びながら答え。選ぶ言葉はどれも間違ってはおらず、頭上の炎も昨晩と同じ大きさで維持しており新たに興味を惹くものは無い。更に尋ねられることを避けて此方から話題を変えると、玄関の扉周りを見渡し、棚の上に飾っていた卓上鏡を近くへ置いて。)
さて、帰るんだろう?せめて身なりを整えてから出て行くと良い。急かすつもりは無いからね。
(/繋げられるロルを送れていて良かったです。返信は続けやすい頻度で大丈夫ですし、背後露出も特に気にならず、度々ご相談出来て寧ろ安心です。このままお話を続けましょう。
そしたらこの展開はどちらかのロルで区切りの良いときに〆ましょうか。朝のオバナちゃん、フレイと真反対の雰囲気がして可愛かったです……!次の展開については、何か描写されたいもの等あれば是非お聞きしたいです。)
(此方を視認するや否や、彼の反応が心做しか堅い気がした。ここでどうしたのかと近付こうとしても、きっとその距離は縮まりはしないだろうと無意識に動きかけた爪先に力を込め。元より活力のない瞼が寝起きのせいか更に伏せがちだったも、その瞳が彼の揺らめいてる炎をじっと観察するよう覗き込むと闇夜の中でなくとも綺麗なものだと飽きることの無いその動きに意識を奪われてる最中、返された挨拶に顎を上下に小さく動かすとやっと集中が途切れる。こちらと違い休息を取ってないだろう相手に向けた心配に彼自身問題は無いといった通り、一見して不調は確認できない。肉体の構造も知らなければ服下がどうなっているのかすら知りもしない自分からすれば、その言葉を疑うことも出来なく言われるがまま納得するよう肩を竦ませ、「信じるよ」と一言添えた。そしてまるで予防線かのようにそれ以上の追撃を許すまいと、自身の近くへ鏡を置かれ紡がれた言葉に一度彼の炎を瞳に反射させてから鏡へ移す。窓の反射も利用せず、無造作に整えた髪が整いきれておらず服も訪れたばかりとは違い皺が出来てしまっているのを鏡越しに漸く確認できると、彼がこちらを見て反応してたことを思い返して謎が解けたとばかりに再び彼の方へゆっくりと視線を擡げ。)
ふふ、これは酷い。……じゃあ服は自分でやるから、髪の方を整えてくれるかな。その方が早く終わるだろう?
(くつくつと喉奥で笑い掠れた声でそう返すも何を思ったか、少し考えるように視線を逸らして黙ること数秒。悪戯気にもう一度視線を合わすと、さも効率化を図ろうというそれらしい理由を述べて身支度を手伝わそうと小首を傾げて目を細め。妙な間でも訪れたなら、冗談だと軽く笑って己で整え出そう。)
(/お気遣いありがとうございます…お言葉に甘えて大分こちら都合な返信速度にさせて頂いております、すみません…。
わわ、ありがとうございます…!朝からフレイさんに挨拶してもらえる世界線に飛びたい。
そうですね、いい所で切って次の展開に…(と言いつつ少し困らせたくてぶっ込んでしまってすみません)。次の展開悩ましいですね…町にお出かけはハードルが高そうではありますが、外で会える機会があったらな、とふんわり思っていますが…。何かやりたい事あったりしますでしょうか…!)
何で僕に……。櫛なんて置いていないというのに…いや、少し待ってて。
(客室の前で迎えてからずっと向けられていた此方を探る視線が鏡へと移され、いつも通りに保っていた炎が安堵のため息の代わりに空気を包み揺れる。その前に一言、研究にはそぐわない言葉を返され彼女が不服な様子が伝わるも、察しの悪い振りをしランタンを傾けた。後は鏡で容姿を整えてもらい見送るだけ、自分の役目を終えた気でその場で後ろ手を組み鏡を見遣る彼女を見下ろしていたところでまた此方へ双眸を向けられ、必要性が無さそうな頼まれ事に戸惑い肩を竦めて。腕を前へと移し組み直し、そのまま頭を抱えるように片方の手をランタンへと添え、嫌では無いものの使役されることが癪で返答に悩む。それでも雑に済ませるという考えは無く、自分の集めた小物の1つを思い出すと徐ろに書斎へと足を運んだ。)
これ、前に迎えた品なんだけれど…使える者の手に渡った方が物も本望だろ。ま、夕食のお礼とでも思って貰ってくれ。
(書斎から琥珀色の小箱を片手に戻ると、玄関前でそれを開いて見せる。中には鼈甲で作られた櫛がクッションに包まれ収められていた。炎に当たると現れる艶に全体に広がる模様の濃淡、櫛先を照明に透かすと薄く光が透けて繊細な技巧が窺える品で、確かに自分が惚れて購入したものなのだが、生憎使う機会は無く仕舞われたままだった。箱の質を見るに美術品というよりも日用品に近い価値のもので、実用性を見出し相手へ贈っても問題は無いだろう。自分が直接彼女を整えることはしなかったが、手入れに気を遣う性分が彼女の無頓着さを見過ごせなかった。気を遣わせないためにも贈る口実を考え、使うことを促すよう箱を開いたまま鏡の隣へ置いておく。彼女の言う効率性なんてものは考えに無く寧ろ彼女を引き止めてしまったが、物が真価を発揮出来る場所を見つけられたことで声色は明るかった。)
(/私も日が空くときがあるので、お気になさらず。強いて言うなら長く空くときに一言頂けると嬉しいぐらいなのですが、以前伝えて下さったこともあって不安等もございませんので…!
自分もついフレイに物を贈らせてしまい…困らせられる度、彼はどう返すか考えるのが楽しいです。
外だと、日用品や骨董品のために町へ出たり、薬品作りを市街の人に頼まれた時にはそちらへ出ることもあると思います。希望とは少し違うかもしれませんが、オバナちゃんの外出時と合うものがあればそちらで進める方針でいかがでしょう…?)
(この巫山戯た要求に対し呆れたように一蹴されるだろう、そう想像していた為早々と衣服から整えようと白衣の襟元に手をかけていたも束の間、紡がれた反応は案の定かと思いきや、予想外にも部屋外へと消えていった姿を横目で追い頭上に疑問符を浮かべる。彼が部屋から出ていき数分も経たない内に戻ってくると、彼の手元には先程までなかった箱がその大きな手に収まっていた。コレクションの内の一つらしいが、本来の用途とは別として手元に置いていたのだろう。迎える、その表現が収集した数々の品達が如何に彼にとって大切なものか物語るようだとふと微笑む。だが以降の言葉は想像していなかったと、いつもの低めの声音からワントーン上がったような声が問い返すように短く上がり。)
え____ふ、あははっ。君は本当に優しいね。そうか、うん…そう言ってくれるなら有難く頂戴しようかな。
(本来なら馬鹿らしいと、そんな一言で終えられる戯れにも彼は誠実に返してくれる。押しかけられている側の立場であれば詫びの品を受け取るべきだというのに、またもおかしげに、今度は声に出して笑い声を。思わず出てしまったとばかりの笑い声は彼の前で晒したことはなかっただろうか、一呼吸置いて落ち着かせると彼からの厚意を嬉しそうにして受け取ろうと傍へ置いてもらったその櫛へ手指を伸ばす。今までこういった物への知識や関心はなかったものの、程よい厚さの櫛は朝陽の光を透かして綺麗にその色を魅せ、彼の炎の近くで照らせばより深くその模様を浮かばせ綺麗だろうかと想像が膨らんだ。自身の跳ねた毛先に櫛先を通し、鏡を見ながらある程度身支度を整えられたなら役目を終えた櫛を撫でるように触れ、箱の中へ仕舞うと借りていた鏡を相手の方へ返すよう手に持って「これもありがとう」と礼を添えてその大きな掌へと手渡し。返却が済めば琥珀色の箱を閉じ、長居をしてしまっては彼のことを記録する時間も減ってしまうかとその箱を昨日夕飯を入れて運んできた籠の中へ移して向き直り)
それでは邪魔したね。昨日は夜遅くにすまなかったよ、私にとってとても有意義な時間になった。…櫛のお礼もしたいって口実で、また会いに来てもいいかい?
(/すみません、ありがとうございます…。連絡気をつけるよういたします…!
綺麗な櫛を頂いてしまった~!押しかけたのに贈り物までくださるなんて寛大すぎるフレイさん…。
フレイさんの外出事情ありがとうございます!いえいえ、外で会える機会があればと思っての希望だったので完璧です。オバナは食料が無くなった時や魔道具用の材料を補充する際に町や森に出てくることがあるので、タイミングが合えばフレイさんを見かけるなり勝手についてまわれるかなと…フレイさんが落ち着いて見て回れなくなるのは可哀想ですが…)
(櫛の持ち主を見つけることができて満足し早速使われている所を見ようと彼女の反応を窺うも、いきなりの贈り物に驚かせてしまったのだろうか、少しの間が空いてしまった。不思議に思い首を傾げていると、沈黙を割くように相手から高笑いが起き今度は此方が虚を突かれる。ただ相応しいであろう者へと贈っただけだが褒められることは嬉しく、受け取っても貰えるようで、小さく笑みを溢しては彼女の髪を梳く櫛へと視界を移した。窓から差し込む日も相俟って暖かく穏やかな一時に、櫛と共にその画をつくるのは彼女であり、寝ずにいた疲労を忘れ人の営みについ惹かれる。目線というものを持たずともまじまじと眺め過ぎていると傾く視線に気付かれてしまいそうで適当な方向へと顔を背けて。)
…お礼ならもう受け取ったよ?それにそんなまどろっこしいことをせずとも、来たいのであれば来ればいい。僕がいるとは限らないけど。
(彼女の方から声をかけられると与えられた感謝へ短く声を返し、小箱が籠の中へと仕舞われていく所を見届ける。身なりに無頓着だが、物を杜撰に扱うことも無いとこれまでの付き合いから人の良さは見て取れ、あの櫛もきっと大事に扱ってくれることだろう。昨晩は人を泊めることに抵抗があったものの、こうして人が紡ぐものの一片を見ることが出来た。思わぬ収穫に気を良くしお礼の提案に片手を胸前で軽く振ると、“既にお返しは与えられている”と答え。建前で訪れられても態々意図を組むのが面倒で、人付き合いの丁寧さからか離されたように感じる距離を此方から詰めては万が一のときは逃げられるよう一言付け足す。言及される前に人間が使うには高い位置にあるドアノブへ手を掛け、先に扉を開けそのままくぐれる程に高い位置で抑え。最後に反省の色を示す彼女に念を押して。)
僕も、悪くはなかった…けど、次からは帰すからね。今だって気を付けて帰るんだよ。
(/着いてきてくれる姿、身長差が堪らないです…!
オバナちゃんの買った物を見て彼女の研究分野や彼女自身に興味を持つきっかけになると良いなと思ったのですが、お互い街へ買い物に出たところに出くわすのはどうでしょうか?フレイは薬品の材料を買った帰り、あわよくば骨董屋に寄ろうとしていたところだと着いて来るオバナちゃんに困って丁度良いと考えております!)
(/中の人からのみのお返事で申し訳ありません…レスが遅くなるという連絡になります、連絡が遅れてしまいすみません…!20日中までにお返事できるかと思うので、もう暫くお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません…。
併せての返信で申し訳ないのですが、次展開のご提案ありがとうございます…!鉢合わせからのついてまわられて困っちゃうフレイさんが可愛すぎるので是非其方でお願いしたいです!次レスでオバナはお暇するはずなので、数日後に外でばったりと言う展開まで飛ばしてしまおうかと思います。もしこちら問題ありましたらご指摘をお願いいたします…!
では最初の方に記載した通りこちらの都合で申し訳ありませんが、レスの方はもう暫くお待ちください…!)
(使い方を知らない訳でなくとも、使う機会のない彼らからすれば本来の用途通りに使用している姿を目の前で見るのはやはり物珍しく感じるのだろうか。自分たちにとっては至って普通の日常的行為のそれを興味深そうに見られると不思議なものだと、どことなく感じる視線のような気配に心做しかいつもより丁寧に髪を梳いた気がした。だがそれも気のせいだったか、終えた時には彼の頭はこちら側とは別に向いてるのを見るだろう。反射するその炎がどこを見ていたのか、そして自分は自意識過剰だったかと独りでに若干の気恥しさを感じていたも刹那、此方からの問いに対して返ってきた答えは予想していたものとは違って穏やかなもので。少しは叱られでもするだろうか、など悪賢い子どものような思考で構えていたために意外な返答だ、と嬉しそうに喉を震わせ。)
ふふ、わかった。君の良心をこれ以上利用はしないよ。…それじゃ、君も戸締りに気をつけて。
(自分が扉を叩いた時、返事をしなければそこで追い返しもできただろうに。それでも扉の奥から返事をしてくれたのは何故かというのは、親切で温かな彼に聞くのは意地が悪い質問だろう。早く帰るようにと扉を抑えるも、忠告の最後に心配を添えてくれる見送りの言葉におかしそうに眉を下げてこちらからもお返しの言葉を送る。行きとは違った重さの籠を手元に、温かな陽光の下を鼻歌でもか細く零してしまいそうな程浮ついた気分で帰路に着いた。)
_________
(彼の家で世話になってから数日。泊まった際に記録していたメモを基に読みやすくなるよう本程の大きさがある紙束に書きまとめ、着想を得た魔道具の発案や魔術への応用の可能性を別紙へ記す。発案したものの実現が可能かどうかの検証をするにも材料は有限。恐れず回数をこなして検証をしては材料にも限度があるため首を絞めてしまう。なるべく少ない検証数で抑えるためにもどうすれば実現可能に近付けるかを長考し、書き直す時間に比例して紙の数が増えていく。日が昇っては沈むを数回見送り体力が限界を迎え、気絶するように眠った時には床や机上が書き尽くされた紙で埋まっていた。次に意識が戻った時、視界に広がる紙の世界に気付いたならまたかと言いたげに浅く溜息を零し、現実逃避をするように浴室へ眠気眼のままのそりのそりと逃げ込む。暫くしてまた再会する室内は当然景色が変わっている訳もなく肩を落とした。今はこの部屋に入る気が起こらないと、乾かした髪に鼈甲の櫛先を梳かせながらぼんやりと考えを巡らすも片してからでなければ検証に移ることも難しい事実に行き着き眉を顰め。材料の補充をしてから考えようと身を翻せば、見たくない現実を背に身支度を始め出した。)
____…案外不足物が多い…、……ん?
(小さな町でも昼下がりは賑わい、普段なら家の中から程よく聞こえる心地良い人々の声を聞いていたが今は周囲から直に聞こえる。前に買い出しに出たのはいつだったかと考えを巡らせるとついでに浮かぶのはあれもこれもと足りてなかった材料のこと。今手に持っている空の籠に、足りていない材料とすっかりなくなった食料の補充も計算すれば自分の体力で家まで持って帰れる気がしないと顎元に手を添えて思案し、台車でも持ってくればよかったかと考えてる最中。視界端に捉えるには収まりきらないような大きなシルエットに気付きはたと意識を向ける。見慣れたような、だがこの町で見かける機会はあまりなかったと見知ったその姿に考え事は一度片隅へ置き、躊躇なく歩み寄ると横へ着き、覗き込むようにして声をかけた)
先日は世話になったね、フレイ。こんにちは。買い物にきたのかい?
(/お待たせしました!どこかお店を覗いてるところでも、向かってる最中に出くわしたでも大丈夫なように描写してみましたが、もしやりにくかったりしましたらご指摘いただければ修正しますので遠慮なく仰ってください。
長らくお待たせしてしまい申し訳ありません…!引き続き、よろしくお願いいたします!)
(彼女を見送ると屋敷の中はしんと静かになり、見慣れた風景に戻るのはいとも容易く早かった。ランタンを外しゆっくりと過ごして1日を終えると、次の日には体調は万全な状態に。丁度、森近くの町の更に隣にある地区から薬剤作りの依頼が来ていたことを思い出し、食卓で炎へ朝食を放ると屋敷の2階の作業場へ歩みを進めた。そこへ置いていた手紙を見れば園芸に使う薬が欲しいのだそうで、作物を守る獣除けそれも魔獣にも効くものが欲しいらしい。後ろに並ぶ棚を眺めては使えそうな素材を思い浮かべ、小さな引き出しからそれぞれ取り出し机へ並べ次第に意識は仕事へと澄まされていった。__庭でもあるのだろうか、一人からの依頼にしては頼まれた薬剤の量は多く、数日経って作り終える頃には空になった引き出しが幾つか見受けられた。空白が気になり、次の日には南瓜の被り物へと頭部を変えて買い物へ。町を抜けて市街地へ出れば怪訝そうな目も増えるも、もう慣れたもの。そう思っていたのだが、見慣れた町へ戻ると一息、自然とため息が漏れてしまった。)
………………やぁ、オバナ。こんなところで会うとは奇遇だ。
(薬草や調合に使う素材をまとめた紙袋を片手に抱えながら、そういえば前に骨董屋を赴いたのは何時だったか、ふと思い出した記憶に道の中程で足を止めた。最近は小物を買うことが多く、通りにある店へは顔を出していなかったはず。大きいものを扱うからか物の入れ替わりも落ち着いており、こうして気まぐれに思い出した際に寄るくらいが丁度良いのだろう。行く先を屋敷から変えようと外へ意識を向けたところで前方から向かってくる見慣れた背丈の人影に気付き、調子が狂わされてか被り物の中で炎が大きく揺れた。何か行動を取ろうとする前に素早く傍へ寄られてしまい、見覚えのある声色に口調に空いた手で被り物を抱える。けれど無視が出来る程の冷酷さは持ち合わせておらず、面倒だと分かっているせいで少し迷った後に南瓜から手を離し彼女へ軽く振ってみせ。尋ねられれば答え、態々横に並ぶ理由が分からず彼女へ体を向き直し。相手の空の籠を見やるに自分とは逆の状態なのだろう、早々に会話を切り上げ別れてしまおうと適当に言い切ると骨董屋へと踏み出した。)
あぁ、仕事で使うものを幾つか…いいや、此処へは買い物というより寄り道に。君はこれから向かうところかな?良いものが買えると良いね。
(/新しい場面の出だし、ありがとうございます!お店に向かう最中という風にさせていただきました。
自分も返信は遅い方かと思うので、也もゆっくりお互いの無理のないように進めて行ければと思います。こちらこそ、よろしくお願いします…!!/返信不要)
おや、私の顔を忘れてしまったのかと思った。
(掛けた挨拶に対し何か思い悩むかのようにして長い合間を要した後、漸く聞こえた返事にくつくつと喉を震わせ。自分を見てこの様子なら相手が何を思ってるかなど決まってるだろうに、思ってもない冗談で返すのは些か意地が悪いだろうかとおかしげに眉をやや顰めて口元が薄く弧を描いて。下から覗いた相手の頭部は、以前話していた魔除けに使われるような南瓜の怪人でも模したような彫り方がされており、表情が変わることなど当然なくともある程度何を考えてるかの想像がつくのがまた面白い。比較的自分達に馴染みのあるその頭部でも人間の成人男性よりは頭ひとつもふたつも高い位置にあるその頭が、参った、と言いたげに困惑する姿がどこか愛らしく見え。そんな事を素直に告げてはただでさえ詰まることのない距離が更に開いていってしまうことだろうと言葉を飲み込み、律儀に応対する彼の人の良さに微塵でも配慮をするのであれば紡がれた言葉の意図を汲み取ってやるべきだろうが、離れるつもりは毛頭ないと口に出していなくとも分かるほど躊躇なく彼が足を一歩踏み出しのならその後ろにさも当然かのようにして足先を向け。)
そう、私も買い物…なのだけれど、それより気になることができてしまった。君がどんな物に関心があるのか、普段どのような過ごし方をしているのか、とても興味深い。荷物が少ない今のうちなら体力のない私でも負担は無いだろうし、同行してもいいだろうか?
(清々しい微笑で図々しくも今しがた用事の優先順位が変わったと彼からすれば一層頭を抱えるだろう悩みの種を無慈悲に植え。気にせず買い物をしてくれ、そうと言わんばかりの位置からついてこようとし、控えめな問いかけに反して意思は固いと感じさせるその微笑は彼にどう映るのか。先日邪魔した時よりも彼の素顔が分かりにくいその南瓜頭の中のゆらめきを間近に観察したいが避けられてしまっては機会を逃してしまう。距離は今のままに、彼からの反応を伺うように下から少し見上げる程度に視線を注いで。)
それなら買い物に向かうべきじゃないかな?僕の用事に付き合った後ではきっと疲れてしまう。何せ、此処から暫くは歩くだろうからね。
(人外種である自分にこうも積極的に詰め寄る人間なんて、思い当たるのは1人しかいない。けれど言葉1つ1つに噛み付いていたらきりが無く、軽く振った手を降ろし終えるとお互いの用事へと歩みを進めた。挨拶とはそれくらいほんの一瞬に交わすものなはず。だと言うのに、自身が踏み出した1歩に合わせて後ろから重い革の靴音が聞こえてきた。音の主は誰なのかなんて容易に予想でき、間もなく声が聞こえてきて答え合わせになる。幾度も聞いたことのある声にため息を漏らすと、後ろを振り返ることなく首を傾げて心配する素振りをして。体力が無いと自覚しつつも好奇心に身を振り回すなんて呆れつつ、あくまで建前、距離があるという程でもない道のりでも断る理由を作るには丁度良かった。)
まぁ、それでもいいと言うのであれば好きにすると良い。……ゆっくり歩いてやろうか?
(自身の背中に注がれる視線へは市街地で浴びせられたものとは違い不思議と平然としていられた。それに此方から忠告はしたものの、これまで一度湧いた彼女の興味を抑えられた覚えは無い。歩きながら思考を巡らせては炎がそれに応えるように左右へ揺れ、ゆっくり中央へ真っ直ぐ伸びる火柱に戻れば後ろへ振り返って。見ればやはり後ろにいたのは彼女で、となると追い払うなんてことも難しいだろう。足を止め、肩を竦めては諦観交じりに選択を相手に委ねることにした。それに骨董屋やそこにある品々を人に見せることに少しの嬉しさもあった。櫛を贈った際に実際に人が使う様子を見ることができ、その画は今も記憶に強く残っている。人が創る物が好きなことは自覚しており、それを使う生活の一部から暖かさが感じられ魅入られるのも納得がいく。彼女が自分ではなく並べられる商品にも目を向けてくれたらなんて期待を抱き、歩幅の差から空いた距離に気付くと片手を南瓜の口元にやりながら尋ねて。)
トピック検索 |