囚人 2024-09-28 10:21:09 |
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(首を這った蛇の腹のように冷たい指が僅かに跳ねたかと思うと、彼は勢いのまま手を離した。どんな心境の変化か読み取れず驚いていると、頭の上から笑い声が降ってくる。常に貼り付けた薄ら笑いではなく、腹の底からおかしいというような笑い声。彼はこんなふうに笑うんだなと思った。知れてよかったとも思う。初対面の収穫としては上々だった。)
はい。最期の日まで前進しましょう、明日が今日より楽しくなるように。
(そうか、彼は自分が楽しむことを目的に人を試してきたのかと合点がいった。ならばお望み通りに従事しようと笑って返事をする。思い出したように左手首を見ると、巻かれた腕時計の針を確認し残念そうに眉を下げた。)
そろそろ戻らなくては……今日はこの辺で失礼します。また明日、百済さん。
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