三丁目のミケネコさん 2024-09-23 19:08:00 |
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(廃教会までそう遠くなく走ればものの数分で到着する。以前1度だけ訪れた当時は人外の痕跡も気掛かりな点も無かった為すぐに去ってしまったが、再び訪れた今、外観からも多少の異質さを感じ、休日も緊急時に備えて携帯していた拳銃を腰から抜く。そして扉の前で呼吸を整えながら、扉に体を寄せてそば耳を立てて冷静に状況把握。恐らく扉からは離れた所で、内容は定かではないが女2人が会話している。こんな廃協会に一般女性が井戸端会議をしに来るとは考えにくく、やはりあのシスターの拠点で何かあるのではと勘繰る。気を引き締めるように眼鏡を掛け直せば、最悪の事態も想定して片方の手で扉を押し開けて、拳銃を構えると同時に"人外退治人のジャック・ジョンソンだ。ここで何をしている。"と薄暗い教会内の存在に声を掛けて)
…あら、その声は…JJじゃない。
(彼女らの足元のカーペットから、大人しく突き出していた骸骨の腕が俄にざわめいたかと思えば─"…何か居るようだぞ、どうする…ヴェスカ"と、白髪の女性が入口の方へと目を遣った。彼女がそちらを向く間もないままに扉が引き開けられ、聞き覚えのある声─数日前に出会った退治人の声が聞こえてくる。"…私が『対処』するか?"と声色だけは穏やかに尋ねる白髪の女性には首を横に振ってみせ、祭壇から足を一歩踏み出した。本来ならばカーペットが音を吸収するはず、なのだが─彼女のハイヒールの音はやけに廃教会の中に響く。主の歩みを助けるように、廃教会の天井から吊るされたシャンデリアが光を放つ─彼女はその光を浴びながら歩を進め、貴方の前へと立って声を掛け)
…Ca va(ご機嫌よう)?何のご用かしら、退治人さん。
(情報と予想通りに祭壇には彼女と会話の相手の女の姿があったが、それを囲う骸骨の腕は予想外だった。拳銃一丁で相手等からしたらほぼ丸腰とも変わらない状態出来たのは不味かったかと後悔するが、乗り込んでしまった以上もう後には引けない。白髪の女を制して一歩ずつヒールの音を響かせてシスターが目の前に立ちはだかる。"街でシスター様の噂を聞いてな。何となく追いかけてみたら…そっちこそ人外のお友達と何してるんだ?"警戒心を隠すことなく目前の彼女の胸骨へ銃口を向け、祭壇で此方の様子を伺う白髪の女にちらと視線を向けては質問に質問で返し。)
何って…ただお話してただけよ?…ねえ?
(貴方に銃口を突き付けられても一切怯むことはなく─普段通りの飄々とした態度のまま、にこりと微笑んでみせる。話を振られた白髪の女性は心做しか、左足を引きずるようなゆったりとした所作で彼女の方へと歩み寄ってきたかと思えば─片方の唇だけを吊り上げる、歪な笑みを浮かべながら頷いて"…ああ、そうとも"と彼女の言葉に同意を示した。その間も女性の足元で揺らぐ骸骨の腕の指先は貴方を捉え、野生動物が人間を威嚇するように、掌を閉じたり開いたり─といった動作を怠慢に繰り返す。白髪の女性は"…私は死を悼み、弔う者。人殺しはしない"と独り言のように零して)
本当にただのお話しならいいんだけど、職業柄、人外達の言う事は信用できないんだ。
(退治人という立場上でと言うが、私怨によるものがほとんどで場合によってはすぐにでも引き金を引く覚悟はできている。ただ前回は何故人間を助けたのか、それだけは知りたかった。奥から白髪の女がゾロゾロと骸骨を引き連れて近付く姿は、人外は見慣れているがそれでも不気味で、骸骨の指先が触れ動く様子には嫌悪感で表情が曇る。そして白髪の女の呟きに"人外からその言葉が出てくるとは意外だ…。それならコレもどうにかして欲しいけどな。"と突き出る前腕を振り払おうと片脚を軽く上げて。)
本当よ。…秘密のお話なら、わざわざ自分の気配を残したりしないわ。
(白髪の女性は貴方を一瞥し、緩やかに手を挙げる─まるで、それが合図だったかのように─骸骨の腕は闇の中へと消えた。白髪の女性は陰鬱な表情を浮かべた後に"…私はビフロンス、死を見届ける者"とまた独り言のように呟き、祭壇の方へと足を引きずりながら戻っていく。彼女はその様子を見届けた後、徐ろに貴方の持つ銃を検分し始めた─45口径、シングル・アクション。成程、一般的な"人外"ならばこの銃で事足りるだろう─一人で納得してはうんうんと頷き、貴方に向かって微笑んでみせる。"貴方…仕事熱心なのね。…そういう人は好きよ?"と茶化すような声を上げて)
確かに、外にも気配はダダ漏れだったな。気配を消すのが下手な人外なのかと思った。
(彼女の正論に大人気なく嫌味ったらしく返す。一般的な人外なら自分のような退治人を恐れて常に気配を消すよう務めるが、そうしないのは人間など相手にもならないという意味もあるのだろうと。ビフロンスと名乗る女の合図で骸骨達は跡形もなく消えていく様子を傍目に観察しながら"ここに死人は居ない。さっさと失せるか、退治されてくれないか。"とあくまで彼女も退治対象である発言をして。そして赤髪の彼女は何を頷いているのか、微笑み茶化す相手に"仕事熱心なのは師匠の教えのおかげだ。…何故この前人外のアンタが俺を助けたのか、何が目的で人間紛いの事をしているのか教えてくれたなら、好きになれるかもしれないな。"と人外に対する冷たい視線はぶれずに。)
何故って…ねえ?そんなの、決まってるじゃない。
(彼女は貴方の言葉が意外だ、とでも言いたげに目を見開いては─ぱちり、と一度だけ瞬きをする。花が開くような微笑みを浮かべ、銃口など目に入らないかのように、貴方に向けて一歩踏み出した後─ずい、と顔を寄せて"貴方が可愛かったからよ"と悪戯っぽく囁いた。その言葉を聞き、祭壇に腰掛けて退屈そうにしていたビフロンスは乾いた笑い声を上げ、"…その享楽主義は相変わらずだな、ヴェスカ"と、青いアイシャドウが薄く乗せられた目を少しばかり細める。彼女はビフロンスの言葉に軽く頷き、再び貴方に向き直ると"それに…あんな礼儀知らずと私たちを、"人外"なんて一括りにされるのは嫌いなの。だから…あの時、私は貴方に協力したのよ"と、彼女にしては珍しく嫌悪に表情を歪めながら答えて)
はっはっ…はぁ…確かに笑えるな。
(彼女が大胆不敵にも笑顔で踏み出すので、何をし出すのかと身構えていれば、予想の斜め上の回答に面を食らう。悪戯に笑うヴェスカと後ろの方でも笑い声が上がる。人外のジョークは理解が出来ないと呆れていたが、途中で溜息も混じりつつ便乗したかのように棒読みの台詞を吐く。それから此方へと向き直った彼女の表情はやけに暗く、その言葉には何か強い思いが込められているように感じた。それで信用出来るわけではないが、人間味のある発言には共感ができ "人外なのに人外と一括りにされるのは嫌いって、中々面倒なこと言うな。まあ、その気持ちは分からなくもないけどよ。"と返し。そして少し思考した後、今までの行動から彼女等は自分が知っている人外とは本当に違うのかもしれない。 "…今、礼儀知らずなのは俺だったかもしれないな。" と突き付けていた銃をゆっくりと離し。)
Merci,J・J。
(胸元から離れた銃口と貴方を一瞥し、感謝の言葉を口にした後─"いいわよ、貴方は可愛いから許してあげる"と柔らかく微笑みつつ、シスター服の裾を摘んで優雅に一礼する。早々に貴方と彼女の会話に興味を無くしたらしいビフロンスは、いつの間にやら出現していた大鎌をゆったりと磨いていたが─話が終わったのを目に留めたらしく、くるりと振り向いて"…話は終わりか?"と退屈さを隠そうともしない声色で問い掛けた。彼女はビフロンスの方を振り返り、"ええ。墓場の管理に戻って大丈夫よ"と声を掛ける。ビフロンスはその言葉に頷いたかと思えば─再び出現した骸骨の腕に身体を預け、闇の中へと引きずり込まれるようにして消え)
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