三丁目のミケネコさん 2024-09-23 19:08:00 |
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(かしこまりました。ありがとうございます。では出会いで退治人がピンチに陥るところから始めたいと思います。絡みにくければ変えますので遠慮なく仰ってください…!よろしくお願いします。)
(高く昇る満月の日。今日も人外退治の仕事を請けてとある教会に来ていた。天窓のステンドグラスからは月明かりが差し込み、スポットライトのように祭壇を際立たせる。一歩踏み出す毎に埃が舞い、ギシと床が軋む音が鳴るように、この協会は今は廃墟となり魔物の巣になっていた。今回退治の対象はほんの小物の吸血獣で、比較的に危険度も低い依頼ではあったが、慎重に境界内の探索をしていると奥の影に血溜まりに倒れる人を見つけ急いで駆け寄る。首筋に指を当てるの若干の温もりはあるが脈は感じられず、"くそっ…遅かったか…。"と吐き捨て悔しさに歯軋りしていると、突如脳天に強い衝撃を受け、驚く暇も無く血と埃に塗れた床に倒れ込んでいた。依頼主から聞いた魔物よりも魔力は強く賢い知性があるようで、人間を囮に使い待ち伏せて、助けに来る人間を狩っていたようだった。ぐらつく頭とボヤける視界の中でも拳銃を構えようとするが、上手く体は動かずに敵を前にしてもたつく。血生臭さを漂わせた魔物は、脳震盪で抵抗の出来ない自分の喉元に手を掛け今にも喰らい付こうとしていて。)
(こちらこそ、よろしくお願い致します。)
Ave Maria,toi qui fus mere sur cette terre…
(鈴を転がすような声が、気紛れにアヴェ・マリアを口遊み─蝶番の軋む耳障りな音を立て、両開きの扉が開かれた。赤いカーペットの上、黒いハイヒールの脚が貴方の視界に入る。貴方を狩ろうとしていた人外は、新たな獲物の来訪に顔を上げるが─その顔を見た途端、動きがぴたりと止まった。足を踏み出す度に揺れる赤髪、血腥い光景を映すにはあまりに澄み渡った蒼の瞳。一見すれば彼女は、ただの美しいシスターだった。足を止めた彼女は貴方と人外を交互に見つめた後、特に驚くでもなく─ひらりと片手を上げ、"Ca Va(ご機嫌よう)?"と声を掛ける。その声が合図だったかのように、人外は貴方への興味を失い─貴方よりも貧弱だと思われるシスターの方へと向かっていった。彼女の美しい瞳が退屈そうに細まり、"礼儀も知らないのね?…私、礼儀知らずは嫌いなの"と零すのとほぼ同時。何処からか、夜に溶ける漆黒の大鎌が彼女の手へと具現化する。"シスターらしく、裁いてあげる。…Au nom de Dieu(神の御名の元に)."大袈裟な口上と共に振り下ろされた鎌は、正に断頭台の刃かのように人外の首を切断した。彼女は噴き出す血で、自身のシスター服が赤黒く染まるのにも関心を払う様子は無く─頬に手を添えて微笑んでいる。彼女は暫しの間そうした後、貴方に視線を落として"貴方、大丈夫?"と声を掛けながら手を差し伸べ)
(歌声と共に開かれた扉の前に現れたのは何とも魅惑的な黒いハイヒール。曇る視界の中、目を凝らして視線を上げると、それはか細く美しいシスターだった。一体何故こんな所に─と考える内に彼女の声に反応した人外はより良い獲物を見つけたと一目散に向かっていくので"だめだ、逃げろ…!"と彼女に手を伸ばす。まず立ち上がらなければと床に手を着いたが、その間も彼女は動揺の一つも見せず、凛とした気高いシスターといった様子。しかし突然に華奢な身体に似合わない漆黒の大鎌が現れ、人外の首元へと正確に振り下ろされる様は処刑人のようで、その様子には声も出なかった。彼女はただの美しいシスターでもなければ、同業者でも聞いた事がなく、無から大鎌を出現させる不可思議な技を見るに只者ではない。彼女の正体を思案しているとふと手を差し伸べられるが、一連の光景に警戒せざるを得ず、"大丈夫だ"と彼女の手を制し、打撃を受けた後頭部辺りを抑えながら己の力で立ち上がり。それから彼女を見ると頭一つ以上の身長差があり、更に手袋からも分かる小枝のように細い指と小さな掌であの大鎌を振り下ろすのはとても無理がある。蒼く透き通った大きな瞳を覗き、率直に疑問をぶつけてみて。)
助かったが、ただのシスターじゃなさそうだな…。何者だ?
(良かれと差し出した手は拒絶される。だが、さして気にした様子も無く"あら、そう"とその手をあっさり引っ込めた後、今しがたまで左手に握っていた大鎌は─彼女の腕の一振りで、一切の跡形も残さずに闇へと溶けた。そのまま、目前の貴方へ視線を投げる─彼女よりも幾分か大きい上背に筋肉質な体躯、淡い色合いをした瞳を覆い隠す眼鏡。一頻り外見の観察を終えた後は瞳をゆったりと伏せ、思考を覗きやすいように彼女自身の脳の周波数をチューニングする。─カチ、カチ、カチン。周波数のチューニングを整え、ゆったりと瞳を開いた。貴方から投げ掛けられた"お前は何者か"との問いには─"decapitationian,ou…executionian.(断罪人、あるいは…処刑人)"流暢なフランス語で言葉少なに告げ、軽くウインクをしつつ胸に手を当てて"お見知り置きを"と優雅に一礼。頬や髪、そしてシスター服を満遍なく汚した赤黒い血液を今更気にしたような素振りを見せながら─ある種の可愛らしささえ伺える仕草で貴方に問いながら首を傾げてみせ)
私はヴェスカ。貴方は?
(たった一振りで大鎌は消えてなり、その見事な芸当に驚き眉が上がる。そして此方が彼女を観察していたように、彼女も此方を舐める様に見定められ。何か意味ありげに目を瞑る彼女は顔のパーツの一つ一つが綺麗に造形され整列している。この美しさに魅了され、魂を捧げることも辞さないような人間も出てくるだろう。瞳が開かれるとフランス人形かの様な優雅な立ち振る舞いに、自分が知る数少ないフランス語の1つで"…Oui."と返事をする。ニュアンス的には恐らく処刑人とかだろう。ここまでの彼女を纏めると『血に濡れたシスター服を着るフランス人形は魔法の大鎌を持つ処刑人』という事になる。兎に角、雰囲気からして人間離れした彼女に警戒しておくに越した事はないと、愛らしい仕草に揺らぐ事なく、腰に携えた対人外用拳銃に手を掛けながら答えて。)
シスター・ヴェスカ、ね…。俺はジャック・ジョンソン。さっきはみっともない所を見せたが、退治人だ。
ジャック・ジョンソン…ふふ、J・Jね。宜しくお願いするわね、可愛い退治人さん。
(自身に比べると辿々しいフランス語で紡がれる了承を慈しむように目を細め、再び恭しく一礼を。貴方の名前を聞いた後は─何処となく、悪戯っぽさを帯びたような表情でふわりと微笑む。貴方と挨拶を交わすその足元で、首を切り落とされた人外の遺体が徐々に朽ちてゆく。彼女はそれに冷たい一瞥をくれただけで貴方を見つめ、"…ねえ。これ、もしかして貴方の獲物だったのかしら?ごめんなさいね。"と、ほんの少しだけ─眉を下げて瞳を伏せ、しおらしい様子で謝罪をしてみせた。貴方が腰のホルスターに提げた拳銃に手を掛けているのは理解したまま、"それじゃあ、私はこれで失礼するわ。また会いましょう?"と別れの挨拶を口にした後─先程よりも流暢に"Nous nous reverrons dans la soiree ?"と、聞き取れぬフランス語だけを残して─今回ばかりは大人しく、大きく開け放たれたままだった両開きの扉から教会を立ち去る。─バタン、と音を立てて扉が閉まるのとほぼ同時。シスター服と同じ色をした漆黒の羽根が夜に舞い、彼女は瞬く間に闇夜へと消えていった。消える寸前、今しがた後にしてきた教会の方を見つめて─"…可愛い子。"と一言だけ呟き)
(全ての所作がふわりとしなやかで可愛らしく、大鎌に血塗れというアンバランスさもあざとさに昇華させている辺り、魔性の女と言えよう。『よろしく可愛い退治人』と告げられると、この状況でなければと邪な考えが過ろうとするので、切り替えようと片手でフレームの両端を支えて眼鏡を掛け直し"ああ。魔性のシスター様。"と。獲物については退治出来れば、誰が仕留めようと構わないし、その様な表情では許さざるを得ない。それに自身の面目を気にするタチではないので"いいや。構わないさ。"と軽く肩をすくめる。"それより…"と彼女の話を聞こうとしたがタイムリミットは来てしまったようで、別れの言葉と流れるようなフランス語で何かを告げられる。今度こそその意味は理解出来ず何故わざわざフランス語なのかと怪訝な表情を浮かべ。そして颯爽と立ち去る彼女を慌てて追うが、タイミングよく目前で扉が閉まってしまった。そして次に扉を開けて外に出た時にはシスターの姿は何処にも見当たらなかった。彼女が教会に入った瞬間から全て良くも悪くも彼女主導。何者で、何の目的で教会を訪れたのか。彼女が人外である事は濃厚で、ただそうだとして何故自分を助けたのか…。疑問ばかりが残ったが、再会の時はそう遠くなさそうだとそんな予感がした。"…また会う時まで。"と一呼吸置いてから再び薄暗い教会内へと戻り後処理を進める。)
(退治人との奇妙な出会いから数日後─彼女は食べもしない食料品が入った紙袋を身体の前面に抱え、街中をのんびりと歩いていた。彼女の横を通り過ぎる人間からの好奇、あるいは好意の目線も無視したまま─今のところの根城にしている廃教会へと戻る。両開きの扉を行儀悪く爪先で押し開き、紙袋を祭壇にどさりと置いた後─カーペットを爪先でこつこつ、と蹴った。すると─カーペットから突如として骸骨の腕が数本発生したかと思えば、片目を眼帯で隠した陰鬱な雰囲気を纏う白髪の女性が闇から出現する。彼女はそれに驚くでもなく、ひらりと手を振りながら─"ご機嫌よう、ミス・ビフロンス?"と挨拶を交わした。ビフロンス─と呼ばれた女性は気怠げに微笑み、"…貴殿も元気そうだな、ヴェスカ。"と手を振る。どちらも不思議な魅力を湛えているからか、一見すればそれは─一枚の絵画かのような光景で)
(連日、人外退治の仕事をこなしたので、今日1日は仕事から離れることに。街中でも一際賑わうマーケットへ訪れれば顔見知りの店主に声を掛けられ立ち寄る。調子はどうかと当たり障りない会話をしていたが、不意に"そういえばさっき、ここらじゃ見かけない取り分け別嬪な修道女が来たもんだから、色々とオマケしちまったよ。"と言う。もしやと思い"このぐらいの背で赤髪に青い瞳?"と特徴を聞けば、まさにその通りだと店主は頷いた。彼女に会ったからと言って何になる訳でもないが、再開のチャンスかもしれないと"どっちに向かった?"と店主へ再び尋ねる。そして方角を指差されれば、軽く感謝を口にして足早にその方角は歩き出し、確か廃墟があったはずだと記憶を辿りにマーケットから其方へ向かう。)
(彼女は白髪の女性と暫し談笑した後、ふと何かを思い立ったかのように─頬に手を添え、何処か悪戯っぽく微笑んでみせた。"…やっぱりね、人を救う"聖女様"なんて、私には向いてないと思うのよ。…貴女もそう思わなくって、ビフロンス?"と問い掛けられた白髪の女性─ビフロンスは片方の唇だけを歪め、乾いた笑い声を上げながら"…そうは思わんがな。…私のような、しがない墓守(チャーチグリム)よりも…貴殿のように華やかな魅力を湛えた女の方が向いている"と、首をゆったりと横に振る。彼女の求めていた答えであったのか─彼女は女性の答えに満足気に頷いてみせ、口元に手を当てて優雅に微笑んだ。─近付く貴方の気配を感じているのかいないのか、二人は相変わらず談笑を続けており)
(廃教会までそう遠くなく走ればものの数分で到着する。以前1度だけ訪れた当時は人外の痕跡も気掛かりな点も無かった為すぐに去ってしまったが、再び訪れた今、外観からも多少の異質さを感じ、休日も緊急時に備えて携帯していた拳銃を腰から抜く。そして扉の前で呼吸を整えながら、扉に体を寄せてそば耳を立てて冷静に状況把握。恐らく扉からは離れた所で、内容は定かではないが女2人が会話している。こんな廃協会に一般女性が井戸端会議をしに来るとは考えにくく、やはりあのシスターの拠点で何かあるのではと勘繰る。気を引き締めるように眼鏡を掛け直せば、最悪の事態も想定して片方の手で扉を押し開けて、拳銃を構えると同時に"人外退治人のジャック・ジョンソンだ。ここで何をしている。"と薄暗い教会内の存在に声を掛けて)
…あら、その声は…JJじゃない。
(彼女らの足元のカーペットから、大人しく突き出していた骸骨の腕が俄にざわめいたかと思えば─"…何か居るようだぞ、どうする…ヴェスカ"と、白髪の女性が入口の方へと目を遣った。彼女がそちらを向く間もないままに扉が引き開けられ、聞き覚えのある声─数日前に出会った退治人の声が聞こえてくる。"…私が『対処』するか?"と声色だけは穏やかに尋ねる白髪の女性には首を横に振ってみせ、祭壇から足を一歩踏み出した。本来ならばカーペットが音を吸収するはず、なのだが─彼女のハイヒールの音はやけに廃教会の中に響く。主の歩みを助けるように、廃教会の天井から吊るされたシャンデリアが光を放つ─彼女はその光を浴びながら歩を進め、貴方の前へと立って声を掛け)
…Ca va(ご機嫌よう)?何のご用かしら、退治人さん。
(情報と予想通りに祭壇には彼女と会話の相手の女の姿があったが、それを囲う骸骨の腕は予想外だった。拳銃一丁で相手等からしたらほぼ丸腰とも変わらない状態出来たのは不味かったかと後悔するが、乗り込んでしまった以上もう後には引けない。白髪の女を制して一歩ずつヒールの音を響かせてシスターが目の前に立ちはだかる。"街でシスター様の噂を聞いてな。何となく追いかけてみたら…そっちこそ人外のお友達と何してるんだ?"警戒心を隠すことなく目前の彼女の胸骨へ銃口を向け、祭壇で此方の様子を伺う白髪の女にちらと視線を向けては質問に質問で返し。)
何って…ただお話してただけよ?…ねえ?
(貴方に銃口を突き付けられても一切怯むことはなく─普段通りの飄々とした態度のまま、にこりと微笑んでみせる。話を振られた白髪の女性は心做しか、左足を引きずるようなゆったりとした所作で彼女の方へと歩み寄ってきたかと思えば─片方の唇だけを吊り上げる、歪な笑みを浮かべながら頷いて"…ああ、そうとも"と彼女の言葉に同意を示した。その間も女性の足元で揺らぐ骸骨の腕の指先は貴方を捉え、野生動物が人間を威嚇するように、掌を閉じたり開いたり─といった動作を怠慢に繰り返す。白髪の女性は"…私は死を悼み、弔う者。人殺しはしない"と独り言のように零して)
本当にただのお話しならいいんだけど、職業柄、人外達の言う事は信用できないんだ。
(退治人という立場上でと言うが、私怨によるものがほとんどで場合によってはすぐにでも引き金を引く覚悟はできている。ただ前回は何故人間を助けたのか、それだけは知りたかった。奥から白髪の女がゾロゾロと骸骨を引き連れて近付く姿は、人外は見慣れているがそれでも不気味で、骸骨の指先が触れ動く様子には嫌悪感で表情が曇る。そして白髪の女の呟きに"人外からその言葉が出てくるとは意外だ…。それならコレもどうにかして欲しいけどな。"と突き出る前腕を振り払おうと片脚を軽く上げて。)
本当よ。…秘密のお話なら、わざわざ自分の気配を残したりしないわ。
(白髪の女性は貴方を一瞥し、緩やかに手を挙げる─まるで、それが合図だったかのように─骸骨の腕は闇の中へと消えた。白髪の女性は陰鬱な表情を浮かべた後に"…私はビフロンス、死を見届ける者"とまた独り言のように呟き、祭壇の方へと足を引きずりながら戻っていく。彼女はその様子を見届けた後、徐ろに貴方の持つ銃を検分し始めた─45口径、シングル・アクション。成程、一般的な"人外"ならばこの銃で事足りるだろう─一人で納得してはうんうんと頷き、貴方に向かって微笑んでみせる。"貴方…仕事熱心なのね。…そういう人は好きよ?"と茶化すような声を上げて)
確かに、外にも気配はダダ漏れだったな。気配を消すのが下手な人外なのかと思った。
(彼女の正論に大人気なく嫌味ったらしく返す。一般的な人外なら自分のような退治人を恐れて常に気配を消すよう務めるが、そうしないのは人間など相手にもならないという意味もあるのだろうと。ビフロンスと名乗る女の合図で骸骨達は跡形もなく消えていく様子を傍目に観察しながら"ここに死人は居ない。さっさと失せるか、退治されてくれないか。"とあくまで彼女も退治対象である発言をして。そして赤髪の彼女は何を頷いているのか、微笑み茶化す相手に"仕事熱心なのは師匠の教えのおかげだ。…何故この前人外のアンタが俺を助けたのか、何が目的で人間紛いの事をしているのか教えてくれたなら、好きになれるかもしれないな。"と人外に対する冷たい視線はぶれずに。)
何故って…ねえ?そんなの、決まってるじゃない。
(彼女は貴方の言葉が意外だ、とでも言いたげに目を見開いては─ぱちり、と一度だけ瞬きをする。花が開くような微笑みを浮かべ、銃口など目に入らないかのように、貴方に向けて一歩踏み出した後─ずい、と顔を寄せて"貴方が可愛かったからよ"と悪戯っぽく囁いた。その言葉を聞き、祭壇に腰掛けて退屈そうにしていたビフロンスは乾いた笑い声を上げ、"…その享楽主義は相変わらずだな、ヴェスカ"と、青いアイシャドウが薄く乗せられた目を少しばかり細める。彼女はビフロンスの言葉に軽く頷き、再び貴方に向き直ると"それに…あんな礼儀知らずと私たちを、"人外"なんて一括りにされるのは嫌いなの。だから…あの時、私は貴方に協力したのよ"と、彼女にしては珍しく嫌悪に表情を歪めながら答えて)
はっはっ…はぁ…確かに笑えるな。
(彼女が大胆不敵にも笑顔で踏み出すので、何をし出すのかと身構えていれば、予想の斜め上の回答に面を食らう。悪戯に笑うヴェスカと後ろの方でも笑い声が上がる。人外のジョークは理解が出来ないと呆れていたが、途中で溜息も混じりつつ便乗したかのように棒読みの台詞を吐く。それから此方へと向き直った彼女の表情はやけに暗く、その言葉には何か強い思いが込められているように感じた。それで信用出来るわけではないが、人間味のある発言には共感ができ "人外なのに人外と一括りにされるのは嫌いって、中々面倒なこと言うな。まあ、その気持ちは分からなくもないけどよ。"と返し。そして少し思考した後、今までの行動から彼女等は自分が知っている人外とは本当に違うのかもしれない。 "…今、礼儀知らずなのは俺だったかもしれないな。" と突き付けていた銃をゆっくりと離し。)
Merci,J・J。
(胸元から離れた銃口と貴方を一瞥し、感謝の言葉を口にした後─"いいわよ、貴方は可愛いから許してあげる"と柔らかく微笑みつつ、シスター服の裾を摘んで優雅に一礼する。早々に貴方と彼女の会話に興味を無くしたらしいビフロンスは、いつの間にやら出現していた大鎌をゆったりと磨いていたが─話が終わったのを目に留めたらしく、くるりと振り向いて"…話は終わりか?"と退屈さを隠そうともしない声色で問い掛けた。彼女はビフロンスの方を振り返り、"ええ。墓場の管理に戻って大丈夫よ"と声を掛ける。ビフロンスはその言葉に頷いたかと思えば─再び出現した骸骨の腕に身体を預け、闇の中へと引きずり込まれるようにして消え)
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