名無しの団員 2024-09-15 19:04:57 |
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>フォルク
ええ、そうしましょうか。しかし、戻る頃には手土産で荷物が大変な事になりそうですね。勿論分かっているかと思いますが、買い過ぎは禁物ですよ。
( 彼らしい気っ風の良い返事を聞き、すんなりと頷いてくれる相手に内心感謝を抱きつつ、相手の言葉に頷いて同調し。後半のお小言は、相手に釘を差しているようで、実のところ自分への戒めという意味合いが大半を占めていた。何しろ此処には、団員達の好みそうな物が幾つも取り揃っているので。自費に加えて帰りの手荷物が今から危ぶまれるが、一方で彼等彼女等の喜ぶ顔を見られるならば、そのくらい取るに足らない問題だろうと思考が流れてしまう辺り、つまるところ殆ど結果は目に見えているも同然だった。そうして二人で露店を巡っている折、雑多な商品の中から何かを見つける相手の素振りにつられて、自分の意識もまたそちらへ移り。相手の言葉に数度瞬きを繰り返すと、その手に収まる髪留めに視線を落として。綺麗な風合いをした髪留めは、確かに美しかった。が、それだけに自分が身に着ける物としては不相応感が拭えず、やや気後れしてしまう気持ちがひっそりと頭を擡げて、やんわりと小さくかぶりを振り。 )
確かに、綺麗な色ですね……素敵な品です。ですが、裏方の私には少々勿体ないかと。花形の子達の方が映えそうです。
メレン
…………これは、驚きました。海の世界がこうも美しいとは、先生には全く学ばせられる事ばかりですね。
( 耳朶を打つ歌声に意識が吸い寄せられ、微かに目を見開き。目の前に燦然と広がる深海に差し込む光のような光景は、まさに幻想的という他ない。光溢れる世界の中を揺蕩う鱗の煌めき一つにすら、現実から切り取られた場所に立っているような錯覚を思わせられる。しかし時間が過ぎ行くのは正に一瞬で、歌声が終わると同時に水槽の中の光が夢幻のように霧散すると、幻想の世界から現実へと瞬く間に立ち返り。しかし今でも尚、包むような歌声の余響がまだ耳の奥に残っていた。表情にこそその心境は上手く現れていないものの、この心の震撼を何と表現しようかと言葉に迷いながら漸く口を開き。事実は小説より奇なりとはよく言うが、本の中の知識だけでは知り得ない世界を度々与えてくれる彼に一層敬意の気持ちを深め。そして期待の眼差しに応えるように、微かに柔らかい色を湛えた瞳を交わらせ大きく首肯し。 )
ええ、きっと。その子にとって素敵な、それこそ一生の思い出になる事でしょう。
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