ビギナーさん 2024-09-07 21:36:57 |
通報 |
…あー、この髪か。…実はな、高校の時親父へのちょっとした反抗心で染めてみたんやけど…まあとんでもない大目玉喰ろてな、あん時はほんまに殺られるんちゃうか思たわ。
(彼があまり追求してこないのを良いことに、忠告の言葉へは"はいはい、心配してくれておおきに"と礼を述べるだけに留めておく。髪に触れられると一瞬驚いたような反応をするものの、直ぐに普段の表情に戻った後─赤い毛先を指で弄びつつ、元々垂れている眉を更に下げ、苦笑いを浮かべてみせる。─本当にほんの出来心だったのだが、普段温和な父にあそこまで怒られたのは初めてであった。少々苦い思い出にはは、と乾いた笑い声を上げると─いつの間にか近くに来ていたらしい金時が"…前から気になってたんだけどよ、マスターって何者なんだぁ?"と質問を投げ掛けてくる。─まあ、別に隠すような事でもない。至極あっさりとした調子で口を開いて)
ああ、言うてへんかった?俺の実家な、そこそこ由緒のある寺やねん。
……父への、反抗………そうか……そうか。
(小さな反抗心、という言葉に驚いたように目を開く。生前自分は、自らを育ててくれた父と空から見守る父、二人に反抗することなく生きてきたため、あまり想像ができなかったようで。確かに目の前の彼はまだまだ自分よりも若いだろう青年、反抗の一つくらいはするかと考えつつも、それですることが髪を染めることかと微笑ましくも思え、優しく笑みを浮かべながら頷く。気づけば横に来た金時の問いに対しての櫻井の返答を聞くと、生前の親友ーアシュヴァッターマンとの共通点を見出し、少し嬉しげにして)
む、寺…という事はマスター、お前は僧の息子か。オレの友も、バラモンだった。もしここに呼ばれることがあれば、きっと親しくなれる事だろう。
んー…俺、修行やらもぜーんぶ不真面目やったからなあ。あんたのお友達がどんな人か知らんけど、仲良うなれるやろか。
(何やら微笑みながら頷いている彼から、心做しか生暖かい視線を感じる気がするが─きっと自身の気のせいだろう、そう信じる事にした。彼の友人とやらの話をされるが、頭の後ろで手を組みつつそんな呟きをぼそりと零す。─実際のところ─色鮮やかなアロハシャツも、足元の緩いサンダルも、今は色落ちしているが赤く染まった髪も、全て父親への反抗だった。父のことは嫌いではなかったが、父の跡を継いで僧侶になるなど天地がひっくり返っても嫌で、今名乗っている"櫻井"の苗字すらも母方の姓。─だが、思い返してみれば─一つだけ、実家に寄った事をしていた気がして)
あー、まあでも…ネットでお悩み相談室的な事はやってたな。…大したことは言うてへんねんけど。
気にするな。あの男は余程の悪行を重ねない限り、誰にでも友好的に接する男だ。オレが保証しよう、きっと良い仲が結べるだろうと。
(櫻井の呟きに、きっと仲良くなれると自信を持って伝える。かの親友はそれこそ親友を殺されたり、敵に回らない限りは優しい男だと側にいて知っている。いつか彼もここに喚ばれ、共に力を振るう時が来れば良いのだがと考えていると、櫻井がネットでしていたことを話す。悩み相談室、すなわち誰かの悩みを自分の悩みのように考え、解決策を出すこと。その行いも、誰かの代わりに怒る親友を思いだすもので、さらに嬉しげな雰囲気を醸し出して)
…お前のそれは、立派な行いだ。どんなに小さなことだとしても、それで救われた者がいるのだろう。立派な、行いだ。
…さよか、おおきに。
(先程の発言でいよいよ、小さな子供でも見るような眼差しを自身へと向けてくる彼に─照れ臭さと居心地の悪さが入り混じった感情から一瞬だけ瞳を伏せ、すぐに普段通りを取り繕った声で軽く礼を述べた。─それはそうと─いくら彼らが強いとはいえ、流石にサーヴァントが四人では人理の修復も何も無いだろう。戦力の強化をした方が良いかもしれない─一人でううん、と首を捻っていると、渡辺綱が少々心配そうな表情で"どうした"と顔を覗き込んできた。"ああ、何でもないんや"と首を横に振り、令呪を眺めた後─彼らに声を掛けて)
ほな、俺はマイルーム戻るわ…何や用事あったら遠慮せんと来てな。
了解した。…道中、気をつけると良い。
(令呪を眺めた彼にどうかしたのかと思いつつも、それを口に出すことはせず。怪我したり倒れたりしないようにと忠告しつつ、マイルームに戻ると言った彼を見送る。さて、ここには英霊三人が揃った訳だが…正直な所、まだ身体を動かしたいという気持ちがある。先程少しやり合った金時とも、まだその力を目にしていないツナとも、手合わせをしたい。そう考えると、また話し始めている二人に話しかけて)
…金時、ツナ。オレはまだ、物足りん。お前達が良ければ、まだ手合わせを願いたいのだが…どうだろうか。
…ん。
(彼の言葉には軽く手を振って答え、そのままの流れでトレーニングエリアを出た。─彼にはああ言ったものの、真っ直ぐマイルームに戻る気にはなれなかった─彼を召喚した場所へと戻り、令呪を翳す。自身の呼び掛けに応じ、形成されていくサーヴァントは─セーラー服のような衣装に身を包んだ、長髪の女性だった。彼女は自身を一一瞥し、挨拶をしてくれるものの─"こんにちは、愛らしい魔術師さん。サーヴァント、セイバー…あら?"と一旦言葉を切り、一人で首を捻っては"あれ?…セイバーではなくて…まぁ。"と悩むような素振りを見せる。が、それも一瞬のこと─すぐに自身に向き直ったかと思えば、"あの…源頼光と申します。"と頭を下げてくれた。"こらまた、えらい別嬪さんやなあ"と言葉を零したところで─視界が本格的に揺らぐ。ふらり、と身体が床へ落ちる。"あら、マスターさん?大丈夫?"と、恐らく自身を支えてくれたと思われる彼女─頼光から掛けられる声を最後に、視界がブラックアウトした。─一方、その頃。金時と渡辺綱は彼の提案に一旦顔を見合わせた後─どちらともなく頷く。金時は再び斧を取り出し、渡辺綱は腰に帯刀していた刀を抜き)
…感謝する。お前達のような強者と、力を比べられる事に。
(頷き、武器を取り出す彼らに、喜びながら武器を構える。少々自分勝手な願いだったのもあり、了承してくれたことが嬉しいのだ。なにより彼らの実力が知れることが一番嬉しいのだが、と思いつつ、槍を握りしめる。先程は金時に先を越された、それならば次は自分から。持ち前の速さで彼らの後ろに周り、彼らに向かって槍を振り下ろして)
先ほどは遅れを取った。今回は、オレから行かせてもらおう。
…ん…
(少し経った後、ようやく視界が少しずつ開けてくる。どうやら自身はマイルームのベッドに横たわっているようで、あからさまな呆れ顔をした新宿のアーチャーと新たなサーヴァント─源頼光が、自身を心配そうにじっと見つめていた。ぼんやりと彼らを見つめていると─新宿のアーチャーから"大丈夫かネ、マイボーイ"と声を掛けられ、その後には無理をするなとあれほど、だの自分への関心が薄すぎる、だのと様々な小言がぐちぐちと続く。ぼやけた意識でその言葉を聞きつつ、再び瞳を伏せた。─一方、その頃。渡辺綱は流石、頼光四天王の筆頭─とでも言うべきか、背後からの攻撃には逆手に持ち替えた刃で素早く応える。金時は多少綱に遅れを取りつつも飛び退き、斧を下から上へと力一杯かち上げる動作で槍を相殺し)
…成程、ツナも中々…!
(綱の一切の無駄の無い動き、それに続く金時のパワー。だが綱に力が無い訳でもなく、金時に技が無い訳でもない。先ほど金時や聖杯から伝えられた頼光四天王、今自分はその二人を同時に相手取っている。これは厳しい戦いになりそうだ、と考えつつ、後ろに飛び退く。先ほど金時一人でも近接戦は厳しいと感じたのに、そこに綱も増えたのだから大変だ。さぁ次はどうする、さきほどの光線は一度金時に見られている、何度も使えば見切られるだろう。とん、と上に飛び上がると、炎を纏い始めた槍を高く構え、金時達に向かって勢いよく投擲して)
頭上注意だ、悪く思え…!
…んん…ごめんて、そない怒らんといてえな。別嬪さんが台無しや。
(暫く眠ったからか、ようやく意識がはっきりしてきた。それを確認した頼光は安心したようにマイルームを出ていったが、新宿のアーチャーは残ったまま。自身の顔やら腕やらをべたべたと触り、"他に怪我なんて隠してないだろうネ?隠してたら怒るよ"といやに鋭い眼差しを向けてきた。─別に隠している怪我は無いが、他人にべたべた触られるのはどうにも落ち着かない。新宿のアーチャーを宥めてみると、彼は少しだけ目を見開いて"…そんな事言うのは君くらいだネ"と呟いた。少々機嫌を持ち直したことに安堵しつつ、普段通りへらへらと笑ってみせる。─一方、その頃。渡辺綱は頭上から降下してくる槍に少々目を見開くものの─すぐさま刀を持ち直し、金時に目配せをした。金時が心得たように頷くのを見届け、渡辺綱は降下してくる槍を刀で器用に捌き、金時の方へとリリースする。金時はそのリリースされた槍を力任せに斧で叩き)
!……成程、覚えておこう…!
(正直、心の底から驚いた。なにせ相手に当たる、捌かれるは経験したものの、リリースされて斧で力一杯叩かれるのはまだまだ未経験なのである。もちろんインドラ神の武器であるため、壊れるとは微塵たりとも思っていない。が、やはり初めての経験には驚きが勝ち、一瞬動きが止まる。すぐに気を持ち直し、槍を拾うために先程の光線を上から牽制するように撃ち、その隙にあらぬ方向へ飛んで行った槍をキャッチする。ふわりと華麗に着地すると、また槍を構え直し、二人の強さに対する敬意と手合わせできたことに対する感謝を述べて)
…流石だ。オレは、お前達に敬意を表そう。どうやらオレはツイているようだ。お前達と、巡り会えたのだから…!
…あー…そろそろ止めなあかんかな。
(あれこれ世話を焼こうとする新宿のアーチャーを何とか宥めすかし、ようやく納得したらしい彼がマイルームから出ていった時には─既に一時間ほどが経過していた。独り言のようにそう呟き、カルナや渡辺綱の居るトレーニングエリアを目指してマイルームを出る、前に─新宿のアーチャーが見過ごした、脇腹の古傷に軟膏を塗る。よし、と誰に聞かせるでもない小さな声で呟き、改めてトレーニングエリアを目指して歩き始めた。─そして、その頃─渡辺綱はカルナの礼に目を伏せるだけで応え、刀の前へ印を結んだ指先を持っていく。そのまま九字を切り、"…『大江山・菩提鬼殺』…"─どうやら顔には出さぬだけで、随分と手合わせを楽しんでいたらしい。宝具まで展開しかねない様子を金時が一瞥し、"ちょ、綱の兄ィ!これ"手合わせ"だぜ?宝具はダメだって!"と慌てて止めた─のと丁度同じ時。がらがら、とトレーニングエリアの扉を開き、テクスチャーを元に戻してから彼らに声を掛ける。─危うく、もう少しで渡辺綱の宝具が完全に展開されるところだったが─危機は脱したらしい)
おーおー、お疲れさん…流石に暑いやろ、風呂入ってきいな。…ああ、後片付けは俺がしとくから…心配せんでええよ。
ほぉ…ならば…!………む、マスター。
(目を伏せ、刀に九字を結びながら技名かなにかを口にした綱を目にすると、その魔力の流れから宝具を使うつもりだと確信する。成程相手は本気、それならば自分もそれに応えるまでだ。自らの黄金の鎧を外し、空へと舞い上がる。魔力を込め、宝具展開準備をするもーーー入ってきたマスターの声により、すぐに止めた。ふわりと地面に足をつけ、綱と握手をするとマスターに近づく。…なにやら、先程よりも魔力を消費している、様な気がする。風呂や後片付けなどの気遣いに感謝しつつ、今一人にしては心配だとも考えると、口を開いて)
…気遣い、感謝する。が、オレには不要だ。中々に散らかしてしまった。お前だけでは片付けなど到底不可能だろう、オレも手伝わせてもらう。
さよか、おおきに。…ほな、綱さんらは先に戻っといてええよ。
(手伝う、という旨の彼の言葉にぱち、と驚いたような瞬きを一つ見せるが─すぐに納得したような素振りを見せ、渡辺綱と金時に声を掛けた。彼らは特に疑問を持つでもなく頷き、自身に軽く頭を下げてから順番にトレーニングエリアを後にしていく。二人の背を見送り、カルナと二人きりになったところで─気合を入れるようにおし、と声を上げ、まずは金時が軌道を逸らした光線でひび割れた床の、細かなゴミを掃除機で淡々と吸引し始めた。テクスチャーが元に戻った壁にも亀裂やらヒビやらが所狭しと走っており、思わず"こら、修理すんの大変やな…"と溜息混じりの呟きが漏れる。掃除機のゴミをゴミ袋にまとめつつ、口元に笑みを浮かべながら彼に声を掛けて)
綱さんら、強いやろ?
…ああ。安心して背中を預けられる程には。あのアーチャーとも一度は勝負してみたいが……あの男は、戦士より参謀の方が向いていそうだな。
(壁に走ったヒビや亀裂について櫻井が呟くのを聞くと、少し申し訳なさげに「…すまん。」と目を伏せながら謝罪する。彼の問いには塵や小さな瓦礫などを箒で掃きつつ、先ほどの手合わせを思い返しながら嬉しそうに答える。ふと新宿のアーチャーの事を思い出すも、ぱっと見の風貌や雰囲気から、策略を考える方が彼は得意そうだなと考えつつ、塵取りに集めたゴミをゴミ袋へ入れていく。と、改めて櫻井を見る。…やはり気のせいではなく、彼の魔力量が先ほど、自身を喚んだ時より少なくなっている。一体何をしたのか、少し心配になって声をかけて)
……魔力を、随分と消費しているようだが。何かあったか?
はは、言えてるわ。でもあの人も凄いんやで?魔弾?っちゅうもん撃てるらしいし。…あー。ちょっと、な…新しいサーヴァントはん呼んでたんや。
(サーヴァント達への嬉しい言葉には言葉を返さずに深く頷き、新宿のアーチャーへの評価には同意するようにけらけらと笑った。自身の呟きに返された律儀な謝罪の言葉に"気にせんでええよ"と半笑いで応え、どこからか取り出したパテを壁の亀裂へ塗っていく。が、ふと彼から掛けられた言葉にパテを塗る手が止まった─上手く誤魔化せていると思ったが、甘かったらしい。普段の癖で曖昧な笑みを浮かべつつも─不真面目な自身には珍しく、言葉だけは誠実に答えて)
ほう、魔弾……どのようなものか、一度見てみたいものだな。…なに、新しいサーヴァントを?
(新宿のアーチャーに関する新情報を聞くと、少し興味が湧いてくる。魔弾というからにはなにか特殊効果でもあるのだろう、それこそ必中か追尾かーーなどと想いを馳せていると、なにやら聞き捨てならない言葉に思わず箒を落としかける。英霊を?一日に二人も?先程金時から、魔力はカルデアからも支給されている…とは聞いたが、それでも一日に二人も喚ぶのは魔力切れを起こしかねない。彼が手に持つパテを見ると、よこせと手と目で伝えて)
……マスター、残りはオレがやる。お前は休んでいろ。
大丈夫やって、そないヤワな身体してへんよ。
(─言葉少なではあるが、彼が自身を心配してくれているのは分かった。その言葉に普段通りの緩い微笑みを返し、壁にパテを塗る作業を再開する。そこからしばらくの間─特に亀裂の目立つ部分に塗ったパテを淡々と固めていたが、そこで大方作業が終わったらしい。パテをまた何処かへと戻し、大きく伸びを一つ。─ついでに欠伸と、古傷の痛みからの呻き声も出た─柔な身体でない、と見栄を切った尻からこれだ。若干ばつの悪そうな表情を浮かべつつ─特に何を考えるでもなく、普段渡辺綱や金時に問う時と同じ、軽い調子で彼に問い掛けながら首を傾げて)
…あー…そうでもない、みたいやな。あんたが嫌やったら、無理にとは言わんけど…俺のマイルーム、来てくれへんか?
む……何かあれば、すぐに言え。
(笑顔で大丈夫だと返されるもやはり心配で、何かあれば言ってくれと伝えるとまた塵などを箒で集めていく。大体の掃き掃除が完了したと言う頃に櫻井の欠伸、そして呻き声が聞こえ、すぐに近くに駆け寄る。まさかどこか痛むのか、それとも具合が悪いのか。心配で相手の顔を覗きこみ、体をチェックする。と、ばつの悪そうな表情で自室まで着いてきてくれるかと聞かれ、勿論と言わんばかりに頷く。ついさっきも話した忠告をもう一度伝えると、相手の横に立って)
…身の程に合わない事をすれば、いつか身を滅ぼすと言っただろう……歩けるか?
トピック検索 |