真夜中のピエロさん 2024-09-01 11:34:30 |
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ん、ちゃんと持ってるぞ。
(貴方の独り言は聞こえなかったのか、心做しか普段よりも楽しげに見える様子で歩いていたが─ふと投げ掛けられた質問に反応し、何故か得意げな様子でジーンズの尻ポケット辺りをぽん、と叩いた。─まあ。実際のところは忘れて家を出ようとしたところで、気付いたらしい宿主に"忘れてる!"と半ば無理矢理ポケットにねじ込まれたのだが。その点には目を瞑り、一旦の目的地であるバス停へ向かって歩を進める。道路を行き交う車に時折興味深そうな目線を送りつつ、たどり着いたバス停のベンチに腰を下ろし)
なら良かった~、えらい偉い。
(続けて相手の隣に腰を下ろす。得意げな反応が返ってきたので相手の肩に軽く手のひらを乗せて頷き、おだてた口調となった。相手の素直な素振りから永夢の教育が行き届いているようで良かったと内心思いつつ、次にやって来るバスを待ちながら、両足をぶらつかせて青空を眺める。最近になって相手と他愛無い会話をするだけでも、案外楽しいことに気づかされたほか、相手の無邪気で、誰に対しても真っ直ぐに接する一面に「イイな」と感じる時がある。この心の揺れ動きは一体何だろうか、とぼんやりと考えているようで)
…お、来たぞ。
(褒められたことで上機嫌になったのか、"だろ?"と再び得意げな表情で笑いながら胸を張る。バスが来るまでの間、特に貴方と会話をするでもなくバス停の向こう側、その車線をまじまじと見つめ─ひっきりなしに道路を行き交う色鮮やかな車を観察していた。─暫しの間そうしてバスを待っていたが、ふと─目前にバスが停まるのが目に入ったらしい。何処か気の抜けたような声を上げ、ベンチからすっくと立ち上がった。隣に座る貴方にも声を掛け、バスに乗るよう促して)
だな、すぐに乗ろう。
(暫く考え事に耽っており相手からの呼び掛けに数秒遅れて気付くと、白い歯を見せてニヤリと笑った。入口でICカードを翳して空いている2人がけの席へと向かい、窓際でゆっくりと腰を下ろした。バスの中は冷房が効いて冷んやりとしており、気持ちが良い。時々車窓から見える景色を一瞥しつつ、『バスって結構揺れるねぇ』等と取り留めのない話を持ち掛けては、目的地付近のバス停に到着するのを気儘に待っており)
…初めて乗った。
(貴方の後を追うようにしてバスへと乗り込んだ後、貴方の隣の席へちょこんと腰を下ろしたかと思えば─小さくそう呟いて、貴方と自身以外にはあまり乗客の居ない車内を興味深そうに見回す。小さな車窓から見える景色に興味を惹かれているのか、貴方から投げ掛けられる話に応対する様子はほとんど無かった。目的地でバスが停車するまで景色を眺め、目的地に到着してからも─少し遠くに見える、水族館の水色を基調とした外観に子供かのように目を輝かせており)
到着~、おっ、最近新しくなったみたいだな。
(相手はきっと初めての事だらけなのだろうと微笑ましく思いながらぼんやりしていると、間もなくして停車を知らせるアナウンスが耳に入った。降車して目印になっているイルカのオブジェを通り抜ければ、どうやら自分の知らないうちに改装されたらしく、より洗練されたデザインとなった水色を貴重とした建物が視界に入った。窓や壁面には翼を広げているペンギンや群れたマグロのシルエットが所々装飾されており、『水族館なんて久し振りだわ』と嬉々とした口調で独り言を溢し、チケットの窓口へと向かった。大人2枚分をお釣りを残さずにピッタリと支払い、アクリル窓越しに係員から受け取ったチケットとフロアマップを相手に手渡しながら尋ね)
チケットと地図はコレね。……順路通りに周るのも良いけど、まずは行きたいところに行ってみる?
そうだな…
(貴方から手渡されたチケットとフロアマップを受け取った後、まじまじとそれらを見つめる。─宿主とゲームセンターやら公園やらには良く行くため、それらの構造は理解しているものの─こういった施設に行くことは正真正銘初めてだった。紙のマップがあることもそうだが、何よりフロア毎に黄色だの赤色だのと様々な色を割り振ってあるのが新鮮らしい。少し悩んだような様子を見せた後、比較的大きめなマップの中でも一際大きいスペースが割かれている『ペンギンエリア』なるものに興味を示したらしく─それを指差し、貴方に声を掛けて)
ここから回ってもいいか?
お~『ペンギンエリア』か、行こう!早速出発な。
(その提案に快諾し含み笑いを浮かべた途端、相手の手を引いて空いている片手でエリアの方向を指差し、流行りの曲だろう──鼻歌混じりで歩き出した。手を繋ぐという行為には館内は親子やカップル、若者で賑わっていて逸れるといけないから、という建前がひとつ、一寸だけ相手を驚かしてみたいという動機がもうひとつ起因しているようだった。一方で温かいような、はたまた冷たいような相手の体温を直に感じ取り気持ちがはやるようで、相手の方を節目がちに見上げており)
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