主 2024-08-13 13:58:55 |
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>171 エーレ
……わーったよ。食えばいいんだろ、食えば――
(なぜ拒むのか理解できない、とでも言いたげに首を傾げている曇りのない瞳からは悪意の類は感じられなかった。近づけた椅子、肩を並べて同じケーキをつつく男女、知り合いに見られたらあらぬ誤解を招きかねない。先程から嫌な想像が脳裏を過っていて益々苦り切ってしまう。諦めてくれる気配もなく、なにより純粋な厚意を無碍にするのも気が引ける。盛大な溜息をつく共に覚悟を決めると即座に差し出されたケーキを口に含み。渋面のまま咀嚼していたが、素材の味を生かした優しい甘みと微かな酸味が口いっぱいに広がり、思わず目を丸めてぼそりと)
……美味いな。
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