主 2024-07-30 12:56:26 |
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この程度大したことはない
(肩が多少濡れようと問題ないと答えるが、それでも納得しなさそうな彼女の様子に少し考え巡らせ、それからほどなくして肩へと手を置き、やや強引に自身の側へ寄せて)
……これならばお互い濡れる心配はないだろう
でも、先輩が風邪ひいたら、マスターが……
(首を振って遠慮し、そのまま傘を相手の方へ傾けていたが肩に手を置かれて驚いた顔で相手を見上げ、近くなった距離に気付いて視線を逸らしボソっと呟けば、変に意識しないようにと内心思いながら)
あ、あの、距離……あ、いえ、なんでもないです。そ、そうですね、これなら濡れないかも、です。
…それじゃあ紺野、家までの案内は頼む
(仕方ないこととはいえ些か近過ぎる距離感に内心では若干の緊張を感じながら、少し強引過ぎたかもしれないと彼女の反応窺うように横顔盗み見ようとするも目を逸らされてしまったため断念すれば、気を取り直しバイト先と学校以外での関わりのない彼女の家までの道のりの案内を頼み)
…わ、わかりました。
(家までの案内を頼まれ、緊張した足取りで歩き学校の校門を出て、「こっちです」と家の方面指差してそちらの方へと歩くと、肩に置かれた相手の手をちらちらと見て、気を使わせてしまっているのと距離が近いのが気になり言いづらそうに小さい声で話し)
あの、白澤先輩、私大丈夫ですから。ちゃんと、傘入って歩くので、その、あの…えっと……
ああ…すまない、こちらももっと早く気づくべきだったな
(言われてハッとして、肩に添えたままになっていた手に気づいて慌てて引っ込め、申し訳なさそうに謝罪すると少し気まずそうに頬を掻いて)
いえ、大丈夫です。ただ…先輩は、その、モテますから…ね。
(首を横に振りながら否定して、相手が他の生徒からも人気である事を話して、誤解されても相手が困るだろうと思いながら苦笑いを浮かべて、家へと曲がる道を指差して)
あ、その道曲がったすぐです。
……ああ、わかった
(一瞬本気で何故この流れで自分がモテるからという言葉が彼女の口から出たのかがわからず、真剣に言葉の意図について考えようとしたところ、そんな思考を遮るように目的地がすぐであることが伝えられると言われた通りに角を曲がって)
俺は外で待っていよう、慌てずに支度をしてくるといい
送ってくれてありがとうございます。
…この雨ですし、先に向かってて下さい。支度できたらバイト、行きます。
(曲がり角を曲がり家の前まで来ると、相手の方を見てお礼を言いながら頭を下げて、この雨の中相手を待たせるのも悪いと思い首を振り先に行くよう伝えて家の玄関先まで走り出し)
わかった、道中気をつけて来い
(ついつい過保護気味になってしまうが、彼女も子供ではないのだからと自らの中で折り合いをつけ、身を案ずる言葉のみ投げかけて自身はひと足先に自宅兼職場へと向かい)
…ああ、それなら後はいつも通り店の方は俺と紺野でなんとかする。問題はないだろう
(帰宅するや否や、外出の準備をしているこの喫茶店のマスターであり自身の父でもある人物に後は任せたとそれだけ短く伝えられるといつものことであるため、それだけ短く伝えて送り出して)
はい、なんか…お父さんみたいですよ。
(父親みたいな言い方にクスッと笑みを浮かべ、相手を見送ってから家に入り支度を終えて、バイト先である相手の自宅へと傘をさして向かい)
…お疲れ様です。
(バイト先に着いて、マスターを探して辺りを見渡すが先輩しか見当たらず首を傾げて)
お疲れ様です、先輩。あの、マスターは?
例の如く、だ。今日は釣りへ行くと言っていたな
(自分と彼女が店に揃う日はマスターは店を任せて大体どこかへ出掛けてしまうのが通例で、今日もその例に漏れずと彼女へと説明し、一応仕事は一通りこなせるとはいえバイトとして雇っている彼女を完全に独立した戦力として数えるのはいかがなものかと思うが、言って素直に聞くような人物でもないため仕方がなく)
今日も少し忙しいかもしれないが、接客の方は頼んだ
つ、釣り!?
(マスターが自分達だけに店を任せ釣りに出かけてしまったと知り驚いた顔をし、いつもより大きめな声を上げる。気まぐれにどこかへ行ってしまう事はわかっていたものの、小さく「あー…」と呟くと苦笑いを浮かべながらも納得して頷き)
…はい、わかりました。
(店の方へと迎えば早速1組のお客が現れ笑顔を向けて)
いらっしゃいませ、何名様ですか?
オムライス二つ出来上がりだ、運んでくれ
(店は小さく目立たない場所にあるが、常連を筆頭にそれなりに来客はあってピーク時は中々忙しい。厨房での調理を進めながら、忙しく動き回る彼女気にかけつつもそう指示を飛ばして)
2名様、こちらの席へどうぞ。
…これ、いつもの常連さんに、ですね!了解しました。
(お客を案内してから、「はい」と返事を返せば相手が出したオムライスを両手に取り、注文メモに目をやり何番テーブルかを確認してから、相手に笑顔を向けて答えるとお客へとオムライスを運び)
お待たせしました、オムライスです。
2名様、こちらの席へどうぞ。
…これ、いつもの常連さんに、ですね!了解しました。
(お客を案内してから、「はい」と返事を返せば相手が出したオムライスを両手に取り、注文メモに目をやり何番テーブルかを確認してから、相手に笑顔を向けて答えるとお客へとオムライスを運び)
お待たせしました、オムライスです。
紺野、すまない。あちらの食事が済んだ二人のテーブルへこれを運んでくれ
(学校で見るより、心なしか生き生き働く彼女を眩しそうに見つめていたが、料理を運び終えた彼女がこちらへ戻ってくるのを見ればすぐに気を取り直し、小さなケーキを二つカウンターへと置き、窓際の席の二人の男女を指差し)
あの二人は今日が結婚記念日だったはずだ
(言葉少なながら、これは店側からの厚意であり、サービスの品であることを伝えて)
はい、わかりました。
(料理を運び終えカウンターへ戻って来ると、笑顔で頷き相手が指差す窓際の席を確認し、小さなケーキを2つ両手に持つと相手の方を見て、「先輩、常連のお客様の結婚記念日覚えてるなんて、すごいですね。」と答えるとケーキを運び)
お客様、今日は結婚記念日との事でこちら、ケーキのサービスです。おめでとうございます。
(ケーキをテーブルに置き、笑顔で軽く頭を下げるとカウンターへと戻り)
ありがとう紺野、やはりこういう役目は紺野に任せるのが正解だな
(サービスのケーキに加えて、彼女の素直に祝福したいという気持ちが伝わる笑顔での接客に常連の夫妻は大層喜んでいる様子で。それを見て任せて良かったと、戻ってきた彼女へと僅かに表情を緩め礼を言って)
…そろそろ店仕舞いだな、今いる客が帰ったら片付けを始めよう
あ、いえ。
でも、とても喜んでもらえたみたいで良かったです。
(相手に褒められ少し照れてしまったようで、顔を赤らめ視線を下に向けと小さく首を振り、窓際の席のお客を見れば喜んでいる様子で安心して、店仕舞いと聞いて時計を見て)
そうですね、はい、わかりました。
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