トピ主 2024-07-26 06:44:45 |
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ハァ…分かった、善処する。
(ヘルに忠告を聞かせるなど無理であると悟ると、ジト目はそのままに呆れたような溜息を吐いた。その態度とは裏腹に、勇者となって名声を得て以降は対面する人間の殆どが自身を畏れ敬うことに慣れきっていたレイラにとって、自身を対等と言うよりはぞんざいに扱うヘルとのやり取りはそれなりに心地が良いものであった。そして、店を出る際にレイラは破損させたテーブル分も合わせて支払いを済ませたが、ヘルの方へ目を向けると必要分の数倍は払っている様子だ。国際指名手配犯というのは存外羽振りが良いのかと関心した。)
さて、中心街まで着いたが…どうだ?良い街だろう。
(店を出てしばらく歩くとデュランダルの中心街に辿り着いた。その頃には既に身分を隠す必要はなくなり用済みとなったローブを脱いでおり、姿が顕になった聖剣はその黄金の装飾を惜しみなく輝かせていた。やはり交易都市と言われるだけあって様々な露店が軒を連ね、祭りのように多くの人で賑わう光景が広がっている。一方で、どの都市にも見られる現象であるが、やはり人の集まる中心街の道端では幾人かの貧困層が目の前に小皿を置いて乞食をしていた。ただ一つ明確な違いがあるとすれば、他の都市よりも明らかに乞食に恵まれた貨幣が少ないことであろう。そんな貧困層達など見えていないかのようにレイラは「良い街だろう」と、好きな物を自慢する子供のように曇りのない笑顔でヘルに尋ねる。当然ながら悪意など微塵もなく、貧困層に目もくれない他のデュランダルの住民の様子を見るからに、レイラ個人の感性ではなく、これがこの街で培われる常識なのだろう。)
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