トピ主 2024-07-26 06:44:45 |
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>602
よしよし…私のことは姉だと思ってくれて構わないぞ。フッ…姉より背の高い弟と言うのは少々気に食わんがな。
(自身に身を委ねられると、そのままレドの頭に手を回して優しい手つきで撫で下ろす。改めてレドの顔をよく見てみると、その整った顔立ちに心臓の鼓動が早くなるのを感じたレイラは、これは酒のせいだと心の内で自分に言い訳をしつつ少しでも緊張を紛らわそうと、口角を小さく釣り上げて姉より大きい弟は気に食わないと冗談を言ってのけた。)
>603
逞しいって、初めて言われましたねぇ…聖女様もいつか理解できる日が来ますよ、きっと。
(恐らく仕事を趣味感覚でやることに対して理解できてない様子のティアに苦笑いを浮かべて。労働はともかく、娯楽がないこの聖教国で育ったのだから無理もないだろう。逞しいと言われたのは初めてだったミミは少し嬉しそうな笑みを浮かべて、仕事を趣味の感覚でするということをいつか理解できる日が来ると告げて。その時はきっと、この国から解放された後だろう…)
そっか…今はクレアが寝ちゃってるから、此処から頑張らないとね。帰るだけだけど、帰り道に何があるかは分からないし…
(食い気味に返答し、安心したように胸を撫でおろす所を見て思い出したが…ユリウスもこの国で育ち獣人のことを同じ人間として見てないから仕方ない、わかってはいたが仲間や友人を大切に想うミミはどうしても許せなかったことを。今はあの時よりも落ち着いており、ユリウスが獣人のことや自分がしてきたことを理解するのはまだまだ先だろうと真剣な表情で考えており。すぐにいつもの表情に戻り、馬車の窓から見える外の景色を見ながら「まぁ、何もないのが一番だけどねぇ…」と付け足して)
>604
またまたぁ。満更でもなさそうじゃないですか。へへっ、俺もこのままこうして…………
…………ってちがうちがう!会食!
(レイラに頭を撫でられるまま、緩みきった顔で彼女をからかって。撫でる手が優しい、なんかいい香りがする。すっかり安心しきるとレイラの腕の中で寝息を立てて…………………いる場合ではない!本来の目的を思い出すと、すっとレイラの両肩に手を置いて彼女を引き剥がし、慌てて席を立ち)
れれ、レイラさんもからかわないでくださいよ……い、いけないな。お互い酔っ払っちまって……
(水差しとグラス2つを乗せた盆を手に席へ戻り、お互い酔っ払ったからと片方のグラスに水を注いでレイラに差し出して。確かにレドの顔もすっかり赤くなって、挙動も落ち着かなくなっているが……レドの方は本当に酒酔いが原因なのだろうか?)
>605
そうですね…私もユリウスもきっと知るべきことがまだまだ沢山あるのでしょう。ですので、これからもぜひ外の世界の先生として様々な知識のご教授をお願いしますね。
(ミミとのやり取りを通じて自らの無知を自覚し益々外への憧れが強くなったティアは、視線はミミに向けたまま口角を少し釣り上げて隣にいるユリウスを抱き寄せると、今後も外の知識を提供してくれないかと打診した。ユリウスと共に成長する必要性を感じたティアはこれからも護衛が必要になる度に理由を付けてミミ達を指名しようと考えているのだろう。それだけでなく、ユリウスがいる為口には出さないが定期的にミミと接触すれば何かしら国を脱出する算段がつくのではないかという淡い期待を持ってのことであった。)
>606
…ははっ、すまない。少々子供扱いが過ぎたようだな。だが、私を姉と思って良いというのは本当だぞ。これからも甘えたい時は存分に甘えるといい。
(両肩に手を置かれたことでレドのことをより異性としてはっきり意識したレイラは、引き剥がされてしばらくは頬を紅潮させて固まっていた。レドが戻ってくるなり平静を装いグラスを受け取ると可憐に笑って見せる。レドを子供扱いしたことを詫びつつも、姉と思って欲しいのは本心のようで自信満々な勝気な表情で自身の胸にポンと手を置くと、これからは存分に甘えていいと宣言した。)
さて、そろそろ楽しい時間も終わりのようだな…会計は私に任せて会食に向かうといい。今から馬車で向かえば調度良い頃合いだろう。
(すっかり日は暮れて会食の時間が迫っていた。レドとの別れが惜しいレイラは頬をプクッと膨らませて露骨に拗ねているのが分かる。感情こそすぐ顔に出るが、頭ではレドを送り出さなければならないことを理解しているレイラは頬杖をついてレドの顔を見据えると、会計は自分に任せて会場に向かうように促した。会場の詳細については招待状に記載があり、場所は王都に置かれた高級料亭「豊穣亭」。ギルドから馬車で小一時間程の距離である。)
>607
もちろんいいですよ、私が知ってる外の世界のこと全部教えますよ。…約束も、必ず果たしますからね。
(2人が聖教国から出ることを考えれば、今から外の世界のことを知るべきだろう。この場でクレアとティアだけが知っているが、ミミは人間よりも寿命が長い半獣人。既に500年生きており、その分外の世界の知識も豊富だ。ティアのお願いに優しく微笑みながらもちろんと答えて、道中ティアと聖教国からから出すという約束をティアにだけ伝わるような言い方で、真っ直ぐな眼差しで必ず聖教国から解放すると再び誓って)
>608
やれやれ、もう時間か。ふふ、俺も頼もしい姉ができて嬉しいです。これからもぜひ……
と言いたいけど、この後始末はさすがに何とかしてくださいよ……てかこれ出禁になるんじゃ……
(会食の相手は憎たらしい奴、正直気は乗らない。だが自分をクレアさんと引き合わせるとまで約束したレイラさんのため、行かねば。自ら水を注いだグラスを一気にあおって気合を入れつつも、レイラの姿を穏やかに見つめて。今まで彼女の事は傍目でしか見たことが無かった。近寄り難い人間だと思ってたけど、こんなに人懐っこくて可愛らしい姿を見せるんだ……と惹かれつつあったが、レイラがひどく荒らした周囲の惨状に目が行くと、急に呆れ顔になって。憧れのクレアをクレアたらしめる品行方正さとは無縁の振る舞い、レドの中で芽生えつつある「何か」を冷めさせるには十分な有様である……)
>609
その時を楽しみにしておりますね。
(真っ直ぐに向けられた眼差しから約束に対するミミの本気を感じ取ったティアは上品に自身の頬に手を添えると、満足そうに微笑み期待の言葉を寄せた。一方で、ミミもティアも肝心な言葉をあえて伏せている為にティアの腕に包まれたユリウスは終始キョトンとした表情を浮かべていた。)
うぅ…ごめんなさい、お父様…訓練頑張るから…殴らないでぇ…
(心地良い寝息を立てていたのも束の間にクレアはミミの腕にギュッと抱きついたまま険しい表情で唸されていた。幼さを感じる口調の寝言から察するにおそらく幼少期の夢を見ているのだろう。クレアがかつて騎士団で高位の役職に就いていたことはそれなりに知られた話であるが、クレア自身があまり過去を語らない為に、どう過ごし何を感じてきたのか、そういった内面は秘密のベールに包まれている。寝言とは言えこうして蓋をしていた内面の一部を吐き出したのはミミに信頼を寄せている証であった。)
>610
あ、案ずるな…弁償はするつもりだ……そ、そんなことよりも早くしないと王都へ向けた便が終わってしまうぞ…!私の代理を引き受けた以上は遅刻も欠席も認めないからな…!
(レドが呆れ顔を見せたことでやっと自分が引き起こした惨状を不味いと認識したレイラは、額に汗を流し目を泳がせ明らかに動揺しながらも気丈に振舞おうと強がりを見せた。動揺を悟られまいと矢継ぎ早にレドを急かすその姿はなんとも出来の悪い姉である。パーティーで最年少だったレイラが真に姉になるのはまだまだ先になりそうだ。)
同時刻 王都「豊穣亭」
これでよし…人間は笑顔を好むと言いますからね。努めて友好的に振る舞い計画に必要な人脈を築くとしましょう。
(王都一と名高い高級料亭の一室にて、招待客用の十数個の席にはまだ誰も着いておらず、闇夜によって鏡のように自身を写す窓ガラスに向かってアリシアは一人表情を作っていた。艶やかな金髪に透き通るような碧い瞳、同じライデンの血筋だけあって姉妹かの如くクレアに通じる多くの特徴を備えたその容姿は例えるなら人形のように整ったものであった。しかし、釣り上げた口角とは裏腹に何処までも人を見下すような瞳の奥の底知れない冷たさは、彼女が明らかにクレアとは異なる存在であることを示していた。)
>611
えぇ…
…クレア?……子供の頃の夢を見てるのかな……?
(約束の内容を言わずに伝えたが、案の定ティアにだけ伝わり笑みを浮かべており。ただ、ティアをこの国から連れ出すにあたって2つの問題がある。一つは、ティアの家族を探すこと…ティアは故郷のことを覚えていないため手がかりがない。閉鎖的な聖教国に協力者を送るのも難しい、探すなら今後もティアの護衛を受けて家族の場所を探す必要がある…もう一つは、ティア達が聖教国から解放した後命を狙われる可能性があること。今までは連れ戻されると考えていたが、聖教国内でかなり高い地位にいるカグラのことを考えれば消させる可能性が高い。どうしたものかと考えていると、隣で寝ているクレアの寝言が聞こえてきて。行きにも寝言を言っていたが、今の寝言は真逆のこと…クレアがかつて騎士団に所属していたことは少し知っていたが、子供の頃から厳しい訓練をしてきたのがわかる。寝言の内容から家庭環境が良かったかどうかもわからない…そっとクレアの頭を撫でながら「大丈夫だよ、誰も殴ったりしないから」と優しく告げて)
>612
ふふふ、行きますって。勇者様に恥をかかせない振る舞いには心得ありますから、後始末が済みましたらゆっくりお休みください、閣下。ってね。
さて……レイラさん、あなたはいい人、本当の姉のような人だ。今日は勉強になりました。噂に惑わされず、腹を割って話し合えば分かり合える、と……また会いたいな。
(自らが引き起こした惨状にあたふたしているレイラが可愛くて思わず笑みをこぼして。クレアさんが可愛がる理由がようやく分かってきた。もっと一緒にいたいが、レイラさんの言う通りそろそろ行かないと。すっと立ち上がり外へ出ようとするが、何か思い出したかのように出入口で立ち止まるとレイラに向き直り、今日会えて嬉しかったことを告げて。その表情は年相応のカラッとした笑顔……こんな顔するの何時ぶりだろうか。話し終わると「じゃあ行ってきます!」と手を上げて、馬車に乗り込むべくギルドを出て日暮れの街中へと歩み出し)
>613
…ふふっ……スー…スー…
(ミミに頭を撫でられると険しい顔から一転してクレアの表情は次第に柔らかくなり、幸せそうに小さく口角を釣り上げては再び心地の良い寝息を立てた。無意識下でもクレアにとってミミの存在は大きな励ましとなっているようだ。)
ご提案なのですが、次の依頼からも常にユリウスを同行させるのはどうでしょう?彼女がいれば依頼の合間の自由時間を有意義なものに出来るでしょうし。
(クレアの様子が正常に戻ったのを見届けて、魔眼の力によってミミの懸念を察したティアは聖教国脱出の計画を進展させるべく口を開いた。自分の故郷を探す為にはまずミミが国内を自由に動ける必要がある。その為には聖教国の人間の同行が必須だが、立場上ティア自身が同行するのは監視の目もあり現実的ではない。一方で異端審問官であるユリウスなら疑いを向けられることもないだろうと考え今後も依頼の際にはユリウスを同行させることを提案したようだ。勿論ユリウスに計画を勘づかれるリスクはあるものの、これまでのユリウスの言動からデートなどと適当な建前を言えば純粋に信じそうなものである。)
>614
ああ…また何時でも会いに来るといい。姉として歓迎してやる。
(レドに笑顔を向けられたレイラは頬を真っ赤に染めて、胸のときめきで暫く呆然と立ち尽くした。異性に耐性のないレイラにとって顔立ちの整ったレドの笑顔の破壊力は相当なものであったのだろう。大きく息を吸って正気を取り戻すと、まだ頬に赤みが残ったまま笑顔を作り、小さく手を振ってレドを見送った。レイラにとってもはやレドは本物の弟同様に愛らしい存在となっていた。)
…ええ、きっと貴殿の武勇は陛下のお耳にも届いていることでしょう。
(まだ会食の開始時刻までそれなりに猶予があるにも関わらず騎士という生き物はせっかちなもので、部屋の中央に置かれた長机を中心として配置された座席には二つだけ空席を残して他は招待された騎士達で埋まっていた。招待客は錚々たる面子であり、主に騎士団内の高位役職者で占められ、特筆すべきは王国騎士団長次席補佐官や王国十騎士でアリシアと序列の近い第九席・第七席が参加していることである。第八席が呼ばれていないのは彼が獣人故だろう。その理由は明らかでアリシアの剣の柄に刻印された黄金の天秤(聖教国の国章)が答えである。多種族が共生するこの国で聖教国の国章を掲げるなど、王国の在り方に対する挑戦として捉えられても可笑しくないが、騎士の身でありながらそれでも平然と掲げられるアリシアは常軌を逸しているとしか言い様がない。しかし不思議なことにアリシア自身その仕事ぶりや人柄に定評があり、今も招待客である先輩騎士達に上品な愛想笑いを浮かべながらお酌をしていた。)
>615
ふふ…よかった、いい夢を見てね…。
(自分の言葉が届いたか、若しくは撫でられたからか…はたまた別の何かか。不明だが、クレアの表情が幸せそうな柔らかい表情に変わったのを見ては少し安心したような笑みを浮かべて、目的地に到着するまでの間、いい夢を見てと囁いて)
…!いいかもしれませんね、聖教国は滅多に来れない場所ですし…この国に詳しい子が居てくれた方が助かります…!
(恐らく自分の考えを察したと思われるティアの発言を聞き、その発言の意図をすぐに理解したミミはこの国について詳しくないから詳しい人が居た方が良いという理由で提案に乗り。当然、上手くユリウスを誘導してティアの家族の場所を調べるつもりだ…脱出する方法は幾らでもある、場所さえわかってしまえばいい。だが、聖女の出身地や家族の情報が記録された書類等は間違いなく重要機関にある。ティアのような能力を持つ者や、カグラやダンテのように僅かな情報から半獣人だと見抜く洞察眼を持つ者がいないことを願うしかない…。)
>616
(王都行きの馬車に乗り込んだレドは、目を閉じ腕を組みながら考え事にふけっていた。レドのような平民では到底訪れる機会など無い王都の高級料亭での会食、ましてや騎士階級を相手取る緊張を紛らわす意味もあるが、何より主催者、アリシア・ライデンが気に入らないのである。敬愛するクレア・ライデンからリーダー……否、想い人を奪ったのが神竜であるならば、アリシアの一族はクレアから騎士の名誉と帰る家を奪った仇敵だ。騎士として類稀なる実績を残したクレアを一門として支えるべきところを奸計で追い払うような奴。近衛隊だか王国十騎士だかの地位も、実力でなく裏工作で掠め取ったザコに違いない……思っただけでも腹が立つ。)
……奴とその親父を殺(と)る。そして実家を取り戻す。そうすれば、クレアさんの心も安らぐだろうか。
「えへへ…今まで色々ありましたが、また生まれた家でゆっくり眠れそうです。」……と。
(何やら物騒な事を呟いてはブンブンと首を振る。いやいや部外者が先走ってはかえってクレアさんを害してしまう。ましてや今回はレイラさんの代理で赴くのだ。彼女に迷惑をかけてはいけない……そ、そのぅ、また会いたいし。と頬を赤らめ、モジモジしながら思い直していると、馬車の揺れが減り始めたのを身体で感じ取った。道の整備が行き届いた場所……王都に入ったのだ。程なくして到着した停留所で下車すると、風雅ながらも厳かな街並み、ギルドとはまるで別の国のような風景を見渡しながら歩を進める。ここが王都、クレアさんの故郷……身が引き締まる思いだ。)
「勇者」レイラ・ハート補佐役、レドと申します。本日はレイラの名代としてアリシア・ライデン閣下の御席へ参りました。
(やがて会場の「豊穣亭」 に辿り着くと、受付に自らの名前を加筆したレイラ宛の招待状を手渡して。丁寧な言葉遣いに、きりっとした表情、ぴしりと決まった姿勢……これで鎧を纏っていたら騎士として通じるであろう振舞いだが、内心は穏やかではない。本来会食に代理を寄越すなど失礼な行為。代理という無理が通るほど「勇者」のネームバリューは凄いんだろうなレイラさん!?……と。)
>617
やったぁ~!これからもミミちゃんとデート出来るんだねぇ。仕事で国内の色んな所に行ってるから案内は任せてね~。
(ティアの提案に乗り気なミミの反応を見て、能天気にミミとのデートを楽しめると考えたユリウスは目をキラキラと輝かせて喜びを顕にした。仕事柄国内の様々な地域に派遣される為、自身の胸にポンと手を置くと自信満々なドヤ顔で案内は任せてと豪語する。)
ふふっ、では決まりですね。任せましたよユリウス。
(ミミが自身の提案に同意しユリウスも乗り気な様子を見せたことで計画の進展を確信したティアは上品に口元に手を添えて微笑んだ。今まで夢物語りのように漠然と憧れていた外の世界に一歩近付いたことはティアにとってこれ程までにない高揚感をもたらしたようだ。)
>618
名代…ですか。確認致しますので少々お待ちください。
(会食に代理の人間を出席させるという異例の事態に受付嬢は困惑した様子で表情を引き攣らせた。良からぬことを企む不審者の線も考えたが、手渡された招待状は明らかに本物であり、レドの振る舞いを見る限り不審な点は見当たらない。門前払いする理由もなく、判断を主催者であるアリシアに仰ぐべく受付嬢は足早に一時離席した。)
お待たせ致しました。ライデン様からのご許可を頂きましたので会場までご案内致します。
(戻って来るなり受付嬢は「お待たせ致しました。」とぺこりと頭を下げてから淡々とした口調でアリシアの許可を得た事を報告する。要した時間は一分程であり、アリシアとの会話の時間を除けば移動時間は十数秒であろう。会場までの道中を全力疾走してきた事は明らかであるが息のひとつも切らしておらず、客人を待たせまいとする高級店勤務としてのプロ意識が余程高いようだ。そして、レドへ背を向けると会場までの道のりを先導して歩みを進める。通路の壁には美術館顔負けの絵画の数々が飾られており、この店の格が如何に高いものかを示していた。淡々と歩みを進めること五分、会場の前に辿り着くと純白の塗装に黄金のレバーハンドルと言った明らかに高級感漂う両開き扉を明け、レドに向き直ると「どうぞお楽しみ下さい。」と丁寧に頭を下げて中へと誘導した。)
ようこそレド殿。勇者様の名代でいらしたと聞いております。慣れない場に緊張していることかと思いますが心ゆくままお寛ぎ下さい。
(扉が開かれレドを視認するなりアリシアは先輩騎士達にお酌をしていた酒瓶を机上に置いて、客人として来たレドに主催者として颯爽と歩み寄った。やはりライデンの血筋だけありその顔立ちはクレアに通じるものがあり、仮に姉妹だと嘯いても誰もが信じる程であろう。レドの顔を見据えると上品に口角を釣り上げて歓迎の言葉を述べた。一見すると柔らかい物事の人物と捉えられるが、レドを見据えたその透き通った碧い瞳はクレアのものとは明らかに性質が異なる。機敏な者であれば気がつくことであろう、その瞳に宿る底なしの闇はまるで人を人とも思っていない、例えるなら獄中の重罪人のようなドス黒く濁った瞳であった。)
>619
ふふ、頼もしいねぇ。その時は色んな場所を案内してね、ユリウス!
(案の定ティアの提案をミミとのデートと捉え、喜ぶユリウスを見ては心の中でガッツポーズをして。異端審問官のユリウスならこの聖教国に詳しいはず、当然ティアの故郷等がわかる場所にも心当たりがあるはず…あとはユリウスにティアの故郷について興味を持たせれば、情報が手に入ることがほぼ確定したようなものだ。次の依頼でユリウスの言うデートをする時が来たら、案内をよろしくと笑みを浮かべながら伝えて。難しいと思われた脱出に大きな一歩を踏み出せた、恐らくティアは平静を装ってはいるが気分は高揚しているだろう…となれば、問題は脱出した後だ。カグラのような刺客が送られる可能性が高い…が、幸い自分の周りには強い者達がたくさんいる。自分も含めて、皆でティア達を守ろうと考えており。)
>620
かたじけない。
(どうやら参列を許されたようだ。真顔のままふっと一息吐いて安堵し、ギルドとはひと味違う内装や女中の洗練された有り様を目に焼き付けながら、受付嬢の後をしずしずと付いていく。そしてひときわ豪華な扉の先でアリシアと対面すると、その様相に目を見張った……なるほどレイラさんが気後れするわけだ。一見淑やかだが、そのドス黒い眼光はまるで殺人鬼、いや魔物のよう。そしてレイラさんの直情的なそれとは異なる、得体の知れない威圧感がある……ろくな人物ではない。しかもこれが剣士の模範たる清らかなクレアさんと似ているのがまた、紛い物を見せられているような嫌悪感を覚える……)
これはライデン閣下!「勇者」レイラ補佐役・レド、閣下に参列をお許しいただけること、光栄に存じます。本日はよろしくお願い申し上げます。
(が、そんな悪感情はおくびにも出さず、爽やかな笑顔でアリシアに一礼して。自分は本来門前払いされてもおかしくない立場。何はともあれ出席を許してもらえたことは感謝すべきだろう……これも社会勉強、と割り切ってこの場に臨む所存だ。)
>621
うん…!楽しみだなぁ。
(二人に頼りにされたことからユリウスは顔を赤くして照れた様子で頬をかいた。ミミとの国内旅行に心を踊らせながら、窓の外へ目を向けて想像を膨らませる。そうしていると景色の一部に既に大聖堂が姿を覗かせており到着が近いことを示していた。)
………
(大聖堂が近付くに連れてティアの顔色は徐々に悪くなり、終いには俯いて黙り込んでしまった。おそらく大聖堂へ帰ることが余程憂鬱なのであろう。依頼も終盤に差し掛かったことで、ミミ達との夢のような非日常が終わり、しばらくは欲望渦巻く聖堂内の政治闘争に心をすり減らされることとなる。窓の外に見える大聖堂を眺めるティアの瞳は只でさえ光を宿していないにも関わらず一層影を落とした。)
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