名無しさん 2024-07-10 19:40:52 |
通報 |
名前:ヴァンス・グレー
年齢:17歳
性格:
自分を大きく見せようと気が強く、誰であろうと相手を見下し頼ろうとしない。地頭の良さと手先の器用さを持ち合わせているため課される仕事は卒なくこなせる一方、両親に見放されてから自己嫌悪・自暴自棄になったことも相まって他人から嫌われることに慣れており、折檻を受けると分かっていてもあえて反抗的な態度を取ってきた。
疑い深く素直に受け取れなかったり返し方が分からず慣れていなかったり、優しさと長い間縁が無かっただけで受けた恩を気にして返そうとする情の厚さはある。もしかしたら苦戦しながらも一途にお返しをしようと励む姿見られるかもしれない。
容姿:
黒く毛先が外向きに跳ねている髪を、後ろ髪は不揃いに切られ前髪は目を避けるようにM字型分けている。黄色みの強いアンバーの瞳を持ち、吊り上がった目尻から目つきが悪いと言われてきた。
身長は175cm。折檻の跡が残る身体の中でも、右の脇腹にある奴隷商の烙印と背中に広がる火傷の跡が一際目につく。現在の服装は白シャツに黒のパンツとシンプル。汚れやほつれが目立ちどちらもサイズが合わず手首や足首が見える状態だが、本人はあまり気にしていない。
備考:
>>3の境遇を参考に。
魔力は人並み程度。両親が置いていた古書の物語を読み耽けては想像に浸ることで暇を潰し、その習慣が根付いてしばらくしたとき物語に記載されていた魔法が実際に発現した。自然を扱う魔法が得意で前からしていた盗みや騙しに利用していたが、今は風魔法しか使えない。奴隷商人に売られて以降、栄養失調や精神不良を起こして魔力が衰弱した。魔法を使うことへの罪悪感は無く、身を守る武器のような認識をしている。
ある程度の痛みや罵倒には慣れているも、炎だけはどうしても怖い。何番目か、逃げ出したところ館主の趣味が悪く、鏡越しに自分の肌が焼かれる様を見せつけられ背中には大きな跡が残った。以降脱走癖は見られなくなり、躾の手段として度々炎が使われるようになった。幼い頃の習慣で活字に触れることが好きで、読書への興味がある。
「 あなたの言うことは何でも聞きますご主人サマって、言えば満足か?はっ、やっぱあんたぐらいの奴はどいつも単純だな。」
「 どこに行ったっておれにとっては地獄に変わりない。いや…1つだけ戻れるなら、なんてな。」
「 それくらい俺が1つ風を起こして、…冗談だよ。悪いことなんだろ、これって。」
(プロフィール確認しました!こちらからの変更点はありません。かわいい…家族構成など細かく知ることができて嬉しいです。青年のプロフィールも何か質問や希望かあれば対応します。 お気軽にお申し付けください。)
プロフィール拝見しました。此方からも変更点や質問等は特にございません!ヴァンスくんからお返しが貰えるように、ミアと共に頑張ります←
也を進めていく中で補足や不明点が出てくることもあるかと思いますので、その際はまたお互いに質問等しあっていけたらと思います!何かあればいつでもおっしゃってくださいませ。
也を始めるにあたって、町中でのヴァンスくんの描写から始めていただけると幸いです。酷い扱いを受けているところへミアが助けに参りますね!
問題無いようで良かったです!確認ありがとうございます。
ぜひ相談しながら進めていきましょう。必要な際は名無し様へお声掛けさせていただきますし、私へも遠慮なく!
それとお返事に数日空いてしまうような時も背後から予めご連絡させていただきます。お互い無理のない頻度で楽しめれば幸いです。
(こちらで始めさせていただきます。改めてよろしくお願いいたします!/返信不要)
っ、……こんなことして何が楽しいんだか。 (市街地の一角にある酒場で、革靴から受けた硬さと痛みを右頬に感じつつ呟く。店の外に用意された席で自分が主人の向かいに座ることはなく、机の脚に首輪と繋がっている鎖が結ばれてはそれにあわせて地べたに座り込むしかなかった。酒場の前を行き交う人々の目線を感じ、誰にも合わすまいとただひたすら俯いていたところ、しばらくして、目の前に肉片が疎らに残った骨が捨てられた。大方、主人が嫌がらせ自分に食わせようとしたのだろう。ただ地に転がされただけのそれを、奴が何を求めているのか理解できてしまったことに苛立ちそっぽを向いて無視をしたらこの有様。視界の端で捉えていた足が動き顔に蹴りを入れてきた。自分の思い通りにいかなければすぐに癇癪を起こすなんて、まるで子供だ。手が拘束されているため身を屈ませ、仕方なく骨を咥え口に含めば上から小さく嘲笑が聞こえてきた。それを確認すれば満足したのか目線は外され、こちらも骨を吐き出す。聞こえないくらいの愚痴を溢し、周囲からの目線も彼が満足気になぞる鎖も視界に入れないよう目を伏せた。)
──ごきげんよう、旦那様。…私、その子にとても興味がありますの、よければ、譲ってくださらない?
( 本当は屋敷の所有地から出てはいけないのだけれど、たまにこうして所有地を抜け出し町中を散策するのが息抜きとなっていた。時々様子を見に来る使用人にバレてしまうこともあるが、自分が何をしていようが“あの人達”は気分を害するので、言う通りにしようがしまいが対して変わりはない。
表通りを散歩することが多いところを、今日は勇気を出してあまり行かない酒場通りの方へ足を向けたのだが、とある酒場でとある男に堪らず上記を告げていた。
身元がバレないようにとローブのフードを目深く被っていたのだが、そこから除く翡翠色の瞳を目の前の男から頬を腫らした青年へと視線を移す。何やら様子がおかしいと陰から見ていたのだが、あまりの仕打ちに思わず飛び出してきてしまった。しかし、その動揺など微塵も感じさせず、背筋を伸ばして気品溢れる動作でローブの中を探れば、金貨がずっしりと入った小袋を取り出し、男へと手渡した。お金で解決するのは不本意ではあるが、このような人達を納得させるにはこれが1番有効的だろう。
最初こそ怪訝そうな顔をしていた男だが、袋の中を確認した途端に口元が綻び、机の脚に繋いでいた鎖を解いて此方の手へと握らせてきた。金を手にし上機嫌になった男が店内へと帰っていくのを見届けると、周囲からの視線やざわめきを気にしないフリをして、握らされた鎖は手放し、ゆっくりとしゃがみこんでは右手を青年に差し出した。)
さぁ、一緒に行きましょう。いつまでもこんな所に居ることないわ。
……ぁ゙? (喧騒の中から明るく曇りを晴らすような声が聞こえ、驚きが隠せず僅かに顔が上を向く。外で主人が変わることは珍しくはなかったが、女性の若く柔らかい声が掛けられたことは初めてで声の主の姿が気になった。見れば男は目の前に出た出された金に釘付け、こちらの多少の勝手は気づかなさそうでそのまま大金をそして声を出した彼女を見遣る。あまり大きく顔を上げられず表情は窺えなかったものの、振る舞いや身なりからして今の主人よりは高貴らしい。2人がやり取りを終え鎖が彼女へと向いたのを確認すれば、立ち上がって彼女へと着いて行った。男への興味は無く、鎖を握る彼女の手を眺めながら “若くして奴隷に手を出すなんて、” と勝手に哀れんでいた。するとその手が離され、鎖が重さに従い床に垂れた。鉄のぶつかる音を耳にして離れる瞬間を目にしてもなお、彼女の行為をすぐに理解することができず、思わず声を漏らす。呆然としていると地べたしか移さなかった視界に、翡翠の双眸が飛び込んだ。)
あなたが行けと命じれば、どこへでも行きますよご主人サマ。(双眸にこもる光にどこか苦手意識を覚え、思わず目を逸してしまう。それでも相手は構わず、今度は手のひらを差し出してきた。奴隷に対する扱いにしてはやけに丁寧で、対等で、相手の意図が分からず怯む。いきなり詰められた距離を整えるためにも、1,2歩後ろへ退き閉口し、短い間ながら考えを巡らせ出した答えは、彼女が奴隷の扱いへ無知である可能性だった。捨てられた鎖を拾い、差し出してきた手のひらへ乗せる。大抵初めは従順ぶれば、何事もなく家まで過ごせるだろう。少しも無い従う意識を表し視界から彼女の眩しさを外すためにも、彼女へ跪いて言葉を返した。)
………、そう。なら、私に付いてきてくださいな。家まで少し歩くけれど、傍を離れないでね。
( 差し出した右手に重なったのは彼の手では無く離したはずの鎖の重み。一度それをぎゅっと握り考えるが、直ぐに力を抜くと今度はゆるりと鎖を握ったまま、跪き業務的にご主人様と呼ぶ彼に対して優しく付いてきてと伝える。本当ならば今すぐにこの鎖を解いてあげたいのだが、ここでは周りの目がありすぎるし、返って目の前の青年を困惑させただろうかと少しばかり反省する。哀しきかな、表だけを見れば平和で穏やかな世界でもこうした後暗い扱いを受ける人間も大勢いる。とにかく家に連れ帰ろう、とそのまま来た道を戻ると、町外れにある屋敷の敷地へと向かう。とはいえ、敷地の正面から入ることはせず、遠回りをした後に着いたのは一軒の平屋。一人暮らしには申し分ない広さではあるが、木造作りで壁に蔦が這う様子をみるにあまり綺麗とは言えないだろう。軋む戸を開けて家の中へと相手を促すと、ローブを脱いで長い栗色の髪が広がる。)
ごめんなさい。あまり使いたくは無いのだけれど、他に方法がないの。
( 改めて相手へ向き直り、眉尻を下げて申し訳なさそうに謝罪を述べればそっと首輪へ両手を伸ばす。一瞬淡い光がピカりと輝いたかと思えば、次の瞬間には外れた首輪が手の中にあり、「これでいいわ。」と少しだけ安心したように笑顔を浮かべる。)
(彼女の言葉遣いは命令と言うには優しく、奴隷に掛けられるものとして受け入れ難かった。無言のまま言葉に反応するように立ち上がっては彼女に着いていく。その間も鎖が無理に引っ張られる事はなく、常に弛んで揺れる鎖が見慣れなかった。人混みが減るに連れて緊張も緩み彼女に悟られないよう顔を上げれば、ちょうど目の前に屋敷の先が写り息を呑む。この大きさなら資産家の中でもかなり上の立場に見え一瞬身構えるも、彼女が屋敷の道を逸れて進み出したことで警戒するどころではなくなった。あの屋敷にローブで姿を隠すことも矛盾を感じる上に、道を外れて歩んだ先は森の中。困惑が増すばかりだった。)
…なんで、笑ってるんだ。 (そのまま彼女へ着いていき、招かれた先は先程の屋敷と同じ敷地にあるとは思えない家屋。自分に与えられる空間にしては豪華すぎるしあの屋敷の一家であろう彼女にしては質素で、室内へ足を踏み入れながらも周囲を見渡してしまう。その勝手な行動に気付いたのか、彼女から声がかけられた。咄嗟に彼女へと視線を移し、一瞬、ローブが無くなった姿を捉える。想像よりも若い、20代くらいの女性。綺麗だった。驚き謝罪が遅れ、口を開く前に手が首元に伸ばされ身を強張らせる。彼女の本性でも現れたかと諦観していると、視界の端で光が走った。反射で細めた目を戻せば首元が軽く、彼女の手のひらに自分が着けていたはずの首輪があり戸惑いから自身の首元を擦る。彼女とそれを交互に見遣りつつ、魔法が使えるのかなぜ彼女が、と気になるところが次々と湧いて仕方がなかったが、まず口を衝いたのは上記の疑問だった。)
ちゃんと外せて嬉しいからよ。…あとは、そうね…家の中にお客様がいらっしゃるのは初めてだもの。
──とはいえ、少し強引に連れ帰ったようなものよね。ごめんなさい。
( 相手からの予想外な質問にきょとんと首を傾げるが、また直ぐに柔らかな笑顔を浮かべて首輪を持つ手を小さく掲げた。そして、後でちゃんと処分しようと部屋の片隅に置きながら、客人が来たのが初めてだからと肩を竦める。だが、客人というには金で買ったような形になってしまったし、そのまま相手の意見も聞かずに連れてきてしまったので少しばかり申し訳なさそうにして謝罪の言葉も口にする。)
私はミア・ウィルソンと申します。気付いたかもしれないけれど…その、魔法が使えるの。普段はあまり使わないようにしているのだけれど、貴方のその傷を治させてくれないかしら。
(ふと自分が名乗っていない事に気が付くと、慌てて自己紹介をし魔法が使えることを打ち明ける。先程使ったばかりで隠していても意味は無いし、相手の頬の傷を治すのだって治癒魔法を使う方が早い。命に関わる大きな傷や酷い火傷などは跡まで消せなかったり完全に治らない事もあるが、ある程度の傷ならば痛みも直ぐに引くはずだ。)
はっ、…奴隷を客扱いか?俺が逃げ出すとかあんたに歯向かうとか考えないのか?…あぁそれとも…、魔法が使えるから余裕とでも言うつもりか。(彼女の返答を聞き、鼻で笑ってしまう。外から招き入れる分には確かに客と変わらないが、奴隷は奴隷だ。冗談だと思いたかったが、先ほどと変わらない真っ直ぐな笑顔に嘘は感じられず、相手の意図が汲めないことに苛立ちを覚えた。前の主人の方が単純だったなんて片隅で思い出していると、彼女の名前が耳に入り目を丸くする。ウィルソンと言う姓はどこかで、他の主人の話か捨てられた新聞かで見かけた有名な資産家だったはず。だがミアという名前は_記憶を探ろうとする前に魔法という言葉で引き戻された。何を企んでいるか分からないが、奴隷に好意的な奴を簡単に信じて良い訳がない。本性を引き出そうと敢えて挑発的な態度を取り、腫れの残る右頬を抑えて治療を拒む。小さく言葉を紡いで感情の昂りに合わせ、自分にだって抗う手はあるのだと彼女に対し向かい風を起こした。)
(そういうつもりは無い、と慌てて弁解しようと口を開くが言葉を発する前に強い風を受け、堪らずぎゅっと目を瞑り両手を顔の前に翳して保身を取る。自然現象とは考えづらいこの風は彼が自ら発生させているものなのだろうか、同じく魔法が使えるのだとしたら、彼がどのような仕打ちを受けてきたのか少しだけ分かった気がする。魔法を“悪”とするこの国で普通に暮らすのは、難しい。彼の場合は単純にそれだけが理由では無いかもしれないけれど、警戒心が積もるのも無理はないだろう。)
1つだけ分かってほしいの。貴方は、もう奴隷じゃないのよ…!
逃げ出しても、私に刃向かってもいいの。
だけれど、あちこち傷だらけだし休んで欲しくて。それに、少しでいいから…私と、居て欲しいだけなの。…だって、1人は寂しいわ。
( 向かい風に対して抵抗することも無く、風の音に負けず彼へと届くように声を発すると、1番にもう奴隷などではないと真っ直ぐ伝える。彼をここに縛る理由なんて無いし、嫌ならば逃げてもらっても構わない。…いや、本当は逃げて欲しくは無いし彼の傷も治してあげたいのだが、自分の底にある本音はきっと最後に放った言葉に隠されている。酒屋で見た時、あの男から助けなきゃという一心だったが、このまま一緒に居てくれたら、なんて考えてしまう。しかし、無理に引き止めることは出来ない。自由に生きられる素晴らしさに勝るものは、きっと無い。家の名を汚さぬように、隠れて生き続けなければならない自分と彼は決して同じでは無い。風により乾燥した喉がゴホゴホと咳を出せば、ごめんなさい、と小さく呟いた。)
……なんにせよ、貴方にとっては自分勝手よね。
(力には力を、今までそうされてきたようにきっと彼女も捻じ伏せてくる。魔法を持っているなら尚更。なんて考えながら身構える彼女を見下ろす。徐ろに動いたかと思い警戒すれば、見せたのは魔法の光りではなくあの明るい声と優しい翠の瞳で、どちらにせよ自分にとっては眩しく顔を俯かせてしまった。声だけは風を割いて嫌でも耳に届き、彼女の表情は分からない。だが、第一声から次第に勢いが弱まっていくのは感じられ次第に胸が痛くなった。頬から胸元へ抑える手を移し、言葉を咀嚼しようとするもすぐには呑み込めず、いきなり自由を与えたくせに寂しがる相手へ答え方が分からなくて眉間に皺が寄る。考えに耽るうちに風は弱まり、彼女の咳を聞いて思わず魔法が止め、そこでようやく随分と弱々しくなった相手に気付き自分がしたことがまるでこれまでの主人みたいで息が詰まった。)
っ……“貴方” じゃない、…ヴァンスだ。ヴァンス・グレー。(しんと静まった家屋の中、罪悪感からくる苦しさを少しでも楽にしようと口を開く。謝るつもりだったが、相手より下手に出ることが怖くて話題を逸らすように名を名乗った。これでお互いの名前が分かる状態、それだけで少しは対等になれた心地がして力が抜け、途端、体の疲れを自覚する。気を張って魔力を消耗し、目の前の主人_いや、奴隷として扱ってこないのであれば名前で呼ぶべきだろうか、ミアの言葉にひたすら思考を巡らせて。満足な食事も摂れていない身体が疲弊するには充分で、改めて彼女の言葉を思い出し、この家の主が言うのであればとそのまま床に座り込んだ。本当はこのまま家を出ていったって良いはずなのに、彼女が感じる寂しさや弱らせた事実を放ってはおけなくて面倒くさい感情を抱いてしまった。自身に呆れてため息をつくと胡座をかき、両手は後ろに回して抵抗の意が無いことを表しつつ、彼女の機嫌を取り戻そうと横を向いて腫れた右頬を彼女へと見せる。) 治すんだろ、これ。…もう風を起こす気も無い。
…! ヴァンス。素敵なお名前ね。
( 風が止むのを感じ保身のために翳していた両手を下げてちらりと相手の方を見やった。すると、相変わらず視線は交わらなかったが、彼が名を名乗った途端に目を見開いてぱっと笑顔になる。初対面で不躾かとも思ったが相手は自分よりも年下のようだし、変に畏まった言い方をするよりも呼び捨てのほうが良いかと彼の名をそのまま復唱した。そして床に座り込み、今度は大人しく右頬を差し出してくれる彼の姿に、ふふ、と小さく微笑みを向ける。まるで警戒心の強い野良猫が少しだけ歩み寄ってくれたようで嬉しいのだ。)
そんな所に座っては身体が冷えてしまうわ。こちらにいらっしゃい。
( とはいえ、ひんやりとした床に座らせて置く訳にはいかず、ぐいと彼の腕を引いて立ち上がらせると、ダイニングにある椅子へと優しく促して。彼の腕に触れた時、自分よりも背の高い年頃の青年にしては細くどこか頼りないその身体に人知れずショックを受けた。きっと大人達への憎しみや警戒心は尋常では無いはずだが、ここでは少しでも安心して欲しいな、と心の中で呟く。そうした気持ちを込めて腫れた右頬に優しく触れると、再度淡い翡翠色の光が表れ、ほんのりとした暖かさに包まれながら腫れや痛みが退いていく。久しぶりに対人へ連続して魔法を使ったものだから少しばかり疲れて小さく息を吐き、「これで良いわ。…お茶も淹れるから、そのままゆっくりしていて頂戴ね。」と微笑みかけると、添えていた手を離してすぐ側にある台所へと足を向けた。)
(名前に対して素敵だなんて自分ですら久しく抱いてこなかったものを、会ってまだ少ししか経っていない相手に言われるなんて。感情の処理に戸惑いつつ出方を窺おうと横目で彼女を捉えると素直に嬉しさが表れた微笑みを浮かべており、先程の曇った表情が晴れて安心した。するといきなり腕を掴まれた。いきなり距離を詰められたことに驚くも、優しい力には振りほどく気にはなれず大人しく促された椅子に座る。手当てに協力するつもりで頬を向ければちょうど彼女の手が触れ、残り続けていた痛みや腫れがすぐに無くなっていくのが分かった。人を癒やす魔法を初めて目の当たりにし感嘆していると、彼女はてきぱきと台所へ席を外した。謝罪もお礼も言いそびれてしまった。)
…少し、少しだけなら。(ずっと向けられていた真っ直ぐな瞳が外され視界から彼女の笑顔が見えなくなったことに安堵感があった。ただ、ゆっくりと言われてもこんな扱いは初めて。ひとまず力を抜いて背凭れに身を任せてみるが、目線は泳ぎ、状況を理解しようと改めてこの家を見渡した。質素な造りに本来なら木の温かみが感じられそうだが、1人で暮らすには広く空白が目立ち、それが彼女の言う一人の寂しさを助長させるよう。わざわざお茶を淹れに行くあたり本当に自分を客として見ていると思えるものの、それにしては人を迎える準備がされていないような簡素な室内に彼女の猪突猛進さが窺え、色々考え警戒していた自分がなんだか馬鹿らしくなった。向かい風の中彼女に掛けられた言葉を借りて、留まり休まるのも少しだけなら良いのかもしれないと彼女の背をぼんやりと眺めて呟いた。)
(/相談です。一区切り展開が落ち着きそうだなと思っているのですが、お茶をしたあとどのように場を動かしたいかはありますか…?)
…静かな家でしょう?大抵は庭の畑や草花の世話をしたり、書斎の本を読み耽って過ごしているの。今日は久しぶりに町へ抜け出してみたのよ。
( 背中越しに聞こえてきた小さな声にもう一度ふふ、と笑うと、ポットの湯を沸かしついでに隣のコンロに乗せられた鍋も火にかける。夕飯時だし、ついでに自分もお茶と食事をしようと思っているのだが、彼にも出したら食べてくれるだろうか。そんなことを考えながら、相手が部屋の中を見渡しているのを知ってか知らずか上記を述べる。屋敷に比べたら大分質素な暮らしだが、周囲の人達に無視され詰られて暮らすよりも幾分平和だ。寂しいというのも本心だが、それでも今の暮らしは割と気に入っている。)
あまり面白い物は無いけれど、良かったらあとで書斎にも案内するわ──…、あ、勿論、興味があればだけれど。
( 棚から食器等を準備しながら、誰かとこうして話すのは久しくてつい浮ついた声音で話しかけてしまい、途中、独り善がりに話していることに気が付きハッとなる。書斎に案内すると言ったって書斎にあるのは屋敷からなんとか持ってこれた歴史書等の古書ばかり。他にも様々な種類の本は置かれているが、彼が本好きかどうかも分からないのに、余計なお世話だったかしらとと内心1人で反省する。)
(/ 食事をしたり部屋に案内したりしながら会話を通して少しづつお互いのことを知り、適度に時間を飛ばしつつ翌日を迎えても良いかなと思っておりました!そこでミアの妹なんかが気まぐれに訪ねてきて、ヴァンスくんにとってミアの境遇が垣間見える展開にしても良いのかなと…!
他にもご所望の展開等があれば仰ってくださいね!)
あ、あぁ…静かで、落ち着いている。(息を抜いて気を休めていたものの、彼女がコンロに手を伸ばして火が灯る音が聞こえると身が強張った。無意識に息を呑み、鍋の下で揺れる火に釘付けになる。あくまで料理に使うためのもので彼女に悪意はない、そう心の中で唱えては目を瞑って深く息を吐くが、見に染み付いた恐怖をすぐに無くすことは難しかった。幸いにも彼女は気付いていないようで普段の過ごし方を教えてくれて、火を気にしないようにと目を伏せて視界からコンロを外したまま言葉を返す。上手く返答できたかは分からないが、火が燃える音を誤魔化すのに彼女の優しい声はちょうど良かった。)
…行くよ。少なくとも、気に入ってる本くらいはあるだろ。(火に意識が引っ張られる中、書斎という言葉が耳に入り目線が上がる。資産家の書斎なんて宝の山で、どんな本が置かれているのだろうと、次第に火の音が遠のいていき想像が膨らんだ。反対に彼女の声はすぼんで消極的になってしまい、先程の思い切り距離を詰めて来た相手らしくない引き際に呆然とする。せっかくの機会を逃すわけにはいかず、今度はこちらから歩み寄ってみる。“面白くない”と言うがきっとそれは自分を気にしてこと、読書に耽る奴が言うような言葉とは思えなかった。)
(/お心遣いありがとうございます!自分も時間を飛ばすの賛成で、希望で言うと、ヴァンス目線で書斎が気になるのでそこはロルを回せたら嬉しいです。その他のスペースの詳細は今は省いても良いかなと…。
ソフィちゃんのことプロフィールを拝見してからずっと気になっていました() ヴァンスもミアちゃんについて気になることが沢山ありますし、疑問を解消させるのにも丁度良いと思います。ぜひその展開でお願いしたいです。)
えぇ、気に入っているものばかりなの!ぜひ紹介させて。
でも、その前に…、お腹が空いてしまったから貴方の分も用意しちゃったのだけれど、良ければどうぞ。
( 此方へ歩み寄ってくれる言葉にふわりと笑って嬉しそうに頷くと、紅茶の入ったカップと具だくさんのシチューに胚芽パンを添えた皿を相手の元へ配膳する。続いて自分用の皿を配膳するのだが敢えて相手と向かい合うことはせず、4人用のテーブルで一席ズラして用意した。彼は受け答えこそしてくれているが、まだ此方への警戒を完全には解いていないはずだし、合わない視線のことを思えば、顔を合わせるのが苦手なのかもしれない。少しずつ歩み寄って来てくれている彼に対し、此方も距離を詰めすぎないように気を抜けなければいけないわ、と思いつつ、丁寧な所作でカップを持ち上げて紅茶を一口のみ、スプーンを手にすると暖かいシチューを口に運んだ。今朝作っておいたシチューを温めただけに過ぎないが、料理の腕にはまだ自信があるし気に入ってくれるといいのだが。)
( / 承知致しました!では、この後は書斎に案内して、ヴァンスくんかミアが本を読みながらうたた寝してしまい、そのまま翌日に時間を飛ばしましょう。
翌朝、日課である庭の世話をしている所にソフィちゃんを投下しますね。意地悪な妹にヴァンスくんが見つからないよう咄嗟に隠すミアですが、ソフィとミアの会話を聞いて出てきても良いですし、隠れたままでも良いですし…そこはお任せ致します!)
ぁ、悪い、(彼女の明るい声色を耳にしあまりに素直な感情表現に口元が緩むも、何か運んでくるのを見て背筋を伸ばす。出会ってから次第に懐柔され、警戒というよりは気の抜けた自分を晒すことへの気恥ずかしさに近い。彼女の前でどうあれば良いのかまだ掴めていない心地がした。そうして目の前に出されたのはお茶だけでなくシチューにパン、鍋に火をかけたのはこのためかと今更気付く。彼女が斜め向かいに座るのもきっと自分への配慮だろう、なんだか与えられて気を遣われてばかりだ。相手が先に手を付けるのを確認してからパンを一口齧ってみる。柔らかい食感や優しい味に食欲が刺激されたのか1,2口また食べたところで、はっと行儀の悪さを気にしばつが悪そうに手を止めた。)
あんたって、ずっとここに暮らしてるのか?あっちの屋敷じゃなくて。(今度は気を付けながら恐る恐るシチューへ手を伸ばす。クリーミーな味がパンで乾いた舌に丁度良く、口へ運ぶスプーンが止まらなかった。空腹を満たそうと美味しい食事に夢中になり会話も忘れてしまって、ある程度満足したところでカトラリーの音だけが響くことに気まずさを感じ相手に質問する。自分を買った相手について知っておきたい気持ちもあるが、先程から湧く疑問を解消させてもどかしさを無くしたかった。)
(/了解です。ヴァンスどんな反応するんだろう…2人がどんな会話をするのかも楽しみにしています。/返信不要)
…10つになるまでは向こうで暮らしていたわ。今は私以外…父と継母と異母妹が向こうに住んでいるの。
( 彼が食事に手をつけているのを横目で確認すると、口角を上げて嬉しそうにするが特に言葉を口にすることはなく、静かに食べる様子を見守っていた。自身もシチューを口に運び半分ほど食していたところ、ふと問われた言葉に動かしていた手を止めて紅茶を一口飲む。記憶を辿ると妹が産まれたあたりから屋敷の中に居場所は無かった気はするが、思い返すと10歳頃までは屋根裏の部屋で過ごしていたように思う。1人で生活できるようになってからは使用人のいないこの家に移り住み、いつの間にかこんな年になってしまっていた。と、ここまで考えてから自分の年齢を明かしていなかったことに気が付き。「今は23よ」と付け加えてにっこりと笑う。10年以上もここで過ごしていると思うと我ながら長いと感じるし、今後もきっとここに居続ける事になる。私を逃がしたところで、いずれ私の正体がバレ、魔女がいたと世間に知られるのが恐ろしいのだろう。かといって始末する度胸もないあの人たちは、こうして支配下に置いておくことしか出来ないのだ。まぁ、その思惑にまんまと囚われここに住み続けている自分もなんとも情けないのだが。
もう一度止めていた手を動かしてシチューを口に運ぶと、咀嚼と嚥下を終えた後に相手へも質問を。)
ヴァンスはいくつ?
へぇ、あっちに買われなくて良かった。(恐らく屋敷にいる方がよく新聞や噂話で出てくる“ウィルソン家”なのだろう。両親2人に娘が1人、ミアという名前の者は聞いたことが無かったが、この状態ならそれも納得がいく。魔法が使えることだったり血が繋がっていないことだったり、そんな理由を勝手に向こうが押し付ける様子が簡単に想像できた。上流階級だからといって人格者と言う訳でも無いらしい、そう思うとミアにあの酒場で買われて良かったと思えた。…が、23であそこに踏み入っていきなり酔った男に話しかけるのは無鉄砲が過ぎる気がした。彼女の笑顔に呆れ、裏目に出たらどうするのかとため息を吐いた。)
17だ。少なくとも、あんな大金を出して買う年齢じゃないな。(彼女の話を聞きつつ食事していたらふと自分の年齢を聞かれ、まさか自分にも尋ねられるとは思わず手が止まる。数秒悩んだ後、先にパンの最後の一欠片を口に放り、残り僅かになったシチューで流して食べ終えてから答えた。自分の境遇について聞いたところであまり良い気はしないだろうし、何より、話すことで仲が深まることが彼女に頼りっぱなしの状況から退けなくなるようで怖くて、触れられまいとあえて自虐的なことを放った。空気を濁すようにぐっと紅茶を煽り、「…ごちそうさま。」と空になった食器を前に呟く。自分ができることからお返しをしようと思うも勝手が分からず、彼女が食事の用意に移っていた台所と食器を交互に見遣っては結局彼女に尋ねることにして。) 食器はどうすれば良い?…何でもあんたに任せるのは気が引ける。
トピック検索 |