初心者 2024-07-06 22:26:34 |
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……やっぱり難しいよな、アレ。
(カズハも溜息をつきながらレンの近くへ座る。難しいと思っているのはレンだけではなく、カズハものようで……)
……なぁ、レン。音海さんのあのリンの曲を聴いてどう思った?
(カズハはレンにそんな質問をする。長調のあの明るい曲を聴いてどんな感想を思ったか。この返答によって解法は変わると思ったようだ。)
レン「…、…ふつーに作曲自体も、リンの感情の入れようもすごいと思った…、…暖かいあの世界観も初めて知ったし…。…俺も、歌ってみたいって…思った…けど…この声が曲に合ってるのかも分かんねぇし、人を安心させるとか、恋愛、だとかわかんない…。」←伏せ目がちにぽつりぽつりと言葉を出す
……正直それは俺もなんだよな……この歳になって恋愛はゼロ、なんなら虐められてたから安心とかにゃ無縁だったからさ……
(カズハの目からも色が消える。結論から言えば、『これこそが本来の彼』だ。あの目の色のある彼はレイやKAITO、MEIKO、リンが居るからという理由の演技である。安心なんて言葉からは程遠い、ただ言葉と概念だけ知っているような状態。レイが『理屈はわかっているけど感情が籠っていない』と評したまさにそのままなのだ。)
……いや、レンは悪くない。というか2人とも悪かないさ。どっちも目標に向けて頑張ってる、それで良いんよ。もちろん、過度な頑張りはダメだぞ?俺も曲を作る時、レンに制限時間なんて一度も設けたこと、ないだろ?いつか出来りゃいいのさ。
(目の死んだまま、カズハは笑ってそう言い、レンを軽く抱いた。レンのマスターとして、『本来の黒野一波』として。本音をレンに言ったのである。出来ないことを咎めはしない。自分だってできていないんだし。ただ、努力をしない事には始まらないしそれをしているレンは立派である、と。勿論、カズハは結果は大事にする。でも、その結果に掛ける時間は問わないのだ。)
……よし、よく言った。正直俺もレンも何回も失敗すると思う。それでも向かう先は一つ、曲の完成だから。失敗する度に嫌な思いはするかもしれないけど、それも成功への糧。頑張ろ、レン。
(カズハは結果主義である。ただ、結果主義とは言っても最後にしっかりとしたものが完成すればそこまでの過程は問わないというものなのである。何もかも中途半端、もしくは殆ど何も出来ていないのに完成として出すのが嫌なのである。)
……どうする、もうちょい休んでから行くか?さっきも言った通り、過度な頑張りは厳禁だからな。
(カズハはそのようにまた死んだ目で言った。二人でいる間ぐらい、普段の自分をと思っているのであろう。)
ん、そうか。んじゃ行こうか。
(レンの答えを聞いては彼の目に色が戻る。言ってしまえば演技モードと言うやつだが。そしてレンの前に出てレンの部屋の扉を開け、先に出て、扉を持っておく。エスコートのような形になっている。)
戻りましたよー。
(カズハはちょっと服をパタパタとさせつつ広間へ戻るとそのようにレイ達に戻ったと伝える。……知らない間に腰に湿布が貼られているが、実はレンの部屋に入る直前につけたもの。……レンから貰って貼り忘れていたのである。)
レイ「あ、おかえりなさい2人ともー^^」
レン「…うっす…」←レイに返事をする
リン「れぇーん!あたし教えてあげよーか?」
レン「いいっ、自分で考えるっ」
……そこは相変わらずなのな。
(レンとリンの2人の会話を聞いては思わず苦笑いしてそのように呟き、パソコンを再び開くと作業を開始して。)
まぁ、こんな感じだからさ。やろうぜ。
(カズハは笑ってそのように言った。でも苦笑いではなく普通の笑顔。カズハにもレンと同じく気合いが入っているようだ。)
レイ「え、あ、はい。…もう1回曲流しますね^^」←マウスでクリックし、曲を流し始める
レン「……、っ、…♪~」←ゆっくり瞬きし、歌い出す
レイ「!…」(声、変わった…?)
レン(温かい…さっき、マスターが抱きしめてくれた時は…心が温かった…それくらいしかねぇけど、それを歌に乗せれたら…)「♪♪~」
レイ(心込めてくれてるねぇ^^)
……
(レイの肩をトントン、と軽く叩く。声を出さなかったのはレンの邪魔をしないためである。そして近くのメモ帳に『こんなもんでどうでしょう』と書かれている。)
レイ「!…^^」←グッと親指を立てて返事をする
ーーーーー
レン「♪~……っはぁ…」←歌い終わったと同時に緊張が溶けて息が漏れる
レン「っ、俺っ」←喜びを口に出そうと口を開ける
リン「なぁんだぁ!歌えるじゃんレンー!♪」←レンに抱きつく
レン「ぅわっ!?」
喧嘩するほどなんとやら、だねぇ。
(そういう彼も調声が上手くいった事に安堵しており微笑ましいと言った顔でリンとレンを見ているが、内心それなりに喜んでいる。)
励ましたりしたぐらい。あとはレンの心がああさせてるだけ。別に改造とかはしてないさ。
(カズハはパソコンで調声を少し微調整(そもそも音程やテンポが若干ズレていたところを治している)しながらそのようにレイに小声で答える。)
レイ「ほぉ…。まあ、ボカロがソフトだけじゃなく心含め人型のボディで売られてから、心を込めるって事が出来るようになりましたもんねぇ。本人の感情が豊かになればなるほど歌い方のレパートリーが増えるのって良いですよね」←微笑みながらカズハに返答する
リン「でもれぇーん!もっとさ!きゅんきゅんっ!って感じが足りないよーっ!」←レンに抱きつきながら
レン「しらねーよ何だよそれ!離れろー!」
……ただ問題はあるんよね。……
(そういうと、近くのメモ帳にサラサラとまたメモをしていく。『恋愛の心をどう伝えるか』カズハはそのように書いてはうなだれた。)
レイ「んー、レンきゅんは恋したこと無いかぁ…」←腕を組みレンを見る
レン「っ、恋って…俺らロボットだし…」
リン「リンはね、知ってるよ!漫画でいっぱい学んだからねっ!」←レンから離れふんっと自慢げに胸を張る
ついでに言うとマスターも完全に天涯孤独でございます故知らないのでございます。
(また机にペショリと突っ伏してカズハはそのように、嫌に丁寧な言葉遣いでそのように言った。完全に陰の世界に生きる者、彼女が出来ないのは当然とは言わないまでもよくある話である。)
レイ「え、えーっ…と、わ、私もフリーなんで!!!大丈夫ですよこれからこれから!!!!」←汗だっくだくでなんとかカズハのフォローに入る
リン「良いよね~リンも本当の恋してみたぁい♪」
レン「…マスターに恋人…」←ぼそりと呟きカズハを見る
はははっ!!というかまぁ一生作る気がそもそも無いけどね、こればっかりは。
(レンが呟いて自分の方を見たのをカズハも確認すれば高笑いして即座に否定する。カズハにはそもそも結婚願望がない。レンが居るから恋人なんて要らないのである。……もっとも、レンがそれに気が付いているのかはカズハも分からないが……)
レン「…、ふ、ふーん…」(なんか、ほっとした…?)←唇を尖らせながら目をそらす
レイ「えー!勿体ない顔良しでまだ若いのにー」←カズハに
……そもそも曲作ってる時間と彼女とか作る時間天秤にかけたら圧倒的に曲作ってる時間の方に傾いて物理的に両方落ちるレベルだから。んな事考えるだけ無駄なのよ。
(カズハは口を尖らせてそっぽをむくレンを見てクスッと笑ってそのように言う。マジで考えていないようだ。)
レイ「でも、色んな経験積んだら色んな曲を…」
レン「だー!もういいの!無理にするもんじゃねぇーんだろ!!」←レイの言葉を遮るように大声を出す
ま、考え方は人それぞれってことだ。
(なお、実際はと言うと別の理由が存在する。誰か人の心を読むことが出来そうな人、ボカロが居ればそれを見抜けるかもしれないが……)
レイ「す、スミマセン…(苦笑)」←レンとカズハに謝る
レン「ったく、…もっと練習するから、それでいいだろ…」←ぷくっと頬を膨らませながら
まぁ……俺らが多分もう二度とやらないだろうからな、このジャンル。サイコで明るくは有り得るかもしれないから参考にはなるけど。
(カズハも苦笑してはそのように言って。今回の経験を元に完全に明るい曲を作る気は毛頭ないようである。)
レイ「うわ、貴重ー!じゃあもっといい感じに完成させたい♪もっとレンくんが気持ち乗れるように音作りしよっと♪」←ぽちぽちとPCをつつきながら
レン「ぅー…」←苦手なものを見るようにレイのPCに目線を飛ばす
……
(カズハは心の中で頑張れ、とレンにエールを送る。……声に出さなかった理由は流石にみんながいる前だと小っ恥ずかしいからである。)
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