名無しさん 2024-06-23 15:07:43 |
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( 抱きしめてくれる力強さと伝わってくる体温をゆっくり感じながら、相手の言葉を静かに聞いていた。震える声と鼻を啜る音から察するに彼は泣いているんだろうか…腕に添えていた手を背中に回すとゆるく抱きしめ返し、心の中でホンマにア ホやな と呟いた。──彼の気持ちはよく分かる。というのも、彼らアイドルは暗黙の了解として恋愛は御法度的な空気がある。正式に恋愛禁止という訳では無いが、たくさんのファンに夢と希望と愛を届けている以上、それ等を壊すようなことは彼らのイメージダウンに直結する。しかも、よりによってこんな年上のお笑い芸人、おまけに男に告白するなんて。…まぁ、それに応える自分も相当馬鹿だとは思うが、好きになってしまったのは仕方ない。隠してたって、きっとどこかでボロが出る。不安がないと言ったら大嘘になるが、この温もりがあれば、超、頑張れる。本人には言わないけど。)
俺がチョロいんは相手がお前やったからやろ。
そんな単純やったら、とっくにヤマちゃんと結婚しとるわ。アイツ、俺にめっちゃ甘いからな。
(顎を掬われ相手の顔を見ると、やはり泣いていたらしく赤くなった目尻と涙の跡が視界に入る。其れにそっと触れながら子どものように此方を揶揄う彼に、むっと目を細めてチョロいのはお前のせいだと言わんばかりに褒めているのか非難しているのか分からないことを言って。しかし、直ぐにふっと笑うと相方の名を口に出し言い返した。「 ま、心配せんでええって 」と言葉を続けると、もう癖になってしまったように自然と手を伸ばして頭をぽんぽんと撫でる──が、その時、スマホの着信音が鳴り響き慌てて取り出すとマネージャーの名前が表示されている。─…やば、マネのことすっかり忘れとった。電話に出ると、『 あ、ユキさん?打ち合わせ今終わったので、3階の会議室来れます?』との事だった。)
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