名無しさん 2024-06-23 15:07:43 |
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( しびれを切らしたように脱衣所へと入ってくる相手に圧され、1、2歩と後退りする。軽率に返事をしてしまった事を後悔しつつ、目の前でシャツを脱ぐ相手の姿に思わず視線を逸らしてじわじわと熱くなる体温を誤魔化すように腰に巻いたタオルを意味もなく触ってみたりする。準備を終えたらしい彼に浴室へと押されると、うわ、とか、あぶなっ!とか言いながら結局は浴室に2人きりになってしまって。同性とお風呂なんて何度か経験あるが、いざこうなってみるとやはり状況が全然違う。ただの友達や家族ではなく、恋人が目の前にいるというだけでこんなにも恥ずかしくなるのは何故だろう。──いや、俺かて知らんし。なんてしょうもない自問自答をしながらも、ゆっくりとシャワーを手に取れば、相手の方へとそれを差し出す。)
……ん、髪も洗ってや。せっかくやし。
( 照れを通り越していじけているのか、視線を逸らしながらぼそりと上記を呟くと、近くに置いてあった風呂椅子へ腰掛けてくるりと背を向ける。歳下にこんな子どもじみたお願いばかりして羞恥心と共に情けなさも感じるが、恋人に甘えてるだけだし、と自分を何とか正当化しておく。)
(/ 申し訳ありません…。数日、なんて言いながら今日まで来ることが出来ず…。)
陽斗さん?そんなに照れなくてもいいのに、なにもしませんから心配しないで
( 彼が腰掛けたのを見届けて、照れた様子に声をかけながら、こんなに赤いなら少し温度を下げた方がいいかとつまみを回してシャワーの温度を調節する。勢いで乗り込んでしまったが、本当は気が気ではない。真っ先に冷水をかぶるべきは自分の方だと内心自嘲しつつ、緊張を悟られないように、ゆっくりと彼の背中へ手を伸ばす。指先が彼の肌に触れると、どくどくと鼓動が活発になっていく。ふと、正面の鏡に映った自分の表情があまりにもだらしないことに気がつき、慌てて頭の方へと手を動かして。シャワーの流水を彼の身体にかけていくと、黒髪に指を通して「力加減大丈夫ですか?」なんて気遣いながら頭を洗い始めて )
それにしても、陽斗さんがこうやって甘えてくれるのはなんだか新鮮で…ちょっと楽しいです。いっぱい甘やかしたくなります
( / お久しぶりです!いえいえ、なによりも返事をいただけたことがとても喜ばしいので、お気になさらないでください!
こちらも長くお待たせしたことがある身ですので…((
( 別に心配なんかしてへんわ!なんて反論しつつ、煩い鼓動をなんとか鎮めようと深呼吸をする。彼の手が背中に触れると、全神経がそこに集中している様に感じて鼓動は鎮まるばかりか余計に激しさを増すばかり。それでも、頭皮に触れ優しく髪を梳いてくれる手つきに段々と落ち着きを取り戻し、心地良さに目を瞑りながら、力加減を気にしてくれる相手に小さく頷く。)
……俺もな、自分で意外やねん。甘える、とか、苦手やと思ってたし、いい意味でも悪い意味でも自分に厳しくしとったから。
( 甘える姿を新鮮だと言われると、目を瞑ったままぽつぽつと話し始める。言われてみれば誰かに甘えたいと思ったことも今まで無かったし、甘やかしてもらえることを期待したことも無かった気がする。昔からの生活環境も影響しているかもしれないが、そもそも夢に向かってがむしゃらに突き進んできた故に、甘えるという選択肢が自分の中には無かったかもしれない。それに、自分でいうのもどうかと思うが、世話を焼く方がどちらかといえば性に合っていたから。
まぁでも、「こうして甘えるのもええもんやな」と、ゆっくりと目を開けながら、鏡越しに恋人の姿を捉えるとへへ、と嬉しそうに笑って。しかし、すぐさま今の小っ恥ずかしい状況を思い出すと慌てて再度目を瞑って、気になっていたことを口にする。)
……そ、そういえば、聞きたかってんけど、いつから俺の事好きやったん?ファンやったってことは知っとるけど、いつからそういう…好きやったんかなーって…。
(/ まだ、いらっしゃいますでしょうか?
何ヶ月も戻って来れずに大変申し訳ありません…、前回に引き続き、またも待たせしてしまいました。)
( シャンプーがもくもくと泡立ち彼の頭を包み込む。丁寧に前髪を掻き上げると、現れたおでこを見て不覚にもどきりとして。前髪上げてもかっこいい、というか可愛い…なんて密かに萌えの感情を抱きながら、彼の話に耳を傾ける。先ほど話してくれた家庭環境のことや、長年相方のヤマさんの世話係をしていたこともあり、甘え下手の自覚があるらしい。それならば、彼が心置きなく甘えられる唯一の存在になりたいと強く思う。移動が面倒だったら僕の背中に乗ってくれれば良いし、トロピカルジュースを飲んでくつろぐ陽斗さんを大きなうちわで扇ぐことだって喜んでやりたい。その域までいくと奉仕に近しいような、方向性が間違っているような妄想を繰り広げていると、彼の質問に意識を引き戻されて。若干照れくさそうに笑うと、彼の頭にシャワーをかけながら答えていく )
えー、改めて言うのはちょっと恥ずかしいですけど……。一目惚れ、ですよ。テレビで初めて見た時からずっと好きでした。
( ファン心に恋情が混ざっていると自覚したのは、初共演の時に直接顔を合わせてからだと思う。しかし見てみぬふりをしていただけで、潜在的に、ずっとずっと恋心は存在していた。稲妻が走ったような衝撃を受けてから、この人とお近づきになりたい、もっと知りたいって熱烈に追い続けた。これを運命だと言ったら、笑われちゃうかな。トリートメントまで流し終わり、次はいよいよ体か…と緊張した面持ちで柔らかなスポンジを手に取る。彼の背中をそっとボディソープの泡で洗いながら、無意識に耳元に近づくと仕返しの質問をして )
陽斗さんこそ、いつ僕のこと好きになったんですか?まさか絆されて仕方なく付き合ってくれてるわけじゃないですよね。ちゃ、ちゃんと僕のこと好きですよね…?
( / お久しぶりです~!お元気でしたか?またお返事をいただけて嬉しいです!こちらはしばらく期間が空いたこともあり今まで通り上手くロルを回せるか少し不安ですが、ぜひぜひまたお話を続けていけたらと思います!
えぇ!そうやったん?
…俺にリア恋のファンっておったんやなぁ
( 優しい手つきでモコモコの泡に頭皮が包まれると、目を閉じたままついウトウトとしそうになってしまう。そして、温かなお湯で泡が流されるのを感じながら、一目惚れ、だという彼の言葉には意外そうに驚きの声をあげる。てっきり、共演して仲良くなってからかと思っていた為、予想よりも大分彼は想いを寄せてくれていたらしい。“リア恋”だなんて少し揶揄ったように言いながらそれでも声音は浮ついていて、くふくふと愉快そうに笑っている。
髪を洗い終えたのを感じ濡れた髪を片手で再度かきあげて、ゆっくりと目を開け一息つくが、不意に背中に触れられて思わずビクリと反応してしまう。そもそも背中を流してもらう予定やったし、なんでビビっとんねん、と内心自分にツッコミを入れつつ平然を装うとするが、耳元で響く相手の声に分かりやすく顔を真っ赤にして振り返る。「す、好きやし!なめんな!」と相手からの質問返しによく分からないキレ方をしつつ、いつからだったかと思い返してみる。)
俺は…ぁ、あの日や、お前が!酒飲んで!告白してきて、挙句忘れた日!
……自覚したのはお前に告白されてからやけど、メッセージ送られてきた時も嬉しかったし、誘われたのも嬉しかったし、あの頃の時点で大分、好きやったと思う…。大体なぁ、絆されてるだけやったら記憶飛ばしてるお前なんか放ったらかしにしとっわ!
( 未だに思い出すとムカついたのかはたまた照れを誤魔化すためなのか、眉間に皺をよせじとっと相手を見ながら、あの日!と話し始める。厳密に言えばその前から好きという感情が見え隠れしていたかもしれないが、はっきり好きだと思ったのはあの夜だった。)
(/ お優しいお言葉ありがとうございます…;;
私も大分亀レスポンスになってしまうかと思いますが、こんな奴でよろしければまたお願い致します!)
……え、えっと、そんな急に好き好き言われると、キャパオーバーです……。
( まさか振り返ってくるとは思わず、接近した顔にどきりとして少し仰け反り。とくんとくんと未だ鳴り続ける心臓の音が必死に弁明する彼の言葉をかき消そうとするが、聞き逃さぬようにしっかりと耳を傾けて。睨むような視線はこの際全く怖くないのだが、なんだか堪らなくなって顔を背けてしまう。顔が熱いし変な汗も出てくる。またシャワー浴びなきゃ…。貴方が自覚していないだけで、顔ファンもリア恋勢も多い。同業者や裏方のスタッフに想いを寄せられる可能性だってある。いつどこで知らない輩に陽斗さんを取られてもおかしくない中で、彼は僕を好きになってくれた。「……あぁ、嬉しいな。両想いになれるなんて、やっぱり運命だったんですよ、僕たち」でれでれと蕩けた声でロマンを語れば、ちゅ、と頬に口づけて。照れた様子もしっかり目に焼き付けたいが、体を冷やさないようにも早く終わらせないと、と前を向かせて )
陽斗さん、……お腹の方、ダメだったら止めてくださいね。
( そう一言添えてから、腰に巻かれたタオルを少しずらして、彼のおへその辺りを優しく撫でてみる。……柔らかくてかわいいな。そこからするりと胸の方へ手のひらを移動させながら、決して劣情を抱かないように集中して洗っていく。肌の手触りが、形状が、すべて陽斗さんのものだと思えば思うほど、茹ったタコのように顔が赤くなり、変態チックな思考を振り払おうとかぶりを振るも効果はなさそうだ )
( / たとえ返信が遅くなってもいつでもお待ちしておりますからね!背後様がお元気でいらっしゃることが何よりも大事なことですので!ぜひまたよろしくお願いします!(蹴可)
…なに、サムいこと言ってんねん。
( ちゅ、と頬に口付けされると、呆気にとられ瞬きを数回繰り返した後、尚も顔を火照らせたまま相手の言葉に上記を返した。運命だとか、そんな話を他人から聞かされたら本気でサムいと思うのに、相手に面と向かって言われたらこうも嬉しく思うのは自分がチョロいからなのだろうか。恋は盲目だの劇薬だの色々言うが、本当にその通りだと思う。実際、彼の視線に、言葉に、一々身体が反応して、激しく鳴り響いている鼓動はちっとも鎮まってはくれない。
おまけに、一言添えられた後に彼の手が腹へと伸びてくると、背中の時とはまた違った感触にまたもビクリと反応してしまう。なんか、こそばゆいし、ダイレクトに相手の体温が伝わるというか…とにかく、とにかく恥ずかしすぎて、「…アカンッ」と小さな吐息とともに言葉を洩らすと、胸の辺りを這っていた相手の手を自身の手でぎゅうと握りしめた。羞恥心ですっかり潤んだ瞳で彼を見ると、次の瞬間にはバッと立ち上がり捲し立てるような早口で喋っていた。)
──アカンアカン!もうアカン!!照れてもうて気絶しそうや!あ、あとは自分で流す!ホンマありがとう!!すぐ出るから待っとってな!!ほな!!!
( 握りしめていた相手の手を掴んだままくるりと身体の向きを変え、そのまま浴室の戸を開けると相手の身体を問答無用で外へと押し出していく。言い終わる頃には相手を脱衣所へと追い出しぴしゃりと浴室の戸を閉めたのだった。)
───っ!?え、陽斗さーーんっっ!!
ゆっくり湯船にも浸かってくださいねー!?
( 妙な色気を孕んだ反応に息を呑んで見惚れてしまう。そんなに可愛いことされたら、もう我慢の限界が……なんて考えが過ったのも一瞬のうちで、気がついた時には脱衣所に追い出されていた。あれ??と首を傾げながら、ついさっきまで彼に触れていたはずの手と強引に閉められた戸を交互に見る。ようやく状況を理解すると、曇りガラス越しに見える影に向かって声を掛けてから、ふらりと壁に寄りかかり息を吐いた。正直、無理矢理にでも抵抗してくれて助かった。何をしでかしてしまうか自分でも分からなかったから。はっきり嫌なことは嫌だと言ってくれる彼だからこそ、ぎりぎりまで距離を縮めて反応を確かめたくなってしまうのも悪い癖だ。自分ってこんなに意地悪い性格してたっけな、彼が良い反応してくれるからしょうがないよな。自問自答を繰り返しながら、一旦廊下へと出る。そういえば陽斗さんの荷物の中に着替えが入っているだろうと、彼の鞄を持ってきて脱衣所に置いておく。まだ寝るには早いし、風呂上がりの一杯でも用意しようかとキッチンへ向かうと、冷蔵庫に蓄えておいた酒の缶やおつまみをソファの前のローテーブルに並べておいて、彼が戻るのを待った )
──…お待たせ。
( 暫くすると、スウェットの寝巻きに着替え首にはタオルを掛けたままやってくる。大分温まったのか、その顔は真っ赤なままだった。
彼を浴室から無理やり追い出したあと、さっさと体についた泡を流し、彼の発言通り湯船に浸かると、大暴れしている心臓を落ち着かせるようにひたすら無心になるよう努めていた。その結果、少しばかり湯船に浸かりすぎたようでご覧の通り顔が真っ赤になった訳だが、なんとか平常心を取り戻すことに成功した。
彼に触れられるのは勿論嬉しいのだが、恋愛初心者な自分にとって恋人特有の甘い雰囲気はどうも恥ずかしくて…そんな雰囲気に呑まれそうになった途端ついつい照れ隠しで突き放してしまう。そんな自分に反省しつつ、ローテーブルに置かれたお酒やおつまみを見つけると声をかけた。)
お、準備してくれてたんや!ありがとぉ。
…あ、さっきはごめんな?ちょっと、恥ずかしくなってもうて……。洗ってくれたのもありがとう!嬉しかったんはホンマやで?
おかえりなさい!あ、お酒の前にお水飲みましょうね。
……ふふ。大丈夫、照れ屋さんなところも好きですから。
( 風呂上がりの彼は頬が火照っていて少しあどけない雰囲気もあり、なかなか直視がしにくい。水が入ったグラスを手渡して、謝罪する必要なんてないのにと笑い飛ばす。僕を突き放すたびにいちいち罪悪感を覚える必要なんてない。むしろ反省すべきは僕の方で…なんて繰り返せば水掛け論になってしまうので、彼の言葉は素直に受け取ることにして。しかし彼には申し訳ないが、今晩だけは、困らせるのをやめられそうにない。こんな機会は滅多にないのだから、彼を甘やかしたいという自分の我儘を聞いてほしかった。追撃のようになってしまうのは心苦しいが、スキンシップに慣れてほしいというのも本音だった )
そうだ。髪、乾かしましょうか?陽斗さんは座っててください、僕に全部お任せを!
( ぽんと手を叩いて提案すれば、彼をソファへと誘導して。いそいそとドライヤーを持ってくると、コードをコンセントに挿して準備完了。甘やかされるのも悪くないと言質は取ったことだし、もう逃がしはしないとでも言いたげに気迫のある表情で彼に近づいて )
( 笑って大丈夫だと言われれば此方も緊張が溶けたかのように口元を緩めるが、その理由にはなんだか悔しさも覚えて複雑な心境になる。先程から自分ばっかり照れて情けない姿を晒しているような気がする…、まぁ、こんなことを張り合っても埒があかないので、ここは黙って言う通りにしておこう。)
髪も乾かしてくれんの?ホンマに至れり尽くせりやん。
ホンマ、俺を甘やかすの好きやなー
(促されるがままにソファへ腰掛け受け取ったグラスから水を一口飲むと、上記を述べて、へへ、と半場呆れたようなそれでいてとても嬉しそうに笑いかけた。何から何までやってもらって、まるで自分がお姫様になったような気分やなぁ、なんて内心可笑しそうに呟く。しかし、お互い仕事で忙しい身だし、時間が合う時は限られている。今日ぐらいは、と甘えたくなってしまうし、彼もきっと同じような事を想っている事だろう。
そしてふと、仕事といえば、と思い出したように「あ、」と一言声を出すと、温風と共に丁寧な手つきで髪を梳いてくれている相手の方へちらりと視線をやる。)
そういえばな、そろそろ賞レース始まんねん。
俺ら、大阪のコンテストで上位になって東京に出てきたけど、こっちで賞レース出るの初めてやし…。準備とか、予選とか色々バタバタすると思うねん。
…忙しなると思うけど、応援しててくれるか?
へぇ、賞レース……。
……え!?賞レースですか!?ゆゆゆ雪山が賞レースに!?絶対応援します!!!
( 彼の髪を乾かすことに集中していたためその言葉を受け流しそうになったが、オウム返しした後にようやく事の重大さに気づいて衝撃を受け。ドライヤーの電源を切って何度も確かめるように単語を口にする。夢の賞レースという大舞台。雪山がさらに飛躍して、活動の幅を広げるチャンスだ。(絶対優勝するに決まっているが)もし優勝を逃したとしてもファイナリストという肩書きだけで名高く、優勝を掴めばこれまでにないほど大忙しになるだろう。その準備期間、本番、その後までずっと多忙となり、今日のような時間を過ごすことは難しくなる。それでも、自分にできることがあるならばと再度ドライヤーを起動して )
お仕事は手伝えないかもですけど、陽斗さんが疲れた時には癒しになりますから!いつでも連絡してくださいね!
( にかっと一点の雲りもない笑顔を向けてわしゃわしゃと頭を撫でる。彼にとって、人生を賭けた大仕事。半端は許されない。なるべく邪魔にならないように努めたいが、ほんの少し時間が空いた時にでも連絡してほしいというのは自分の我儘かもしれない。しかし何事も息抜きというのは必要だし、「ほんと、たまーにでいいんで!」と念押しながら。かくいう自分もアイドル業で忙しくしており、普段は自由に休暇を取れる状況でもないのだが、これだけは伝えておこうと彼の肩に手を置いて )
……それで、もし予選通過して本番を迎えたら、なんとしてでも予定をこじ開けて絶対見に行きます。ユキさんのファンとして見逃せませんから!
( 一度ドライヤーを切り興奮したような反応を見せる相手を見て、ふは、と笑い「そうや、雪山のガチファンやったなぁ」と思い出したように言う。自分を甘やかすその姿は誰がどう見てもイケメンのスパダリで非の打ち所がないというのに、ふとした時に出る‘’ガチ勢ファン感“がたまらなく可笑しくて、そのギャップがまた愛おしさを増す要因なのだが、その事に関しては口に出さないでおこう。
明るい笑顔と共に向けられる言葉が既に癒しそのもので、再度起動したドライヤーの風に混じりながらも自身の耳にまっすぐ届いてくる。)
……ありがとう。全力で頑張れそうや!
みっちゃんも仕事忙しいはずやろうけど、あんま無理せんと、なんかあったら言うてな?
( わしゃわしゃと乱された髪を笑いながら手ぐしで直すと、なんとも嬉しそう笑顔で礼を述べる。自分の1番のファンでいてくれて、恋人として傍で応援してくれる…こんな心強い味方がいてくれるなんて本当に幸運だと思う。しかし、肝心な時に役に立ちたいのは自分だって同じことで、相手は人気絶頂中のアイドルだし、自分よりも遥かに多忙なスケジュールだろう、疲れた時はお互い様やろ、と付け足すと、肩に置かれた手にそっと自分の手を重ね、少し恥ずかしいのか、ぎゅ、と遠慮がちに握ってみる。
そして続く相手の言葉には、相変わらずのガチファンムーブにふふ、と笑いながら、冗談交じりに返答を。)
え、ホンマー?それやったら意地でも予選通過せんとな!ネタ作るの頑張るわ!
俺がヤマちゃんと漫才やってる間に、変に週刊誌に撮られたりすなよー?
はい!仕事以外ではあんまり出歩かないようにします。お酒も控えるし……あ、でも今夜だけは僕も一緒に呑んでいいですか?
( 握られた手を安心させるようにするりと撫でながら、指を絡ませて恋人繋ぎをする。僕は未だ仕事でヘマをすることも多いぽんこつだし、そんな自分に嫌気がさす日も少なくない。それでも大好きな陽斗さんの頑張る姿を見ていれば、僕だって負けてられないという気持ちになれる。僕にとって輝かしい存在でいてくれてありがとう、なんて思わず涙が出そうな顔で限界オタクのようなことを考えていれば、週刊誌、という言葉を聞いて一瞬だけ誰かの顔が頭によぎる。数日前、雑誌の特集を受けた際に偶然撮影現場を見に来ていたという、とあるモデルの女性。彼女は僕の楽屋まで挨拶に来てくれたのだが、露骨にぐいぐいと言い寄られ、連絡先を聞かれたことを思い出す。もちろん丁重にお断りしたし後ろめたい気持ちは一切ない。どんな美人でも陽斗さんには敵わない。当たり前だ。しかし、今こんなことを伝えたら余計な不安を抱かせてしまう気がして、酒の話題で誤魔化した。こんな人がいたんですよーといつか軽い気持ちで愚痴れたらいいな、なんて楽観的に思いつつ、ひと通り乾き切った髪を櫛で軽く整えると「はい、終わりました!」と声をかける。そして彼の隣に座ると、糖質ゼロを謳うビールの缶を開けて、彼の方へと向けて声高らかに乾杯の音頭を取って )
では、雪山の賞レース優勝を祈願して…乾杯!!
ん、飲も飲もー!飲みたい時は飲んだらええねん!
って、俺以上に張り切りすぎやない?…まぁええわ、乾杯ー!
( 髪を乾かしてくれた事に礼を伝えると、彼に続くようにして缶を手に取り軽くツッコミを入れながら相手の音頭に缶同士を軽く合わせた。
賞レースへのエントリーはマネージャーが済ませてくれており、予選が始まるまであと1ヶ月。勝ち進んだとして決勝戦があるのは約3ヶ月後…計4ヶ月間は賞レースを中心にしたスケジュールになるのだが、今まで通りの仕事に加え、ネタ合わせ等に大幅な時間を使わなければいけない為、恐らくあっという間の4ヶ月になるだろうことは予想できる。その頃には優勝して歓喜しているのか、はたまた己の不甲斐なさに唇を噛み締めることになるのか…。どちらにせよ今考えたところで胃が痛くなるだけだと、雑念を振り払うように首を横に振ると、ぐい、とビールを煽って息を吐く。そして、他の話題にしようかと思考した際、1つ話題を思い出したらしく、隣に座る相手の肩をぽんぽんと忙しなく叩くと、まるではしゃいだ子どものように楽しげに口を動かした)
あんな、この話もしよ思てたんやけどな、この間新しいMV出しとったやんか?あれ、めっちゃかっこよかったで!
なんか、やっぱアレやな、普段の時とアイドルしとる時は顔はちゃうわ!どっちも好きやけど。
( つい数日前に彼らのグループが出していた新曲のMVをちゃっかりとチェックしていたようで(というか、情報はなるべくチェックしているのだが恥ずかしいので本人には伝えていない)、律儀にもその感想をぺらぺらと話し出す。元々お喋りな性格も相まって、自分のターンになると一方的に語りつくしてしまうのだが、そんな自分にも相手はにこやかに傾聴の姿勢を見せてくれるものだからついつい調子に乗ってしまう。おまけに、今日はお泊まりということもあってか浮ついた心境も助長して、ビールとおつまみを挟みつつ軽快にお喋りを続けていた。
──暫くすると程よいアルコールも入り完全なリラックスモードになってしまい、隣に座る相手の肩に頭を乗せながら「みっちゃんって手ぇ大きいよなぁ、やっぱ背ぇもデカイからなんかなぁ」なんてどうでもいい会話をしながら、相手の掌をにぎにぎと弄んでいた。)
え、見てくれたんですか!?頑張って撮影したので、陽斗さんに褒められたって聞いたらみんな喜びますよ!
( テンション高めな陽斗さんかわいい、大好き…という気持ちを酒の肴にしながら、彼の話を聞いていく。まさか新曲までチェックしてくれているとは。初対面の時も名指しですらすらと褒めてもらえたことを思い出し、広くアンテナを張っているんだなと感心して。メンバー含めみんな喜ぶだろうと思うのは本心だが、もっとも、誰よりも喜んでいるのは僕自身だ。後ろ暗い事情があると知ってからは尚更、アイドルの自分を認めてもらえるのはとても誇らしい。いつか僕の活動で、陽斗さんに希望を届けるというのも目標の一つだ。より一層機嫌が良くなって美味しい酒が飲めているが、あまり調子に乗ってまた記憶を飛ばしたら二度と許してもらえない気がするので自重しつつ。一方相手はふわふわと柔らかい雰囲気を纏い出していて、肩に擦り寄られたときは危うく酒を溢しそうになった )
……陽斗さーん?あんまり可愛いことしないでもらえますか…。どうなっても知りませんよ。
( そういえばアルコール耐性はあまりないんだっけ。唐突なあざとい言動にどぎまぎして、内心頭を抱えながら言い聞かせる。こんな姿を見せるのはきっと自分の前だけだと理解しているが、あまりにも無防備すぎて気が気でない。今がどんなに危険な状況か自覚していないのか。男は獣だってちゃんと教えたのに。一回懲らしめてやらなきゃ分からないのかな。酒のせいか、場の雰囲気に酔ったせいか、沸々と湧き出る劣情を抑えようとする理性は機能せず、徐に彼の太ももを撫でると熱視線を向けて )
それとも、誘ってるんですか。
……んー、別に可愛いことなんてしてへんわぁ
( 気の緩みきった猫がヘソ天をして無防備に寝ているように、尚も相手の肩に体重をかけながらなんとも呑気そうに返答する。気の許せる相手がすぐ隣にいて、ここにはカメラも無いので芸人モードをONにしておく必要も無いし、飲み干したビールが良い感じに体内を循環しぽかぽかと暖まってくるのを感じながら、思わず伸びを1つ。しかし、そんな呑気そうな表情も彼の言葉と太ももに触れられた事でにぴくりと反応し伸ばしていた腕もろとも固まってしまう。そろりと隣の相手へ視線を移せば、その熱を帯びた瞳に捕まり暖まっていた体温が更に上昇するのを感じる。
…アカン、やってもうた。そう思った時にはすでに手遅れで、太ももに伝わる相手の体温に静かだった鼓動がドンドコと激しく鳴り始める。)
べ、別に誘ってるつもりはなかってんけどっ…
やめてや…その顔で見つめてくんの。なんか、落ち着かんくなるやん。
( 小さな声で上記を伝えると、じわじわと恥ずかしさが募ってきたのか、両手で顔を覆うように隠してしまう。住岡美風イケメンすぎるやろ!どうしてくれんねん!と褒めているのか怒っているのかよく分からないテンションで内心抗議するものの、今の状況が変わる訳もなく、じりじりと寄ってくる相手の身体に押し倒されそうになりながら、なんと言葉を掛けようか必死に脳みそをフル回転させる。
先程、浴室で自分が相手を追い出した時もそうだったが…今まで虫歯になりそうな程甘ったるい雰囲気になる度、その空気に我慢できず(いや、ある意味我慢しているのだが)その空気を打破しようとしてきた。しかし、これからお互い忙しくなるし、滅多にないお泊まりのチャンスだし…。なんて、脳の片隅にいる小さい自分が今だ今だと拳を振ってくる。めちゃくちゃ恥ずかしい、恥ずかしいけど、でも、今日ぐらい、その甘ったるい雰囲気に飲まれてもいいのだろうか。
太ももに触れている相手の手にゆっくりと自分の手を重ね指を絡めると、恥ずかしさで熱を帯びた瞳を揺らしながらこれまた小さく呟いた。)
──なぁ、美風。
絶対手ぇ出されへんって…ホンマに出してくれへんの…?
ずッ…………………
( とてつもないカウンターを喰らった。急所を突かれ身体の力が抜けるように、へなへなと姿勢が崩れる。そのまま茫然としながら彼の太ももへと倒れ込み、失礼を承知で膝を枕代わりに。いじけた子供のように「ずるいですよ、それは…」と呟く。確かにカマをかけたのは自分だが、いつもみたいに照れて拒否されて終わりだと思った。都合良すぎる妄想かと疑ってしまう。夢オチだけは絶対嫌だな、と見上げた彼の顔が存外近いところにあり「~~っ、顔が良い……いや、すべてが良い……」と声を洩らしながら合掌して崇拝する。そこそこ酒が回っているため、普段よりもより率直なオタクムーブをかましてしまう。せっかくのムードが台無しである。陽斗さんという甘い毒に侵されて瀕死状態、少しずつ体力が削られていく感覚。それでも一人の男として、これ以上恥をかくわけにはいかない。覚悟を決めると、上体を起こし彼の頬へ手を伸ばす )
……陽斗さん、こっち向いて。
( 宣言を破るのは心苦しい。しかし照れ屋で甘え下手な彼が勇気を出してくれた。こんなこと、もう二度とないかもしれない。僕にはそれに応える義務がある。陽斗さんの、恋人として。彼の唇に触れると、親指でこじ開けた隙間から舌を差し込んで深く口づける。お酒の味だ。その奥深くに隠れた彼自身の味を探るように、ゆっくりと丁寧に、甘く溶かしていくように触れていく。唇を離す頃には何故か彼を見下ろしていて、いつのまにか押し倒していたことに気がついた。もうとっくに羞恥心は過ぎ去り、多幸感に包まれる中、思わず敬語が外れたまま小さく首を傾げねだって )
……ねえ、陽斗さんからキスしてほしい。だめ?
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