異常本丸調査室の日常(〆)

んー、事が判明したのが半年前。審神者は初期刀共々行方不明で検挙されてない、か。本丸自体は差し押さえ、判明の切っ掛けは刀剣による内部告発。
刀剣の破壊数は、短刀と脇差が多めか。偵察で知られないようにしていたか、知られた奴を壊していたのか。
あれ、この本丸内で折れてる刀剣職員がいる・・・・・・。差し押さえ時に抵抗されて、ってことは一部の刀剣は黙認していた、というかむしろ積極的に隠蔽していたのか。

隠蔽していたとなるとやはりどんなに破壊されていたとしても審神者を守りたかったのだろうか…。

・・・・・・分からないね、審神者も、刀剣男士も。政府しか知らない私には、その忠誠と傲慢が。

やはり、自身の主となると変わってしまうんだろうな。俺にも、その気持ちはわからない。

だから、私たちはその全てを詳らかにする必要があるんだ。どんな思想も持っていない、私たちが【などとシリアスを決めているが彼女にIDを不正使用された監査部の山姥切長義から鬼電が掛かってきているのをガン無視しているのである】

ところでさっきから電話がすごいが…出なくて良いのか？室長とかじゃないのか？

大丈夫、IDを不正使用されたことに気が付いた監査の山姥切長義からの電話だから。無視して平気、今は事の解決に当たろう。
例の本丸で折れている刀剣職員は、脇差だ。ややこしすぎて泣きそう【鬼電をBGMに話を続ける先輩】

あの隅にいる折れた刀剣も脇差だったな？どういうことだ、やはり偵察値の高いやつらは優先的に折られていた…？それとも、気づいてしまったが故に口封じとして折られたのがたまたまその職員だったのか…。【監査部の本科、許してくれ！！と内心で叫んでいる後輩】

詳細を確認してみようって、あ！！パスワード変えられた所為でデータベースから弾き出されたな。えー、じゃあ別のID使うかっと、よし認証成功。ちょろいな山姥切長義【本日二件目のID不正使用、別の山姥切長義のIDを使っている】

・・・・・・あった、例の職員は本丸付の担当職員の護衛として本丸に同行。その際になぜか単独行動を行い、本丸所属の刀剣男士に破壊されている。多分、護衛として同行した先で審神者の寝返りに気が付き証拠を手に入れようと単独行動をしたところを狙われた、ってところだろうな。

やはり審神者は寝返っていた、それを知っていて尚審神者を守ろうとしたんだろうな…。─待てよ…あんたも俺も政府のものだ。それに、この折られた職員も政府の職員…時の政府にかなり深い恨みを持っていたのか、それとも審神者から政府のものは構わず消すように言われていた…とかか？それだとしたら俺たちに攻撃する理由もわかる。【次々とIDを利用している上にちょろいと言われている本科達、本当にすまない！！と内心で謝り倒している後輩】

もう一つの可能性は、あの隅にいる刀剣が政府職員だった場合だ。初期刀は山姥切国広、審神者の性別は女、歴史修正主義者に加担した人間を処理しなければならないという思考に呑まれている場合我々をその審神者と誤認している可能性がある。

原因を特定できそうになって来たな。最後の難題はこの脇差がどちらの脇差か、だ。政府の刀剣か裏切り者の刀剣か。

ちなみに政府の刀剣は誰だったんだ？それさえ分かるのならかなり助かるが。

・・・・・・堀川、国広よ。国広として、山姥切国広の行いに思うところがあったのかもしれないわ。

…兄弟、そうか。兄弟ならきっと、そうするだろうな。─よし、決めた。あんたはここで待ってろ。あいつに近づいてみる。【そういうとスタスタと1人で刀剣の方へと向かい歩き出した】

うわぁぁぁぁぁ！？何やってんの！？何やってんの！？？！？【後輩の速度に着いて行けない先輩】

…おい、俺は時の政府から遣わされた山姥切国広だ。あんたの、一番大切な審神者を消すために─ッはは、やはりな。おい、紅葉傘こいつは寝返った側の刀だ！もう少しで特定できそうだからあんたはそこで待っていろ！【こちらに唸り声をあげ威嚇している刀剣に近寄ると敢えて反応するような言葉を使い、襲い掛からせるのが目的だった後輩。すかさず攻撃を避け抜刀するとそのまま戦闘に入ることにしたようだ】

お前お前お前お前ぇぇぇぇぇぇぇぇ！！【いろいろと言いたいことはあると言いたげな叫び】

さすが、審神者に任される力量はあるな…。だが、俺には及ばない。【鍔迫り合いになる度靄がかかり少し見にくい刀身や相手の姿を見定めていき。暫くして特定ができたようで鳩尾に思いっきり拳を入れると気絶した相手を放置して先輩の元に戻り】待たせたな、あいつは肥前忠広で間違いないだろう。

うーん地雷臭しかしないセレクト・・・・・・。彼は、どうすれば自力で川を渡れるくらいまで戻れるかな。審神者を救いたかった？審神者を留めたかったけど出来なかった？それとも、寝返るときに自分も連れて行って欲しかった？何が原因で彼は、此処まで堕ちたのかしら？

こんな状況のやつをどうにかできるとなると、本霊か傷付いた刀達に寄り添うのを得意とした部署の奴らくらいじゃないか？

一応物理的な解決策はあるんだよ？

物理的に…一体どんなものだ？

こう、全身全霊の力を込めて、えいっ！！てやる【ブォンと音を立てて振られた鉄バットはどう考えても銃一丁と500?ペットボトルしか入らなさそうな先輩のウエストポーチからぬっと出てきたものである】

ええ…。そんなもので叩いて大丈夫なのか？むしろ怒らせたりしないか…？【色々突っ込みたい気持ちを堪えている後輩】

これを私にプレゼントしたカンナギの人曰くね、「最終的には物理なんですよ」って疲れた顔で教えてくれた

そ、そうか…まあ、それで大丈夫なら物理に頼るか…。

じゃあ、全力で、殴るかぁ！！【清々しい笑顔の先輩、なぜか神々しい光を放ち始める鉄バット、唸り声のような音を立てて空を切る音、その鉄バットが掠っただけで抉れた離の外装】

【あれで殴られても本当に大丈夫なんだろうかと心配する後輩、しかし反撃された時にすぐ動けるよう用意はしている】

行くわ【覚悟を決めて離に足を進める先輩、バットの輝きは増し、練習と言わんばかりに振られるたびに唸り声を上げて空を切る、風圧で壁の一部が削れている】

あ、おい…壁削れてるぞ…？怒られるじゃないか…？

えー、この場合って何が正しいの！？なんて言えばいいの！？煩悩退散！？【多分完璧に間違っている先輩】

煩悩では無いと思うが…？悪霊、でも無いか…？

じゃあ取り合えず、残業退散！！！！！！【金色に輝く鉄バットが振り下ろされる】

残業はそいつに関係ないんじゃ…まあ、この際退散してもらえたらそれでいいか。

あ、あれ？いなくなった・・・・・・【いなくなったのではなくバットに吹き飛ばされ離の外にぶっ飛ばされたことに気が付いていない先輩、なぜって目を瞑ったまま振り下ろしたから見て無いのだ】

ああ……形が残ってたらいいな…。【ぶっ飛ばされた方向を見ている後輩】

???【何のことかわかっていない先輩】

あいつが消えたんじゃない、あんたがあっちの方面にぶっ飛ばしたんだ。【その方向を指差す後輩】

もー、先輩を揶揄わないの。先輩にそんな力が無いこと君も知って・・・・・・壁が、無い・・・・・・！？

…だから言っただろ。壁も損傷して怒られるぞと…。

なんで？どおして・・・・・・？

そのバットの破壊力がすごかったんだろ。とにかくあいつの様子を見に行くか？

バット怖、封印しとこ・・・・・・【ウエストポーチにバットを仕舞って肥前を探しに行く先輩】

形が残ってたらいいが…。

怖いこと言わないで！！【なお穢れだけ吹き飛ばされて当刀は何が起きたのか分からないまま離の外に転がっていた】

あ、残ってたな…良かった。穢れが全く感じられない、もしかして上手くいったんじゃないか？

バット最高今後も使い続けるわ【凄まじい変わり身の早さでバットを鞄から取り出し抱き締めている先輩】

あ、ああ…そうか。まあ、武器としては強いのかもしれないな。

えーと、それで、なんでバット使うことにしたんだっけ？【意識の九割をバットに持っていかれていた先輩】

あいつについていた穢れを飛ばすためにそれを使うとか言ってたぞ。最終的には物理とかなんだとか…。

ああそうだった、肥前忠広無事？生きてる、というより自我はある？