異常本丸調査室の日常(〆)

ええ…、ここでそんなことしないといけないのか？

うぅ、私の伝達ミスの所為でごめんね後輩君！！！！【話聞いてない先輩】

分かった、食べればいいんだろ。
【そういうと目の前に置かれたから揚げをパクパクと食べ始めた】

【その後、何故から揚げの香りがするのかと警備の南泉を伴いやって来た菊御前が見たのはべしょべしょに泣いている紅葉傘と一心不乱にから揚げを食べる山姥切国広と無残に裂かれた姿写しの繭である】

はあ…南泉に一文字則宗、手間をかけたな。

【その後菊御前の呼び出しでやって来た日光先輩に回収されていく紅葉傘、徹夜明けの紅葉傘は欠片も使い物にならない】

【事の経緯を教えてくれと詰められると全てを打ち明け、姿写しの繭はそう言ったのに詳しい部署が回収することとなりひと段落したようだ】

・・・・・・あれ、なんで私仮眠室に居るの？【三時間ほど寝てようやくまともに戻った先輩】

起きたか、寝不足で暴走したあんたを日光がここまで連れてきたんだ。
【昨日の今日でまた何か入り込んで来ても困るため近くで待機していた後輩】

え、マジでなんも覚えてない。二時くらいに現実逃避したくなってストゼロ二本開けた辺りからなんも思い出せない・・・・・・。

俺を姿写しの繭だと信じていたくらいだしな…。過労死する前に今日から三日間あんたは休みだそうだ。

やすみ・・・・・・？みっかかんも・・・・・・？そ、そんな長期休み取ったら休み明けの書類仕事が大変なことになる！！並行してやってる調査進捗も！！！今そんな長期休暇無理ィ！！！【一年で社畜に染まった先輩】

安心しろ、今回の件を日光が上に言っていたから休み明けの仕事はそんなに無いはずだ。

そ、そうなんだ・・・・・・【なお紅葉傘が異常本丸調査室に個人で持ち込んだ小型冷蔵庫の中に詰め込まれていたスト〇ングゼロとモンスター〇ナジーは全て日光に回収された】

日光もとにかく休むようにと言っていたぞ。たまには先輩の言葉に甘えていいんじゃないか？

そう、だね？じゃあ、今やってる調査が終わったら休もうかな

ああ、そうしてくれ。俺もあんたが暴走したら止められない自信がある。

分かった、ならアンダーグロウポートの方は一人で調査に行ってくるよ

一人？それはダメだ、やっぱりついていく。何があるか分からないって他の奴らも言ってたぞ。

まぁ、アンダーグロウポートって三途の川に繋がってるから何が出てくるか分からない場所だもんねぇ・・・・・・

そんな場所、なおさら一人で行かせるか。
ところで、そんな場所で何の調査するんだ？

澱みが、溜まってるらしい。どうもその澱みの原因が折れた刀剣男士の可能性が高く、正確に調査してこいと。

澱みか…なるほど。ところでその場所には行けるものなのか？
三途の川に繋がっているなら簡単には行けないと思うんだが。

アンダーグロウ“ポート”、三途の川に繋がる港みたいな？未練あるもののたまり場的な？感じの場所でエレベーターで行くよ

なるほど、エレベーターで行けるんだな。
その調査、早速行くとするか？

そうだね、じゃあまず防寒着取ってこようか後輩君。あそこクソ寒いから

ああ、分かった。取りに行ってくる。

西棟の四階に集合ね～、私も寮に戻って防寒着取ってくるから

【一度解散し自室に置いてある防寒着と冬用の布に着替えると言われた通りの場所に向かった】

よし、来たわね。じゃあ行きましょうか【なおコートをクリーニングに出していたのをすっかり忘れていた先輩は同期の服を剥ぎ取って来ている、その結果服を剥ぎ取られた哀れなどこぞの祖の親友が一振り生まれてしまっている。もし室長が出勤していたら室長のコートが剥ぎ取られていただろう】

その服…なんだ、借りてきたのか？【どこかで見覚えのあるコートを見て首傾げ】

うん、コートをクリーニングに出したのすっかり忘れてて、人事課の清磨の上着借りて来た。今日非番だったって言うから丁度良いかなって【同期の中で一番交流が深いのが清磨なので互いの服をフツーに貸し借りするし互いの部屋のスペアキーを持ってる2人、距離感が女子】

まあ、そいつがそれで良いならいいか。とりあえず行くとするか。

じゃあエレベーター乗って、移動していくよ～。まず四階から乗って、九階一階五階十二階の順にボタンを押して、っと。

なるほど、簡単には行けないようになっているんだな。よくできているものだ…。

じゃあ落ちるよ～【エレベーターが十二階に到着したタイミングで先輩がそういうとエレベーターの底が抜けた】

落ち…？はあ…！？！？聞いてないぞ！これ、このまま三途の川渡るんじゃないか！？

大丈夫大丈夫、今のところ怪我人は出てないから～。もし死んでも即三途の川だし安心安心～【自由落下てどんどん落ちていく】

安心できるか！顕現一年目で三途の川はごめんだ！

あはは～、あ、そろそろ着陸態勢取った方が良いよ。多分五秒後～

…はあ、折れるかと思った…。おい、生きてるか？
【なんとか着地した後輩、先輩の安否を確認している様子】

気分はジェットコースターだね～、この感覚は結構好きなんだけど着地どうにかなんないかな。クレーム担当部署どこだろ【ぺしゃっと床に落ちている先輩】

お、おい…大丈夫か？どこか怪我とかしてないか？【ぺしゃっと落ちてる先輩の元に駆け寄り起き上がらせる後輩】

ケガはしてないよ、というかココは現世と幽世の境界なんだ。物理的なケガはよほどじゃなければ負わない。
君たち刀剣男士は顕現の際に肉の器を得るだろう？この場ではその肉の器を得る前の霊体に近い状態になっている、人間も似た状況になっている。私は肉の器が無い状態で活動することがほぼ無いからうまく動けないだけでね【後輩の力を借りて立ったがまたべしゃっと床とコンニチワする先輩】

なるほど、そういうことか…。どうする、担いだ方がいいか？【床と仲良くなっている先輩をどうするべきか悩んでる様子】

あ、あー大丈夫、多分そろそろ動けっと、うわっ【今度はふよふよ浮き続けている先輩】

お、おい…！俺に捕まってろ、これじゃ調査どころじゃないぞ。

そーだね、まぁある程度で慣れるでしょ【後輩の布に捕まっているがまだふよふよ浮いている先輩】

慣れるまでそうしていてくれ。…さて、どこから調査したらいいんだ？

まずおばばのところに行こう、おばばから時の政府に澱みの処理依頼が来たから対応しに来ましたぁって挨拶しに行く。
おばばが居るのはここをまっすぐ行った先にある港の妓楼だよ

おばば…？誰だそいつは？ここの領主みたいなものか？

領主、あながち間違いじゃない表現かな。この場所の顔役でね、この港も三途の川の一端だから正式な管理者は幽世に居られるのだけれども実質的な管理はおばばがやっているよ。
大門が見えて来た、アレをくぐったらアンダーグロウポートに着くよ。ここの人たちは三途の遊里と呼んでいるけども名前が生々しすぎるからね、政府ではアンダーグロウポートと呼んでいるんだ。

なるほど、そんな理由があったんだな。
確かにそう呼んでいる方が気休めだろうが良い気がするな。

だからあちらの人たちは三途の遊里と呼ぶだろうから混乱しないようにね、大門をくぐったら一番大きい妓楼に向かうよ～

ああ、分かった…。あそこだな。
【門をくぐり遠くに見える妓楼に向かい】

そう、あそこあそこ。目立つでしょ、一番古いしデカいんだよね～

この場所がいつからあるか分からないが…確かに歴史を感じる建物だ。

事実かどうかまでは知らないけど、あの建物自体が付喪神だという噂もある。この場所が初めて観測されたのは確か、平安の頃だったはず。時代と共に呼び名や現世側の管理者も変わっているから正式な記録は分からないけれども。

平安…俺よりも年上なんだな。ところで、入口の近くに番人のようなやつがいるが入っても大丈夫なのか？

挨拶は忘れずに、礼儀正しくね。浮いてる私が言えた話じゃないけど

ああ、分かった。…すまない、時の政府から来たおばばから依頼を受けたものだ。通っても良いか？

その通り、楼主のおばばに御目通り願えるかな。私は紅葉傘、連れは山姥切国広だ。ほら、通行証もあるよ

通行の許可、感謝する。…さて、ここのどのあたりにいるのかあんたは分かるか？

ええと、妓楼の外見覚えてる？この妓楼も現世のものと同じ二階建てだっただろう？つまり中も現世のあれこれに則っている、楼主の部屋は基本一階の奥だね！！

分かった。行くとしよう。

あ、お、っととっと、ようやく歩く感覚を思い出した。ここからは歩けそう。

分かった。また浮きそうになったら俺に言うか布でも掴んでくれ。

浮く方ならマシだけど地面と仲良くなる方はキツイよねぇ・・・・・・。
あ、あの超大きい扉、あそこがおばばの部屋だよ

地面とは仲良くなりたくないな。ここだな…。すまない、時の政府から依頼されて来た山姥切国広と紅葉傘だ。入ってもいいだろうか？【超大きな扉をノックする後輩】

おーばばー！！おひさしぶりですー！！【就職して一年で四回目の訪問になる紅葉傘】

お、おい…そんな感じでいいのか…？ここの凄い人なんだろ…。【先輩の態度に少し驚いている様子】

ここの凄い人だし偉い人だけど、三か月に一回くらいの割合で来てるからここ。顔馴染みみたいなところがある

なるほど…定期的に孫が遊びに来ているような感じか。

まぁその辺は放っておいて、入りますよおばばー！！仕事できましたー！！【スパァンと扉を開けて入っていく先輩】

し、失礼する…！【先輩の後ろを静かについていく後輩】

おばばー！！また自力で解決できる案件政府に投げるの止めてくれませんか！！おかげで睡眠時間が削られまくりです！！入庁して一年なのに！！

【あっ、自力で解決できる系なんだ…と言う顔をしている後輩】

刀剣男士なんだからもともとこっちの案件って、折れた後まで責任押し付けないでください。そもそもここに流れ着いた時点でそっちの仕事でしょ！！・・・・・・へ？怪異に呑まれた刀剣男士って、よりこっちに投げないで欲しい！！ねぇ後輩君！！【おばばにぎゃんぎゃん噛みついていた先輩が急に後輩に話を投げる】

えっ？！あ、そうだな…？【急に話を投げられて動揺する後輩】

ほら！！可愛い後輩君もそう言ってる！！ねぇおばば！！やだやだ場所聞きたくない！！わー！！わー！！

お、おい…流石に騒ぎすぎじゃないか…？

【良いから黙って行ってきな馬鹿娘と部屋を追い出された】

ユルサナイ、ユルサナイ・・・・・・

はは…結局行くことになったな…。

おばばはいまでこそ楼主だけどその前は遣り手だったらしいしその前はこの妓楼一の妓女だったと聞いたことがあるけど嘘に違いない、性格の捻くれたおばばめ【恨み言を吐きながら件の澱みの在処に向かう先輩】

ま、まあ…落ち着け。で、例の刀剣男士は誰なのか分かっているのか？

・・・・・・推定、でおばばが上げた名前は全部で四つ。まず、にっかり青江、次に骨喰藤四郎、三に肥前忠広、最後に、堀川国広。
そのいずれかまたは複数が原因と考えられている、少なくとも脇差であることは間違いないそうだ。

…そうか、脇差か。早いところ見つけ出して楽にしてやろう。

そうね、これがその辺のことが書いてある気がするおばばが寄こした手紙ね【ポケットから先輩が取り出した手紙は上品な香が焚かれ上質な紙が使われていたのだが流れるような草書体で書かれていたため先輩は解読できず取り合えずで仕舞われていた代物である】

気がするって事は…読んでないな？全く、何か重要な事が書いてあるかもしれないというのに…いや、読めないな。【文句を言いながら手紙を開くも読めないことに気づいた後輩】

肥前に投げたら「平安の連中を呼べ」って投げ出しちゃったの、おばばの手紙はいつもこう！！手紙が来るたび私はおばばのところに直接話を聞きに行かなきゃならない

あ、見えて来た。あの離に隔離されてるやつが件の澱みだね

平安のやつらなら確かに読めそうだ。

あそこか。確かに嫌な空気を感じるな…。

結局そっちの方に知り合いは居ないから諦めたんだけど、だから毎回おばばのところに行くんだけど

さて、どうするか。いきなりあの離には居るのは不味いだろうな

確かに入ってもいい気はしないな。まずは周りを確認してみるか？…だが、相手は脇差。気付かれるだろうが仕方ない、もしあちらが襲いかかってくるのなら俺は戦闘体制に入る。

周り、取り合えず離を一周してみるか。変なものとか、無いよね・・・・・・？

ここ、札が貼ってあるな。どういう意図で貼られてるのか分かるか？【ひっそりと貼られているそれに気づいた後輩】

妓楼の慣わし習わしの魔除けかな、前に太夫がそんなこと話してた気がする。じゃあこの離も元々は客間だったのかな

慣わし習わし…？よく分からないが、この澱みに関わることではないんだな？

慣習、風習、というやつだね。こういう場所には付き物だから、関係ない、と、思いたいかな。魔除けと離の客間の組み合わせはあまり好きではないけども。

なるほど…。なら気にする必要はなさそうだな。引き続き他に気になるようなものがあるか見ていくか。

そうだね、今のところ攻撃してくる様子もないみたいだし。

窓、は布が貼ってあって中は見えないか。外から開けられる構造じゃ無さそうだし。

これ以上は外から様子は見えないな…。攻撃してきたら迎え撃つつもりで中を見てみるか？

んー、そう、だね。

ドアを開けて、距離を取って、中を確認する、とかかな？

分かった。何があっても良いようにあんたは俺の後ろについてくれ。

分かった、君のすぐ後ろ、は危ないから五歩くらい下がっとく【背後に立とうとして、鞘に視線を向けた後五歩下がる先輩】

ああ、そうしてくれると助かる。行くぞ！
【ドアを開けて中を確認する後輩】

・・・・・・敵意は、無さそう？中は、澱みの影響かな、観測しにくい・・・・・・。

ああ、こちらに攻撃してくる気配はなさそうだ。部屋全体が暗くて見えにくいが、おそらく右隅に蹲っている気がするな。

右隅・・・・・・？さっきの魔除け札があった辺りじゃない？

…そう言われたらそうだった気がするな…？

んー、魔除けの側に澱み。考えられるのは澱みから刀剣男士が逃げ出そうと少しでもそういう力に頼ろうとしたか、逃げ出すためにそういう力を消そうとしているか、の二択かな。

どちらにせよ、そうであるならこちらに敵意はないだろうな。…さて、ここからどうするか…。

・・・・・・確かめてみようか、どっちの方なのか。後輩君の反射神経を信じようじゃないか【躊躇ゼロで離に踏み込んでいく先輩】

は…？！っおい！【踏み込んでいった先輩に襲い掛かりそうになったのを見て先輩を無理やり引っ張ると離の外に出し澱みの刀を鞘で受け止めて】

おぉう、びっくりした。一定距離以上は追って来ない感じかな、そのままダッシュで外まで出ておいで～。
敵意がある、ということはあの澱みの元凶は相当根深い、人間への恨みかな。

あんた、急に何をするかと思ったら…。やはり敵意はあるようだな。【言われた通りにダッシュで部屋から出てきた後輩】

何事もトライ＆エラーだよ
この離を領域と定めて侵入者を攻撃している、とかの可能性もあるけど君に対してそこまで攻撃意思を見せないあたりその可能性は低そうだな
彼の憎悪の対象は人間なんだろうな

人間か…。なら、できるだけあんたは近寄らない方がいいだろうな。

んー、強制的に流すのをおばばがやらなかった理由も気になるんだよなァ。流すだけなら楽なんだけど、この刀の憎悪の根幹を見つけ出さないとだめそうなんだよな・・・・・・。

流す…？それは一体どんなものなんだ？

？
文字通りだよ、普通は舟で三途の川を渡るけど渡れない存在はそのまま川に流しちゃうの。舟が無いから渡れずに川を下るしかないってワケ

なるほど、そういう意味か。…話せる様な相手には見えないし、どうするべきか…せめて憎悪の根幹さえ分かればな…。

澱みの所為で三途の川が堰き止められて氾濫起こしたら歴史書ものだもんね

この問題、意外と思った以上に根が深そうだ…。

根深くなかったらこんな風にはならないでしょ、んー、何処から手を付けたものかなァ・・・・・・。

…少し危険かもしれないが、刀剣男士である俺にそこまで敵意を向けていないことを利用してみるか。話ができたら一番楽だったんだが、唸ってばかりで何を訴えたいのかも分からないが…。

唸り声と唸り声の間隔から言葉を見出すしかないね、だけど結構危険だぞ？怪我したらどうするんだ？

ああ、分かっている。だがそれ以外に案が出ないのも事実じゃないか？

いっそ私がもう一回行くか？私の目なら、どの刀剣が核か見抜けるかもしれない。核の刀剣が分かれば情報総浚いして原因の本丸が突き止められるかも

だが、それも危険だろう。俺が同行して、あんたに危害を与えるようなら先程と同じようにしてもいいなら問題ないかもしれないが…。

人間と刀剣男士の組み合わせが地雷、の可能性もある。可能性の話はいくらでも広げられる、そこにこだわって考えていたら話は進まないし。

取り合えず、君は扉ギリギリ中に入らない位置で待機。私中入るから、ヤバいって時対応してね～【すたすた歩いて行ってしまう先輩】

分かった、何かあったら直ぐに動くからな。【扉ギリギリで待機する後輩】

鬼か蛇か、はたまた別の物か。さぁてと、仕事の時間だ！！【扉をくぐって部屋の中に踏み入る先輩】

なんであんなに元気なんだ…いや、まあ元気でいいんだが…。あの陽気で怖がってるとかないよな…

・・・・・・ふ【恐怖を押し殺すために笑みを浮かべている、なお手はがったがたに震えている】

ものすごくビビってるじゃないか…いや、まあそれはそうか…。

・・・・・・ん？攻撃、して、こない？

…なんだ、大丈夫ならいいんだが。どういうことだ…あの刀剣の条件が尚更分からなくなるぞ…。

・・・・・・もしや、人間と刀剣男士の組み合わせがダメな感じか？さっき攻撃された時、中に入った私を追いかけて君も入って来ただろ
さっきとの違いなんてそのくらいしか・・・・・・。

(新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします～)

確かにそうだったな…だとしたら、人間を庇った刀剣男士がそいつに何かをしたのか、それとも何かの裏切りがあったのか…？

(あけましておめでとうございます！こちらこそよろしくおねがいします～！)

ふーむ？となると、総浚いが楽かもしれないな

そうだな、そうした方がいいかもしれない。

あ、室長？私です。データの転送お願いしたくて、はい、前提条件が脇差の刀剣破壊記録があること。他の条件に刀剣男士同士の対立があってその結果審神者が死んでいる本丸、審神者が刀剣を伴って現世逃亡し死亡している本丸、時間遡行軍または怪異の襲撃で全滅している本丸、最後に、初期刀山姥切国広が関与している審神者不同意の神隠し案件を。はい、防ごうとした側でも実行した側でも。でも多分、山姥切国広は、防ごうとした側だと思います。【部屋を出て端末を使って室長にデータ転送を頼んでいる先輩】

中々の件数だな…。【届いたデータを見て件数の多さに驚いている後輩】

そこから、破壊されている脇差の絞り込みをしていけば件数は少しは減るはず

脇差…あ、これとかどうだ。初期刀が俺の同位体、尚且つ遡行軍側に寝返った経歴があるぞ。

遡行軍に寝返った審神者の刀剣、か。それなら詳しい情報が載っているのは監査の方かな、メインデータベースには詳細は載せてないはず・・・・・・。

なら、一度監査の方に連絡を取るしかないか？

ん、んー

悪いことだけど、取り合えず最短手段を使おう
えーと、山姥切長義は大抵使うパスワードが同じだから、IDは適当に使うか【慣れた手つきで他人のIDを使ってデータベースに侵入する先輩】

えっ、そうなのか…意外と本科達ガバガバなんだな…。

うん、結構ネットリテラシーが死んでるのよ刀剣職員。因みに君のパスワードも知ってる。仕事柄色んな刀剣職員と会うけど、即日で破れるパスワード使ってるやつらばっかり。
今のところ私と面識があってパスワードを解読できてない刀剣職員は、菊御前だけ。
監査部のデータはっと、お、発見発見【監査部のデータベースから目当ての本丸のデータを見つけ出した先輩】

えっ、俺のまで…。じゃなくて、どうだ何かわかりそうなことは書いてるか？【先輩の解析能力に少し引きつつもデータを見つけた様子にちらりと覗き込み】

んー、事が判明したのが半年前。審神者は初期刀共々行方不明で検挙されてない、か。本丸自体は差し押さえ、判明の切っ掛けは刀剣による内部告発。
刀剣の破壊数は、短刀と脇差が多めか。偵察で知られないようにしていたか、知られた奴を壊していたのか。
あれ、この本丸内で折れてる刀剣職員がいる・・・・・・。差し押さえ時に抵抗されて、ってことは一部の刀剣は黙認していた、というかむしろ積極的に隠蔽していたのか。

隠蔽していたとなるとやはりどんなに破壊されていたとしても審神者を守りたかったのだろうか…。

・・・・・・分からないね、審神者も、刀剣男士も。政府しか知らない私には、その忠誠と傲慢が。

やはり、自身の主となると変わってしまうんだろうな。俺にも、その気持ちはわからない。

だから、私たちはその全てを詳らかにする必要があるんだ。どんな思想も持っていない、私たちが【などとシリアスを決めているが彼女にIDを不正使用された監査部の山姥切長義から鬼電が掛かってきているのをガン無視しているのである】

ところでさっきから電話がすごいが…出なくて良いのか？室長とかじゃないのか？

大丈夫、IDを不正使用されたことに気が付いた監査の山姥切長義からの電話だから。無視して平気、今は事の解決に当たろう。
例の本丸で折れている刀剣職員は、脇差だ。ややこしすぎて泣きそう【鬼電をBGMに話を続ける先輩】

あの隅にいる折れた刀剣も脇差だったな？どういうことだ、やはり偵察値の高いやつらは優先的に折られていた…？それとも、気づいてしまったが故に口封じとして折られたのがたまたまその職員だったのか…。【監査部の本科、許してくれ！！と内心で叫んでいる後輩】

詳細を確認してみようって、あ！！パスワード変えられた所為でデータベースから弾き出されたな。えー、じゃあ別のID使うかっと、よし認証成功。ちょろいな山姥切長義【本日二件目のID不正使用、別の山姥切長義のIDを使っている】

・・・・・・あった、例の職員は本丸付の担当職員の護衛として本丸に同行。その際になぜか単独行動を行い、本丸所属の刀剣男士に破壊されている。多分、護衛として同行した先で審神者の寝返りに気が付き証拠を手に入れようと単独行動をしたところを狙われた、ってところだろうな。

やはり審神者は寝返っていた、それを知っていて尚審神者を守ろうとしたんだろうな…。─待てよ…あんたも俺も政府のものだ。それに、この折られた職員も政府の職員…時の政府にかなり深い恨みを持っていたのか、それとも審神者から政府のものは構わず消すように言われていた…とかか？それだとしたら俺たちに攻撃する理由もわかる。【次々とIDを利用している上にちょろいと言われている本科達、本当にすまない！！と内心で謝り倒している後輩】

もう一つの可能性は、あの隅にいる刀剣が政府職員だった場合だ。初期刀は山姥切国広、審神者の性別は女、歴史修正主義者に加担した人間を処理しなければならないという思考に呑まれている場合我々をその審神者と誤認している可能性がある。

原因を特定できそうになって来たな。最後の難題はこの脇差がどちらの脇差か、だ。政府の刀剣か裏切り者の刀剣か。

ちなみに政府の刀剣は誰だったんだ？それさえ分かるのならかなり助かるが。

・・・・・・堀川、国広よ。国広として、山姥切国広の行いに思うところがあったのかもしれないわ。

…兄弟、そうか。兄弟ならきっと、そうするだろうな。─よし、決めた。あんたはここで待ってろ。あいつに近づいてみる。【そういうとスタスタと1人で刀剣の方へと向かい歩き出した】

うわぁぁぁぁぁ！？何やってんの！？何やってんの！？？！？【後輩の速度に着いて行けない先輩】

…おい、俺は時の政府から遣わされた山姥切国広だ。あんたの、一番大切な審神者を消すために─ッはは、やはりな。おい、紅葉傘こいつは寝返った側の刀だ！もう少しで特定できそうだからあんたはそこで待っていろ！【こちらに唸り声をあげ威嚇している刀剣に近寄ると敢えて反応するような言葉を使い、襲い掛からせるのが目的だった後輩。すかさず攻撃を避け抜刀するとそのまま戦闘に入ることにしたようだ】

お前お前お前お前ぇぇぇぇぇぇぇぇ！！【いろいろと言いたいことはあると言いたげな叫び】

さすが、審神者に任される力量はあるな…。だが、俺には及ばない。【鍔迫り合いになる度靄がかかり少し見にくい刀身や相手の姿を見定めていき。暫くして特定ができたようで鳩尾に思いっきり拳を入れると気絶した相手を放置して先輩の元に戻り】待たせたな、あいつは肥前忠広で間違いないだろう。

うーん地雷臭しかしないセレクト・・・・・・。彼は、どうすれば自力で川を渡れるくらいまで戻れるかな。審神者を救いたかった？審神者を留めたかったけど出来なかった？それとも、寝返るときに自分も連れて行って欲しかった？何が原因で彼は、此処まで堕ちたのかしら？

こんな状況のやつをどうにかできるとなると、本霊か傷付いた刀達に寄り添うのを得意とした部署の奴らくらいじゃないか？

一応物理的な解決策はあるんだよ？

物理的に…一体どんなものだ？

こう、全身全霊の力を込めて、えいっ！！てやる【ブォンと音を立てて振られた鉄バットはどう考えても銃一丁と500?ペットボトルしか入らなさそうな先輩のウエストポーチからぬっと出てきたものである】

ええ…。そんなもので叩いて大丈夫なのか？むしろ怒らせたりしないか…？【色々突っ込みたい気持ちを堪えている後輩】

これを私にプレゼントしたカンナギの人曰くね、「最終的には物理なんですよ」って疲れた顔で教えてくれた

そ、そうか…まあ、それで大丈夫なら物理に頼るか…。

じゃあ、全力で、殴るかぁ！！【清々しい笑顔の先輩、なぜか神々しい光を放ち始める鉄バット、唸り声のような音を立てて空を切る音、その鉄バットが掠っただけで抉れた離の外装】

【あれで殴られても本当に大丈夫なんだろうかと心配する後輩、しかし反撃された時にすぐ動けるよう用意はしている】

行くわ【覚悟を決めて離に足を進める先輩、バットの輝きは増し、練習と言わんばかりに振られるたびに唸り声を上げて空を切る、風圧で壁の一部が削れている】

あ、おい…壁削れてるぞ…？怒られるじゃないか…？

えー、この場合って何が正しいの！？なんて言えばいいの！？煩悩退散！？【多分完璧に間違っている先輩】

煩悩では無いと思うが…？悪霊、でも無いか…？

じゃあ取り合えず、残業退散！！！！！！【金色に輝く鉄バットが振り下ろされる】

残業はそいつに関係ないんじゃ…まあ、この際退散してもらえたらそれでいいか。

あ、あれ？いなくなった・・・・・・【いなくなったのではなくバットに吹き飛ばされ離の外にぶっ飛ばされたことに気が付いていない先輩、なぜって目を瞑ったまま振り下ろしたから見て無いのだ】

ああ……形が残ってたらいいな…。【ぶっ飛ばされた方向を見ている後輩】

???【何のことかわかっていない先輩】

あいつが消えたんじゃない、あんたがあっちの方面にぶっ飛ばしたんだ。【その方向を指差す後輩】

もー、先輩を揶揄わないの。先輩にそんな力が無いこと君も知って・・・・・・壁が、無い・・・・・・！？

…だから言っただろ。壁も損傷して怒られるぞと…。

なんで？どおして・・・・・・？

そのバットの破壊力がすごかったんだろ。とにかくあいつの様子を見に行くか？

バット怖、封印しとこ・・・・・・【ウエストポーチにバットを仕舞って肥前を探しに行く先輩】

形が残ってたらいいが…。

怖いこと言わないで！！【なお穢れだけ吹き飛ばされて当刀は何が起きたのか分からないまま離の外に転がっていた】

あ、残ってたな…良かった。穢れが全く感じられない、もしかして上手くいったんじゃないか？

バット最高今後も使い続けるわ【凄まじい変わり身の早さでバットを鞄から取り出し抱き締めている先輩】

あ、ああ…そうか。まあ、武器としては強いのかもしれないな。

えーと、それで、なんでバット使うことにしたんだっけ？【意識の九割をバットに持っていかれていた先輩】

あいつについていた穢れを飛ばすためにそれを使うとか言ってたぞ。最終的には物理とかなんだとか…。