異常本丸調査室の日常(〆)

いや、純粋に相性の問題、だと思う。もしかしたらカチ割ってやるって思いながら金槌片手に行こうとしたのが悪かったのかもしれないけど。私一人だと、その鏡がある部屋に辿り着けないの。例に挙げると、鏡が403って部屋にあるとするでしょ、でも私は402や404には辿り着けてもその間にあるはずの403の扉を見付けられない、みたいな感じかな。

なるほど…それなら俺が行ってみるのはどうだろうか？これ以上害を与えるのならかち割るつもりだが。

そうね、頑張ってカチ割って来て。はい、金槌よ【紅葉傘の金槌：いろいろな事情がありシドケの鏡絶対破壊するという強い意志をもった紅葉傘がホームセンターで買ってきた金槌。怪異対策班の御神刀達による祈祷を受け、なんか強くなりそうという理由から教会に持ち込まれ聖別を受け聖水にぶち込まれ護摩木の煙を浴びせられたなんかすごい金槌だが効果は不明】

こんなもので割れるのか…？まあいい、行ってくる。

・・・・・・割れるのなら、とっくに割ってるわよ。お姉ちゃんを飲み込んだ、あんなクソ鏡。【シドケの鏡：元々は鏡に映ったものに関連するものを写す鏡だったが一年前に急に変質した。変質の結果政府の職員一名が犠牲になった、その後鏡の虚像はその職員に固定され姿見に自分の姿を写すと何かと引き換えに望みのものに関する知識を与えられる怪異に成った。政府内部では鏡に呑まれた職員によって変質が引き起こされたと考えている者も多いが職員の身内からは否定されている。シドケとは紅葉傘の別名】

確か28階だったな…。あった、これか。
【見た目はただの鏡のようで自分の姿がうつるも特に欲しいものもないし周りの同期からも無欲すぎると言われている山姥切国広さんは躊躇いなく金槌を振り上げ思いっきりかち割った！】

もし後輩も?まれたらどーしよ・・・・・・、怪異って理不尽だし、本人にその気が無いのに写ったから判定出てなにか持っていかれたら・・・・・・【シドケの鏡との因縁が因縁なのでおセンチな気分になっている先輩、なおその後輩が鏡をカチ割った所為で政府全体に響く怪異の断末魔まで残り5秒】

うるさかったな…。─うわ、本科！？いや、違うんだこれはちゃんと理由があって…！そんなカッとなってやったみたいなことを俺がするわけないだろう…！
【断末魔が思った以上にうるさく政府全体が一体何事！？となっていることを知る由もない山姥切国広さんは丁度近くを警備していた本科に見つかり案件を解決するよりもかなり時間を掛けて誤解を解いたようだ】

あ、あー。君宛の始末書がそこの山だ、先輩として言うのなら説教がにさんほどあるが、個人としてまず言おう。
よくやった！！！【建前諸々を全部捨てた先輩】

これに懲りたらもう政府は怪異を利用するなど考えないで欲しいな…。
【始末書を書きながら遠い目をしている後輩】

ただ気になるのが、君が凄かったのか？金槌が怪異に勝ったのか？怪異の防御面は鏡の耐久値依存だったのか？【お前なんであの鏡壊した？？という上の圧力に無敵モードで対応している先輩】

特に欲しているものもなかったし、とりあえず割るかくらいの気持ちでやったらなんか…割れたな。やはり日々修行するものだな。
【現場でも本科に脳筋と言われていた後輩】

修行、やはり後輩の影響か・・・・・・。【その日の退勤後、先輩は新人研修以来久しぶりに剣道場に足を踏み入れることになる。ちょっと毎日素振りくらいしようかなってBy紅葉傘】


ええと政府案件いったん中断、本丸案件で監査部から依頼が回ってきたの【基本異常本丸調査室に依頼を持ってくるのは総務か怪異討伐班である】

監査部から…？それはまたどういった案件だ？

監査に赴いた本丸が、無人になっていた。審神者の姿は無く、刀剣は顕現が解けた姿であちらこちらに転がっていた。その本丸の様子と言ったらまるでメアリー・セレスト号の如く！！！
ということらしい。

…なるほど、審神者は消えたと言うことだがやはり連絡は取れないのだろうな。

まぁ、ぶっちゃけた話審神者が話せたら私たちの仕事ないもんねー！！

まぁそうだよな…。さて、ならばその本丸に向かうとするか。

今回は上の嫌がらせで銃器の携帯許可が下りなかったから、君は私の側を絶対に離れないでくれ【目がマジな先輩】

嫌がらせって…こっちは命が掛かっているというのにな。
分かった、あんたも俺から離れるなよ。

まぁ、そういう奴らなのよ。今回のシドケの鏡分はこの一回で上も手打ちにしてくれると良いんだけれども。

本丸の方は一切触らずそのまま置いておいてくれてるみたい、行きましょう

ああ、分かった。

【仮称：メアリー・セレスト本丸にて】

まず、何処から調査しようか？

ふむ…そうだな、まずはなぜ審神者が突如姿を消したのかが知りたい。何か政府にバレてはまずい事をしていたのか、放棄しただけなのか…そういったことが分かるとすると審神者部屋だろうな。

ああ、そういえばいたな。飽きたからって本丸棄てて現世に逃げてデキ婚した結果妊娠した子供に全部の霊力持ってかれたバカ女・・・・・・。

ここの審神者は男だったらしいし、そのオチは無いはずだよなぁ・・・・・・。

仮にも俺たちは神だというのによくもそんな扱いができるものだ。
何かに追われていた、とかはないだろうか。それこそ痴情の縺れとかな。

まぁ、その、家が厳しすぎて家から出た途端自由を知って爆発したタイプで・・・・・・。

痴情の縺れ、婚約者とかは政府に報告されていないみたい、付き合っていた人とかは居たのかもしれないけど、刀剣男士との恋愛は政府は基本見るな触れるなで関わらないから政府側の記録は期待薄かな

ふむ…そうなるとその筋は無さそうだ。
そうだ、監査が入ると言っていたがどんな理由で入ろうとしていたんだ？今の時期特命調査はなかったはずだが…。

あ、ああ。監査の方はこれは表向きは優良本丸かの抜き打ち監査、実際は近日行われる第二次審神者候補生実地研修のための本丸監査だね。

審神者候補生実地研修候補に選ばれるくらいだし、戦績も上位だし過去にトラブルも起こしてないし本当に良い本丸だったみたいだね。

それなら尚更謎が深まるな…、一体この本丸に何があったんだ。

監査の方で即座に締め切ったから横槍とか別の調査とかは入ってないみたい、今回は審神者の私室と執務室に結構物が残ってるんじゃない？流石監査部長様仕事が早ーい！！

…ここが執務室か。何か見つかればいいな。

執務室は、改築されていない初期型だね。そうすると隠し場所は棚かなー【執務室漁りのプロの顔をしている先輩】

なんというか…本当に普通の執務室って感じだな。

これは初期型、最初に与えられた本丸にあるベーシックな執務室だ。普通だとそこから改築や使いやすい机や棚に入れ替えていくんだけど、これは備え付けの家具もそのまま使ってるみたい

ということは、物にそんなに執着してないということだろうか。

でも本丸自体は改築なんかもされてる、物に執着しないというより自分のことに無頓着って方が正しそう。クローゼットの中身、多分服を選んで買ってるのは審神者本人じゃなくて刀剣男士だね。自分に無頓着な審神者を見かねた加州清光か歌仙兼定、あと乱藤四郎辺りが服を選んで買っていたと見た。つまりこの執務室のクローゼットに私服まで入ってる辺り審神者の行動範囲はこの部屋が中心だった、または私室に見られたくないものがあってここを生活の中心にしていた。

そうすると、隠し場所は限られてくるはず・・・・・・。

政府に黙って隠し部屋を作っていたとかないだろうか？
…流石に善良な本丸がそのようなことはしないか。

政府に隠れて作ろうと思うと全部自分の手でやる必要がある、相当手間がかかるし審神者一人では難しいでしょうね。そうなると、刀剣男士の協力があったとみるべきかしら・・・・・・。

刀剣男士の協力か…信頼があったとなるとそれも有り得なくないな。

そうなると、調査しないといけない区画が一気に増えるな・・・・・・。あ、日記とか書いてない感じの審神者さんかぁ！！【ずっと執務室漁っていた先輩】

ああ…日記書いてたら色々分かったのにな…。

ホラゲでなんで日記とか出てくるのかなぁって思ってたけどあれ探索範囲を狭める便利アイテムだったんだね・・・・・・。

さーて、何処から手を付けようかなぁ・・・・・・。

この本棚、やけにガタついていないか…？うわっ…。
【本棚を漁っているとやけにガタガタしていたようで少しいじっていたら隠し扉が出てきたようだ】

そ、そんな典型的なオチある！？テンプレート極まりない！！鶴丸国永に協力させて地下迷宮作ったあの男を見習いなさいよ！！【謎目線でキレる先輩】

まさかすぎるな…。階段が続いているみたいだ。

・・・・・・ちなみに教えてやろうか後輩、鶴丸国永の地下迷宮があるのは政府だぞ

半地下かと思ったら結構深めの地下ね、こんなの個人で作れるとは思えない。もしかしてここ、リサイクル本丸？それならデータ上の表記は納得できるけど政府に記録が残ってないなんて有り得る？

政府に地下迷宮なんであったんだな…。

記録を改竄したとかは流石に無いよな？

うん、ドラ〇エごっことかできるよあの迷宮

記録の改竄は審神者だけじゃ無理、もしされてるのなら政府内部に実行犯が居るはずだけどそんな本丸を見逃すほど監査部は甘くない。

あの人気ゲームか。そもそも何のためにそんなもの作ったんだ…。

そうなると改竄はされていないとなるな。リサイクル本丸なのか第三者の協力を得ていたのか…。

なんでそんなもの作ったかって、本人曰く「地下迷宮はRPGの鉄則だろうが！！これは浪漫だ！！」ですって

第三者が居たらそれが一番まずい・・・・・・、一番厄介・・・・・・

そんな理由で作っていいものなのか…？

とりあえず降りてみるか？何か手掛かりが残っているかもしれない。

まぁ、その結果地下迷宮は刀剣男士同士のバトルロワイヤル会場になったんだけど・・・・・・。非番の男士たちがモンスター役と勇者役に分かれて隠蔽と偵察の訓練場にしてる。

降りてみよう、私が先に降りるから後ろ警戒して。

ほとんど某有名ゲームだな…。

ああ、わかった。、

だって、あのゲーム未だにリメイクとか新作とか出てるし・・・・・・

光源は、他にないか。懐中電灯使って降りるか。階段の角度は結構急だな。

最近南泉がなんか騒いでいたがそのリメイクのことだったのだろうか…？

頼むから足を滑らせるとかはやめてくれよ？

ファ〇ナルファンタジーとドラゴ〇クエストの名作リメイクが同時発売されているからどっちのリメイクか特定は難しいわね、来週はポケット〇ンスターの名作リメイクも出るし。


もー、足を滑らせて落っこちるなんてそんなギャグ漫画みたいなことするわけないで、しょっ【足を滑らせて落ちていく先輩】

ああ…言った矢先から…。おい、大丈夫か？【階段を降りて行き様子を見ている後輩】

えーんなんかべちゃべちゃするぅ、なにここぉ・・・・・・【ぶつくさ文句を言う元気はある先輩】

べちゃべちゃ…？何か漏れてるのか？

分かんない、なんか鉄臭いし、妙な粘性もある～、懐中電灯落っことしたぁ・・・・・・【なお立ち上がろうとして液体で滑って再び転んだ先輩】

…血じゃないか？あんた、怪我したのか？
【落とした懐中電灯をひろい先輩を立ち上がらせる後輩】

え、してないけど・・・・・・。ひ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！！！【大分パニック気味の先輩】

落ち着け、とりあえずここから出よう。歩けるか？無理そうなら背負うぞ。

ア゛？喧嘩売られてるのに逃げ帰るわけないでしょそのまま進むわよこのクソみたいな仕掛けの元凶だけはボコる！！！！！！！！！！！【異常本丸調査室所属紅葉傘：学生時代結構やんちゃをしていた】

あ、ああ…頼むから単騎突撃だけはやめてくれ…。
【先輩の豹変っぷりに驚きを隠せない様子】

あっ、あー、ヨシ、良い後輩君、今、君は、何も、見なかった、ＯＫ？【被っていた猫が何処かに行ってしまっていたことに気が付き落ち着きを取り戻した先輩、ただし後輩に圧は掛ける】

分かった、何も見てない…。

さてと、これがただの赤錆交じりの水なのか鉄分やヘモグロビンを多く含んだ生物由来の水なのかは不明だけれどもまともな本丸にあるはずの無い地下室。

絶対に何かありますって感じだよね！！！！【血液の上に落ちたことを認めたくない先輩】

…匂い、粘度的には血液に近いと思うが…。
【先輩についていた液体を指で取ると匂いと粘度を確認している後輩】

正確な鑑定されてないから！！！！現時点でそれは鉄分と赤色色素を大量に含んだ液体だから！！【支離滅裂な言い分を引っ張り出してまで認めたくない先輩】

この地下、迷路みたいになってないと良いんだけど

そ、そうだな。俺の早とちりだな。【先輩の圧に負けた後輩】

俺は打刀だから短刀程ではないがまだ夜目がきく。絶対に離れるなよ、俺が先導する。

お、大人しく後ろから着いて行きまぁす・・・・・・。懐中電灯使う？

ああ、一応借りておく。

駄目だまるで見えん、離れるなよ、絶対離れるなよ！！！！

わかった、分かったから…。
【これは見えなくてよかったかもなと悲惨な光景を見て思わず黙り込む後輩】

・・・・・・あ、今なんか動いた？右の方、なんか動いた気がするんだけど

…刀剣男士のような、遡行軍のような…何とも言い難い肉塊のことか？小さく唸っているが言葉にもなっていないぞ。

・・・・・・へぇ、なんでそんなのが此処にいるんだろうね【平然としゃべってる風を装っているが後輩の布を引き千切らんばかりに掴んでいる】

実験でもしてたんじゃないか？より強い刀剣男士、または遡行軍を作る為に…。
【布を掴んでいることに気付くも何も言わない後輩】

謎の地下室、実験、その組み合わせでハッピーエンド迎えたことないんですけど・・・・・・

まあ、基本的にそうだろうな…。善良に見えた本丸が一気に訳ありになってしまったな。

私さっきまでさ、きっとこの本丸の審神者は被害者でその無念を晴らさないとって思ってたんだけど考え改めるわ
むしろこの流れで下手人が審神者以外だった方が怖い、いや審神者以外がやらかしてたこともあったけどさ・・・・・・。

…さて、この肉塊を流石に持ち帰る事はできないからな。
政府に連絡して詳しい奴らを呼ぶか？

呼ぶなら監査を通して呼んだ方が良いね、此処はウチの領分超えてそうだし一回引くのもあり。でも監査に引き渡したら一発殴るとかできないだろうな～。


はぁ、報復は諦めないとダメかな・・・・・・。一回戻ろうか、ところで、私たちどっちから来たっけ？【暗闇で方向感覚を失った先輩】

ああ、それなら問題ない…ここにいる肉塊は、俺の同位体だからな。俺たちの分もきっと監査部の本科が一発どころか何発か入れてくれるはずだ。

えっと…こっちから来たはずだ。戻るぞ、ついて来い。

・・・・・・そういう大事なことは先に言ってェ！？自分の同位体の成れの果てを見て「何とも言い難い肉塊のことか」とか言ってたのお前！？メンタルの強度オリハルコンか！？大丈夫？カウンセリング手配するか？【ワタワタと心配そうにしている先輩】

確かにあれは俺の同位体だが、最早何とも表せないような見た目をしていたからな。だが、俺だってこんなことをしたやつを殴りたい気持ちはあるぞ。それか同じ目に合わせてしまえばいい、どのような過程で実験を行ったのかも分かるからな。

・・・・・・原型を、刀剣男士や遡行軍が己の形を失うことって、珍しいの。名は体を表す、のと同じで確固たる自我があるから、どんな形であれ原型を失うことってない、らしい。だから、肉塊になってる君の同位体たちは、山姥切国広という個を消失するほどのナニカをされた、って考えるのが妥当だと思う。確か、あのレポートは、そんな感じで書いてた気がする。【記憶の中のレポートを引っ張り出しているからかちょっと自信なさげに言葉を重ねる】

…個を失うほどの、か。よくもまあそんなことをしようと思うものだな。

それこそ例えば、時間遡行軍と強制的に融合させようとする、とか

…考えただけでゾッとするな。それを何度も繰り返していたら流石の俺であろうと気が狂ってしまうかも知れない。

・・・・・・？【後輩の図太さから考えて精神筋肉論のぶつけ合いで負けたのは遡行軍側では？と思っている先輩】

そしてさ、この可能性を監査部に伝えたらどう思う？

そうだな…見つけた経緯をまず洗いざらい聞かれて、そのあと怒り狂った本科達が鬼の形相で審神者を探すだろうか…。
【至って真面目に答えている後輩】

そうだね、その通りだよ【それに加えて私に「俺の写しになんてもの見せるんだ」「先輩としての自覚が足りないんじゃないのかい！！」「階段から落ちて見付けた？弛んでるんじゃないのかい！！」と後輩の耳に入らぬ場所で更なる説教を受ける羽目になるだろうな・・・・・・、と思っている先輩】

だが、見つけた以上報告しなければいけないだろうな…。

まぁ隠蔽しようと思ったらこの地下崩落させるくらいしないとね。それを実行しようと思うとええと爆薬を持ち込むところから始めないといけないから監査に気が付かれるだろーね

そんな、隠蔽するつもりは…。ただ、しばらく本科達に監視…じゃなくて見守られることも増えるだろうなとな思っただけだ。
【何かと無茶をするたび様々な課に所属する本科達によって甘やかされたり気をかけられる事が増えるのを実際に何度か経験した遠い目をした後輩】

なんていうか、刀剣職員はいつも何かしらでわちゃわちゃ楽しそうね

楽しい…のか？まあ、あんたもだが色々な奴らが気にかけてくれるからな、大変なことも多いが楽しいとは思うぞ。

それなら良かった、ならいったん報告に戻ろうか。流石に専門知識の無い私たちで調査するにはこれは厄介過ぎる。

ああ、そのほうがいいだろうな。戻ろう。

戻ろう、戻ろう、監査通して専門部署に回そう。

…とりあえずこれで報告はできたし、あとは監査部からの返答待ちになるのか？【予想通り長時間2人とも監査部から出れなかったため疲労が溜まっている様子】

そうだね・・・・・・【予想通りの「俺の写しになんてもの見せるんだ」「先輩としての自覚が足りないんじゃないのかい！！」「階段から落ちて見付けた？弛んでるんじゃないのかい！！」と後輩の耳に入らぬ場所で更なる説教を受けた上に「そもそもなんでそんな血塗れで平然と歩いてるんだい！！」「見た目に気を遣うってことを知ってるのかな！！」と叱られた先輩、いまだに転んだ時に赤色の液体に落ちた時のままの格好である】

今のあんたについているそれ、検分してもらった方がいいんだろうか…。あと、わからないところを怪我してるかもしれないし医務室に行った方がいいだろうな。

検査に掛けてヘモグロビンを含有する生物由来の液体だったら嫌だからシャワー浴びて落としてくる・・・・・・【意地でも血液と言いたくない先輩】

そうか…それならここで一度解散するとしようか。

そうしよう、そうしよう

【先輩と解散したあと、来た道を戻り監査部に突入すると今回の件に関わっているであろう審神者の情報を分かる範囲で教えてもらい、何かあったら報告してくれと頼んでいた。表情に出ていなかったがかなり怒っていたらしい】

・・・・・・あ、日光先輩？あとで回収してほしいものがあって、ほら刀剣男士って人間の形してるけど人間とは体組織が違うでしょ。だからそこからこの服にべったりついた液体が人間由来か刀剣男士由来か分かるはず。
あくまで推測で、予想なんだけど、この服についてる液体は人間由来のはず。多分、審神者の生体データと照合掛けたらヒットする審神者が出るんじゃないかな。監査で今捜索されてる審神者と。

後輩君には言えないけどさ、多分あの審神者は殺されて歴史修正主義者に本丸を乗っ取られた被害者なんじゃないかと思ってるんだよね。え？理由？日光先輩、乙女の勘に合理性を求めないでください。

【教えてもらった案件を整理しつつ似た様な事案がなかったかの確認をしている】

たーだいまー、ってあれ？資料整理？なんか探し物？

いや、なにか手掛かりがあるかと思って似た事案をいくつか集めただけなんだが…見れば見るほど頭の中が複雑になっていくな…。

んーなになに、本丸内の違法改装、刀剣男士のリミッター解除実験、時間遡行軍を利用した強化実験ん、わぁお不祥事オンパレード

これだけの事案いくつも読んでいて疲れない？大丈夫？【既読と未読で分けられた未読の資料の中からヤバい案件をそっと排除していく先輩、チャイルドセーフティである】

正直、少し疲れたと思い始めたところだ。

なら、いったん中断したら？ほらほら、可愛いネコちゃんだよ～【ゆー〇ゅーぶで可愛いネコ動画を開いて見せてくる先輩】

…ねこ。ふ、可愛いな。
【ねこちゃんの可愛い動画にまんまと釣られる後輩の図】

【その隙に刀剣男士一年目には見せられない案件に関する資料を奥の方に仕舞っている先輩】

【先輩のおかげで精神衛生を保たれた後輩はずっと猫の動画を見ている】

【度重なる本歌ズのお説教を受けた紅葉傘はチャイルドセーフティ機能を手に入れた！！なお肝心の先輩はこの後日光先輩から解析結果の連絡が来るので精神衛生は保たれない】

あ、そういえば監査部の本科達が何か分かったらあんたの方に連絡をすると言っていたが何か進展とか送られて来てないのか？

ま、マダキテナイヨー【日光先輩が馬鹿正直に監査に持ち込んだことをそれで知った先輩、内密にって言ったじゃん！！！せんぱぁい！！】

そうか…まあ、色々と面倒な案件だったから時間がかかるのは仕方のない事だろうな。

ウンウンソウダネー【なお普通に連絡は来ているし後輩の精神衛生に配慮がなされているだけである】

そういえばあの本丸にいた刀剣達は回収されたあとどうなるんだ？再顕現するならそいつらから話を聞けそうなら色々と分かりそうなものだが…。

再顕現ね、難しい、というかできないみたい。形代はあれど御霊は無いって状態みたい。だから正規の手順で刀解になるみたい。

そうか…それは残念だ。

下手な変質起こして大騒動、よりはマシかな。本霊の元に還れるわけだし。

確かにそれもそうだ。そのほうが面倒だろうしな。

じゃあ、これ以降の進展は無いだろうし、今日は解散かな【途端に鳴り出す紅葉傘の端末、静かな異常本丸調査室に響く着メロ、クッションの下敷きにして聞かなかったことにする先輩】

解散！！！！！！！！！！

いや、今何か音が聞こえた気がしたが…？
【刀剣男士の聴力を舐めてもらっては困る！人間よりかなりいいのだ！】

解っ散！！！！！！！何もない！！何もないったら！！！！！！【クッションをさらに積み上げる、着メロは鳴りやまない】

そ、そうか…。分かった、ではまた明日。
【先輩の剣幕におされて帰ることにした後輩】

【なお連絡をしてきた相手が監査部長だったので後輩を返した後一人しょぼしょぼ監査部に向かうことになる先輩】

【次の日健やかに眠れた後輩は元気よく出勤してきた】

【監査部で残業、件の審神者の死と歴史修正主義者による乗っ取り、更に本丸を足掛かりに政府襲撃５秒前を阻止と映画並みの大騒動の処理に関わっていた所為で完徹元気マイナスの先輩は未だに事後処理をさせられている】

おはよう…まさか、徹夜だったのか？酷いくまだぞ。

ふふふふふふふ、まだ一徹よ、まだ一徹、ふふふふふふこんなの徹夜に入らないわ【目がイっちゃってる先輩】

う、うわ…ついに壊れたか…。

遂にって何よ遂にって！！！！もう少しで終わるから！！次の現場の資料の確認をして！！！【ぺいっと後輩に資料が収められたファイルを投げる先輩。後輩の精神衛生を守った結果自身の精神衛生を守れなかった先輩】

わ、分かった…。
【資料をキャッチすると言われた通りに読み始めた後輩。これ以上刺激するとまずいと判断したようだ】

【なお完徹の先輩は投げる資料をミスって昨日の大騒動の保存用資料を投げていることに気が付かない】

…審神者は死亡しており、歴史修正主義者による乗っ取りが行われていた…？それに政府襲撃…どういう事だ…。

は？何の話をして、って、うわー！！！！！！！それ別のやつー！！！！【資料の取り違えに気が付いた先輩】

しかも昨日の日付じゃないか、なんでこんな重要なこと言わなかったんだ？俺じゃ力不足だったのか？

だって、君を返した後に事態が急に動いたんだもん・・・・・・。本来ならこれは三日後に実行される予定だった今回割れた連中の拠点への強襲作戦を内通者が歴史修正主義者に情報漏らしたせいで昨日の夜ドンパチになって、君に連絡回そうとしたら「すやすや寝ている俺の写しを起こそうだなんていい度胸だね？」「まさか寝ている写しを起こさなければならないくらい人手不足と思われているのかな？」「君はこの事態を俺では解決できないと思っているということかな？」って詰め寄られたので連絡も出来ず・・・・・・。
今日政府の東館が閉鎖されるのはドンパチやった痕跡の処理が終わってないからです。

なるほど…本科達は何でそこまで俺に過保護なんだ…？
【ちょっとほんわかしているからである！】

君が他の山姥切国広に比べればフワフワしてるからじゃない？

他の俺に比べて…？そんなにフワフワしているのか…？
【どうやら無自覚の様子】

うん、かなりフワフワしてる。間違いない。

というか本来の資料はどこに・・・・・・。【先輩のデスク周りは床まで書類やファイルが転がっている、昨日の一件の後処理がまだ終わっていないようだ】

そ、そうなのか…。

また一緒に資料探すか？

う、うぅ、なんでこうなるの私ィ・・・・・・。【徹夜明けで情緒不安定な先輩】

落ち着け、何か飲み物買ってくるか？

大丈夫・・・・・・、資料、資料・・・・・・。ぶびゃっ【床にまで散らばったファイルをごそごそと纏めて居たら机に頭をぶつけて机の上の書類の雪崩に巻き込まれた先輩】

おい、大丈夫か。やはり一度休憩しよう。
資料は逃げないんだ、ゆっくり探せばいい。

駄目ね、頭回ってない、少し仮眠して【【途端に鳴り出す紅葉傘の端末、静かな異常本丸調査室に響く着メロ、絶望の表情の先輩】

タイミング悪すぎだろ…。俺が出ようか？

いい、私が出るよ。はいもしもしぃ、異常本丸ちょーさ室でぇす・・・・・・。んぁ、えっ、あっ、菊御前っ、な、なんで、え、あ、あー、はい、・・・・・・それ拒否権とか、あはははですよねぇ、分かりました出ます、出ますってば・・・・・・。私遅れていくんで、先に後輩行かせます、サボりじゃないですから

あー、すまん後輩君、昨日の騒動で厄介事が起きたらしい。政府東館に向かってくれ、昨日の襲撃で壊れた壁のがれき処理とかまるで終わってないから怪我しないようにして、私もすぐ追うから。

分かった、先に行こう。
【先輩が電話している間に飲み物を用意していたできた後輩はそれを渡すと頷いて東館に向かった】

【後輩の気遣いを文字通り飲み干して作業を終わらせるべく続行する先輩】

ここか…中々に荒れているな。
さて、誰に聞けばいいものか…。

あ、しまった。アイツに招集理由の姿写しの繭の話するの忘れてた、菊御前がさっさと拾ってくれればいいけど【姿写しの繭：怪異の一つ、狙った相手の記憶の中にいる誰かの姿を写して獲物が近寄ってくるのを待つ。知人友人だと思い近寄ってきた獲物を捕食する、被害に遭った政府職員が残したボイスレコーダーに「あれは〇〇じゃない、人くらいの大きさの繭だ。いや違う、繭の中から虫が」と吹き込まれていたことから姿写しの繭と命名される。本体は繭の中にいる何かと推測されているが捕獲調査は出来ていないため不明。今回は歴史修正主義者による襲撃で政府を覆う結界に歪みが生じ入り込んだ模様】

南泉、ちょうど良かった。
先程こちらにくるように通達されていたのだが詳細が分かっていなくてな。え？あっちに一緒に行くのか？分かった。
【周りを見つつ歩いていると南泉の姿があり、声をかけた様で人気のない方に連れて行かれた】

あ、菊御前。そっちに派遣したウチの後輩キャッチできました？今からそっちに合流を、え、まだキャッチできてない？マジですか菊御前、即走ります。菊御前も探してくださいね！！！【東館にダッシュで向かう先輩】

おい、どこまで行くんだ…？いや…あんた、南泉じゃないな。
【かなり歩いてから違和感を感じた後輩】

こうはーい！！後輩くーん！！！どこ行ったー！！【万屋街から配達してもらった後輩お気に入りのから揚げをダメ元の餌として設置して探している】

【よく分からないまま繭を倒した後輩、それを担いで来た道を戻っていると何やら好物の匂いがしたようでそちらに向かい出した！】

くっ、流石にこれに釣られはしないか。やっぱり繭の被害を受けているの？ウチの後輩どこ行っちゃったの！？これ菊御前の責任だよね！！結界抜けて外出てないよね！？【から揚げの前で謎の敗北感に打ちのめされている先輩】

何だ、こんなところにから揚げ持って来てたのか？
【打ちのめされている先輩を横目にから揚げを一つつまむと食べ始める後輩。メンタルオリハルコンなだけはある】

姿写しの繭の話を後輩にし忘れて、その後輩が連絡付かないんだよ・・・・・・。好きなもので釣れるかとから揚げを持って来たんだけどこのから揚げはもう墓前に供えるしか・・・・・・！！【完徹の影響が抜けきっておらず頭が回っていない先輩】

姿写し…ああ、こいつのことか？
【そういうとポイっとその辺に繭を投げた後輩】

えっ、あっ、わ、わー！！！！！後輩の幽霊！？姿写しの繭！？嘘でしょ繭と分離するとか聞いてないんですけど変質起こしてる！？ごぜーん！！菊御前！！！！【頭がロクに動いていない先輩】

あんたの後輩の山姥切国広だが…！？おい、こいつの先輩の日光はいないか！手が付けられない！

わ、私の後輩ならそこにある五キロ分のから揚げを10分以内に完食できるはずだ・・・・・・！！【日光先輩、本日休暇につき出勤していません。それを後輩は知らなかった】

ええ…、ここでそんなことしないといけないのか？

うぅ、私の伝達ミスの所為でごめんね後輩君！！！！【話聞いてない先輩】

分かった、食べればいいんだろ。
【そういうと目の前に置かれたから揚げをパクパクと食べ始めた】

【その後、何故から揚げの香りがするのかと警備の南泉を伴いやって来た菊御前が見たのはべしょべしょに泣いている紅葉傘と一心不乱にから揚げを食べる山姥切国広と無残に裂かれた姿写しの繭である】

はあ…南泉に一文字則宗、手間をかけたな。

【その後菊御前の呼び出しでやって来た日光先輩に回収されていく紅葉傘、徹夜明けの紅葉傘は欠片も使い物にならない】

【事の経緯を教えてくれと詰められると全てを打ち明け、姿写しの繭はそう言ったのに詳しい部署が回収することとなりひと段落したようだ】

・・・・・・あれ、なんで私仮眠室に居るの？【三時間ほど寝てようやくまともに戻った先輩】

起きたか、寝不足で暴走したあんたを日光がここまで連れてきたんだ。
【昨日の今日でまた何か入り込んで来ても困るため近くで待機していた後輩】

え、マジでなんも覚えてない。二時くらいに現実逃避したくなってストゼロ二本開けた辺りからなんも思い出せない・・・・・・。

俺を姿写しの繭だと信じていたくらいだしな…。過労死する前に今日から三日間あんたは休みだそうだ。

やすみ・・・・・・？みっかかんも・・・・・・？そ、そんな長期休み取ったら休み明けの書類仕事が大変なことになる！！並行してやってる調査進捗も！！！今そんな長期休暇無理ィ！！！【一年で社畜に染まった先輩】

安心しろ、今回の件を日光が上に言っていたから休み明けの仕事はそんなに無いはずだ。

そ、そうなんだ・・・・・・【なお紅葉傘が異常本丸調査室に個人で持ち込んだ小型冷蔵庫の中に詰め込まれていたスト〇ングゼロとモンスター〇ナジーは全て日光に回収された】

日光もとにかく休むようにと言っていたぞ。たまには先輩の言葉に甘えていいんじゃないか？

そう、だね？じゃあ、今やってる調査が終わったら休もうかな

ああ、そうしてくれ。俺もあんたが暴走したら止められない自信がある。

分かった、ならアンダーグロウポートの方は一人で調査に行ってくるよ

一人？それはダメだ、やっぱりついていく。何があるか分からないって他の奴らも言ってたぞ。

まぁ、アンダーグロウポートって三途の川に繋がってるから何が出てくるか分からない場所だもんねぇ・・・・・・

そんな場所、なおさら一人で行かせるか。
ところで、そんな場所で何の調査するんだ？

澱みが、溜まってるらしい。どうもその澱みの原因が折れた刀剣男士の可能性が高く、正確に調査してこいと。

澱みか…なるほど。ところでその場所には行けるものなのか？
三途の川に繋がっているなら簡単には行けないと思うんだが。

アンダーグロウ“ポート”、三途の川に繋がる港みたいな？未練あるもののたまり場的な？感じの場所でエレベーターで行くよ

なるほど、エレベーターで行けるんだな。
その調査、早速行くとするか？

そうだね、じゃあまず防寒着取ってこようか後輩君。あそこクソ寒いから