異常本丸調査室の日常(〆)

分かった、ありがとう。
【空腹には抗えないのですぐに食べ物を探しに行く後輩】

【夢の中で報告書を書いている先輩、二度目だが夢の中で書き上げたものは現実に出力されない】

【しばらくして戻ってくると寝落ちした先輩を見て報告書って俺が書いてもいいのだろうか、と悩みながら寝落ちする後輩】

【夢の中で報告書を書き上げた先輩、三度目だが夢の中で書き上げたものは現実に出力されない】

【乗り慣れない乗り物の為に何度か目を覚ました事もあり先輩の持つ報告書をそっと抜き取りいつぞやの妖精さんの如く報告書を書いてからまた寝ることにした後輩】

【目を覚ました先輩は報告書を書き上げたことが夢と気が付き悲鳴を上げ、何故か書きあがっている報告書に歓喜の声を上げ、「妖精さん現世出張！？」と引っ繰り返った。東京まで戻ってこれたね後は帰ってまた仕事だ】

【先輩の悲鳴で目を覚ました後輩、先輩の慌て方に内心笑いを堪えるのに必死だったらしい】

はー、焦ったぁ。政府が夢の中の出来事を出力できる装置でも作ったのかと思った。まぁとんでもない出張だったけど、次の調査を始めないとね。
次なんだっけ【後輩の内心を知らない呑気な先輩】

妖精さんが助けてくれて良かったじゃないか。次…何なんだ？

妖精さん出張させちゃったよ私、御菓子献上しとこ。【棚の上に広島土産の菓子を載せる先輩】
あれ、資料何処置いたっけ。ああ整理しないとダメだな

どんな資料だ？一緒に探すぞ。

次の案件のやつ、青いファイルに入れたんだけど・・・・・・【紅葉傘が漁っている棚の半数は青いファイルである】

青いファイルばかりだな…。

あ、あー、でも色全部変えると色の方が足りなくなっちゃって・・・・・・【先輩は整理整頓がクソ苦手である、研修期間の彼女の面倒を見ていたパートナーの肥前の苦労は如何ほどか】

あっ…なるほど…なら地道に探そう。ちなみに案件の名前とか覚えてるか？

・・・・・・シドケの鏡、よ【先輩の声はなにかを無理矢理押し付けて平坦にしたようだった】

シドケの鏡…？分かった、それを探せばいいんだな。

シドケの鏡…？分かった、それを探せばいいんだな。

そうよ、それが次の案件、政府絡みの厄介もの

そうなのか…。あ、あった。これじゃないか？
【しばらくして見つけた様子】

あ、本当だこれだ。よく見付けたね。中身は君が先に確認していいよ、私、引っ張り出したファイルの中身仕舞わないと

ああ、わかった。

ん、んー？どの順番でファイル入れていたっけ・・・・・・。適当でいいか、仕舞ってあればいいんだし【向きだけ揃えてがさがさ棚に戻していく紅葉傘】

…？？？？
【ファイルを開いて読んでみるも専門用語が並んでいて分かっていない様子】

あ、あー。そういえばそれは嫌がらせの。

ごめん今説明する、シドケの鏡ってのは政府の本棟二十八階にある姿見のコト。その姿見に自分の姿を写すと、何かと引き換えに望みのものに関する知識を与えられるって怪異ね。で、知識自体は有用だから政府は鏡に一方的に対価を選択されるのではなく政府側で指定して有効活用したいみたい。愚かよね、既に死人も何人も出たっていうのに。

死人が出ているような怪異を野放しにしてまで有効活用するとは…中々に酷い案件だな。割ったりしてもいけないのか？

割れるのなら、とっくに割ってるわあんなクソ鏡。割れないのよ、全くね。というか私一人だとそもそも鏡まで辿り着けないし・・・・・・。

どういうことだ？あんた1人で行けないような場所…特別な許可が必要ということか？

いや、純粋に相性の問題、だと思う。もしかしたらカチ割ってやるって思いながら金槌片手に行こうとしたのが悪かったのかもしれないけど。私一人だと、その鏡がある部屋に辿り着けないの。例に挙げると、鏡が403って部屋にあるとするでしょ、でも私は402や404には辿り着けてもその間にあるはずの403の扉を見付けられない、みたいな感じかな。

なるほど…それなら俺が行ってみるのはどうだろうか？これ以上害を与えるのならかち割るつもりだが。

そうね、頑張ってカチ割って来て。はい、金槌よ【紅葉傘の金槌：いろいろな事情がありシドケの鏡絶対破壊するという強い意志をもった紅葉傘がホームセンターで買ってきた金槌。怪異対策班の御神刀達による祈祷を受け、なんか強くなりそうという理由から教会に持ち込まれ聖別を受け聖水にぶち込まれ護摩木の煙を浴びせられたなんかすごい金槌だが効果は不明】

こんなもので割れるのか…？まあいい、行ってくる。

・・・・・・割れるのなら、とっくに割ってるわよ。お姉ちゃんを飲み込んだ、あんなクソ鏡。【シドケの鏡：元々は鏡に映ったものに関連するものを写す鏡だったが一年前に急に変質した。変質の結果政府の職員一名が犠牲になった、その後鏡の虚像はその職員に固定され姿見に自分の姿を写すと何かと引き換えに望みのものに関する知識を与えられる怪異に成った。政府内部では鏡に呑まれた職員によって変質が引き起こされたと考えている者も多いが職員の身内からは否定されている。シドケとは紅葉傘の別名】

確か28階だったな…。あった、これか。
【見た目はただの鏡のようで自分の姿がうつるも特に欲しいものもないし周りの同期からも無欲すぎると言われている山姥切国広さんは躊躇いなく金槌を振り上げ思いっきりかち割った！】

もし後輩も?まれたらどーしよ・・・・・・、怪異って理不尽だし、本人にその気が無いのに写ったから判定出てなにか持っていかれたら・・・・・・【シドケの鏡との因縁が因縁なのでおセンチな気分になっている先輩、なおその後輩が鏡をカチ割った所為で政府全体に響く怪異の断末魔まで残り5秒】

うるさかったな…。─うわ、本科！？いや、違うんだこれはちゃんと理由があって…！そんなカッとなってやったみたいなことを俺がするわけないだろう…！
【断末魔が思った以上にうるさく政府全体が一体何事！？となっていることを知る由もない山姥切国広さんは丁度近くを警備していた本科に見つかり案件を解決するよりもかなり時間を掛けて誤解を解いたようだ】

あ、あー。君宛の始末書がそこの山だ、先輩として言うのなら説教がにさんほどあるが、個人としてまず言おう。
よくやった！！！【建前諸々を全部捨てた先輩】

これに懲りたらもう政府は怪異を利用するなど考えないで欲しいな…。
【始末書を書きながら遠い目をしている後輩】

ただ気になるのが、君が凄かったのか？金槌が怪異に勝ったのか？怪異の防御面は鏡の耐久値依存だったのか？【お前なんであの鏡壊した？？という上の圧力に無敵モードで対応している先輩】

特に欲しているものもなかったし、とりあえず割るかくらいの気持ちでやったらなんか…割れたな。やはり日々修行するものだな。
【現場でも本科に脳筋と言われていた後輩】

修行、やはり後輩の影響か・・・・・・。【その日の退勤後、先輩は新人研修以来久しぶりに剣道場に足を踏み入れることになる。ちょっと毎日素振りくらいしようかなってBy紅葉傘】


ええと政府案件いったん中断、本丸案件で監査部から依頼が回ってきたの【基本異常本丸調査室に依頼を持ってくるのは総務か怪異討伐班である】

監査部から…？それはまたどういった案件だ？

監査に赴いた本丸が、無人になっていた。審神者の姿は無く、刀剣は顕現が解けた姿であちらこちらに転がっていた。その本丸の様子と言ったらまるでメアリー・セレスト号の如く！！！
ということらしい。

…なるほど、審神者は消えたと言うことだがやはり連絡は取れないのだろうな。

まぁ、ぶっちゃけた話審神者が話せたら私たちの仕事ないもんねー！！

まぁそうだよな…。さて、ならばその本丸に向かうとするか。

今回は上の嫌がらせで銃器の携帯許可が下りなかったから、君は私の側を絶対に離れないでくれ【目がマジな先輩】

嫌がらせって…こっちは命が掛かっているというのにな。
分かった、あんたも俺から離れるなよ。

まぁ、そういう奴らなのよ。今回のシドケの鏡分はこの一回で上も手打ちにしてくれると良いんだけれども。

本丸の方は一切触らずそのまま置いておいてくれてるみたい、行きましょう

ああ、分かった。

【仮称：メアリー・セレスト本丸にて】

まず、何処から調査しようか？