異常本丸調査室の日常(〆)

…消えたぞ？どういうことだ？

え、知らん。これで良いの？？ダメなの？？？

特に怪異が襲ってくることもないから…大丈夫なんじゃないか？

じゃあ平気か。【ダメです】
次の手順は、っと。捧げものを変えた、ガーネット削った、ガーネット置いた、庭の柘榴の花が咲いていれば完了。咲いていなかった場合は何処かで手順を誤っているか、禁則事項に触れたかで手順の変更がされていない・・・・・・となると次は出口探しか。

出口か…。そうだ、マッピングをやってたとしたらここに書かれてない扉を探せばいいんじゃないか？

今北と東の方からやってきったから、南と西だね

ああ、ならそちらの方へ向かうとしよう。

ん、と。次はあっちの廊下だね。部屋も確認していこう、部屋だと思ったら出口ってこともあるかもだし【地図と照らし合わせながら歩きだす】

ああ、確かにそれもありそうだ。行こう。

ここは、違う。こっちも、違う、こっちは、ひぇ【襖をスパスパ開けながら進んでいく紅葉傘、なお三つ目の襖を開けた時部屋には身体のあれこれがあべこべに引っ付いた男が立っていてちょっとビックリした】

どうした、何か…うわ。
【悲鳴を聞いて何かあったかと部屋を同じく覗き込むと怪異を見て顔を顰めそっと襖を閉じて】

・・・・・・ねぇ、あの怪異さぁ、顔だけは人事部のハゲ課長に似てなかった？ぷぷぷっ、怪異の方は毛が生えてた【人事部のハゲ課長とは、この時代珍しい薄毛のパワハラセクハラで有名なおじさんである、なおセクハラパワハラをやらかしては減給され給料が戻ったと思ったらまたやらかして減給を繰り返す、最近離婚したこともあってパワハラ悪化中、先日鶴丸国永の罠に引っ掛かって朝の朝礼の真っ最中にヅラが外れた】

っふ…はは、そう言われるとそうだな。
あの課長、怪異に毛量でも負けたのか。可哀想にな。
【その課長は人間だけでなく刀剣男士(特に女体バグを抱えた個体)などにもセクハラする事で刀剣男士間でも有名だったようですぐに顔を思い出しては笑いを堪えて】

ひぃ、もうダメ、笑い過ぎておなか痛い。写真撮っておけばよかった、怪異に毛量で負けた課長ｗｗｗｗｗ【特一級封印指定本丸ということを忘れて笑い転げている紅葉傘】

お、おい…流石に笑いすぎだ。笑い声につられて他の怪異が来るかも知らないぞ。
【予想以上にツボった先輩の姿を見て少し心配になったようだ】

つ、次に出て来た怪異が監査部のお局の顔してたらどうしようｗｗｗ【監査部のお局：家柄が特殊なので上の地位に居るロクに仕事が出来ないのに喚き散らかす女性、最近あった出来事としては新入りをいびり倒していたらその傷心に付け込んで口説いた男と新入りが結婚してブチギレた】

あのお局の話は本科から色々聞いたことがあるな。中々に曲者らしいうえに仕事が何もできなくて困ると聞いたことがあるぞ。

じゃ、じゃあ次行こうか【大爆笑の余韻はまだ残っており声が少し震えている】

ああ、そうだな。進むとしよう。

こっちは、なにもない。こっちも、なにもない。あ、ここ一ノ間だ。ここに移動してたんだ・・・・・・。ここは、ここはお局の流れだったじゃん！！！！！！！！【蟲の集合体みたいな怪異が出てきて叫び声をあげる紅葉傘】

残念だったな、お局はここでも不要だったらしい。

言い方ァ！！【後輩の一言がツボった所為でまたしばらく笑い過ぎで床に蹲る羽目になる紅葉傘】

そ、そんなに面白かったか…？
【床と一体化した先輩を見てこいつのツボ浅すぎではと心配になる後輩の図】

さて、次行こうか。出口何処かな【爆笑の余韻をまだ引いてる】

…ここ、出口じゃないか？
【その後も襖や扉をひとつずつ開けていき。そのうちのひとつを開けると外の景色が見えて】

庭の柘榴の木を探そう、ちゃんと出れるかな。

ああ、きっとどこかにあるはずだ。

でも、庭くっっっっそ広いな・・・・・・

ああ、本丸と言っても広過ぎるな…。

空間が歪んでる、とか、円形状に繋げてる、とかの可能性もあるかな

確かにそれはありそうだな。
…彼方には様々な花が咲いてるみたいだぞ。

あぁ、そういえば本丸には昔と同じ生きた植物が生えているんだったっけ。視覚検索で花の種類が分からないのも久しぶりかも

本丸内は怪異だらけだったのにここはそんなないないんだな。空気も少しだけ澄んでる気がする。

可能性として提示するなら、特定の条件でのみ怪異が発生する、一定条件を満たすと怪異が増減する、扉で隔たれているから本丸の中と外は別、本丸内部に全ての歪みや怪異を隔離している、とかかな

なるほど、その可能性も考えられるのか。
とにかく柘榴の木を探すとしよう。分担したほうが効率はいいだろうが何があるかわからないし…地道な作業だ。

じゃあ右手の方から回って行こう

ああ、そうだな。

いっそ不気味なほど青々とした庭ね・・・・・・

本丸内があんな感じだったからな…。
尚更違和感しかないな。

そいういえば有名な古典にこんなフレーズがあったな、“桜の樹の下には屍体が埋まっている！”って。桜が美しいのはその根に醜い屍体があるから一等美しく咲き誇るのだ～ってヤツだった気がする。その辺の花の根を掘ったら死体があったりして。【ケラケラ笑っている紅葉傘】

その話、俺も知っている。なんだ、見てみたいのか？
あまりいいとは思わないが…。

嫌だよマジで出てきたらトラウマ確定じゃん！！【埋まってるか埋まってないかの二択でいえば埋まってはいる、一応】

そうだろうな、それならやめておくとしよう。

はぁ、ギリシアの方の逸話なら美しい花に誘われてその傍に寄れば冥界に落ちることになるけど日本じゃ美しい花の下には死体か。落差があり過ぎるでしょ、同じ死に関することなのに

その国によって死に関する考えが違うから仕方ないだろ。

まぁそれもそっか。んー、どの木も同じように見える

…なあ、あれ柘榴の木じゃないか？
【指を指した方向にはそれらしき木が見える】

へぇ、あれが。花ぱっと見無さそうなんだけど、柘榴の花って小さいの？写真は接写のものしかないから、サイズ感分からないんだけど

そんなに大きくはないかもな。
だが俺も大抵同じようなものしか見たことがない。

んー、無さそうかなぁ・・・・・・。【がさがさと葉を掻き分けている】

ああ、こちらにも無いな。俺の勘違いだっただろうか…。

手順、実は失敗してたとか・・・・・・？

えっ…、それは…きついな。

祭壇か！？祭壇壊して作り直したのが悪かったのか！？ステージ風にアレンジしたのが悪かったのか！？【ガーネットです】
元の祭壇の形状なんて覚えてないよぉ、祭壇直すしかないのか！？【ガーネットの手順を間違えています】
何処でミスしたんだァ～【蓮華台に置くガーネットを間違えています】

…そういえばあの宝石、うまく乗らなかったよな？
祭壇はともかく、やはりそれも問題だったんじゃないか？

血文字か！？アクスタか！？豊前の光を浴び続けたアクスタがダメだったのか！？・・・・・・は？宝石？あー、ガーネットのことか。蓮華台を、素通り・・・・・・。この場合さ、ガーネット探しからかな・・・・・・

またあれを探すのか…だが、ここから出れる条件だとしたら仕方ない。戻るとしよう。

あの本丸に！？絶対に怪異の坩堝になってる本丸に！？

それ以外で何か対処する方法があるのなら俺だって戻りたくないさ。だけど対処法が分からないのならそれをやってみるしかない。

んー、それもそうだよねぇ。はぁ、ガーネット探しからか。まず本丸に戻ろう

ああ、そうだな。
もう面倒な怪異に会わなければいいが…、

ハゲ課長にそっくりの怪異とか？

ははっ、それなら面白いからいいぞ。
もしかしたらさっきは居なかったお局に似た怪異が出てきたりしてな。

情シスの破壊者とか？【情シスのヒス：情報システム部の期待()の新人、初日に情シスのパソコンを九台破壊したが翌日に完璧なシステム構築をした。完璧なシステムの対価は無数のパソコンの死である】

こんな場所で何を壊す気だ？本丸か？
そうなると俺たちは帰れなくなりそうだな。

んー、歴保の記憶ちゃんとかなら可愛いけどね～【歴保の記憶ちゃん：アーカイブルームなどを管理している歴史保全課の職員、フロア五つ分以上を埋めている全ての記録を暗記している記憶力おばけ】

さて、また戻ろうか

いろんな奴が多すぎるだろ…。いや、まあそんなものか。

ああ、そうだな。

まぁ、九割の部署に何かしらの別名を持ってるやつがいるからなァ・・・・・・。ウチらの別棟にもいるしねぇ・・・・・・。

確かにそうだな。

本丸に戻ってきたが…とにかくこの部屋から探していくとするか。

さっきガーネットがあった部屋は、あっちの方の廊下の先だ。多分、削った時のガーネットはそのまま置き去りになってると思う。

そうだったな、ではそちらに向かうとしよう。

・・・・・・藪蛇になるかもしれないけど、また全部の襖開けてみる？

置き去りになっているのが分かっているなら危険を犯す必要は無いんじゃないか？

それもそっか、お局に似てるやつとか出てきたら嫌だもんね～。

ああ、本人で無くとも気疲れしそうだ。
それにもしかしたら強い怪異が出て来るかもしれないし…。

も～、フラグ立つからこの話はおしまい！！もっと楽しいこと考えよう、別棟にも食堂が出来たら常設してほしいメニューとか！！

そうだな…から揚げ定食は絶対だろ。あとは豚カツ定食、餃子定食、焼肉定食に…とにかくスタミナのつきそうなものがいいな。

がっつり肉系か、やっぱりヘルシーなサラダ系のものも欲しいよね。サラダバーとか設置してほしいな

ああ、あと夜には居酒屋になるといいな。

お酒～！！！焼酎かな、日本酒かな、ウイスキーみたいな蒸留酒も良いなぁ～。

焼酎が俺は飲みたい。

ここの部屋だったか？

サングリアとかこっそり作っちゃおうかなぁ。うん、この部屋であっていると思う。開けるよ【ゆっくり襖を開ける】

…ガーネットは、これだな？
【置き去りにされていたガーネットを拾う】

この薄く削り取った力作！！忘れようも無いわぁ・・・・・・。

よし、ガーネットも手に入れたし祭壇のある場所に移動するか。

来た道を戻っていくだけだけどね

ああ、そうだな。

そういえばこの部屋だっけ、ハゲ課長より毛量多い怪異が居たの

ああ、確かそうだったかもしれない。
…あ、いた。先程より髪が長くなっている気がするな…っふは…っ【先程の怪異は髪が伸びていて思わず笑ってしまったようだ】

写真、写真撮らなきゃ。名目は、特一級封印指定本丸内部に出現した名称不明怪異について！！！【なお紅葉傘の目的は間違いなくハゲ課長をおちょくるためである】

ふ、ふふ…っ、あんたそれで課長をネタにする気だろう？

・・・・・・そういえば知ってる？あのハゲ課長の最新の被害者。月下美人とも讃えられている景趣開発班の女体で顕現した山姥切長義らしいけど【専用のカメラで撮影しながら】

…は？それは初耳だが…。
その、女性であれ本科はああ言う性格だ。命知らずと言うかなんと言うか…。

その結果、さらに減ったらしいよ。なにとは言わないけど【きっちり写真に収めた紅葉傘】

…もう減るもの何もないんじゃないか？マイナスでしかないだろ。

まぁ、そうとも言うけど
さてと、蓮華台にレッツゴーだ！！

ああ、そうだな。行くとしよう。

ここの部屋だね！！【すぱーんと襖を開ける紅葉傘】

なんでそんなに元気なんだ…。いや、元気なことはいいことだが…。怪異も怖気付くような元気さだな。

これで、これで花が咲けば、ス〇バよ～！！！！

ああ、そうだな。…やっと、帰れる。

はい置いたー、はい何も起こってないちゃんと載ってる、はい庭行くよ！！【なお本人たちは気が付いていないが外ではすでに二日経っている、この本丸の光景はずっと同じだから気が付いてない】

…まるで何徹かした時の本科のようだな…。
【この山姥切国広、平然としているが片腕持っていかれているのだった。手入れ部屋さえ入ればなんとかなるだろうくらいにしか考えていないが本科などが見たら卒倒ものである】

え、ちょ、マジで無いって・・・・・・。【出入り口となる襖を開けた瞬間飛び込んできた景色はあらゆる赤色の花で埋め尽くされた先ほどと全く違う庭だった】

…？また間違えたのか？どういうことだ…。

さっきの、柘榴の木を見に行こう。それにも花が咲いていたら、即時撤退。ゲートの位置は変わってない？花自体に攻撃性は？汚染とかは大丈夫？花纏みたいに香りで影響を及ぼす可能性は？庭の配置自体に変更は？【真剣な表情で状況分析を始める紅葉傘】

…もし花纏と同じ効果があるとしたら俺は相性最悪だからな。だが今のところ何も違和感は感じられない。

ならあくまでも、条件成立による一時的な変化？まず進もう、警戒を怠らないで

ああ、そうだな。ここで立ち止まっていても何も変わらない。

・・・・・・この特一級封印指定本丸絡みの嫌な噂を思い出した。報告書には因果関係が明確になっていないから記載されてない噂程度の話だけど。

死人が、蘇ったって。調査班の一人がそう叫んで自死したのよ。嫌な予感がするわ【なお噂の出処は歴保の記憶ちゃんが「そういえばそんなお話がアーカイブの未整理にありました～」とほのぼのと教えてくれた】

死人が蘇る…？そんな事、あり得ないだろう。
…だが、ここでは何が起きてもおかしくはないな。

過去事例を踏まえるなら、
１，幻覚、つまり幻だ
２，一定条件下で人形とかが動く、その人形が死者の姿に見える
３，狂言、そんな事実は存在しない
４，ここにはとんでもない存在が居られてマジガチで死者が蘇る

かな
ありえる可能性が一番高いのは幻覚、私たちが死ぬ可能性が高いのは最後の何かの存在が此処に居られる場合だ

なるほど…どれも厄介ではあるな。
だが、死ぬのだけは御免だ。俺は破壊されてもお守りが支給されているから一度はなんとかなるだろうが…あんたはス◯バの新作を飲みに行きたいんだろう？

ス〇バの新作以外にも理由はありますけどぉ！？明日にはアス〇ロボットが配信されるのに！！プレイしなければ＊＊ない！！【既に二日経ってるので配信済みです】

そ、そうか…。なら尚更ここで負けてはいられないな。

そうよ、たかが花如きに怯える必要は無し！！！

さっきの木は確かこのあたりだったか…？

うん間違いない、あ、木が、真っ赤に・・・・・・。花って、あんなに咲くものなの・・・・・・【遠目から分かるほど木が赤く染まっている】

…木が赤く染まるほどの花だとしたら異常だと思う。
ここは先ほど言ったように撤退した方が良くないか？

そうね、さっさと出ましょう。ゲートの方に、待って、道は？こんな風に木が生えていたかしら？【振り返ると全く別の景色になっている】

いや、先程まだは一面を赤い花が埋め尽くしていたはずだ。
…この本丸、俺たちを閉じ込めたくて仕方がないようだな。

・・・・・・なぁに、私たちのことも食べ物か何かだと思ってるってわけ。でも下手に燃やせば私たちも出れなくなる・・・・・・。

俺の腕が思いの外美味かったのかもしれないな。
この木を切り倒してもダメだろうか？

・・・・・・腕って、美味しいの？というか刀剣男士って物理的に捕食可能なの？？木を切るのも、やめた方が良いかも。変な影響が出たら困るもの。それに下手に本体が欠けたりしたら猶更影響が出るかも。

何があるかわからないからな、喰われたっておかしくない。
確かにそれもそうか…。

とりあえず、進みましょう。ただ庭の配置に変化があっただけかも

ああ、気をつけて進むとしよう。

ゲートにさえ辿り着ければ、なんとかなるはず

ゲート…この辺りにあったはずだが…。

・・・・・・無い、わね。真逆の方向に来てしまった？配置が違うからゲートも違う場所に移動している？それとも、本丸自体がゲートを隠した？

きっと別の場所に移動したんだろう。本丸が隠したとなると正直お手上げだぞ。

地道に探していきますか・・・・・・。

ああ、そうだな。
…今、鈴の音聞こえなかったか？
【移動しようとした時に鈴の音が聞こえたようだ】

鈴、というより祭囃子みたいな感じがするけど・・・・・・。【紅葉傘にも何か音が聞こえているようだが同じ音か疑問視している】

祭囃子…？とにかく、音のした方に行って確認してみるか？
もしかしたらゲートもあるかもしれない。

でも祭りって境界の一つだからな、下手に入り込めば逆に・・・・・・。いや、もしこの祭りが狐市だったら、あるいは。

行ってみる？文字通りの命懸けだけど。

他に何か対処法があるならそちらを優先するが…。
狐市だと何かあるのか？

ええと、狐市は文字通り狐の市だよ。基本は妖狐なんだけど天狐も交じってるのよ、でその市は何処にも繋がってないけど何処かには繋がる。
万屋街で入り口の目撃情報とかあるから、運が良ければここを出て別の場所に逃げられるかもしれない。でも祭りってのは境界、異界に繋がってたりするしなにかを祀った祭りならそれの力も増すから確実に安全とは言えない、かな。
AllOrNothing、全てを得るか全てを失うかってところ。

なるほど、要は運が良ければ帰られるということだな？
ならばその運にかけるとしよう。他に打開策もなさそうだしな。

綺麗な朱塗りの鳥居と対の狐像、それが狐市の出入り口の特徴。それ以外だったら即逃げね・・・・・・。
逃げられれば、だけど。

あった、朱塗りの鳥居に狐の像…帰れるぞ。

ちゃんと狐の像か？尻尾が実は狸のもので化かされてないか？？【狐市は帰れる可能性が高いが狸市は帰れる可能性がめっちゃ低いうえに狸が狐像に化けて嫌がらせをすることがしばしばある】

・・・・・・よし、化かされていないっぽい。もし、目の前のこれが幻覚とかならもう死んだようなものだし。博戯本丸の時と同じように名を名乗らないようにね、顔を隠せないのは痛手だけどまぁ目の一つくらいは必要経費と割り切るか。君は布を目深に被って顔を見えにくくして。

あんたは手入れで治らないんだぞ、あんたこそ俺の布でも被っておけ。緊急時だし少しくらい我慢する。

わぶっ、急に被せないでよ・・・・・・。大通りに沿ってまっすぐに歩いて、何も買わないで、何かを見ても反応しないで。反対側に抜けるのを最優先にして

ああ、分かった。
【狐の面を被った童が手招きしているが無視して歩き続けている】

・・・・・・狐火売りか。狐火を提灯に入れて売ってる完全に化けられない幼い妖狐の小遣い稼ぎよ、狐火提灯は安価で菓子一つ程度で買える。色も選べるし懐中電灯代わりにはなるからあれくらいなら買っても良いけど、買う相手は選びなさいね、後ろに厄介な妖狐が居て下手に買うとその辺の見世に連れ込まれるわよ。

いや、持って帰っても置き場所に困りそうだ。

なら素通りしよう、お腹が空いてもその辺の屋台で食べ物買ったらだめよ。って、え、ス〇バ・・・・・・！？うそ、狐市にもス〇バが！？【なお人に化けた狐がちゃんとバイトして学んで作っている、見えないが別の場所にはミ〇ドとかもある】

おい、ス◯バは外にもあるししっかりしてくれ。

嘘、ロ〇ホもあるじゃない・・・・・・。時の政府より遥かに飲食店揃ってるじゃないの！！え、超行きたぁい・・・・・・。狐市俗世に染まり過ぎじゃない・・・・・・。

どうしたら人間を引き込めるのか模索した結果じゃないか？
俺よりあんたの方が危なっかしいな…。

流石は狐、人間が釣れる方法をよく学んでいるじゃない【視線の先にはアニ〇イト～！！】

まあそうだが…。ほら、先を急ぐぞ。寄り道ばかりしていられない。

・・・・・・歩くスピード、あげられる？あげられるなら、速やかに。出口は入り口を同じ綺麗な朱塗りの鳥居に外向きの対の狐像だよ、急いで！！振り向かないで！！【紅葉傘はなにかに気が付いたようだ】

…？ああ、分かった。
【振り向くなと言われた以上見れないため言われた通りに早歩きになった】

ナニカが居る、あの本丸のナニカなのか狐市で目を付けられたのかは分からないけど。【それに比例するように紅葉傘の足取りがどんどん遅くなる】

…厄介なことになったな。おい、俺の手を離すなよ。
もし転けそうなら言ってくれ、俵担ぎくらいならできる。
【足が遅くなったのに気づいたのか手を掴むと引き続き早歩きで進んでいる】

というよりは、多分私の影の辺りに居るんだと思う。足に、なにかずっと纏わりついていて【ほぼ引き摺られるように歩いている】

ええ…。あんたが興味津々でこんな場所を楽しもうとしたからか？

だとしたら、とんだ嫌がらせね・・・・・・。

あった、出口だ。やっと帰れるぞ。

もう、むりかも・・・・・・。【九割引き摺られている紅葉傘】

諦めるな、その足元のやつを斬ってもいいならすぐにそうするが…。

このまま引き摺って行って～、何処に出るか分からないけど日光先輩に会わないルートで怪異討伐班まで運んで～

また難しい事を…。
やっと戻ってこれたな…流石に疲れた…。
【なんだかんだ言いながらルートを模索し怪異討伐班の元に向かう】

【なお怪異討伐班に到着したときは影に半分近く身体を飲み込まれていた紅葉傘である、それをすぱっと斬った某兄者曰く「あれは女の情念だね～」とのこと】

女の情念ってあんた…何をしたんだ…。

嫌だなァ後輩、先輩が女泣かせにでも見えるというのかい？【なお学生時代に後ろから女に刺された経験はある】

…いや、見えないな。
あ、怪異討伐の本科…お疲れ様だ。
え？この腕か…先程まで行っていた本丸の怪異に喰われて…う、すまん…。
【面倒な本丸から帰ってきた2人の話が盛り上がっていたため怪異討伐の本科もいつの間にか様子を見にきていたようで。腕の件を物凄い形相で言われて小さくなっている…】

そのまま本歌さんにお説教されていな！！私は先に部屋戻ってるから～【紅葉傘は気が付いていないが怪異討伐班室の前には鬼の形相の日光先輩が・・・・・・！！】

分かったから…！話なら手入れ部屋で聞く…。
【とっくに限界は来ていたようで自身の足元が覚束ないのを見て呆れた本科に半分引き摺られるまま手入れ部屋に連行されていった…。】

始末書は、始末書はいやぁぁぁぁぁぁぁぁ！！【アーカイブルームで始末書を書かされている紅葉傘、なお日光は異常本丸調査室とは一切縁の無い部署の刀剣である】

手入れ時間終了になるまで絶対安静だと…？はあ、分かった。
安静にしなかったらまたあんた達の手刀が飛んできそうだ。
【暇さえあれば鍛錬に行きそうになるので知らせを聞いて飛んできた同期の本科と南泉に監視されている…。】

先輩！！日光先輩！！始末書書き終えました私後輩にス〇バを、え、報告書まで！？?でしょぉ！！【アーカイブルーム缶詰、決定】

【数日経ってようやく手入れ部屋から出る事ができた山姥切国広さん】

おは、よう・・・・・・【缶詰で始末書や報告書や諸々を書き上げさせられて疲労困憊の先輩、ただ約束のス〇バは出勤前にちゃんと後輩の分も買って来た先輩】

おはよう…目の下のクマがすごいことになってるぞ。寝てないのか？

日光先輩が、提出書類全部書き上げるまで離してくれなくて

それはお疲れ様だったな。俺も手入れが終わるまでずっと本科たちに抜け出すんじゃないかと監視されていた…。

安心しろ、ほら新作だ【来客用テーブルの上にス〇バの新作が置かれている、限定フードも一緒だ】

えっ、いいのか…？

約束したじゃない、次の案件は多分きっと恐らく推定簡単だから【なお支払いは紅葉傘だが本棟一階のスタ〇から別棟まで運んで来たのは警邏科の肥前である】

ありがたく頂くとしよう。
要約するともしかしたら簡単かもってことだな。

まぁ、そう。
ある本丸が一夜にして廃墟となった、怪異討伐班の見立てでは審神者も刀剣男士も本丸も全て霊力を喰い尽くされている点から見て一定の条件を満たした時に範囲内の霊力を全て喰う類の怪異だろうってことでもう廃墟になった本丸に怪異は居ないだろうから安全に調査が出来るはずってことらしい。
調査内容は、怪異が捕食を開始する条件の捜索よ

霊力を喰う類の怪異か。霊力で動いている俺たちからするとこれははっきりさせた方が良いだろうな。

類似のものはいくつかあるの、審神者の霊力を喰い咲く花や刀剣男士に憑いて霊力を吸い取る蝶とかね。研修で聞かなかった？赤と黒の蝶が身体の何処かに留まっている刀剣男士が居たら即座にその蝶を斬れって、それとも去年は被害無かったから今年の研修はやらなかったのかな
まぁ、そんな感じに審神者だけ刀剣男士だけ被害に遭うものはあったんだけど本丸ごと喰われたのは今回が初めてだってことで調査が回ってきたの

いや、聞いたことはないな。だが今ので知ったからな、今後その蝶には気をつけるとしよう。
早速その調査に向かうとするか？

ス〇バ飲み終わってから行こう、怪異ってのは大抵なにかしらの痕跡を残すから探すのはそんなに苦じゃないはずだよ

ああ、分かった。
それにしてもこれ…美味いな。

流石はス〇バ、いつだって美味しいよね～

ああ、未だに推されている理由も分かる。

さて、これを飲み終わったら仕事か・・・・・・【追加で頼んだら行かなくて済むかな～と考えながら端末をいじっている駄目先輩】

ああ、そうだな。
そう言えば本科から聞いたが先日俺たちがあの本丸に行ってから三日程帰ってきていないと少し騒ぎになっていたようだな。

空の色、変わらなかったでしょ。たぶん、時間感覚狂ってたんだと思う。本丸って隔離空間だから結構起こる話なんだよね、景趣を固定してたら季節感覚が狂ったとかも聞くし。

普通なら第三辺りが一日経っても未帰還の場合は回収任務で本丸に入ってくるんだけど、あの場所特一級封印指定本丸だからさ。【第三：第三強襲探索班の略称。第一強襲討伐班、第二強襲調査班、第三強襲探索班の三つからなる先行調査を中心とした相手の情報を得ると同時に相手に損害を与えることを専門とした部隊である。】

そうか、あの場所は特殊だから来るのも難しかったのか…。
あんな場所から数日で出れただけでも強運だったんだろうな。

うん、私たちの権力が強いのも多くの権限を与えられているのも死ぬ確率が高いうえに死んでもその亡骸を確実に回収できるか分からないからなんだって言われた。給料が他より高いのも口止めと危険手当が付いてるから、運の良さは大事よね【なお仕事に行きたくない先輩はうーばーひぜんを使いさり気無くドリンクをス〇バ運ばせていた、先輩のカップが空にならないのはその所為である】

なるほど、様々な理由があるんだな。
…ところで、もうそれ何杯目だ？流石に飲み過ぎじゃないか？

ま、まだ一杯目だよ？？【うーばーひぜんがばれてないと思ってる先輩、先輩は自分の後輩がなぜこの部署に配置されたか忘れてるお前の後輩は偵察値の異常でここに配置されてるんやで】

ほう…？それにしては何度か他のやつの気配も感じたが…？
あんたがまだ一杯目だというならそうなんだろうな？
【じとりとした目で先輩をじっと見つめている】

よーし仕事行くぞー！！！！！！【後輩のジト目から逃げるように資料を持ち調査室から出ていく先輩、先輩のデスクの下には合計七杯分のゴミが纏められている】

…はあ、全く。肥前も大変だな。
【ようやく動いた先輩の後を追う】