異常本丸調査室の日常(〆)

ああ、分かった。俺も練度を落とされていたらさすがに高練度のやつらには敵わないだろうからな。

・・・・・・あ、でもそういえば私顕現適正無いんだった。霊符隠し持って行かないと。

顕現適正…？それは霊符隠しでどうにかなるものなのか？

顕現適正は審神者の最低資質の一つ、刀剣男士を顕現できるか否かってこと。霊力はあっても顕現できないってのは結構ある話なのよ。研究では「顕現を行うための術式が身体に刻まれているか否か」って理論上の説明はされてるみたい。
だから適性が無い人は顕現用の術式と霊力が込められた霊符で顕現するの、まぁ基本は適正持ちが顕現させるんだけどね。
だから審神者候補生の振りするのに顕現できないのは不味いから専用の補助具を持っていく感じ？みたいな・・・・・・。【感覚的なもの故説明が結構あやふやな先輩】

なるほど、審神者候補になるにも様々な条件があるんだな。

そーだよ、なので審神者ってのは結構選ばれたエリートなのです。

エリートなのに不祥事が起きたりするのはまぁ…仕方ないのだろうか。

んー、逆だね。エリートで、数が少ないからよほどの不祥事じゃない限りもみ消される。だからどんどんダメな方向に走ってしまう連中が出るのさ。
政府の職員が、候補生が、どうして本丸を訪れる際護衛刀剣必須になったか知ってるかい？職員や候補生に暴力をふるったりする審神者が居たからだよ。そしてそのことが明るみに出たのは戦績だけは優秀だった審神者だから、ある高官がしっかりと我が子を学ばせたくて自分の娘だと伏せてそこの本丸に行かせて、その娘が父親に訴えて初めて明るみに出たんだ。担当職員は日常的な暴行を受けていて精神を病み三回変わった、候補生五人は研修期間中に受けた暴行がもとで男性恐怖症や人間不信に至った人もいたらしい。十年、十年そいつの不祥事は表に出なかった。戦績と資質はトップクラスだったから、一部の高官が庇っていたんだ。

エリートだからと不祥事を起こさないようにしてくれていたらここは「異常本丸調査室」じゃなくて「怪異討伐班付原因調査部」とかになってるよ・・・・・・。

なるほど、そんなことが過去に起きていたんだな…。

ところで、今回の本丸は行くとしたら明日になるのか？
もしそうならお互い寝不足などでボロを出さない為にもそろそろ退勤して帰ったほうがいいと思ったんだが…。

一週間後だねぇ、行くのは。君ってばせっかちね。

す、すまない…最近の案件はすぐに終わらせろ、とか今から行けってものが多かったから…。

・・・・・・あー【心当たりしかない顔、なんなら即対応の案件をみっつ抱えている先輩】

一週間はさ、此処に出勤してこなくて平気だよ。練度落としは本棟の四階の刀剣男士専用エリアでやれるらしいから期日までにやっておいてね、あとは候補生初期刀っぽく振舞えるように練習しておいてね～。

あ、ああ…分かった。
【このあと言われた通りに過ごし初期刀になるには、などの本を何度も書庫に借りにいき司書の男士や職員から初期刀になりたがっている山姥切国広が通い詰めているという噂を聞いた同期たちに調査室で何か嫌なことがあって辞めたのではないかと勘違いされ揉みくちゃに甘やかされた】

じゃ、おつかれ～【その後一週間にわたるデスマーチを乗り越えみっつの即対応案件とよっつの政府内部案件と室長南海先生の後始末を処理させられた先輩、その合間時間に候補生講習会のアーカイブをきっちり視聴し学習していたが目が死んでいる】

おはよう…言われた通り、練度は下げてきたがバグの数値はどうにもできなかったみたいだ。そもそもどうにかできていたらバグ個体とは言わないし、今回は候補生としていくだけだからなんとかなるだろうと言われた。…なんだか、顕現したばかりの事を思い出すな。

そこまで細かくみられることは無いだろうし、見られても「そうだということは知っています、でも私の初期刀は彼しかいません！！」って涙ながらに訴えるから安心して

段取りを確認するよ、今回の調査は本霊山姥切長義の要請を受けた強制同化事件に関するものだ。これの原因を探っていた我々は恥ずかしがり屋だけど素敵な妖精さんのお陰で手がかりを得た、それがこの類感呪術を応用した呪術ではないかという推論だ。これを解く為に術者探しをし、様々な条件を照らし合わせある本丸に白羽の矢を立てた、本日からひと月行われる審神者候補生研修に乗じて該当本丸を調査し、可能なら解呪し最低限証拠を得てから政府に帰る。何か質問は？

そうだな…審神者、刀剣共に候補生という旨で行くだろう？
何かあった時にも出来れば行動は共にしたいのだが、もし審神者候補と初期刀候補で行動を別にしないといけない場合どのように連絡を取り合うべきか、また政府から来てるとはいえ本丸という場所を自由に行動できるとは思えないのだが…。

まぁ最終手段はこれね、天皇勅許印付特別監査令状。これあれば誰も邪魔できないから、最高権力者のお墨付き、つまり私たちは官軍ってコト。【さらっと取り出したが通常なら発行されるのに年単位で掛かる令状である】

そんなもの、この短期間でよく準備ができたな…。だが、それさえあれば俺たちの行動を制限されるという懸念はなさそうだ。

知り合いに東宮侍従が居るんだ。そこのご縁から東宮様に直訴させていただいて、陛下に繋いで頂いたのさ。

これは本当に最終手段だ、候補生っぽく振舞い時々迷子になり本丸を彷徨い素敵な妖精さんの悪戯で無くなった物を探すために本丸を駆け回り証拠を集めよう！！