異常本丸調査室の日常(〆)

あー、うん。掃除とか洗濯とかは呪術的に考えると浄化につながるものがあるらしいからその辺のこだわりが強い連中が多いんだよね

もしつらいならそのまま帰っても平気だけど

…いや、手入れが終わったらすぐ戻ってくる。
報告書も書かないといけないからな。

お、報告書を貯めない姿勢は良いと思う。じゃあ私先に戻ってるね～




さ・て・と、現状手元にあるのはこの明らかになんかありますって色の本一つ。流石にこれ一つじゃ凍結処置申請も討伐隊の編成要請も出来ないよねぇ

…ああ、右手の一部が黒くなっている？先の怪異と戦闘した際に斬られた箇所から微量の瘴気が入ったらしくてな。浄化したから今後の勤務に問題はないが、痕は残りそうとの事だ。
─って歌仙！だからいつも布は真っ白にしなくていいと言ってるだろう…！そんな満足そうな顔をするな…。


…戻ったぞ。一部に痕は残ったがそれ以外は何も問題ないらしい。

うぅわったっと、びっくりした。ぬぅっと入ってこないで！！びっくりしたでしょ！！

あ、あー。そういう痕は複数回手入れを受けると無くなった事例もあるから悲観しないで、必要なら経費でそういうのを隠せる手袋とか買えるから。

あ、いや…驚かせたか。すまない…。

別にこの程度俺は気にしていない。
戦えるならそれでいいからな。

そんな事より、手掛かりの手掛かり？はどんな感じなんだ。

んーと、とりあえず何であれがカマキリに似た姿をしていたのかは分かったよ
それ以外はほとんど、仮説の補強にはなるけど明確な証拠にはならないものばっかり

何でカマキリの姿をしていたんだ？
ああ…そう言えばあの鎌に触れると呪いのようなものが発生していたな…。

カマキリの別名は拝み蟷螂《オガミトウロウ》、あれは敬虔な信者だったみたいだね
審神者の成れの果ての可能性が、高まっただけ

なるほど…やはりあれは審神者の成れの果てだったか。
そうなると、俺たちはどうするんだ？

なにも？
あれが審神者の成れの果てだと断定する証拠にこれはなりえないし、あの怪異がどういう条件で襲ってくるかは不明のまま
これで上に報告を上げて、判断待ちかなぁ

それまでに、他に被害が出なければ良いけど

…確かにそれもそうだな。
とにかく俺は報告書を書き上げたら帰る。

そればかりは…俺たちではどうにもならないな。
被害が出てからしか動けないのが少し…もどかしいが。

そうした方が良いよ、私はやることあるしまだ残る。

今日は疲れたでしょ、明日はお休みにしておくから一日休んでいいよ

─こんなものか。
俺は言葉に甘えて先に帰る事にする。

・・・・・・まぁ実は、一年もここに居るとルールの抜け道も結構覚えちゃうんですケド。

今回は何の名目で明日行ける即時再訪問許可取ろうかな、室長《南海朝尊太郎》の発明品を忘れてきましたはこの前使っちゃったし、術式開発部の発明品の回収忘れましたも使っちゃったし・・・・・・。

今回は、アレにするか。呪具研の呪具置いてきました。

明日は休みになったし、何をするか…。
訓練場で1日鍛錬でもしようか…あそこに行けばどうせ暇なやつがいるだろう。

呪具研の悪名がいかに上層部に響いてるかの証明だよね、届け出を出して10分で処理されるとか・・・・・・。
あのカマキリモドキを避けながら、外回りで執務室に侵入するしかないよねぇ。最悪あれと鬼ごっこか・・・・・・。

…ん、少し寝過ぎたか…？いや、今日は休みだからな…
別に急いで訓練場に行く必要もないだろ……。
………眠い、な。

さっさとあの案件処理してしまおう、あのカマキリモドキを野放しにするのはまずいし
彼は新人だし、厄介な案件に付き合わせて逃げられたら人手不足でマジで終わるもんなウチの部署

─室長？山姥切国広だ、何か用か？
…俺は休みだが…。は？あいつは馬鹿なのか？
人間がどうにかできるような相手じゃない！
ああ、わかった。休日は返上だな、構わない。


…あいつ、何考えてるんだ…！
確かIDは…転送開始…。