異常本丸調査室の日常(〆)

そんなに価値のあるものなのか、これ？俺にはよく分からないが…あんたが言うのなら渡すとしよう。

んー、まぁ良いか。おしらさまの糸と織物系だよ。おしらさまは知ってるかな？これも私たちの時代だと薄れた信仰だけど、刀の時代は普通だったって聞いたけど。養蚕の守護神だよ、今時全部化繊だから虫から糸を作るっていう発想自体が驚きなんだけど。

…勿論知っている。そもそも、虫から作れる糸もごく僅かで高価な物だというのにまさか、おしらさまだったとは…。
……まて、俺が素手で触ってしまったが本科に怒られるのでは…？違う意味で卒倒しそうだ…。

今更では？【運んで来る最中ずっと素手で触っていた】

…確かに、今更だな。本科のところに行ってきてこれを渡してくる。

行ってらっしゃい、私その間に他の葛籠の中身を改めておくよ

ああ、わかった。


装飾課の本科、今回は世話になった。これ、俺たちでは持て余しているからな。あんたにやる。
【本科だけで無く装飾課全スタッフ大騒ぎとなり、タダではもらえないといかにも高そうなお菓子のセットを持ち帰ることになった】

お、これは油の類かな。これは簪、こっちは弓か。これは香炉、こっちは香木、これは、石？うーん、倉庫に適当に放り込んでいいのか分からないな・・・・・・。

戻ったぞ、思った通り装飾課全員大騒ぎしていた。お礼に食べてくれとお菓子をもらったぞ。

うわぁ！？も、戻ってくるの早いな！？【幾つかの小瓶やコンパクトのようなものを並べてはしゃいでいたところ後ろから声を掛けられてびっくりした紅葉傘】

驚かせたか、すまない。…色々なものを持ち帰ってたんだな？

これは勝って手に入れたの！！その、昔は草を使って紅とか作ってたんでしょ。興味があって、賭けで勝って手に入れたんだけど、どう使うかも分からなくて。スティック状じゃないのにどうやって塗るのかしら？香油とかは、髪の手入れにも良いし・・・・・・【ごにょごにょと言い訳のようなものを並べている】

指とかで塗ってたんじゃないのか？すまない、俺もその辺は分からないから…乱とかに聞けばわかるかもしれない。自分の手入れは大事だからな。

乱、乱藤四郎か。私余り交流無いんだよなァ・・・・・・。あ、ああそうだ！！こっちの油は君向けだよ、丁子油！！刀の手入れで使うんだろう？あまり詳しくないけれども、欲しかったらどうぞ。今回手に入れたものは、欲しいものを好きに取ったり必要な場所に分配して余ったモノは倉庫に仕舞えばいいって室長が言ってたよ。

ああ、それならありがたくもらっておこう。
そうだな…それなら、この和綴じ本も貰おう。日誌を書くのにちょうど良さそうだ。

墨と硯もあるよ、種類ごとにそこの箱に入れてあるから。ここ以外の部署の人に回すときは注意しなよ、変なのに絡まれるのもあるからね。もし同期の人たちに分けたいのなら呼んでも良いよ。【ぴっと示した先には“真珠”“金”“油”等々ザックリとした分類がされた箱が積まれている】

変なのに絡まれる…？分かった、気を付けておこう。
同期の本科と南泉は絶賛激務中だからな…呼んでも反応はなさそうだ。

警邏科だっけ？あそこは今百鬼夜行の対応に追われてるんじゃなかったかな、確か出現報告があった気がする

そうなのか、それは知らなかった。しかし百鬼夜行が相手であろうとあいつらなら何でも斬れるだろう。本科も血の気が多いが踏み込むべき場所とそうでない場所をしっかり判断できるし、もし暴走しても南泉が止めてくれるからな。

うん、君が百鬼夜行を勘違いしてるのが分かった。そんな伝承に出てくるような妖の練り歩きの格好良い百鬼夜行じゃないの。警邏科が動く百鬼夜行はね、酔っ払いお祭り妖怪集団だよ。なんか、どこで?んだくれたのか分からないけど酔っ払い状態で何処かの万屋街に現れて大騒ぎするのよ。あんな感じ【丁度テレビで流れていた警〇密着24時で酔っ払いオヤジが「うるせぇさあんあおらあまだのむんだ、おいにいちゃんさけくれさけ」と騒いでいるのを「うんうんお父さん、分かったから。ここでもね、飲み屋街じゃなくて駅なのよ」と連れて行かれる場面を示しながら】