異常本丸調査室の日常(〆)

本科のことを言われるともう俺は何も言えない…。
別ゲートに行く途中で日光一文字に会わないことを祈っておいてやる。

あはははは、そんな、偶然今日に限って寝坊した日光先輩が今アーカイブルームに向かってるなんてそんなこと起きるわけないじゃん

今回行くゲートは48階にあるよ、博戯本丸はかなーり特殊だから道中説明するね【なお件の日光先輩の勤務地であるアーカイブルームは45階である】

…なら、前から物凄い睨んでこちらに向かってくるあの日光一文字は違うな？
【こちらに気付いた瞬間に鬼のような形相で向かってくる日光を指差し】

・・・・・・なんで！？え、ちょ、嘘でしょ！？まず、不味い、たす、助けて後輩！！！！

助けるって言ってもな…すまない、布もないし隠す場所がないな！

ぎゃっ！！せんぱ、いやちが、違うんですマジで！！釈明を、釈明をさせて、あ゛ー！！！！振袖は、振袖は動きにくいのでご勘弁を、せめて西洋式を、いやぁぁぁぁぁぁぁ！！【紅葉傘は日光一文字に連れて行かれた・・・・・・】

健闘を祈る。また後で会おう。

・・・・・・きを、とりなおして、いこうか。【顔が死んでいる紅葉傘、鮮やかな振袖を着せられて髪も綺麗に結い上げられている】

顔に覇気がないが行けるのか…？いやまあ、行くしかないが…。

安心して、こう見えて人ならざる者との賭け事は結構得意なの【ドヤ顔の紅葉傘】

そ、そうか。俺は賭け事はした事ないからな…、ここはあんたに任せた。

次は君がやるから見て覚えな、私も君も“目”を買われてここに配属された。“目”を重要視される理由が博戯本丸だからね。

あとひとつ、もし賭けに誘われても絶対に乗らないこと。過去に賭けに負けて命を持っていかれた先輩もいたからね。

分かった、肝に銘じよう。
しかし、命を持っていかれるとは…恐ろしい奴らもいるものだ。

賭けは同価を以て、だからね。その先輩は何を賭けたのやら。

博戯本丸で守るべきは、賭けに乗らない。対価にならない。賭けに乗せない。だよ。

賭けに乗らないのは、差し出せる対価が無ければ命すらも失いかねないから。

対価にならないのは、己を守るためだ。

賭けに乗せないのは、自分が優位に立つため。


人形本丸の取引で得たのはこの博戯本丸で幾つかやらなきゃいけない賭けの対価を手に入れて来たのさ。
刀剣男士である君がどうしようもなく賭けに乗らなければならなくなったら対価として真っ先に望まれるのは本体だ、でもそれに乗ってはいけない。その場合君が差し出しても平気なものは今着ている装束だよ、その装束は特殊な造りでよほど変な賭け方をしなければ乗り切れるくらいにはなる。

なるほど…、ただの装束では無かったのか。
一番はそういうやつに絡まれないようにすることだが、何があるか分からないからな。覚えておこう。

博戯本丸は、人ならざる存在たちの賭博場。良いモノも悪いモノも、強いナニカも弱いナニカも、縁を持つモノも持たないモノも、魑魅魍魎の巣みたいなものだよ。

政府の都合で、私は三回賭けをするから見て覚えると良いのさ！！

ここが特別ゲート、博戯本丸にしか繋がらないんだ。

分かった、見て覚えるとしよう。

【博戯本丸にて】

私から離れないように、名を問われたら「政府から来たさるお方の侍従だ」と答えるように。

ああ、分かった。
しかし…すごいな、以前本丸で会ったやつより強い気配のやつらがゴロゴロとそのあたりを彷徨いている。

行くよ、まずあの丁半博打に行く。後ろから見ていて、何を見ても声を出さないように。