異常本丸調査室の日常(〆)

紅葉傘の教室～政府所属刀剣や職員への職務上必要物資の支給～

刀剣男士は手入れで傷が完治しますね、疲労もお弁当やお団子で回復できます。ですので政府所属の刀剣男士には毎月部署ごとに定められた数の団子が支給されます。追加申請をすれば更に貰えますが申請して直ぐにもらえるわけではないので同僚や同期から分けてもらうこともありますよ。部署によってはお守りや馬、刀装も貰えます。異常本丸調査室では毎月お団子は５個、初期支給で金刀装とお守りが支給されます。刀装の種類は自分で選べるそうですよ、壊れたりしても申請すれば最短で即日支給されるそうです。

人間の職員には毎月万屋街で使える500円券が10枚支給されます、これで疲労を癒せというわけです。他にも部署ごとの支給があり、異常本丸調査室では護身用の術式は刻まれた警棒が毎月交換で支給されます。服や靴は消耗品扱いで購入に際して補助が出ますよ、官舎への引っ越しも同様に。


人間刀剣問わず支給されるのが食堂回数券と半年に一度の政府保養地への入場券ですね。食堂回数券は月に五枚、半年に一度の政府保養地は2月前に五か所ある保養地から一つ選び申請して一週間バカンスを楽しめるのです。

真偽のほどは定かではありませんが優秀な業務成績を出した刀剣には習合用の刀も支給されるとか、優秀な業務成績を出した職員には希望する刀剣を護衛として支給されるとか、都市伝説もありますけどね。

【時の政府に帰還】

室長に戻った旨の連絡もしたし、あとは…あいつの顔を見て今日は帰るとするか。


─薬研、あいつの容態はどうだ。え？鎮静剤をぶすりと…？
暴れたのか？えっ、違うのか…？そ、そうか…。
俺も用事は済んだからな、あいつの顔を見てから帰る事にする。

紅葉傘の教室～政府の福利厚生～

政府の仕事は時として大けがを負うこともあります、大抵は医務室の治療で終わりますが長期入院や医務室で対応しきれない重傷は時の政府に隣接する時の政府付属総合メディカルセンターに搬送されます。労災に認定される場合はメディカルセンターは無償で利用でき、医務室はどんな場合も無償です！！

保養地も五か所あり、それぞれ違った特色を持っています。それ以外に勤続年数によってプレゼントもあるんですよ、一年目、五年目、十年目、二十年目、といった具合にですね。勤続年数のプレゼントは刀剣にもありますよ。

有給だってちゃんと整備されています、まぁ、その、実際に使われている割合は、あれですけど。私と山姥切国広はあくまでも同僚、それでペアを組んでいるので彼は護衛もしていますが職務によっては護衛専属の刀剣を連れている職員もいるとか。

あと、一番大きな福利厚生はあれですね。政府直属なので、万屋街で買い物をすれば消費税も込みで、税金全額免除。


【紅葉傘はまだ寝ている～鎮静剤抵抗時の布団及び入院着の乱れは医務室勤務の前田藤四郎が整えました～】

…ん、寝てるのか。
ならば帰るとしよう。

…あ、薬研。あいつは寝ていたから言えなかったが、もしまた目を覚ましたら俺が戻ってきていることを伝えておいてくれ。あと、明日は休暇をもらうともな。では、あとは頼んだ。

【一週間後～紅葉傘完全()復活～】

例の金蚕蟲は監査経由で別部署預かりか、山姥切国広連続誘拐事件から随分と大事になったな。
っと、ああそろそろ例の通過儀礼案件か。やれやれ、これ私の時も思ったけどやめた方が良いよね。でも一番大事な適性の話だし、仕方ないかな。

彼が来る前に書類処理しておかないと

…あ、今日から復帰か。あれから具合はどうだ？

足はちょっとズルを使って治しましたから大丈夫です、手の方は動かせないことは無いですから平気でdすよ。

取りあえず、通過儀礼です。異常本丸調査室名物、半年に一度の定期異常本丸定点観測だ。

通過儀礼…？その、定期異常本丸定点観測というものは具体的にどんなものになるんだ？

九つの異常本丸に変質が起こっていないかを観測しに行くの。

まず一つ、図書本丸。ここはぱっと見図書館に見えるからそう呼ばれるようになった。

二つ、絡繰本丸。本丸自体が絡繰り屋敷みたいに凄く仕掛けがされているの。

三つ、花纏本丸。四季折々の花が咲いている本丸だ。

四つ、借景本丸。本丸の庭がどうも別の本丸の景色を使っているようでその呼び名が付いた。

五つ、海城本丸。四方を海に囲まれた本丸。

六つ、人形本丸。本丸のいたるところに人形が飾られてるの。

七つ、博戯本丸。そこは人ならざる者の賭博場だ。

八つ、柘榴本丸。例の要警戒変質刀剣男士の本丸。

九つ、以て幕上げと幕引きと成す。これは、直接見た方が良いね。


正確には十個あったそうだけれども、うち一つはいつの間にかリストから名前が消えたみたい。

……数が多いな。それもそうか、年間にすごい量の案件が送られてくるんだからな。
観測だけでは通過儀礼とは言わないだろう。恐らく、毎年何かしらが起きているんじゃないか？

いや、観測が通過儀礼。なんせ、

図書本丸は本が飛んで攻撃してくるし禁書も読んだら発狂する呪詛の本もある。

絡繰本丸は年々絡繰がアップデートするからそれをすべて把握してからじゃないと帰れない。

花纏本丸はその花の下に身元不明の亡骸が年々増えてるからそれを全部数えるの。

借景本丸は楽、借りられた景色を記録するだけだからね。

海城本丸はその地下にある祭壇にある物を置きに行くの。

人形本丸は数多の人形から壊れている人形を探すの。

博戯本丸は、ぶっちゃけて言うと現世で現役の神々がお忍びで賭け事に興じている本丸なのよ。

柘榴本丸は、一期一振の経過観察。

以て幕上げと幕引きと成す、は言葉で説明するのが難しいかな。

細かい説明は現場でするとして、言ったでしょう？異常本丸の観測だって。元々異常が起こってるのが普通なの

…確かにそれもそうか。異常本丸なんだから、何かしら起きているのが普通だな。

数も多いし、すぐに動いたほうがいいよな？

そう、その通り。

さて、はいこれ調査票ね。行きたいところから回って良いよ、通過儀礼だからね君が主体だ。私は利かれた質問に答えるくらいかな。

ああ、わかった。それなら順番に回っていこう、まずはこの図書本丸だ。

じゃあ行こうか、図書本丸に。

通過儀礼にレッツゴー！！

【図書本丸にて】


ここか…。
そう言えば今更かもしれないが、この本丸や定期観測対象になっている本丸はこの事を知っているのか？

んーと、本丸は霊脈上にあるの。だから審神者じゃない存在が「おっ、良い感じの家あるじゃん」って住み着いちゃうことがあるんだよね。だから柘榴本丸以外は刀剣男士も居ないし、人ではない存在が住み着いてるの。
でも強いお力を持った存在なのも事実だから、怒りを買わないように、変わったことが無いか定期的に観測しているってわけ。あちら様も半年に一度人間や付喪神が来るけどちょろちょろして帰るだけだからそのことさえ我慢すれば住み心地の良い家を手に入れられるからって見逃されている感じかな

なるほどな…こちらはあちらを刺激しないように観測し、それが終わったら早々に帰ったほうが良さそうだ。
俺たちは付喪神とはいえ神の末端、あちらが上となると勝ち目はないだろうからな。

その通り、観測しなければならない個所とかはその調査票に全部書いてあるから。
うっかり怒らせないようにね

分かった…、まずは東棟の書庫からだな。


【東棟書庫にて】

“左から5番目の棚にある背表紙が赤の本が逆さまになっていたら正しい向きに戻す”…あ、これか。毎年これは逆さまになっているのか…？うわっ、本が飛んだ？！