異常本丸調査室の日常(〆)

・・・・・・まー、そんなトラップあるわけないって！！気にしすぎ気にしすぎ次から探索任務の前に映画とか娯楽小説とか読むの止めよう。

二階は収穫無しか、了解！！
まぁどんなものにも経年劣化って存在するからね。きちんと手入れされていれば話は別だろうけれども、こんな形で放置されていればね。

下は仕掛けがありそうな壁がある、ここね。モーター音がするならそれと連動しているかもしれない。一度降りてきて！！【バシバシと壁を叩いて示しながら】

ああ、わかった。
…？今，カチって音しなかったか？

へ、まさか、感圧センサあ！？【壁が上下に回転し壁の向こうに運ばれる】

！？
お、おい！大丈夫か！？

嘘でしょ、素直に言えばよかったぁ階段使わずに降りて来いって・・・・・・。駄目ね、声は聞こえないし電波も通ってない。さっきの実験場と似たような物かな。

あちら側から開けてもらわないと出れない、か。内側から開ける仕掛けもこの辺には無さそう。いや、でも感圧センサーによる仕掛けなら誤作動を防ぐための装置があるはずだしあの審神者なら用心のために自分が閉じ込められる可能性を想定してどこかに内部から開けられる仕掛けがあるはず。表は後輩に任せてこっちを探してみよう、証拠があるとしたらきっとこっちだ。

くそっ、蔵のくせにここだけ頑丈なのか…！
そうか、もう一度階段を使えば…っ！

…反応しない…。

……仕方ない。怒られるのは確実だろうが、壊すか。

使用している呪術のベースは、蟲毒？でもこれは、どちらかというと、これは蟲毒というよりは金蚕蟲？

ここの資料は、プリントアウトされた資料か。ということはある程度研究が確定しているということか。金蚕蟲なら不味いな、もし術者の手に負えなくなって処分をしていたら・・・・・・。

まずい、すぐに上に報告を上げないとこれは手に負えない大惨事になる。箱、箱にまつわる報告書あったかしら。

それ以前にここを出ないと、ｹﾎｯｹﾎｯ、なんなのここ。酸素が薄い・・・・・・？それともなにかガスでも、待って審神者の死体の報告なんて、一切。まさか、この実験室の何処かに放置している、の？

扉の近くから離れてくれていたらいいが…。

俺の切れ味をなめるなよ…！


よし、斬れた…！

！！？！？？！？！！！エッ今の轟音何！？変な仕掛け押した私！！ひぇ、と、とりあえず奥に、今何の仕掛けが作動したの！？

取り合えず、その辺の部屋に入って、やり過ごさないと

…何だこの部屋…。先程の部屋とはまた雰囲気が違うな…。
それに、変な匂い…悪臭に近いな…。
とにかく進もう。

一体何だったの今の！？不味い不味い、電波は遮断されたままだから後輩に助けは求められないし、どうしよう、どうしよう！！

咄嗟に飛び込んだけど、この部屋は一体・・・・・・なんの、ぐじゃ？今足元から変な音が・・・・・・、ひ、ひゃぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ！！死体！？なんで、この部屋なんな、た、沢山転がってるぅぅぅぅぅぅぅ！！

今のは悲鳴…？何かあったのか！


おい、何かすごい声がしたが…う、すごい匂いだ…これは腐敗した匂い…？

ひゃ、って、え？なんでここに！？待って、本当にウチの後輩か？後輩だな良かった！！！！！

よし、では速やかに救出を頼む。多分、審神者を逃さないための罠だったんだろう。トラバサミ、古典的だが、だからこその精度がある。多分似たような罠か他のトラバサミがあるぞ。死体に驚いて後ずさったところにトラバサミ、それに足を取られて手を付いた先にもあるとは思わなかった。左足と右手が、かなり痛いし衛生面にも不安がある！！！！

…？ああ、あんたの後輩で間違いない。


は…？全く、何をしてるんだあんたは！
まあ、左足と右足が千切れてなかっただけ良いのか…？
…とにかく、これを外したら速攻政府に戻る。人間に手入れ部屋は通用しないからな、ちゃんと専門の場所で然るべき手当てをしてもらうこと。まだ資料は揃っていないが、あんたの身の安全が第一だ。分かったか？

あと、取るときに痛いと思うが我慢してくれ。

政府に戻る前に、あと一つ部屋の確認をしたい。この奥の部屋で、多分、此処でやっていた研究の、大本であろう、場所が・・・・・・。あるくのは、むずかしい、から、はこ、ん、で・・・・・・。【段々血が無くなってきたのか、言葉から力が無くなっていく。自力で外そうとした結果傷口がグズグズになっている】

は？絶対にダメだ。あんたが何を言おうとダメなものはダメだ。
とにかく手当てをしてまた来るぞ。この本丸は逃げないんだからな。

…簡易的ではあるが止血をするか。俺の布で嫌かもしれないが我慢してくれ。

…よし、帰るぞ。全く、無理をするなと人に言っておいてこれか。


【時の政府に帰還し医務室へ】

すまない、異常本丸調査室の山姥切国広だ。連れの手当てをお願いしたい。…ああ、任務先の本丸にて罠にかかった。部屋の状況が衛生的にも悪かったので手当てが終わったら一度浄化部も呼んで見てくれないか。

…ん？俺の手の傷か？気にするな、少し扉を殴っただけだからな。倒れ部屋に入るほどでもないさ。

・・・・・・あいつ、けんきゅうしつじゃなくていむしつに、はこびやがった。

足も、手も繋がってるか。感覚はある、動く。なら、問題ないか。ビリビリした感覚は残ってる、けど。

って違う！！携帯、メール打つの片手だと凄く面倒！！！！！！

電話、電話で良いか。というかまず、アイツは！？【医務室のベッドの上で携帯と格闘する】

目が覚めたと思ったら騒がしいな。
まあ、気がついたようで良かった。

まだ傷は完治してないんだ、暴れるな。携帯も禁止になりたいのか？

後輩君に連絡して早く対処してもらわないといけない案件が、うわぁいつ来たの！？

違う！！「五月五日に百種の虫を集め、大きなものは蛇、小さなものは虱と、併せて器の中に置き、互いに喰らわせ、最後の一種に残ったものを留める。蛇であれば蛇蠱、虱であれば虱蠱である。これを行って人を殺す」あの研究室で行われていたのは蟲毒の、金蚕蟲！！そしてあれは呪具研が手古摺った理由は呪具じゃなくて嫁金蚕だったんだ。だから、速く全部回収、しな、いと・・・・・【痛みがぶり返したのかブンブンと手を振り回しながらしていた説明が止まる】

ほら、痛むんだろ。だから暴れるなって…。
…あんたの気持ちはよくわかった。その…嫁金蚕、だったか？
それを回収しないといけないんだろう。だがあんたは今負傷している身だ、それで行くと言うのは俺が絶対に許さない。次はもしかしたら死ぬかもしれないんだぞ？