異常本丸調査室の日常(〆)

さて、呪具研の方からやっと結果が上がってきたけどこれは・・・・・・。無関係、とは断言できないかな。

寧ろ、無関係の方が良かったかも。

…そろそろ戻るか。
日光、とても助かった。ありがとう。

んー、でもこれじゃ誘拐の目的は一体。

はぁ、紅茶買って来よう

…戻ったぞ。あんた、日光に手を回してくれていたようだな。感謝する。


資料を読んだが、やはりあんたの言うように証拠不十分だった。だが俺は、これがもし本丸ぐるみで行われていたことだったら…？と思った。例えば、許されないことをしているとは分かっていても口出しをしたら次は自分かもしれない。大事な誰かかもしれない…。大好きな主が捕まるのは防ぎたい…とかな。

・・・・・・あ、うん。気にしないで。

結果から言えばその可能性が高く、二度目の調査は審神者は政府にて取り調べを行い、刀剣男士は一振りごとに空の間《くうのま》で聞き取りをしたはず。
あ、空の間っていうのは凄く特殊な部屋でめったに使われないから研修で教わってないかも。空の間は、盗み聞きも術による拘束も全部一時的に無効化できる部屋で、そこを聞き取りに使ったのは刀剣男士が言霊や呪詛で縛られている可能性かを考慮してだったはず。盗み聞きも出来ないし、他の刀剣に証言を聞かれる恐れが無いし審神者の報復を恐れていたとしても政府は先んじて審神者を拘束していたから証言の一つでもあれば即逮捕の予定が一切証言が出なかったって。

一切証言ができなかった…やはり、そうなると考えたくないが本丸ぐるみの可能性はあると思うな。


そういえば、あんたの方はどうだったんだ？

呪具の方、解析に手間取ってた理由は判明したわよ。呪具は複数の刀剣男士と審神者と推測される人間を使ったものだった、アレは強制的に顕現を解除する呪具ではなく刀解する呪具というべき代物みたい。
だからごちゃごちゃしてて解析に時間が掛かってるみたい。

刀剣男士と審神者…？
刀解するための呪具だったのか…そんなものがなぜあんな場所に落ちていたんだ…。謎が増えただけだな…。

類似案件がね、警邏科にあったの。その時は強制的に刀剣を破壊する呪具だったそうだけれども。

類似案件の発生は三年前の武蔵国の万屋街、証拠不十分で処罰見送りになった審神者は武蔵国サーバー。ちなみにその審神者は問題を起こして所属国が変わっていた。その前に居たのは山城国サーバーで山城国サーバーで五年前刀剣男士の一斉失踪事件があった、そっちの記録は呪具研に。

なんで国替えになったかは監査に記録が残っていた、理由は何だったと思う？

国替えをしては新しい実験や誘拐をする為か…？
だが、その審神者は一度目をつけられている。国を替えたところでこちらの目は騙せないはずだ。
何が目的だ…？刀剣男士や政府に恨みでもあるのか？

山城国サーバーから武蔵国サーバーへの国替えが許可された理由は、その審神者の刀剣が一斉失踪事件に巻き込まれたこと。その後精神面での影響を加味して国替えとなったの。失踪した審神者の刀剣は、初期刀の山姥切国広だったそうよ。

…なるほど。ここでも同位体が…。
謎が多すぎる、色々と案件が起きすぎだろう。
山姥切国広連続誘拐、街中に置かれていた呪具…。

なあ、その呪具に使われていた審神者はともかく刀剣男士が誰かまでは分からないのか？もしそれが同位体で、一斉失踪に巻き込まれた個体だったら…。その呪具の作り方に詳しいやつはこの世の中にそんなにいないはずだ、過去に似たような作り方をしたやつや形跡がわかるのがあれば少しは犯人に近づかないだろうか？

本当に、私以外が選べば大丈夫って言った室長の責任よこれ。
因みに、平均して一年に580件くらいここに回ってくるから。

呪具研が出した推測と簡易検査の結果から使われていた男士は、長曽祢虎徹、へし切長谷部、江雪左文字、薬研藤四郎、にっかり青江、そして山姥切国広。使われている男士に規則性も関連も無い、所属まで調べるのならあと三日はかかると思う。

…ご、580…そうか…頑張る…。


確かに、規則も関連性もなさそうだ。3日もかかるのか…。

分離に成功したから、あとは人海戦術でデータベースの総浚いですって。それを三日で終わらせるってことは、九割徹夜かな。

徹夜か、大変だな。
そうなると俺たちはその結果待ちになるということか。

もう一つ、待っている間に可能なことがある。私たちの部署の持つ最も強い権限は本丸立ち入り許可だ。

山城国に、その審神者が使っていた本丸がそのまま残されている。関連が疑われていたから、証拠品として一切手が入ってない状態で保存してある。

…なるほど、待つ間にその本丸へ立ち入り俺たちは俺たちで証拠を探すということだな。

それも可能って話、因みに本丸IDはここに。

どうする？

そうだな、ただ待つだけというのは性に合わないし、俺たちはできることをやろう。