アスティ 2024-06-05 12:58:40 |
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(喰らった闇をエネルギーの糧とするように、その小さな身体に禍々しい殺意と暴力衝動を宿したイゾルデが長身ツェペッシュの命を少しずつ刈り取り。跳び回る標的を引き裂こうと振り下ろされた腕をかわし跳ねたイゾルデが相手の大きな肩に飛び乗ると、掴みかかろうと持ち上げられた右腕を力任せに捻り切り、落下しながらもぎ取った腕をツェペッシュの耳下に叩きつけ。鼻と耳から同時に多量の血を流した巨体がぐらつき、三半規管を強烈に揺さぶられ平衡感覚を失ったツェペッシュが膝をついて動きを鈍らせると、その瞬間を逃さずイゾルデの手刀が眼球を抉り、そのまま悍ましい怪力で頭蓋骨を砕きながら脳を掻き混ぜ破損させて)
『ば、バケモノめッ、地獄に堕ちろ!』
(ツェペッシュの動きが完全に停止したその刹那、イゾルデの背後に忍び寄った老人がダガーナイフを垂直に振り下ろすが、音無く駆け寄ったフレデリクがその刃を長剣で弾き。続けざまに灼熱の火炎を纏った剣先が老人の頭部を細切れにすると、その破片に引火した炎がそれらを瞬時に燃焼させて。放心したように佇むイゾルデが小さく呟いた言葉に優しい声でフレデリクが答えるも、交わされた言葉は風にさらわれ、ここからは聴き取ることはできず)
…終わったようだぜ。
あいつらは放っておけばすぐ治るだろうが、アスティはしっかり手当てだな。
あぁ、お前さんの勝ちだよ。何でも奢ってやるから、任せとけ!
(頭部の無い屍体は灰が崩れるようにその身体が朽ち果てていき、自身の肉体も弄っていたのだろう、最後に息絶えた老人の身体もそれに続いて。巻き込んでしまったことを謝罪するフレデリクを宥め、今夜はそれぞれ宿に戻ることとし、話を切り上げて)
アスティ、俺たちも戻ろうか。
…だいぶハデにやっちまったからな。面が割れないうちに、とりあえずここからトンズラしようぜっ…!
うん、そうだね……っとと……ごめん、少し血を流し過ぎたかな
(因縁の決着を見届け、先程までの激戦が嘘のように訪れる静寂と平穏。しかし、街からはそれほど大きく離れてはいない場所でこれだけの騒ぎを起こした以上、すぐに騒ぎを聞きつけた兵士なんかが駆けつけることだろう。またお尋ね者として追われる立場となるのは御免被りたいところ。傍の相方の顔を見上げ、笑顔で応じて歩き出そうとするがそれなりの量の出血と、戦いの終わった安心感で気が緩んだことで視界が軽く揺らぎ足元ふらつき相方に寄りかかると、苦笑い浮かべつつ謝罪を口にしてから慌てて身体を離して、大丈夫大丈夫と若干覚束ない足取りで歩き出して)
お、おい、無理するなって。へへ、いつもと逆だな。ま、俺はだいたい酔っ払ってるときだがね。
(よろけたアスティに気付くと、足取りが危うい彼女に肩を貸し。ゆっくりと常闇の世界を二人で歩き、宿へと向かって)
──翌日
ほんとにもう行っちまうのかよ。
『あぁ、ここでは色々な事があり過ぎたからね。ロゼ、アスティ、またどこかで会えることを願っているよ!』
「助けてくれて、ありがと。」
(翌朝すぐにここを発つことにしたというフレデレリクたちを見送って。昨日の戦闘を経て彼等の服装が変わっているが、絵画から浮き出てようなクラシカルな装いのテイストは変わっておらず。闇に消えていく二人の背中に別れを告げて)
アスティ、身体は大丈夫か?あんまり無理すんなよ。
さぁて、次は何しようかね。…食い物はあんまり期待できないんだよなぁ、この国は。
(昨夜、宿の主人に少し無理を言ってアスティの手当ができるエルフ達の都合をつけ簡易的な治療を施してもらっているが、完治するまではまだかかるだろうと少々過保護な声を掛け)
──また会えたら今度こそ一緒にお酒飲んでゆっくり話そうね、楽しみにしてるよ!
(結局殆ど交流が出来無いまま、別れることになったのを残念に思うが旅を続けていればきっとまた道が交わることもあるだろう、互いの旅の話しを肴に酒宴を愉しむのはその時まで持ち越しとしよう、いつかの約束のため夜通しでも語りきれないぐらいの楽しい旅の思い出話しを此方も用意しておこうと、そう心に誓って二人を満面の笑顔で見送り)
ふふ、ロゼったら心配性なんだから。しっかり止血もしてもらったしもうなんてことないよ……でも、少し安静にしておこうかな、しっかり完治させないと旅の再開を認めてくれなさそうだしね
(こちらは簡易的な手当てだけで大丈夫と言ったのだが、治療のため医術に長けたエルフの手配までしてくれた相方、そして治療が順調に進んでる今現在も身体の心配を重ね重ねしてくる有様、大袈裟だなぁと苦笑いを浮かべつつも本心ではその優しさを嬉しく思う自分がいて、当面はあまり無茶なことはしないようにして、体調を万全にすることを優先すると彼の想いを十分に汲み、そうしないと旅立たせてくれないでしょ?とイタズラっぽく口にして肩を竦めて)
でも、宿屋で寝てるだけっていうのも退屈だし……デートでもしてみる……?なんてね
(傷自体は一週間ぐらいあれば塞がるとのこと、あまり激しく動けば傷が開く恐れはあるが日常生活を送る分には支障はなく。昨晩は血液不足で身体全体が重く、一度ベッドに倒れ込んだ後は起き上がる気力もなかったが今日はすっかりいつもと変わらぬ調子で、一晩しっかり眠ったことで気力と体力に溢れていて。しかしだからといって依頼を受けたりなんかは出来ないため、どうしたものかと少しばかり思案した後で昨日フレデリクが口にしたワードを思い出したように口にすると、本当にしてみる?などと冗談めかしてはにかみ笑い、あくまで冗談といった風を装って見せているが内心の緊張を示すように、臍あたりの位置で組んだ両手の指もじもじ動かしながらチラリと横目で見上げるよう相方の表情窺っていて)
そりゃそうだって。それに砂漠の国から寝ても覚めても連戦だったからさ。たまにはゆっくりしようぜ。
ん、デートかい。それもいいかも…って、な、デート!?
(何が起こるかわからないこの旅、互いのコンディションだけはしっかり保っていきたいところ。そんな会話をしていれば、ふと相方の口から零れた単語に虚を突かれぽかんと口を開きつつ、先ほど別れた友人フレデリクの含んだ笑いが見えたような気がして)
よし、それじゃ昼に町の真ん中にある小さな噴水の辺りで待ち合わせな。遅刻すんなよっ!
(同じ宿に泊まっているので出掛けから行動を共にすることもできるが、デートってのは外で待ち合わせするもんだと謎の持論を呟きながら、のんびりと一人歩き出してひらひらと手を振り)
えっ……!?ちょ、ちょっと、本当に……って、行っちゃった……
(軽くあしらわれるか流されてしまうかとも思っていたのだが意外にもすんなりと、むしろとんとん拍子に話しが進んでいってしまうとデートだなんて自分から言い出したことだが逆にこちらの方が戸惑ってしまって。本気なのかとこちらから再度意思確認をする間もなくそそくさ外出準備を済ませて出て行ってしまった彼の背を見送れば、実際デートという名目で外出することなどこれまで生きてきた中で経験のない事であるため、どうしようと頬を染めて頭を抱えて。とはいえ、既に相方は出発した後であるため覚悟を決めるしかないと昼の待ち合わせ時間に合わせて身支度を進め)
ロゼ、待った……?
(デートということでやはりお洒落をした方がいいのだろうかと、昨日披露したエルフ風の衣装でという考えもあったのだが今日は普段通りの自分でと、いつもと変わらない服装で髪だけ一つに結い、薄く化粧だけして待ち合わせ場所へ。噴水のある広場にて佇む見慣れた背中見つけると小走りで駆け寄っていき、後は普段通り声をかけるだけというところで、普段通りって一体どんな感じだっただろうと考えてしまい足を止めて一度深呼吸、デートということを意識してしまっただけでこんなにも感情がグチャグチャになってしまうことに驚きながら、結局肩を背後から指先でトントンと叩いて控えめに微笑むという、普段の自分のイメージからはかけ離れた形での声かけとなって)
(肩を控えめに叩かれそちらに目を向けるといつもの距離感に相方の姿を見つけるも、なにやら表情が固いような…。少しアレンジされた髪型も相まって、思いの外意識してるなぁと小さく笑い)
よっ、傷は大丈夫か?あんまり無理して身体動かすなよ。
しっかし、着いたばかりの頃はずっと真っ暗だし少し気味悪いなと思ってたんだがな。慣れてくると案外綺麗に見えてくるもんだな。
(相変わらず広がる闇の世界、そこに薄ぼんやりと光るオレンジ色がイルミネーションのよう。まるで、何かのイベントで普段は出歩かない夜、外に出た子供の頃のような気分になり)
アスティ、昼はまだだろ?
この辺りで何か見たいものがあればソレを軽く見て、まずは昼飯食べようぜ。
(何か気になるものあるかい?と聞きつつ、アスティを促し歩き始め)
本当だよね、照明も独特で変わってるけど灯りは他では見た事ない感じで綺麗だし。……ただ、やっぱり時間の感覚は慣れないっていうか、変な感じかな?今朝目が覚めた時もまだ夜だと思って珍しく二度寝しちゃって……。ロゼはそういうの全然平気?
(普段と変わらない気取ったところや飾り気のない態度と表情で声をかけてくる相方にようやくこちらの緊張もほぐれてきて、口調なんかも段々といつもと変わらない調子に戻り始めて。特殊な植物の放つ薄ぼんやりした天然の光を照明がわりとしている独特な光景は幻想的なようでもあって、えもいわれぬ趣を感じている一方で、常闇の世界故にどうにも体内時計の感覚に若干の影響が出ているようなそんな気がすると、苦笑を浮かべて相方はその辺気になったり違和感はないかと話しを振り)
あ、うん、そのことなんだけどね。待ち合わせの時間まで少し時間があったから簡単に料理を用意して詰めてきたの。昨日も行ってきたんだけどここの最上部が展望台みたいになってて景色とか凄く綺麗だったんだ、もし良かったらそこで一緒に食べない?
(ここの料理にはあまり馴染めず食指が動かない様子の相方のため、集合時間までの空いた時間を活用して簡易的ではあるが所謂お弁当を用意してきており、それを昨日の散策でたまたま見つけた街並みを一望できる眺めの良い最上部の展望台で景色を楽しみながら一緒に食べるのはどうだろうと提案すれば、デートなのだからと手を繋ごうと手を差し伸べて)
んーそうだなぁ。睡眠は今んとこ大丈夫なんだが、感覚的にずっと夜動いてるみたいだし、夜行性の動物にでもなった気分だよ。
(このまま慣れてしまうと、この国を出たら深海から引っ張り上げられた深海魚みたいな気分になるのかもしんと大げさに言いながらも、幻想的な闇の光景を楽しんで)
…!気が利くな-!それじゃ、その展望台に行ってみるとしようぜ。
(至れり尽くせりな相方の計らいに感謝しつつ、少し照れながら差し出されたアスティの手を取り。頼もしい旅の相方の意外な一面…相棒としての側面から今まで意識的にそういった面を見ようとしていなかったのかもしれない、彼女の歳相応の女性的な振る舞いに、柄にもなく急に緊張してしまい繋いだ手をややぎこちなく動かしながら歩き)
ふふ、殆どハシゴ移動だからあんまり手を繋ぐ意味はないかも……でも、いいよね?だってデートだし、ね
(目的の展望台を目指しての移動はこの国の構造上必然的にハシゴ移動がメインとなり、せっかく手を繋いだのもすぐに離すことになってしまい。あるいは手を繋ぐ意味そのものがあまりないかもとハシゴを登っていきながら身も蓋も無いことを口にしてしまうが、これは誰がなんと言おうとデートなのだ、つまりは理屈ではなくそういうものとして楽しまなければ損だと先程までの余裕なく動揺していた様子はすっかり鳴りをひそめて先に頂上へと至るハシゴを登りきったところで、後から登ってくる相方へ向けてクスリといたずらっ子のような笑みを向けながら手を差し伸べると、小首をゆるりと傾げて改めて自らこれがそういうイベントなのだということを強調するように述べて)
(すっかりいつもの調子を取り戻したような相方に促されハシゴを登り、差し伸べられた手を取りながらも、向けられた悪戯っぽい表情に逆に何かを掴まれたような。砂漠の国でのパーティともまた違った不思議な距離感に少しばかり動揺しながらも、いっそのことそれを楽しんでやろうとし)
あぁ、そうだな…っ。はぐれないように繋いでくれると助かるよ。
(照れくささを感じながらもアスティの言葉に同意し、触れる手の平の確かな体温を都度都度感じながら、展望台を目指して登っていき)
結構高いところまで来たな。そろそろ着く頃かい?
うん、もう頂上だよ。ほらこっちへ来て下を見て、凄く綺麗でしょ?
(最後のハシゴを登りきれば改めて、相方の自分のものより一回り大きく頼もしく、力強いその手を物理的にだけでなく心の結びつきをより感じようと握りしめて。繋ぎ合う手からまるで体温が一つに混じり合い溶け合っていくようなそんな感覚に薄ら頬を赤らめながら無邪気に笑いつつ、やや強引にぐいぐいと相方の手を引いて歩みを進めれば周囲を木製の柵に囲われた円形の床の上、ベンチが置かれ、そこに座って街並みを一望することもできる小さな展望台へと案内をして。幸いにも先客は他に誰もおらず相方と繋いだ手はそのままに、眼下に広がる辺り一面にオレンジの明かりの灯った美しくもロマンチックなようでもある、そんな景色へと視線を投げかけて。相方にも是非とも見せてあげたいと思っていた光景……豪快なようでいて実は楽器が得意であったり、旅先でもその地域ごとの特徴なんかを感じ取って楽しむ繊細な感性も少なからず併せ持つ、そんな彼の目にはここからの景色はどんな風に映っているだろうと口角を上げた笑みを浮かべながら、傍らで顔を見上げるようにしてその反応を窺っていて)
おいおい、そんなに引っ張らんでも付いていくってば。
へぇ、確かに幻想的でいいもんだな。…不安定な感じというかなんというか、そういう揺らぎみたいのが刹那的な綺麗さを作ってるのかもな。
(小さな展望台から見下ろす常闇の町をぼんやりと照らす淡いオレンジ色の光。決して強く光り輝くようなものではないが、その儚げな柔らかい光になんとも言えない美しさを感じ素直にそれを口にして。完璧で一分の隙もないような完成されたものより面白みがあり、再現するのが難しいくらい絶妙なバランスで成り立っていたこの旅の色々な出来事も、ある意味似通った面白さがある気がするよと独り言のように呟き)
連れてきてくれて、ありがとな。
(その心遣いに感謝を述べ、なんだか想像以上にデートっぽいことしているなぁと改めて感じて)
……ふふ、なんだか詩的でロマンチックな表現だね。お礼を言うのは私の方だよ、こちらこそ今日は付き合ってくれてありがとう
(見える景色から受けた印象を雅趣な言葉選びで表現した相方、途端に目に映る世界がより輝きを増して見えてしまうのはきっと自分がこの場、この状況の雰囲気に完全にあてられてしまっているせいだという自覚をして我ながら呆れてしまうが、相方とのデートと敢えて定義づけした特別な時間に惑溺していく己自身の心に抗うことは能わず、やはり自分はとっくに彼のことが……そんな胸の奥芽生えた確信めいた感情には思わず蓋をして誤魔化すように努めて明るく笑って振る舞いながらも決定的な表現は避けるようにする。彼はあくまでも旅の相方だ、もしもそんなポジションすらも失ってしまうような事になったらと思うとこれ以上彼の心に深く踏み込むことは憚られてしまって、こんなにも女々しく考えてしまう自分自身に驚くと同時に情けなく惨めな気持ちが芽生えるがそれらの負の感情を必死に頭の片隅へ追いやり、眼前の景色へと再び目を向けると傍らの彼にありがとうと感謝の気持ちのみを伝えて)
ロゼ、お弁当食べよっか?これはね、前の砂漠の街で買った中身の温度を一定に保つ魔道具なんだ。これさえあれば出来立てホカホカのお料理を楽しめるはずだよ
(これ以上は膨らむ想いを抑えきれない、そう悟った己は気持ちを切り替えようと荷物の中から正方形の平たい大きめの箱を二つ取り出せば、なんの変哲もなく見えるそれらの箱についての説明を交えつつベンチの上に並べて置き蓋をパカっと開けて。片側の箱には輪切りにしたバゲットの間に食材を挟んだバゲットサンド、もう片方の箱には限られた材料でも極力彩りなんかも考えられたおかずが詰まっており、説明通りおかずの方からは作り立てであることを示すかのような湯気が立ち上り)
(色々な思いを巡らせているようなアスティの雰囲気は、なんだか今まで気が付かなかった一面を見たよう。近過ぎて気が付かなかったのかもしれない彼女に対する何らかの感情を自身が抱いていることを意識させられたことを認めながらも、それを深追いすることはせず。相方の明るい声に促されれば、砂漠の国で熱心に吟味していた魔道具とお手製の料理が披露され)
おおー、こんなに準備してきてくれたのか。怪我してるのにすまんな。さっそく冷めないうちにいただくとするよ。冷やすだけじゃなくてこういう使い方もできるんだな。
(いただきますと呟き、二人でのんびり食事を始めて。菜食主体の食事に慣れ始めた身体が目覚めるような美味さに自然と顔が綻び。これは俗に言う胃袋を掴まれるというヤツなのだろうかとふと考えて)
気にしないで。ロゼここでの食事楽しめてないみたいだし少しでも美味しいもの食べてしっかり栄養つけておかないとね?旅は身体が資本なんだから……って、怪我してる私が言うことじゃないけど
(ベンチの真ん中に広げた弁当を挟んで隣り合って座る相方と一緒に食事を楽しむ。相方とは日頃から寝食を共にしている間柄だが今日は普段のお腹を満たす為のものとは異なり心までも満たされていくようで、こちらの怪我に対するささやかな気遣いすらも嬉しく感じて顔を綻ばせると、相方の為に手作りの美味しい料理をなんて軽く自画自賛。身体が資本なんてもっともらしい事を言ってる張本人が怪我人では締まらないなとおどけてみせて)
ここ、ソースついてたよ。……なんだか穏やかだね、旅を始める前はこんな風に誰かとこんな優しい時間を過ごせるなんて思ってもみなかったなぁ
(相方の口元にバゲットサンドのソースが付着しているのを見つければ、荷物の中からハンカチを取り出して口元をサッと拭ってやったりしながらもゆっくり食事を進めて。やがてどちらの弁当箱も中身が綺麗に空になればご馳走様と口にして片付けを済ませて、小さく一つ息を吐いて伸びをしてから瞳を細めると自分の旅立ちの経緯を考えれば今こうして心穏やかに幸せと思える時間を享受出来ているのは奇跡に近いと、柔らかな口調で幸せ噛み締めるようしみじみ呟いて)
(なんだかどっちが年上かわからないようなやりとりをしながらのんびり食事を終え、ごちそうさまと呟き改めて食事のお礼をして)
そうだなぁ。こうやってたまにはのんびりぐーたらしながら、旅をするのが気楽でいいわな。
(フレデリク達の一件で思わぬいざこざに巻き込まれてしまったが、この常闇にゆらゆらと浮かぶ幻想的な光と穏やかな街並み、それらが相まってとてもリラックスできるところだと今更ながら感じて。宿を取ると比較的のんびりぐーたらしていることも多いのだが、そこにはあえて触れず)
さぁて、満腹になったことだし、どうする?買い物でもするかい?
いいね、そうしよう。特に欲しいものが無くても一緒にお店を見て歩くだけでも楽しいよね
(昨日の自由時間でめぼしい場所はある程度回ってはいるが、それでも全てを網羅した訳ではなく、何より相方と一緒なら見え方も感じ方もまた違ってくるはず。特に入り用なものも現状では思いつかなくても実際に店を見て回れば物欲が湧いてくるということもあるかもしれないし、そうでなくても目的もなくブラブラするのも二人でならきっと楽しいだろうと笑顔でその提案を受け入れ、ベンチから勢いをつけて軽く跳ねるように立ち上がりお尻を軽く手で払って)
それにしても、ここに住んでたらハシゴの上り下りだけで足腰結構鍛えられそうだよね。……あ、見て、ガラス細工の食器だって!綺麗だね、何か買っちゃおうか?
(相変わらず移動はハシゴがメインで、これだけ日頃からハシゴを利用していればさぞ足腰が強くなるだろうなと、率直に思った事をそのまま口にしてとりとめもない話題を振ったりしつつ、通路脇の店なんかを時に足を止めたりしながら眺めてウィンドウショッピングを楽しんでいれば、見るからに穏やかな感じの風貌の老ドワーフが営む店に目が止まって。そこには色とりどりのガラス製の食器類や、置き物なんかが陳列されており、それら全てが店主の手作りであるようで。どれもが精巧な出来の品々に目を奪われ、色違いのペアのグラスなんかもあるのを見ては相方を振り返って反応を窺って)
ん、食器ねぇ。どれどれ。
(寡黙で職人気質なイメージのドワーフが営む食器屋に興味を惹かれたアスティに促され、それらを眺めて。確かに彼女が言うようにどれもしっかりした精密さを感じ、なおかつ繊細な雰囲気も相まって目を引く。それらと同じくらい、自身では気にも止めなかったであろうこういった類の店に興味を示した彼女の女性らしさのようなものを改めて感じて)
ペアのグラス、良いんじゃねぇか?俺はショットグラスみたいなものが欲しいなぁ。
(アスティの視線を肯定するように穏やかに頷きつつ、自身は精密である程度丈夫そうな、小さなショットグラスを手に取って眺めて。旅のお供の酒をちょいと飲むには良さそうだ)
可愛いグラスだね、こういうのって強めのお酒を中に注いで二人で飲み比べとかするんでしょ?
(いくつか並んだ中から相方がピックアップしたそれは一般的なグラスと比べて小さめなそれで、自分ではそういった飲み方を試したことはなく、使途も当然それだけではないだろうが酒場なんかで主に荒くれ者や、見栄っ張りな若者なんかが意地の張り合いからアルコールの度数が明らかに高い酒を飲み比べたりしているのを見た事があるためそういった記憶と印象が強く結びついていて)
……そうでなくても旅先で静かに二人で乾杯するにも丁度よさそうな感じで、そこまで嵩張らなさそうだし……うん、私もこれが気に入ったよ、これに決めちゃおう
(イメージはどうあれ、実際に二人で使用する場面を想像してみることにする。二人で焚き火なんかを囲んで揺れる炎を眺めつつ嗜む事を目的として注がれた少量の酒を静かに酌み交わす……そんな風景が脳裏をよぎり、相方となら特に素敵な時間を過ごせそうだと心の底から感じれば、ほぼ即決で相方の選んだそれの購入を決めて満面の笑みを浮かべて)
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