女子生徒 2024-04-30 23:32:52 |
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あんまり上手すぎたらそれはそれで勿体無くて食えなくなるかもだけどな。
( 彼女が何かを頑張るときは大抵その理由に自分が絡んでいることにそろそろツッコミを入れるべきなのだろうが、もはやそれを当たり前のように享受するようになった頭では不思議に思うことすら出来なくて。だからこそ彼女から無意識に出た未来の予定もすんなりとこちらも無意識に受け入れては、これから先さらに絵が上手くなったオムライスを振る舞われるかもしれないことにへらりと笑い。正直自分で入れたコーヒーよりは気持ち薄めかもしれないのは奥で作っている生徒の采配次第なので仕方がないこと。しかし美味しくなるおまじないを受けた後と、自分の好みを把握している彼女だからこそ何も言わずにブラックで運んできてくれたことに「うん、美味い。」と薄く微笑んで。オムライスも、文化祭で出したものと考えれば充分な美味しさ。ちょうど昼時に空いてきていた腹にはちょうどよく、彼女だけでなく他の生徒たちの視線も受けながら食べ進めて。 )
それは困っちゃう!
せんせーのために作るんだから、ちゃんとぜんぶ食べてもらわなきゃ。
( 口調の割に全く困っていない顔でうふうふと笑っては、当たり前のように2人でいる未来をお互いに見ていることが嬉しくてみきの夕陽には嬉しい!幸せ!がきらきらと満ちていて。学生の文化祭なので当然料理のレベルは知れてしまうのだけれども、それでも他のクラスよりは凝っている自信があるので彼からの“美味しい”が貰えると当たり前に嬉しくて。好きな人が何か食べてる姿をずっと見つめていたいと思ってしまうのは恋する乙女のことだけれど、まぁもちろん今はお仕事中なのでそういう訳にはいかず半分ほど彼が食べ終わったのを見て渋々立ち上がろうとすればのし。と背中に重みが。『 みーき。そろそろ休憩行ってくれば?その格好で校内歩いたら客寄せパンダにもなるし。 』「 あきちゃん!……せんせ、このあと見回り一緒に行っていい? 」年の差恋愛のプロ、あきちゃんのありがた~いアシストにパァ!と瞳を輝かせては当たり前のように目の前の彼と共に回りたい!見回り…もとい文化祭デートしたい!と言わんばかりにキラキラした瞳を彼に向けて。 )
はは、じゃあ食うときに崩しても罪悪感が無いもの頼むわ。
( 周りからすれば何だかこの席だけ2人の世界になっているように見えるのだが、当人たちにはまったくそんなつもりは無いらしい。微笑ましそうに生温かい視線や嫉妬の混ざった刺々しい視線などを浴びながら提供された料理を半分ほど食べ終えたところでメイドがもう1人登場。どうやらちょうど彼女が休憩に入るらしく(まさかアシストとは思っていないが)同行を求められれば、「俺は別にいいけど……むしろいいのか?これから忙しくなるんじゃねーの?」と頷きながらもちらりと壁掛けの時計を見やり。時刻は12時をまわったまさにお昼。とはいえここからが稼ぎ時と考えれば、休憩とはいえ確かにこの格好でうろつけばいい宣伝にはなるのだろう。ただしキラキラと輝く彼女の瞳が、ただ宣伝だけではないことを期待しているのは明らかに分かってはいるが。 )
、たしかに…。
『 混んだら整理券方式にしてるからだいじょーぶ、せっかくの文化祭だし行ってきな。 』
( 彼の言葉にハッと我に帰れば“忙しくなっちゃうなら手伝いたい。でも文化祭デートもしたい”と迷いのある表情を浮かべて漸く背中から退いた友人を振り返り。そんな友人は彼の言葉を予想していたかのようににっこり笑ってはしっし、と追い払うような仕草で行ってこいと示して。恋する乙女の味方はいつだって恋多き乙女、みきは嬉しそうに表情を和らげては「 !いってくる!えと、ちょっと準備してくるからせんせーゆっくり待っててね! 」と少しでも身なりを整えたいのかパタパタと裏( とは言ってもパーテーションの向こう側 )へと走っていき。それから暫くしたらちょっとだけ瞼にラメを乗せてもらってきらきらと瞳を輝かせながら「 きらきらにしてもらった! 」とふにゃふにゃ微笑み。文化祭は可愛くしたいけれど、でもやっぱり飲食店ということでさっきまでは我慢していたラメも休憩中は解禁。さらに好きな人と並んで歩くというのであれば少しでも可愛いと思われたいらしくちょっぴりリップも艶のあるものを選んだりして。 )
…はいはい、
ちゃんと待ってるから急がなくていいぞー。
( あきちゃんといった女子生徒の名前に聞き覚えがあるなと思えば、たしか彼女の話の中でよく出てくる歳の差恋愛のプロという友人だったはず。その手腕はなるほどと言えるもので、ここまできて漸く先程の会話がこのあきちゃんによるアシストだったと気付いてももはや時すでに遅し。とはいえ形としては"休憩中の生徒がただ着いてくるだけ"なのでこれといって断る理由もなければ元よりそのつもりも無いのだが。そうして彼女が準備のため裏へ引っ込んでいる間に残りの料理を食べ、教師といえど客は客なのでしっかり支払いも済ませておく。── パーテーションの裏ではいそいそと休憩の準備に入る彼女にクラスメイトの男子が『御影休憩?…お、俺もそろそろ休憩なんだけどせっかくだし一緒にまわんね?ほら、俺らメイドと執事でクラスの宣伝にもなるし?』とあわよくばを狙ってそわそわと声を掛けたりなどの一面もあったりして ──。暫くしてから戻ってきた彼女は文字通りキラキラと輝く笑顔で。全体で見ればほんの僅かな時間とはいえ(表向きは)見回りに着いてくるだけなのにわざわざ少しでもおしゃれをしようとしてくる彼女を可愛く思っては薄く微笑み、「ん。それじゃごちそーさん、お前らしっかり稼げよー。」と残って仕事に勤しむ彼女のクラスメイト達に声を掛けては教室を後にして。 )
─── ごめん!みきこれから好きな人とまわるんだー!
お互い休憩満喫しよーね!
( あわあわと忙しなくデートの準備中。ふと掛けられた声になんの悪気も他意もなく…というか単純に浮かれているので無意識に満面の笑顔のまま甘酸っぱい青春の1ページをあっさりと破り捨てれば、そのまま“じゃ!”と容赦なく大好きな彼の元へとチリンチリン涼やかな鈴の音色と共に走っていってしまいフラれたクラスメイトがどうなったのかみきは知る由もなく。クラスメイトの女の子たちからの暖かい…もといにやにやと揶揄うような視線たちにいってきます!とぶんぶん手を降れば大好きな人との文化祭デートがスタート。他校の生徒や一般のお客さんもいる校舎はいつも以上にがやがやと賑やかで、校舎の壁やら窓にはカラフルな装飾や様々なクラスの出し物のビラが貼ってありただ廊下を歩くだけでもとても目が楽しくて。「 お祭り!って感じだねぇ、みき文化祭だいすき! 」チリン、と首元の鈴を鳴らし尻尾を揺らしながら彼の隣をいつものように歩けば楽しそうににこにこふわふわ微笑みながらもメイドさんだ、の声にもしっかり手を振ったりと自分の仕事は忘れずに。 )
確かに、夏祭りとかとはまた違った祭りって感じはするよなー…。
( 勇気を出したお誘いはあっさりと断られ、がっくりと肩を落とす男子に他のクラスメイトから慰めの肩ポンが送られたことはすでに教室を出た2人にはもちろん分かるはずもなく。───隣を歩く彼女から一定のリズムでチリンチリン、時折周りを見回せばまた違ったリズムでチリンと鳴る鈴の音を聞きながら人の賑わう廊下を歩いて。見回りといってもお堅いようなものでは一切無く、ただうろうろと生徒の様子を見て回る程度。それにしてもやはり衣装も相まって隣の彼女は目を引くようで、先程から何度か声を掛けられているあたり宣伝という名目は十二分に達成できていると言えるだろう。他クラスの生徒たちからも『みきちゃん可愛いー!メイドだー!』『先生がメイド連れて歩いてるー』などと微笑ましく見送られたり揶揄われたり、2人で歩いてはいるがその道のりはとても賑やかなもので。 )
しかも今年のお祭りはせんせーも参加だもんね!
ミスターコン、ちゃんと見るからね。
( 去年は☆先生の独壇場だったミスターコン。去年も変わらず彼だけを追い続けていたので詳しいことは知らないけれど、2位ととんでもない差をつけて勝利していたとかなんとか。けれど今年はその大好きな彼がエントリーするということでちゃんと情報を追っているのだ。ちなみに自分の出場するミスコンは特に興味が無いのでなんにも知らないのだけれど。みきは機嫌よく表情を和らげながら心底楽しそうに、けれどちょっぴり不安な色の交じった夕陽色で彼を覗き込んで。やはり2人並んで歩くのはいつもの事だけれど今日に限ってはメイド服を着ているということもあるのか投げかけられる声に「 そ!メイドさんなの、2-Bきてねー! 」やら「 せんせーの専属メイドでーす、今日は2-Bで働いてまーす! 」やら返事をしながらもちゃっかり宣伝や彼の専属メイドというアピールは忘れずに。ほんとはちょっぴり2人きりになりたいな、なんて思ったりもするけれど彼は教師として見回りのお仕事があるのでそこに関しては我慢のできる良い女としてその気持ちは心にしまっておいて。 )
こうして見回るだけで俺としては充分参加してるつもりなんだけどな……、
つーか俺のことばっかじゃなくて自分の方はどうなんだよ、お前も参加側だろ?
( 彼女の口ぶりは完全に応援側のそれなのだが、お互いに今年は出場者として壇上に立つ予定。自分はもうなるようになれと若干他人事のように思考を放棄しているが、同じように意欲的で無いとはいえれっきとした生徒枠の彼女はもう少し緊張するなりやる気に満ちるなりあるのではとこちらを覗き込む夕陽色に視線を合わせては首を傾げて。贔屓目かもしれないが彼女ならそれなりに多く票は入るだろう。…余談だが、朝のうちに推薦者の元にお説教という名の文句を言いにいったら当たり前のようにあしらわれ、『責任もってうちらは先生に票入れるから』と組織票が少しだけ入るらしいので、ネタ枠とはいえ0票で終わることにならなさそうなのは内心ちょっとだけホッとしていたりもして。さすがはメイド服、ついでに猫耳&尻尾付き。目立つ格好で歩いていれば客寄せになるのはもちろん客引きにも合うわけで。「専属じゃないでーす。」と訂正している合間にも『せんせー達寄ってってよー!』といくつか声を掛けられることも。生徒たちが楽しんでいるのは教師として嬉しいのだが、一般客もいるためその人の多さには少しだけ疲れてしまいそうだなと小さく溜息吐いて。 )
へ、みき?
……うーん…。可愛い子たちに混ざってステージに上がるのはちょっぴり緊張かも…?まぁ思い出作りだからあんまり気にするだけ無駄だけどね!
( 突如として向けられた矛先にキョトン、と瞳をまんまるにして首を傾げては悩ましげな声を出しながら強いて言えば楽しみよりも緊張が強いのだと答え。自分は好きな人に可愛いと思われればそれで良いのだけれど、少女漫画の中から出てきたかのような紅色の美少女たちの中に混ざってステージに立つというのはさすがのみきでも不安やら緊張があるようで困ったようにへらりと笑い。もしかしたらゼロ票かもと覚悟はしているけれど、もし本当にそうだったらそれはそれで落ちこんでしまいそうだなぁと少しだけ弱気になっているのは自分の胸の中に閉まっておくとして。色んな出し物あるなぁ、なんて普段の学校とは様子の違う周りをきょろきょろと見渡して入ればふと耳に届いた彼の小さなため息に「 せんせー、みきちょっと疲れちゃったから休憩したい!ほら、ちょうど準備室の前だし休憩しよ! 」と全く疲れてはいなさそうな笑顔でそのままくいくいと彼の服の裾を引っ張ってはタイミング良く通りがかった生物準備室を指さして。疲れた生徒の看病なら少しくらいなら見回りだって休んでいいでしょ?と言いたげにいたずらっぽく夕陽色の瞳を細めてはもう一度彼の服の裾をつい、と引っ張って。 )
ふーん…、
まあ確かにお前の言う通り思い出作りとして楽しめばいいか。
それにお前は間違いなく1票は入るし。
( 彼女の性格上、こういった競い合いは例え形だけだとしてもあまり向いていないような気がする。とはいえ他に誰が出るかなんてまったく知らないが、自分からすれば見た目はもちろんのこと内面まですべてが間違いなく彼女も"可愛い子"。優勝やらには特に興味も無いが、とりあえず自分の票は彼女に入れる予定……と考えたところで、「…あれ、参加者って投票できたっけ…、ていうかそもそも教師に投票権あったっけ……?」と小さく呟いて。何とも耳の良い彼女に溜息を拾われた時に準備室の前を通ることになったのは本当に偶然で。「え、ちょ……、分かったから引っ張んなって、!」不意に引っ張られたことで少しだけ体勢を崩しそうになりながらも、何とかポケットに入れていた準備室の鍵を取り出して。文化祭では特に開放予定のない準備室は間違って入らないように朝以降は施錠してあったうえにすぐに鍵を返さなければというわけでもなかったので幸か不幸か今日は持ち歩いていたので、疲れとは無縁のいい笑顔を向けてくる彼女に半ば押し切られるような形で扉を開けて。 )
??
……あ、さっきあきちゃんが入れてくれるって言ってたの?
( 間違いなく1票は入る、と断言した彼の言葉にこてりと首を傾げては一体誰が…と考えるも思いつくのはクラスメイトの女の子たちくらいしか出てこなくて。さっき自分が準備していた時にそんな話になったのだろうか、と考えるものの彼の小さな呟きに「 参加者も先生たちも投票できるって言ってた!あのね、生徒会室の前にある投票箱のところに投票用紙置いてあるって。みきもあとでせんせーに投票しなきゃ! 」とまさか彼が自分に投票してくれるとは夢にも思っていない顔でへらへら答えて。無論当たり前のように自分は彼に投票するつもりなのでなんの恥ずかしげもなくさらりと自身の投票先を明かしては投票締切の前に後で生徒会室に行かなきゃなぁとぼんやり考え。いつも自分が行く時には大体空いている(というか彼がいない限り来ない)ので鍵のかかった準備室はちょっぴり新鮮。そのまま緩く彼の服を掴んだまま準備室に入っては、いつもとは違う雰囲気の校舎とは違いここだけはいつもの空間でちょっぴり安心する。「 …せんせー、だいじょぶ?人いっぱいだから疲れちゃうよね。 」と掴んでいた服の裾をするりと手放しては、恐らくただ文化祭を楽しんでいる生徒たちとは違いいつも以上に気を張っているのだろう彼ら教師たちの気苦労を知ってか知らずか心配そうな瞳で彼を見上げて。 )
……だったら2票は確定だよ。
( そういえば彼女も他薦だろうし推薦者がいるとすればクラスメイト、となれば確実にその子たちの票は彼女に入るはず。名前の挙がった相手ではなく目の前にいる相手が自分に入れるとは微塵も考えてなさそうな彼女に、何だか気を抜かれたように眉を下げて笑い。もはや独り言のようだった問いに答えてくれた彼女はやはり(というのも何だが)自分に入れてくれる様子。あっさりと投票先をバラしてしまえば無記名の意味が無いだろうと溜息混じりの笑いを零しながら「じゃあ俺もせっかくだし混む前に行っとくかな。」と、さすがに投票先の相手を伴って一緒に行くのは少しあれなので彼女がクラスに戻った後にでも行こうとひとり頷いて。がやがやと賑わう廊下も、ピシャリと閉めたドアを挟めばその喧騒はほんの少しだけ小さくなったような気がして。勢いに負けてとはいえ入ってしまったものは仕方ないと、裾から手が離れれば彼女が普段座る椅子を出してから自分も自らの椅子に腰を掛けて。「お気遣いどうも。まあ生徒たちも一般の人も、楽しそうならそれでいいんだけどな。……つーかお前はいいんだぞ、俺にわざわざ付き添わなくて楽しんできても。」まだ始まって数時間だが、人混みの中を移動し続けながら無意識に気を張っていればやはり少しだけ疲れ始めていたのだろう。心配そうに向けられた夕陽色にひらひらと手を振って大丈夫だと示しながら、休憩時間入ったばかりなのにさっそくいつもと変わらない場所でいつものように話をしている彼女をちらりと見やって。 )
????
……せんせーたまに難しいこと言う…。
( なぜだか増えた1票にむむむ、と不思議そうに眉を寄せながら首を傾げては、“Aさんはリンゴを5つ買いました~…”云々を問い掛けて来る数学の問題のように難しい彼の答えに正解を見出すことは出来ず。 だがしかしその難しい顔を長くは続かず彼が投票に行くと知るやいなや「 だ、誰に投票するの…!?ま、まりあちゃん(ミスコン教師枠)とか…!? 」といつかの時のように盛大な勘違いをしては驚きにまるめられた瞳を彼に向けて。無論此処で言ってしまったら無記名の意味は無いのだけれどそれでも確認せずにはいられないのが恋する乙女。それとも3年生のあの美人な先輩…!?と名探偵の顔で“迷”推理が脳内で繰り広げられては悶々とした様子で彼の投票先を考えて。扉を閉めてしまえば文化祭の喧騒は少し遠のき、いつもよりもちょっぴり外が賑やかだけれど水槽のフィルターのこぽこぽ小さな音や自分たちの話し声だけがするこの部屋はやはりいつも通りで安心する。彼の用意してくれた椅子に尻尾を潰さないようにちょん、と腰掛けては彼の言葉に当然のようにへらりと笑って「 みきはせんせーといる時がいちばん楽しいもん、それにせんせーの専属メイドですから! 」と自慢げにどや!と胸を張ればそれに伴って首元の鈴がまたちりんと鳴り。残念ながら彼には否定されてしまったけれどみきはそんなことはお構い無しな様子で。 )
小学生でも分かるレベルだけどなたぶん。
( ここまできても相手の投票先が自分かも、だなんて考えがさっぱり浮かんでこない様子の彼女が何だか可笑しくなってくすりと薄く笑って。何だったら今時のマセた小学生の方が彼女よりも恋愛スキルが高いのでは無いのかと思えてしまうほどで。しかしそんな彼女もヤキモチのような感情は一丁前で(無論そんな所が可愛らしかったりするのだが)、慌てた様子でまったく掠りもしない推理を繰り広げ始めて。「え、保田先生も出んの?…お前以外の参加者、俺知らないんだけど。」一応投票は無記名や匿名が当たり前なのですんなり教えてはやらないが、"投票に行くとは言ったものの知っている参加者は1人だけ"という至極分かりやすいヒントに彼女が気付くかどうか少しだけ楽しんでいるのは内緒で。一度は否定された事を無かったかのように再び専属の座に着こうとする強かさに乾いた笑いを零しながらも、お祭りのような文化祭よりいつも通りの準備室を選んでくれる彼女の言葉には少し心がほわりと暖かくなり。「はいはいありがと。まあパシリかメイドかで呼び方が違うだけな気もするけどな。」と、悪戯っぽい笑顔を向けるも視線は優しいもので。彼女がそうあるように、自分としても彼女が楽しんでくれている様子を見るのが楽しいもので。せっかくのお祭りなのにこうして自分を気遣って準備室に籠るのはやはり違うので、少しだけ休めば後は彼女の行きたいところに付き合おうと考えて。 )
もー、投票行くのにみき以外の参加者さん知らないなら誰に投票する、─── の…。
!!???
( 小学生でもわかるレベル、なんて言われてしまえばこれは絶対に正解を導き出さねばと躍起になってしまうのだけれど、先程まで投票に行くと言っていた張本人とは思えない彼の言葉に思わずくすくすと笑いながらツッコミを入れようとしたところその言葉は最後まで紡がれる前にぴたりと止まってしまい。ぶわ、と一気に赤くなった頬と大きく見開いた夕陽色の瞳で思わず彼の方を見つめては今ふと辿り着いた一つの正解に動揺と驚きが隠せずき。一票は確実で、あきちゃんが入れるなら二票。みき以外の参加者のことは誰も知らないけど、投票にいくつもりだった。いくら鈍感なみきと言えど一度正解にたどり着いしまえば今までの彼の言葉が数珠つなぎで繋がっていくようで。あながち間違いでは無い彼の意地悪な指摘にぷく!と頬を膨らませては「 メイドさんって呼ばれた方が可愛いもん。それにパシリさんには耳としっぽがついてないけどみきメイドさんには耳もしっぽも鈴もついてるからお得! 」と謎の付加価値を付けては猫が毛並みを整えるようにちょい、と拳で猫耳を撫でたあとにしっぽまでちゃんと見せつけるように立ち上がりそのままくるりと一回転。パニエでボリュームの出たスカートがひらりと広がりチリン。と可愛らしい鈴の音を響かせてはほらね!と言わんばかりににっこり微笑んで。 )
…───ふ、気付くのおっそ。
( 迷推理を繰り広げつつこちらの言葉に笑う彼女に対し、こちらは机に頬杖ついて静かに見守る構え。しかし漸く気付いたらしく、彼女の動きも言葉もぴたりと止まったかと思えば一瞬にして赤く染まる顔。驚いたように丸められながらこちらを見る夕陽色にぱちりと視線が合えば、そのまま薄く、しかしどこか意地悪く口角を上げてはぽつり零して。あざといくらいに可愛らしい猫のような仕草に、ふわりと広がるスカートはいつもの制服では決して見られないもの。クオリティの高い服の効果か彼女への気持ちゆえか、文化祭ならではという服での一挙一動はどれも可愛いのは確かで「はは、お得。」と語尾に(笑)を付けながらもその様相は正直なところ納得の一言。しかしふと思い出したように「…そういや何人かに連絡先貰ったんだって?」と、口を出せる立場では無いとはいえやはり気にはなっていたようで首を傾げて。 )
せ、せんせーが投票しようとしてたのって、…み、みき……?
( まさか、そんなはずが無い。だっていつも“俺の生徒はみんな可愛い” と釘を刺すように言っているのに。頭でぐるぐると無意識に逃げ道を探してしまいながらも唇から零れるのは確信を得ようとする質問で、一気に鼓動の早くなった心臓を抑えるように胸元でぎゅ、と手を握っては不安そうでありながらもどこか期待も滲ませた切なげな瞳で意地悪く口角を上げる(そのお顔がみきは大好きなのでそれにもしっかりときめいているのだけど)彼を見つめて。完全に語尾に(笑)のついた彼の返事に柔らかな頬は直ぐに膨らませたものの、その拗ねた表情は彼の質問によってキョトンとしたマヌケ顔に早変わり。「 え、…うん。確かにさんに、…あ、4人?から貰ったけど…。 」なぜ彼が知っているのだろう、という疑問はまぁクラスメイトの誰かが言ったのだろうということで解消されたけれどまさか彼からそんな質問が飛んでくるとは思わずになぜ?と言いたげに首をかしげ。─── 勿論、いつものように“好きな人がいるので!”と速攻断っているし無理やりに押し付けられた連絡先は(友人が)ビリビリに廃棄したので今はもうその連絡先の紙は残ってもいないだけれど。 )
なに、嫌だった?
( 自分の生徒たちはもちろん総じて可愛く、優劣をつけるなんて以ての外。とはいえミスコンはあくまでイベントなので投票先は残念ながら1人に絞らなければならないわけで。期待を寄せた表情と質問に未だ頬杖をついたまま、思ってもいない質問返し。どんな答えが返ってくるのか分かっているかのようにその口元には意地悪い笑みを携えたままで、色んな気持ちが淡く混ざり合っているような彼女の瞳を真っ直ぐ、しかし優しく見つめ返して。教室にて彼女のクラスメイトから聞いた人数より1人増えているのは自分がいた時になのだろうか。彼女がモテるのは今に始まったことではないが、やはり文化祭という特別感にやたら目を引くメイド服が加われば可愛さの暴力にナンパのハードルも下がるというもの。しかしまさかその連絡先がひとつ残らず彼女の手元に残っていないことなど知る由も無いので「…"専属"メイドが変な奴に絡まれてんじゃないかと心配してるわけですよ、こっちは。」と、どこか気まずそうに視線を逸らしつつぽつりと呟いて。 )
い、嫌じゃない!
……嫌じゃない、けど…。嬉しくて、おかしくなっちゃう……。
( まるで此方を真っ直ぐに貫くような優しくてちょっぴり意地悪な彼のダークブラウンに心まで簡単に射抜かれてしまえば、その瞳から逃げるようにふいと視線を逸らしながら小さな小さな声でぽそぽそと素直な気持ちを吐露して。当然のように嫌では無いしむしろ飛び上がるほど嬉しいのだけれど、一定の許容量以上の嬉しさというのは時に毒になりうるのでぎゅうと握った拳に力を込めては熱の篭った甘ったるい視線をちらりと1度だけ彼に向けて。どうしてそんなことを聞くんだろう、の謎は直ぐに解決。何故だかこちらと合わなくなってしまったからの視線と言葉にぱぁあ!と瞳を輝かせては勝手にゆるゆると緩んでしまう頬をそのままにちょこん、と彼の目の前にしゃがんで彼の膝に頬杖をついて。「 みきにはだーいすきなご主人様が居るから、ちゃんと全部断ったし連絡先も捨てちゃった。 」 声色からご機嫌だというのが直ぐに分かってしまうというくらいるんるんと嬉しそうな様子であっさりと当たり前のように自分は彼しか見えていないことを答えて。嫉妬してくれたのかな、かわいいなぁ、なんて言葉に出してはいないみきの心中も瞳にはぜんぶ書いてある訳だけれど、本人にはそれに気づかず機嫌良さそうにただ彼を見上げるだけで。 )
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