女子生徒 2024-04-30 23:32:52 |
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何だそれこえーよ。
…ま、他に被害者を増やす訳にもいかないから俺は食べるけど。何ならもう食べちゃってるし。
( どうやら彼女の手料理には何とも恐ろしい魔法がかかっているらしく、その効能とあからさまな照れ隠しにけらけらと笑えば薄らと目元に滲んだ涙を拭って。少しして笑いは落ち着けど口元には笑みを携えたまま、そんな恐ろしい手料理を食すのは自分だけで充分だと肩を竦めて。とはいえ実際に彼女の手料理は美味しいため、食べたならば彼女に対して好意を抱く男子が増えることは容易に想像できて。それで言えば案外魔法も嘘じゃないかもな、なんて思えば尚更被害は自分だけで食い止めねばと微笑んで。不満げなまま、聞こえなくていい所をわざわざ聞き返してくる彼女に「何もなーい。ほら寝ろ。」と、こちらを見つめてくる夕陽色を隠すように掛け布団をその顔までぽふ、と掛けて。 )
!……独り占め?
( ぱぁあ!と彼の言葉に嬉しそうに瞳を輝かせては自然と緩んでしまう頬はそのままに、決して彼的にはそのつもりで発言したのではないと理解はしていながらもからかい混じりに問いかけて。万が一、億が一彼にその気持ちが少しでも存在したのならばこうして愛情を込めるのはせんせーだけにだよなんて言えるけれど、きっとその時はまた呆れられてしまうんだろうなと楽しげに微笑み。ぽふ、と掛け布団が顔まで覆ってしまえばもぞもぞと身じろぎをして瞳だけ覗かせては「 んふふ。せんせーの匂い。ドキドキして寝れないかも。 」とこうして今自分を包んでいる全てから大好きな人の香りがしてふにゃふにゃと笑ってしまい。……こうして頭からお布団を被ってたら彼の香りに包まれて雷も遠くなる気がするから、今日はこうやって眠ろうかなぁなんて苦手な雷の克服方法をこっそりと作戦立てながら。 )
あー……、そうだな。
他の奴らには食わしてやんない。
( 分かりやすく輝いた瞳に少し考える素振りを見せては、ぱちりと視線を合わせては頷いて。揶揄うような彼女の発言にはお返しとばかりに独占欲をそのまま言葉にすれば悪戯っぽく口角を上げて。──いつかこの独占欲が本物になる日がくるのだろうか、なんて頭の片隅で薄らと考えてみて──。自分の布団からひょこっと顔を出す彼女、もとい生徒を見るのは何だか複雑な気がするのが本音だが。柔らかく笑う彼女に「嗅ぐなヘンタイ。」と笑いながら軽口を返していれば、漸く本日の雷を克服できそうなこのタイミングを見計らったかのようにカーテン越しに光る窓。あ、と声を出す暇もなくゴロゴロと雷鳴が唸れば、ドン、と一際大きい音が部屋全体を震わせて。「──っお、今のでかかったな…!近くに落ちたか…?」とさすがに驚いたのか目を丸くしながら未だ唸りの名残を小さく鳴らす窓の外へと視線を向けて。)
!!!!
ぅ、……く、食いしん坊だ……。
( たまには自分も彼のことを困らせてみたくて仕掛けた罠は何倍にもなって返ってくるもので、ぱち!と大きく開かれた瞳は彼のいたずらっぽい笑顔を見るなり恥ずかしそうに視線を彷徨わせては最終的に逸らされて。いくら冗談だとわかっていても好きな人から独占的な言葉が出てくるとときめいてしまうのは恋する乙女のしようがないところで、勿論当たり前のようにみきもそれは例外では無いのでしっかりと薄暗い室内でもわかるほどに頬は桃色に染まり。くすくすと楽しげに笑いあっていたのも束の間、ピカッと窓が昼間のように明るくなったかと思えばその瞬間にビリビリと鼓膜を揺さぶるような雷鳴?──もしかしたら近くに落ちたのかもしれない?──が轟き、「 っ、~! 」と声にならない悲鳴を上げながらみきがくるまっている布団は分かりやすく大きく跳ねて。これは無理、お布団だけでは耐えられない。そう確信するか否やご丁寧に布団からもそもそと抜け出しては小さく震える体でそのまま彼にぎゅっと抱きつき「 や、やっぱやだ。こわい。 」と涙をいっぱいに貯めた瞳で彼に助けを求めて。 )
お前の飯限定だけどな。
( 逸らされた視線に勝ちを確信してはしてやったり顔でにやり。たまに不意を突いてくるのにはやられてしまう事もあるが、こうして反撃が上手く決まればやはり少しだけ気分も良くなって。そもそもそこまで大食漢では無い…どころかどちらかと言えば少食寄りなので、食いしん坊だなんて人生で初めて言われた事に可笑しそうに笑みを零しながら。薄暗くなってきている事に今更気付いては、机の上に置いている室内灯のリモコンを取ってスイッチオン。部屋の中が明るくなれば色のついた彼女の頬は更に分かりやすく、改めてそれを目にすれば心の中に愛しさがほんのりと湧き上がり。雷が存在感を示す窓の外に注意を引かれていると、ごそごそと衣擦れの音が聞こえた後に突如抱きつかれて瞬間体は固まり。普段であれば溜息のひとつでも吐きながらゆっくりと引き剥がすところだが、今の彼女からはいつもの明るさは消えて純粋に怯えている様子。そんな相手を引き剥がすなんて酷なことはさすがに出来ず、「…大丈夫大丈夫、停電にもなってないし近いだけで大した事無いと思うぞたぶん。」と、その背中を優しくぽんぽんと叩いて。 )
っ、…も、もうおわり!
( ただでさえときめきで大変なことになっているのに更に続けられた彼の言葉に両手で顔を隠してしまえばあっさりと白旗を上げてしまい。明るくなってしまった室内ではきっと赤くなってしまっているのであろう自分の表情が彼にバレバレなので(そもそも暗くてもバレていたであろうことはさておき)、ちらりと悔しそうな瞳だけを覗かせてはまたピャッ!と顔を隠して完全ガードを。まだ耳に低く残る雷鳴の音は安心させるような優しい声色の彼の声に上書きされていき、飛び出してしまうのではないかと思うほどにドキドキと煩く鳴っている心臓はぽんぽんと叩かれる背中に合わせてだんだんと落ち着いていくようで。だがしかし停電になっていないとはいえやはり外から聞こえるゴロゴロという雷の唸り声に一度張りつめた緊張や恐怖の糸はなかなか元には戻らないようで、「 せんせ、……今日だけ。今日だけ一緒に寝て、? 」とぎゅっと彼に抱きついたまま未だ怯えたような声色で小さく問いかけて。だって布団はこうして背中を叩いてくれることもなければ大丈夫だと囁いてくれることもない。音や光からは多少守ってくれるかもしれないけれどその後のアフターフォローはなんにもないのだから。 )
…っ、……んー…、
( 彼女の様子を面白おかしく楽しんでいたもののその時間も長くは続かず、雷によって一気に恐怖に怯える彼女を今はどうやって宥めるかが最優先事項。不可抗力とはいえ生徒を家に入れたうえに泊める事になっただけでも自分の中では相当悩んだ結果なのだが、同じ布団で寝るというのはそれ以上のこと。どうしてもすぐに頷くことが出来ずにいたが、ここまで怯え切っている教え子を突き放せるほど冷たい人間にはなれないのは自分でも分かっていて。覚悟を決めたように小さい溜息をひとつ吐けば「──…ほんっとーに仕方なくだからな。」と、彼女の訴えに漸く腹を決めた様子で頷いて。…と言ってもとりあえず隣で横になって、彼女が眠りに落ちればそっと抜け出てソファに戻ろうという算段ではあるのだが。 )
!
……うん。ありがとう、だいすき。
( 彼が頷くだけでみきの瞳は誰が見ても安心したようにほっとした色を宿し、更にはふにゃふにゃと嬉しそうに花が綻ぶような笑顔を浮かべて。改めてぎゅう、と彼の胸に顔を埋めるようにして抱きしめては安心しきったふわふわした口調で今思っていることを隠すことなく伝えてそのままこてりと大人しくベッドに横になり。怖くなくなった!と胸を張って言えはしないけれど、彼の一言だけで先程まであんなに怖かったはずの雷はどこか遠くに行ってしまったかのような心地すらしてさっき自分の心を占めていた嫌なドキドキは心地の良いドキドキに早変わりして。「 ……ね、せんせ。他の人には仕方なくってしないでね。 」 ぽそり、と彼の腕の中で小さく小さく呟いた言葉は何とも自分勝手で自分と彼の関係では全くなんの拘束力もないただのお願いに過ぎないのだけれど、それでもどうしても自分以外の誰かに彼がこうしているのは嫌で。 )
はいはい、どーいたしまして。
( 自分の言葉ひとつ、行動ひとつで先程まで怯え切っていた彼女の表情がここまで柔らかくなるのであれば正直悪い気はしない。真っ直ぐ伝えられる感謝と安堵は何だか照れ臭く、誤魔化すように彼女を直視しないまま同じようにベッドに横になり。せめて背中を向けようという試みは彼女のハグによって阻まれてしまい、抵抗するのも早々に諦めては抱き着くその背中を再び優しくぽんぽんと叩いて。寄り添っているおかげで腕の中から聞こえた小さな呟きに一瞬きょとんと目を丸くすれば、「…こういう面倒はお前だけで手一杯だからな。」と溜息をひとつ。しかしその声色は優しさを含み、少し遠回しではあるがはっきりと彼女のお願いを受け入れるように答えて。 )
……えへへ。
それならいーや。みきだけにしてね。
( 彼のお家で、彼のお布団で、彼に包まれて眠っている。間違いなく現実なのだけれど夢のようなこの状況だけでもみきにとっては充分に幸せだったのだけれど、ため息を零しながらもその言葉の音色には間違いなく優しさの籠った彼の返事に満足そうに笑えばまた甘えるようにすり、と彼に体を寄せて。大きな雷も先程の1回だけであとはゴロゴロと唸るだけなのが幸いし、更には彼の体温や香りにまたうとうとと心地よい微睡みが襲ってきてとろんと瞳が蕩けるようにまぶたが重くなり。けれどこんなに幸せな状況なのだからもう少しだけ堪能していたいのか「 ん、……。 」とゴシゴシと目を擦って何とかその眠気になんとか抗おうと。 )
ばか。
生徒と一緒に寝るのなんか最初で最後だよ。
( 片肘を立てて手を枕にしながら甘えながら可愛らしい我儘を零す彼女に溜息を吐いて。そうして甘えてくる様子はやはり子供らしいとも思うのだが、抱き着いてくる彼女は確かに自分の服を着ているし布団だって自分のなのに、微かに鼻腔を擽る香りにくらくらと反応してしまいそうになるのは正直いただけない。背中に手を回してはいるが抱きしめている訳ではないのも少しばかりの抵抗の証で。あからさまに眠気と戦い始めた彼女に気付けば「…ほら、眠いんなら寝な。心配しなくても雷が鳴ってる間はここにいるから。」気を許してくれているとはいえ、やはり他人の家ということもあって緊張もあるしそもそも今日1日の疲れだってあるのだろう。くす、と笑みを零せば小さな子供をあやすように声を掛けて。 )
じゃあ、早く卒業しなくちゃ。
( 面倒ひとつは自分だけで十分、そして生徒とこうして共に寝るのは最初で最後だというのならば自分がさっさと卒業をしてしまえば次が来るということ。なんて上手に言葉の節々を自分の良いように解釈をしては少しだけ体を離して彼のダークブラウンと目線を合わせてにこにこと微笑んで。それから眠気と戦っていることが簡単に彼にバレてしまえば、またもそもそと彼の胸に顔を埋めるように抱きついて「 ずっとがいい、…。 」といやいやと首を振り。雷が鳴っている間だけじゃなくて、自分が眠ったあとも、それから起きるまでずっとこうしていたい。自分が眠ったらきっと彼は布団から出ていってしまうのだろうと乙女の勘は敏感に働き、それならば少しでも起きてこの時間を堪能したいのだと眠気に抗おうと頑張っているのだけれど子供あやすような彼の優しい声は水泳の授業の後の数学の授業みたいに蠱惑的に睡眠へと誘う魔法のようで。 )
──…そうだなぁ、
卒業したらまたこうするのも考えてやらなくもないかもな。
( 上手いこと揚げ足を取られれば目を丸くすること一拍、こちらを見つめてくる夕陽色から目を逸らさずに可笑しそうに口角を上げて。確かに自分が懸念しているのは相手が"生徒"だからであって、その枠を外れてしまえば何ら問題は無いことも事実。…とはいえ卒業した後に"元生徒"である彼女のことを1人の女性としてすぐに見られるかどうかはまた別の問題なのだが。顔を埋められたことで少しもごもごと籠ったように聞こえる声で小さく我儘を呟く彼女に溜息混じりの笑いが零れ。「はいはい。じゃあいるから安心して寝ろって。」普段はどちらかといえばお姉さん気質な一面を見せがちな彼女がここまで甘えるようになるとは、それほどまでに雷が嫌いなのかと少しだけ驚きもあって。出た言葉はとりあえずこの場を安心させる為のものだったのだが、彼女が寝た後にこちらもそのまま寝落ちしてしまって結局同じ布団で一夜を明かしてしまうことになるのはほんの少しだけ先の話。 )
…ふふ。んふふ。
うん。卒業したら。
( 真っ直ぐ絡み合った視線は逸らされずに優しくじんわりと心を溶かし、でもやっぱりそうして真っ直ぐからかわれてしまうと照れてしまうのでえへえへと照れ隠しに淡く染められた頬で微笑んで。誰かの目もない2人っきりだけの空間だとやっぱりちょっと彼は甘々な気がして、いつも彼に振り向いて欲しくて色んな手を使ってアピールしているのだけれどいざ甘やかされてしまうとすぐにいっぱいいっぱいになってしまうのはどうにかしなければならないなぁとちょっぴり悔しい気持ちはあるのだけれど。彼の言葉に安心したように笑顔を零せば改めてぎゅう。と抱きつけば「 ん。……おやすみ、せんせー。だいすき。 」とぽそぽそと囁くような甘ったるい声でおやすみの挨拶と、それからいつもの台詞を零して。それから数十秒もしないうちに無防備な寝顔を晒して静かな寝息が聞こえてきたものの、彼の胸元の服をきゅうと掴んだ手は眠りに落ちたあとも決して離されることはなく甘えたままで。 )
ん、おやすみ。
( 彼女の言葉に頷いただけなのにほんのりと染まる頬に、柔らかく笑うその仕草が照れ隠しだと分かれば釣られるように笑みを零し。自分でも今日はだいぶ彼女に甘いのは自覚しているのだが、少しだけ入った酒と自分の家という絶対に他者の介入の無い場所、さらに言えば外は台風で大荒れという状況では警戒心が緩んでしまうのも致し方無い事だろう(と、自分に言い聞かせているだけかもしれないが)。眠る前の挨拶を返してから少しして、規則的な寝息が聞こえてくればつい反射的にそちらに視線を向けて。普段から可愛らしいその顔は寝ていれば更にあどけなく、騒がしく準備室に走ってくるいつもの彼女とはまた違った顔を見ている気がして。その様子を微笑ましく見守っていれば、添い寝特有の温もりに加えて布団に寝転んでしまった社会人の弱さは遺憾無く発揮されることになり。段々と睡魔に襲われてしまえば微睡みに抵抗するも束の間、あっという間に意識を手放してしまい彼女がしっかり寝入ったのを確認してから布団から抜け出そうという自分の計画はあっさり破綻して。 )
─── ん、…。
!!!!
( とても幸せな夢を見た。ただただ自分と彼が2人で誰かのおうちで笑いあっている夢なのだけれど、自分を見る彼の瞳が愛おしい人を見つめるような其れでとても嬉しくて擽ったくて幸せだった。どんな話をしていたかなんては全く覚えてないけれど、ただ楽しくて幸せだったということはぼんやりと記憶の中に在って。─── 翌日。時刻で言えば6時。普段からの規則正しい生活や寝起きの良さが幸いしてパチリと瞳を開いては寝起き早々目の前に好きな人の寝顔があって思わずびく!と肩を跳ねさせて。だがしかし直ぐにそういえば昨晩彼の家に緊急避難させてもらったんだった…と思い出せば普段よりもどこか幼く見える可愛らしい寝顔をじっと見つめて。普段こんな風に見つめていたら文句を言われてしまうけれど、寝ている間なら見放題。そう、寝ている間なら。「 …せんせ、だいすき。 」規則正しい寝息を立てている彼を起こさないように小さな声でぽつりと呟けば、そのまま無防備に瞳を閉じている彼の唇─── ではなく頬に自身の柔らかな唇をちゅ、と押し付けて。唇はさすがにちょっと、自分も初めてだし寝込みを襲うようで申し訳なかったので。だがしかし、じわじわと自分の大胆な行動に羞恥心が沸いてくれば誤魔化すようにまた彼の胸元に顔を埋めて今の流れを噛み締めるようにぎゅっと瞳を閉じて。 )
───…、んぁ、……?
( 仕事のある平日は何とか起きられるが、休みという認識があれば別。どちらかと言えば少し低血圧気味で朝には弱く、起きてもインドア派の自分にはもはや布団は恋人のような存在で。…悲しいことに、昼過ぎまで寝るというロングスリーパーではいられなくなってきている所に少し歳を感じてしまうのが否めないのだが。しかし寝ていても顔に何かが触れた感触には意外と敏感なもので、重々しくぱち…と薄ら目を開けてはぼんやりとした眼で自分の胸元に顔を埋めたままの彼女を見て。動きを止めたまま回らない頭でしばらくぼーっと何かを考えていれば(実際は寝惚けていて何も考えられていないが)、徐に手を回し抱き枕のように彼女を抱き締めては再び目を瞑って。もしも自分が彼女のように寝起きが良いタイプであれば、顔を埋められていてもその当人はすでに起きている事が分かったのだろうが。 )
!?!?
( どうしよう、勝手にちゅうしちゃった。せんせー起きてないかな、バレてないかな。未だドキドキの収まらない心臓はそのままに自分でもびっくりするほど大胆に行動してしまった数十秒前のことを反芻しては照れるを繰り返していれば突然自身の体がぎゅ、と抱き締められてびくりと大きく瞳を見開いて。起きたのかと耳を澄ませてみるものの聞こえてくるのは彼の穏やかな寝息だけで、寝惚けてるのかな…と先程のドキドキとはまた種類の違うときめきとドキドキを胸に抱えながらそろそろと自分も彼の背に手を回して抱き締め返しては「 …朝ですよー。 」と本当はこのまま抱きしめ合って眠っていたいのだけれどワンチャン寝起きのぽやぽやが見られるのでは…!?という堂々とした下心から小さく彼に声をかけながらうりうりとおでこを胸元に押し付けて。 )
……んん…、あさ………?
( 抱き締める手には柔く力を込めたまま夢の世界へ──…旅立つ事は出来なかったようで。小さいとはいえ近くで聞こえる声に胸元のぐりぐりとされる感触、眠りを遮ってくるそれらに少し不満な様子で眉を顰めながら再びゆるゆると目を開けて。「んー……なんじ……、」先程よりは僅かに頭が回り始めたのか辿々しくはあるがぽつぽつと言葉を発しながら、時間を確認するために携帯を探そうとする動作は習慣なのでほぼ無意識に。片手で自分の頭ら辺やら彼女の背中側やらをごそごそと探し回りながらも、もう片手はしっかりと彼女を抱き締めたままで。 )
……かわいい。
( 下心満載の作戦はどうやら功を奏したようで、望み通りに辿たどしく言葉を零しながらもスマホを手探りする彼(しかも片方の手は未だに抱き締めてくれたまま)にみきの頬は思わずゆるゆると綻んでしまい思わず言葉をこぼして。でも恐らく昨日あのまま寝落ちてしまっただろうから彼の探し求めているものはこの周辺にはないのだろうけれど、眠たそうな顔でスマホを探す彼がかわゆくて愛おしくて彼が気が付くまでもうちょっと見ちゃおうと敢えてそこにはツッコまずに。現在の時刻を問いかける彼の言葉に自分が目を覚ましたということは大体朝6時前後なのだろう、と当たりをつけては彼の髪を整えるようににそっとよしよしと頭を撫でてたあとにまだ眠たそうな可愛いお顔に両手を添えては「 6時だよ、起きる時間じゃないの? 」とどこかお姉さんぶりながらもはちみつのように甘ったるい声色で現在の時刻を伝えて。まぁ今日はただの休日だし外もまだ雨や風も強いからもう一度寝てしまっても良いんだけど、と愛おしそうに優しい瞳で彼を見つめながら返事を待って。 )
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