せんせい、あのね。(〆)

せんせい、あのね。(〆)

女子生徒  2024-04-30 23:32:52 
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  • No.805 by 鳴海 司  2024-09-05 22:48:04 




相当強い台風だってテレビで散々言ってたからな…、
もう外は出ない方が……つーか出れないなこれ…。

( 完全に沈黙状態のスマホだが、充電器が無事合っていたようで安堵から頬を弛ませる彼女を確認すればとりあえずは一安心。復活さえすれば取り急ぎ彼女の親御さんに連絡を取ってもらって状況を説明して…と、頭の中で順序立てていけばじわじわと緊張するものがあるがこればかりは避けられない。しかし彼女の一言で現状に引き戻され言葉に釣られるように窓に目をやれば、外出なんて当たり前に許さないとばかりに雨風は更に酷くなる一方で。ふう、と溜息を吐けばこちらを見上げる視線に気付き、その夕陽色が怯えというよりはどこか申し訳なさげに見えて。普段であればきっと『せんせーのおうち!』と喜びを顕にしそうな展開だが、いざそういった状況に置かれると途端に不安そうな様子を見せる彼女が何だか愛しくて。「そんな顔すんなって。別に追い出したりしねーし、そもそもこんな嵐の中生徒を放っておくなんて先生として失格だろ。」と、ポンと軽く彼女の頭に手を置いて。 )


  • No.806 by 御影 みき  2024-09-05 23:58:32 



……ふぐ太郎たち、大丈夫かな…。


( 台風での停電はよくあること、もし水槽のフィルターが止まってしまったら。と考えると学校に残っている小さな友人たちのことが唯一の気がかりで。勿論こうして2人きりでひとつ屋根の下に想い人と共に居るのもとんでもない気がかりなのだけれど、それとこれとはまた種類の違う話。大きな音こそ鳴っていけれど、遠くで聴こえる雷の音にびく、とまた体を硬直させては静かに彼の方へと寄り添って不安げに窓の外を見つめて。ぽん、と頭の上に置かれた優しい手と彼の言葉にほっとわかりやすく安心したように表情を綻ばせれば「 …ごめんね、せんせー…。あの、家事とか…えっと、マッサージとか。何でもするから、何でも言ってね。 」と不可抗力とはいえ一晩お世話になる身、彼が望むことなら何でもしようとみきの生真面目な部分が見え隠れしては真剣な夕陽で彼をじっと見つめてはこくりと深く頷いて。 )



  • No.807 by 鳴海 司  2024-09-06 07:01:26 




確か学校は非常電源があったはずだから、
もし停電になってもたぶん大丈夫だと思うぞ。

( 真っ先に出る心配の言葉が準備室にいる小さな生き物たちに対してという彼女の優しさに薄く笑みが零れて。万が一の時に避難所として開放される学校にはそれなりの備えがあるからと彼女の不安を払拭できるような答えを。更に言えば彼らは元々野生の個体というのも強みで、数時間から1日くらいフィルターが止まってしまっても大した問題では無いだろう。遠くに聞こえる雷でさえ反射的に体が強張ってしまう彼女は、仮に家に帰れていたとしても今日は1人だって昼間言ってたはず…。と、そちらの意味でもこの状況は助けになっているんだなと擦り寄ってくる相手を見て眉を下げ。それにしても彼女のこういう変に律儀な部分は何なのだろう。余りにも真剣な瞳にぷっと吹き出してしまい、「ばーか。そういう変な気を遣わなくていいけど、とりあえず床じゃなくてこっち座りな。」いつまでも床に座り込んでいる彼女にぽんぽんとソファを軽く叩いて示せば、逆に自分は立ち上がって食べる物は何があったっけと確認のためキッチンへ。充電ケーブルは充分長いためソファに座ったままでも余裕で届くだろう。…しかし"何でもする"という台詞は少しばかり魅力的ではあるが、自分以外に使われるのを想像すると何だかもやりとしてしまう気がするがそれは内緒。 )


  • No.808 by 御影 みき  2024-09-06 15:19:47 




良かったぁ。台風通り過ぎたら元気か確認しに行かなくちゃ!…あと鍵もね!


( 彼の言葉にぱっと表情が和らげば安心したように息を吐き、台風が過ぎ去ったあと─── そもそも家の鍵を取りに行かなければならないので明日しかないのだけれど─── に小さな友人たちの様子を見に行こうと決意。カエルやメダカは雷が怖くないのかなぁ、なんて段々と近づいているようなゴロゴロ音にふといつも無機質な瞳をこちらに向けてはたまにひと鳴きする不思議な彼らのことを考えているうちにぽん、と叩かれたソファに瞳を向けてはそういえば確かに無意識に気を使っていたのかずっと床に座っていたことを思い出して。ぽす、とソファに座って改めて部屋を見回せば「 …えへへ。せんせーのお部屋だ。 」と漸くいつものようにへにゃりと笑顔を浮かべてぽそりと呟いて。だがしかしキッチンの方へ向かった彼の後を追うようにぺたぺたと自身もキッチンの方へと歩いてくれば「 お夕飯、みきが作ってもいい? 」とひと宿の恩に、ではないけれど折角ならば作りたいと強請るように彼の服をくい、と引っ張って。 )



  • No.809 by 鳴海 司  2024-09-06 19:39:48 




まあそれはそうだな。フィルターの確認とついでに餌もやって…──、
鍵……、たぶん台風が弱くなるのって早くても午後とかになりそうだけど大丈夫か?

( 鍵の事もあるだろうが、それよりも先に準備室にてこの嵐をいつも通りにやり過ごしている小さな生き物達の心配をするという、何とも彼女らしい優しさに薄く微笑み。明日学校へ赴いた際に確認しなければならないことを指折り数えていれば、そもそも台風が弱まらないと動けないんだよなと気付き。夕方にはならなくとも、間違いなく午前中は籠城継続中になるだろう。ソファへ移動する彼女を視線で追いかけながら、もしも午前中に帰らなければというのであれば何としてでも学校へ行く方法を、と思考を巡らせて。ほぼ入れ違いにキッチンへ向かえば、せっかく座ったというのに律儀に後を着いてきてはやはり気を遣っているのだろう一言を。引っ張られたことで反射的にそちらを見れば「え。……いやまあそれはむしろありがたいけど…、できるか?これ。」と、冷蔵庫を開けてその中を彼女に見せるように。台風に備えて買ったものといえばインスタントのものばかりで、冷蔵庫の中にはギリギリ期限内の卵やら元気控えめな野菜が申し訳程度に入っているのみ。米や調味料はあるが、むしろちゃんと使っているのか?というほどそちらは潤沢で。 )


  • No.810 by 御影 みき  2024-09-06 20:43:14 



うん、お父さんとお母さん帰ってくるの明後日だし…つばさ(弟)は来週にならなきゃ帰ってこないから午後でも平気!

( こく、と彼の言葉に頷いてはだがそれと同時に彼が拾ってくれなければ明日の午後までどうなっていたか分からなかったというもしもの世界を想像してはゾッと体温が下がり。こうして困った時に素直に手を伸ばせる相手がいる事とすくい上げてくれる相手がいるという事実に心から感謝と安堵をしては、彼にとって自分がそういう相手になれたらいいのになと恋する乙女の我儘がそれと同時にふんわりと芽を出して。しかし、午後まで籠城となればそれまでずっと彼と二人きりで居られるということ。どきどきとときめきと、それからそわそわと。そんな感情を抱えながらもやはり最後にあるのはこんな状況だけれど嬉しいという気持ちで。冷蔵庫の中身と米や調味料をちらりと確認してはふむ…と少し考え込むような仕草の後に「 うん、これだけあるなら3品くらい作れるよ! 」と満足気に頷いては三本の指を立てた手と一緒に自信ありげな笑顔を彼に向けて。その瞳はいつ彼に料理を披露する日が来ても良いように、と普段家で料理を作っているにプラスして最近始めた居酒屋バイトで店長から少しずつ料理を教わっていた甲斐があったと好きな人の胃袋を掴んじゃおう大作戦その2を決行する気満々で。 )




  • No.811 by 鳴海 司  2024-09-06 23:01:34 




そっか、じゃあ明日は様子見て学校に……、ってあぁそうだ。
スマホ復活したら親御さんに電話してくれるか?俺が直接話すから。

( 彼女の返答に頷けば、何より忘れてはいけないことを危うく伝え忘れそうだったと思い出して。非常事態とはいえ教師の、しかも男の家に外泊するとなっては、いくら旅行中で現状を知る機会が無いとはいえさすがに黙っているわけにはいかない。自分の口から直接経緯を話して彼女の両親に誠意を見せなければと、彼女がふわふわと嬉しさを感じていることなどつゆ知らずまるで結婚の挨拶にでも臨むかのように心の内で変な緊張感から拳を握り締めて。彼女が冷蔵庫の中身とにらめっこをしていたのはほんの僅かな時間で。自信に満ちた笑顔とその指が指し示す品数にぱちくりと目を丸くさせては「まじで?…え、これでそんなに作れんの?」と、申し訳程度の食材と自信満々な彼女を交互に見比べて。もちろんインスタントに頼らなくていい可能性があればそちらの方がありがたく、更に言えばスポ大の日に食べた弁当以来の彼女の手作りにわくわくとしてしまうのも事実で。 )


  • No.812 by 御影 みき  2024-09-07 00:42:40 



、…ふふ、はぁい。
みき、せんせーのそういうとこだいすき。


( ぱち、と驚いたように瞳を丸くした後にまたそれはゆるゆると愛おしそうに細められてはそれを快諾して更には素直に思ったことを吐露しながらぎゅっときつく握られた彼の拳を両手で優しく包んで。緊急事態だしそもそも自分が鍵を忘れたことが原因なのでわざわざ電話をしなければ両親にバレることもないし更には彼が直接電話をする必要は無いのに、彼はどこまでも〝良い大人、良い教師〟であり自分たち生徒のことを大切に思ってくれているというのが真っ直ぐに伝わってきてみきは彼のそんなところにまた恋に落ちてしまい。綺麗なダークブラウンの瞳をまん丸にして(とても可愛くてこの顔もみきは大好き)、此方と食材たちを交互に見つめる彼にくすくすと笑ってしまえば「 せんせーのお嫁さんになるために花嫁修業中ですから! 」と自慢げに胸を張って自身がこうして料理の腕を磨いている理由をさらり。お米や調味料が少なければ選択肢も狭まってしまっただろうけれどそこは幸い問題がなく、彼もたまに自炊とかするのかなと想像してはそれはそれでとても目の保養なのでいつか見れたらいいなぁなんて期待に胸を膨らませつつ。 )



  • No.813 by 鳴海 司  2024-09-07 08:10:01 




はいはいどーも。
大人として…っていうか、子供を預かる事になる身としてはそういう所ちゃんとしとかないと。親御さんに余計な心配かけるだろ。

( ふわりと包まれた拳はその温もりでじんわりと弛み、聞き馴染んだ台詞のおかげも相まって緊張はほろほろと解けていき。仮に自分も彼女と同い年ならば、バレる可能性の少ない無断外泊という状況はとてもワクワクするもので浮ついていただろう。大人に、ましてや教師になった今、教え子のことはもちろんその家族のことも考えるのは当たり前だと真っ直ぐ答えて。…しかしもしも電話越しに彼女の両親から少しでも不安そうなものを感じれば、彼女にはここに居てもらうにしても自分は近くのビジネスホテルなりで一晩を過ごす事もやぶさかではなく。ふふんと胸を張る彼女が可笑しくて笑みを零せば、「はは、それは頼もしいな。…んー、じゃあお言葉に甘えて、晩飯は御影シェフにお任せします。」ぺこりと頭を下げて彼女の厚意を受け入れて。インスタントや惣菜に飽き、尚且つ気分が乗らないと滅多に自炊しない人間としては、やはり温かい手料理はとてつもなく魅力的で。 )


  • No.814 by 御影 みき  2024-09-07 09:29:41 



………はやく、連絡しなくてもいいようになりたいなぁ。


( 子どもを預かる身、という言葉に少し、ほんの少しだけ瞳が翳っては彼に聞こえるか聞こえないか程度の小さな呟きをこぼして。きっと彼とおんなじように大人でだったらわざわざ親にこんな連絡をする必要はないんだろうなの彼の真っ直ぐで真摯な気持ちがどこか胸を貫くように痛くて。スマホを見ればもう画面は復活しておりこうして充電したままならば電話もできるだろうと、彼の視線から逃げるように手を離してはスマホを手に取り早速親に電話を。少しのコール音の後無事に出てくれた母に学校に鍵を忘れてしまったこと、学校の先生のお家に避難をしていることを順番に説明していけば「 せんせーが直接お話したいって言ってたから、変わるね。 」と彼に通話中の画面が表示されたスマホを手渡して。彼から晩ご飯のシェフに直々に任命されればにこ!と満面の笑顔を浮かべてそれを拝命し。いつもおうちでごはんを作る時はエプロンをつけているけれど、男の人のお家にエプロンって無さそうだな…と勝手なイメージを抱えつつも「 じゃあもう作っちゃうから、せんせーはソファで待っててね。…あ、それとね、せんせーのおうちエプロンある?せんせーの服汚れたら困るからもしあったら貸してほしいな。 」とそんなに油が飛び跳ねたりする料理をする予定では無いもののダメ元で聞いてみて。 )




  • No.815 by 鳴海 司  2024-09-07 12:41:48 




いやお前が卒業したとしても元生徒ってことには変わりないし、何かあれば俺はちゃんと親御さんには連絡するつもりだけど。

( 少し寂しげにも聞こえる呟きが小さく聞こえては、彼女がこの先大人になってもこういう時はご家族に連絡を入れるのが当たり前だろうと。…自然と出た台詞だが、それはつまり彼女が学校を卒業した後もこうして隣にいる未来を無意識に描いていることに本人はまだ気付いておらず。彼女が耳に当てている際に微かに聞こえる女性の声は担任でもない自分が聞く機会なんて今まで無かったわけで。再び変な緊張感が顔を出すも、自分が彼女親の立場なら非常事態とはいえやはり心配になるだろう。正直電話の向こうが父親でないことに少しだけ安心しつつ、差し出された電話を受け取って。「…あ、すみません。お電話代わりました鳴海と申します。みきさんからも説明があったと思うんですが──…、」出来るだけ分かりやすく繰り返しに近い経緯を説明しては、何よりも安心してもらおうと自分が別の場所に移動しての寝泊まりを考えている旨も伝えて。さっそく調理を始めようとする彼女に投げかけられた質問に「あー確かどっかにあr……いやごめん嘘無い。絶対無い。別に俺の服くらい汚れてもいいから気にすんな。」ふと思い出したエプロンの存在は元カノが置いていったもの。未練云々などでは決してなく、どうでも良いからこそすっかり忘れてそのままにしていたのだ。いくら自分が無頓着とはいえ、それを出されてはさすがに彼女もいい気がしないのは容易に想像がつく。首をぶんぶんと横に振りながら、言われた通りソファへと戻って。 )


  • No.816 by 御影 みき  2024-09-07 13:44:24 



『 あら!あらあらあら!貴方が鳴海先生!みきからいつもお話は伺っております~、みきの母です。もうごめんなさいね~、本当にご迷惑をおかけしますけれど、もし先生さえよろしければ今日一晩は一緒にいてあげてください。…ホラ、あの子雷が嫌いでしょう?私達も雷雨の中あの子をひとり留守番にさせるのが気がかりで…きっと鳴海先生と一緒なら大丈夫でしょうから。 』


( 電話口の母は実にからりと明るく、恐らく普段から家でみきから彼の話を聞いているのであろう彼の名前を聞いた途端にぱっと声色が華やぎ。彼の緊張とは裏腹に母は実にのんびりとマイペースで、むしろこの雨や雷の中1人で居させるより好きな人のところにいた方が安心だろうと言った口ぶり。母の向こうでは父親らしき声が『みきか!パパだぞ、大丈夫か?雷怖くないかー?』と騒いでいるのだけれども母親はそれを一切無視してほのぼの話を続けて。だが決してこの宿泊許可も何も考えていない訳ではなく、こんなにも正直に自分たちに全てを包み隠さず連絡をくれた彼への安心と信頼から来るもの。一方のみきは彼からの〝みきさん〟呼びや自然と卒業後も自分が彼と一緒にいる未来を思い描いてくれている彼に1人でどきどきと胸を高鳴らせておりそれどころではないのだけれど。なぜだか一瞬肯定しかけたのに直ぐにわざとらしい程に首をブンブンと横に振りながらエプロンが無いことを伝えてきた彼に不思議そうに首を傾げては「 ???それならいいんだけど…。 」と妙に腑に落ちないような声で答えながらもキッチンに向き直り早速食事の準備に取り掛かり。まずお米を2合ほど研いで炊飯器にセット、それから野菜を切ったり卵を茹でたりと手際よく花歌を歌いながら料理を進めていき。暫くすればふわりとカレーの香りが室内に漂い、小皿を持ったみきがぺたぺた彼の元へ歩み寄ってくれば「 せんせー、カレーの辛さどう?ちょっと辛めにしてみたの。 」とどうやら彼の分は辛さを変えてみたらしく味見をして欲しいのだと味見程度にカレーがよそってある小皿を差し出して。 )


  • No.817 by 鳴海 司  2024-09-07 21:49:27 




え、あ…まあその……お母様がそう仰ってくださるんでしたら…、えっと、じゃあ…お言葉に甘えさせて頂きます…。

( さすが御影母といったところで、娘同様にふんわりとした雰囲気はあるもののしっかりとした芯のある勢いも持ち合わせており。口ぶりからしてきっと彼女は家でその気持ちを隠す事なく話しているのだろうし、母親もそれをネガティブに受け止めているわけではないのだろう。後ろの方で聞こえる父親らしき声にどきりとするも、その内容は心から娘を心配するもので。…雷に対しては大丈夫だとしても、結果として男の家に泊まる事になっているのだがそちらの方は果たして大丈夫なのだろうかという気もするが。無事(?)許可を貰えたことに安堵して話をしている横で、別の事でどきどきと落ち着かない彼女には気付かないままで。少し…いやかなり怪しかったかもしれないが、彼女がキッチンに向き直るのを確認すればホッと一息。忘れていたとはいえまさか彼女相手に肝を冷やすことになるとは思わなかったようで、今度改めて部屋の掃除でもする時に要らないものは処分しようとひっそり決意して。──何となく手持ち無沙汰でテレビを付けて台風情報を流しているニュースをぼーっと見ていれば、鼻腔を擽るのはご飯の匂いとしては王道といってもいいカレーの香り。ふとキッチンの方へ視線を向ければちょうど彼女が味見を求めてきて。「ん…、美味っ!俺の好みの辛さだコレ。」一口食べればすぐに瞳が輝くほど好みの味に料理されたそれは、味見をした事で空腹を実感させてくるほど美味しくて。うちにカレー粉なんてあったっけ?という疑問は一瞬にして吹き飛んで。 )


  • No.818 by 御影 みき  2024-09-07 22:53:29 



『 それじゃあね、すみませんけれどお世話になります~。…あ。それとね、あの子寝惚けるとお布団に潜り込んできますけれど一線超えなければ母親としては構いませんから~。うふふ、では失礼します。 』


( ころころとみきとよく似た鈴が転がるような笑い声は最後に爆弾を落としてそのまま通話は一方的に終了。どうやらこの短い通話とみきから普段聞いている話からすっかり彼への信頼度は高くなったようで、普段弟の布団に潜り込んでいるみきのことはそのまま放っておいても構わないとの発言は本心からだろう。母親としてはこんなに真摯な人を好きになるなんてウチの子は見る目があるわ、と言った気持ちなので。みきは電話が終わったらしい様子に「 ?お母さんなんて? 」と恐らく悪い返事は貰っていないのだろうとは分かっているので実にマイペースな無垢な瞳で問いかけて。どうやら慣れない辛味のある味付けは成功したようで、瞳を輝かせた彼の様子に良かった!と笑顔を浮かべては「 じゃあ今日のメインはカレーね。あと15分くらいで出来るからもうちょっと待ってて? 」と本日のメインが無事に決定。またパタパタとキッチンに戻っていけば、先程同様に花歌を歌いながら料理を再開。冷蔵庫にあったしょんぼりしたキャベツ等の野菜も混ぜたポテトサラダと、それからお酒もあったからお酒のアテになるようにゆで卵にねぎ塩だれをかけたものを作っていけば本日の夕食は完成。「 せんせー、ごはんできたよ。 」とキッチンから声をかけてはなんか今の新婚さんみたい……!とみきの心はそわそわ騒いで。 )



  • No.819 by 鳴海 司  2024-09-07 23:53:46 




………え゛ッ!?
いやあの、ちょ…お母さ──!

( 最後に聞こえた物騒な台詞に思考は固まりしばしのローディングタイム。やっと声を出せたと思ったところでどうやら電話の相手は満足したのかあっさりと通話は終了されて。静かになった電話をゆっくりとした動作で彼女に差し出しながら「…あー……まあ、許可は貰えたから……。」と、"一線を超えなければ"なんて爆弾発言を言われたとはさすがに伝えられないためそれ以上は口を閉ざし。…といっても、そもそもベッドは元から彼女に譲るつもりだったし自分はソファで寝るようにしようと思っていたので、間違っても同じ布団に入る心配は無いはずだと自分の中で何度も頷いて。この1品だけでも充分なのに、笑顔で再びキッチンへと戻っていく彼女に再び目を丸くして。これだけでいいぞと言う暇も無いほどに手際良く調理を終えたようで、完成の声を掛けられれば自分もキッチンへ向かい。「何か…逆に悪いな、こんなに作ってくれて。皿とか出すよ。」と、美味しそうに並ぶ料理を見て感心と少しの申し訳なさが湧き上がりつつも、不揃いの取り皿やスプーン、あとは彼女用に割り箸を。出来上がった料理もリビングの方へと持っていけばローテーブルの上に諸々置いて。 )


  • No.820 by 御影 みき  2024-09-08 06:41:40 



???
そっか…。

( 許可は貰えた、との妙に歯切れの悪い彼の言葉や表情に不思議そうにこてりと首を傾げてはそのまま素直にスマホを受け取り。なんだか最後びっくりしていたような気もするけれど、お母さん何を話してたんだろうなと気になる話の内容はきっと彼も知らせてくれないだろうから明後日母に聞くとして。自身の声に連れられてキッチンに現れた彼の好意を「ほんと?今ちょうどお皿何使っていいか聞きたかったの。ありがとう。」とふわふわ嬉しそうに受け取れば2人で分担して料理をローテーブルへ運んでいき無事に調理終了。「 本日のご飯はカレーとお野菜のポテトサラダとゆで卵のネギ塩和えでーす。 」と1つずつ指さしながら説明していけば、ふと思い出したように冷蔵庫にパタパタ向かいそのまま中からお酒を取り出しては「 これに合うかなって作ったんだけど… 」と居酒屋バイト経験中らしき気遣いを発揮しつつ首を傾げて。 )



  • No.821 by 鳴海 司  2024-09-08 09:46:03 




何かこんなん言うのも変だけどさ、
うちこんなに食材あったんだな…。

( 会話の内容について深く追求されなくて一安心はしたが、さすがに来る明後日の彼女と母親の会話内容までは予想できないため知らないままなのがある意味救いになるだろう。自分の部屋に手料理がこうして並ぶのを見るのはいつぶりかもう忘れたが、やはり温かい料理というのは良いものだなとすでに目と鼻で感じており。それにしても冷蔵庫の中はお世辞にも潤沢とは言えないはずだったのだが、ここまで様々な食材が使われているのを見れば変に感心してしまい。配膳を終えた後に再び冷蔵庫に向かう背中に疑問符を浮かべていれば、戻ってきた彼女の手にはキンキンに冷えた缶ビール。休みだし台風で家出れないし…と前もって買っておいたのだが、こんな状況では飲めないなとそのままにしていたもの。バイトで培われた絶妙な気遣いと、おつまみとしても優秀なラインナップの誘惑は強く「……はー…居酒屋とかならまだしも、生徒とマンツーマンなのに飲むのはなぁ……、──せっかくだし貰うけど。わざわざありがとな。」と一応建前を口にはしたもののその決意はあっさりと揺らいだようで、にっと悪戯っぽい笑いを零せばその気遣いを甘んじて受け入れて。 )


  • No.822 by 御影 みき  2024-09-08 10:54:05 



……えへ。
実はね、今日おうちで1人だから帰り道にあるスーパーで晩御飯のお買い物も済ませてたの。だからせんせーのおうちの食材だけじゃなかったんだぁ。

( 彼の言葉に悪戯っぽく笑えば、決して彼の家の食材だけで完成できた夕飯では無いことをこそこそカミングアウトして。無論、全て買い物した食材を使った訳ではなく彼の家にあったもうすぐ食べられなくなりそうなしょんぼりお野菜たちを先に使わせていただいたのだけれど、少女漫画でよくある冷蔵庫の中のもの達でサッと夕飯を作る!という展開をやるには少々冷蔵庫の中が心許なかった為持ち込み食材を使った次第で。本当はバレずに遂行するつもりだったのだけれど、格好つかないなぁと眉を下げて笑ってしまえば缶ビールとグラスを片手にローテーブルの側へと戻ってきて。「 いーえ。せんせーのおうちだもん、お仕事終わったあとは好きなもの飲んで? 」と彼にグラスを手渡してはみきついであげる!と彼に気を遣うというよりはにこにこ楽しそうに新婚さん気分を堪能しており、頭から台風のことがすっかり抜けているため外ではじりじりと雷が近付いていることにも気が付かずに。 )




  • No.823 by 鳴海 司  2024-09-08 11:35:52 




あー、なるほどな。
……ってじゃあそれ元々お前の家の物じゃん。

( 正直彼女の言葉には簡単に納得してしまうほど、自分の家の冷蔵庫にはそれほどの信頼が無かったわけで。なるほどそれならこのラインナップも頷けるといったところで、それはつまり彼女のお金で買った本来は御影家に行くはずだった食材たち。ぱちりと目を見開いては、食べた後にでも代金を支払おうと。自分1人ならばわざわざ缶ビールをグラスに注ぎ直して飲むことはしないので、彼女の心の内などもちろん知る由なく少し戸惑いながらも受け取って。「バイトのおかげか何か小慣れてんなー。じゃ、お願いしまーす。」と、甲斐甲斐しい奥さんのような振る舞いの彼女に優しく微笑みかけてはありがたく注いでもらおうと。 )


  • No.824 by 御影 みき  2024-09-08 12:33:24 



でもほら、みきも食べるし!
……それに、ご飯って一人で食べるよりも誰かと食べた方が美味しく感じるから!

( 実にマイペースにからからと明るく笑えば、結局は自分の胃の中にも入るので対して変わらないことだと彼の丸い瞳を見てゆっくりと首を横に振って。しかも味見とはいえ好きな人が自分の手料理で瞳を輝かしてくれたところを見れたのだから、プラマイゼロどころかみきにとってはむしろプラスらしくその表情は実に嬉しそうで。カシュッ、と小気味よい音を立ててプルタブを開ければそのまま丁寧に丁寧にグラスの中へとビールを注いでいき。いくら居酒屋でバイトをしているとはいえ、客に対して直接お酒を注ぐということはしたことがないし父親を除けば初めて男の人にお酌をしているということも含めちょっぴり緊張もあったりなかったり。「 ん!完璧! 」と泡とビールの比率に自画自賛をしてはこれで食事の準備は完璧。やっぱり好きな人に自分の手料理を食べてもらう瞬間というのは2回目だとしても、味見がもう済んでいたとしても緊張してしまうもので、少しだけそわそわした気持ちを抱えながら彼の隣にちょこんと座り直しては両手を合わせて「 いただきます、召し上がれ! 」とにこにこ微笑んで。 )




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