女子生徒 2024-04-30 23:32:52 |
通報 |
ちゃんと覚えてるよーう。
でもせんせーのお説教は嫌じゃないからいーの。
( えへ、と悪戯っぽく笑えば寧ろ彼ならば大歓迎だと言いたげに未だされたことはない彼からのお説教は構わないと。お説教という名目ならばいつものように適当な理由付けずともこの準備室に来る理由にも居座る理由にもなるのでそれはそれで良いらしく。さらに言ってしまえばちょっぴり怒るのが下手くそな彼も可愛くて好きなので。へらりと笑う彼からの感想に満足そうににこ!と笑えば「 じゃあ明日は優等生ヘアで学校来ようっと! 」とちょうど明日は生物の授業もあるのでこれ幸いと頭が良さそうな優等生おさげで来ることを決意したものの、彼の動きを目線で追えば何か飲むのかな。コーヒーじゃないの珍しいな、なんてこてりと首を傾げながらその背中を見つめて。 )
俺の立場的には複雑だなその台詞…。
説教ってのはする側も案外疲れるんだからなー。
( 好意を向けている相手からのお説教だから、という意味なのは充分に理解しているうえでその台詞の上辺だけを掬い取れば乾いた笑いを零して。しかし自分の説教(と言ってもまだした事ない)をまったく意に介さない彼女にはいかに自分がそれを苦手としているかが既にバレてしまっているので、腰に手を当てそれっぽく続けた言葉に何の重みもない事はきっと彼女なら気付いてしまうのだろう。「髪型じゃ成績は上がらないけどな…───ん、ご褒美part2。」決してそういう意図ではないであろう彼女の明日の計画に手厳しいツッコミを入れては、冷凍庫から取り出したのはシェアするタイプのアイスクリーム。パキッと半分に割ればにっと笑って片方を彼女に差し出して。 )
んへへ。
ごめんなさぁい。
( 教職員の中では〝怒るのが趣味なのではないか?〟と思ってしまうような人もいる中、そもそも怒りという感情を表に出すこと自体そこまで得意ではなさそうな彼の様子に思わずくすくすといたずらっぽく笑ってしまえば、腰に手を当てて怒っていますのポーズをする彼すらも可愛らしく見えてしまう。でも可愛い、なんて言ってしまったらまたきっと呆れられてしまうからそれは我慢。彼が冷凍庫から取りだしたのは、パキリと半分こにして2人で分け合うタイプのアイス。みきはぱち!と大きな瞳をさらに丸く大きくしては「 アイス…!わ、わ、いいの!? 」と冷凍庫から取り出したばかりのひんやりと冷たいアイスを受け取り。学校帰りにアイスを買い食いをすることはあれど校内でアイスを食べることなんて初めてで、ちょっぴりの背徳感とご褒美をわざわざこうして用意をしてくれる彼へのときめきでみきの瞳はきらきらと輝いて。 )
どうせ昼はお前もここで食べると思ってたからデザート代わりにな。
でも御影がこんな既製品のアイスよりも遥かに美味いデザート用意してくれてたし、実際そっちのが美味かったし。
だから後でこっそり1人で食おうと思ったんだけど、腹壊したくないからやっぱり手伝ってもらおうと思ってな。
( まったく反省の色の無い謝罪に加えて悪戯に笑う彼女に毒気を抜かれたようにやれやれと大きい溜息を吐いて。大きく開かれた夕陽色の瞳は普段より割り増しに輝いて見え、ここまで分かりやすく喜んでくれる彼女を微笑ましく思い。つらつらと並べ立てられた言葉は最後を除いて本音ばかり。…いや、渡すのを諦めて1人で片そうと思っていたのも本当だが、保健室での彼女の寂しげな様子につい我慢できず声を掛けた次第で。物で釣るというわけではないが、甘い物が好きな彼女がこれで少しでも元気になればとあの時は咄嗟に誘いの言葉が漏れていたというのが正解だろう。もっとも既に元気になっている様子の彼女には元気を出してというよりただ渡した方が変な気を遣わせなくて済みそうだと判断したうえでの"ご褒美"というわけで。「他の奴らには内緒な。」といつものにやりとした笑みを浮かべ。 )
デザートで用意してくれてたの…!?
優しい、だいすき。
( 今日のお弁当はそもそも彼がスポーツ大会を頑張るご褒美という名目で、だがしかしその半分は〝せんせーの胃袋掴んじゃおう大作戦〟だったのでほぼほぼ自分がやりたくてやった事なのにそんな事にまで気を使ってくれた彼の優しさと余りにあっさりと述べられて一瞬スルーしそうになってしまったけれどみきの耳はちゃんとみきのデザートが既製品よりも美味しかっただなんて何よりの褒め言葉は拾っており、にへらと嬉しそうに表情を綻ばせ。にやりと小さな子供のようにどこか幼い悪戯っぽい笑顔はみきが大好きな彼の仕草のひとつで、彼の秘密の共犯者になるべく元気にこく、と頷けばアイスを持っていない方の手で自身の唇の前に人差し指を立てて「 ん!2人だけの内緒ね! 」と〝2人だけ〟という恋する乙女にとってはなんとも甘美な響きの単語を付け足せば同じようにいたずらっぽく笑って。 )
俺だけ弁当作ってもらうってわけにはいかないだろ、
……って偉そうなこと言っても結局コンビニのアイスだけど。
( こちらからもお返しにと手作りの物が渡せるほどのスキルは残念ながら持ち合わせておらず、どこか自嘲気味に肩を竦めて。しかし想像以上に喜んでもらえたようで、柔らかく綻ぶ彼女の顔を見ているとこちらも釣られてふわりとした笑顔になり。彼女の手作りデザートには遠く及ばないが、自分が下手に作るよりは安心安全な既製品の方がいいだろう。内緒の誓いをしっかり交わした彼女と向かい合うように自らの椅子に座り、キンキンに冷えたアイスをぱくりと咥えれば一気にその冷たさが口内に広がって。 )
でもせんせーもみきの為にこのアイス買ってくれたんでしょ?
その気持ちがとっても嬉しい、ありがと。
( 自分が彼の喜ぶ姿を想像しながらお弁当を作ったように彼も自分のことを考えながらこのアイスを買おうとしてくれたのかな、なんて考えてしまえばぽわぽわと心がじんわりと満たされていくようでふにゃりと表情を緩めて素直にお礼を。いただきまーす!と早速一口アイスを頬張っては、ひんやりと体の中から体温が下がっていくのを感じつつ程よい甘さと爽快さが口の中に広がり。「 ひんやりおいしい…生き返る…! 」と、好きな人とアイスを半分こして食べるだなんてアオハルを実感しながらこの猛暑の中で一筋の光になりうる冷たいアイスを思う存分堪能して。 )
…ふ、お前ってほんと欲があるのか無いのか分かんねーよなぁ。
こんなのでいいならいくらでも。
( ご褒美と称して強請ってくるものはこちらがヒヤヒヤせざるを得ないようなものが多い気がするのだが、かと思えばこうしてコンビニのアイスひとつでここまで感謝の意を述べてくれる彼女を優しげに見つめながら薄く笑って。放課後ともなれば体の火照りは取れているものの、やはり夏の暑さは後を引いていて。夕方になっても勢力を弱める事なく鳴いている蝉の声を聞きながらアイスを頬張るこの時間はとても夏らしい。「悪いな、これだけのために寄ってもらって。打ち上げだってあるんだろ?」今日みたいな日は各々のクラスでお疲れ様会を開くのが定番だろうし、彼女が呼ばれない訳がない。自分の都合で時間を割いてもらったことに改めて申し訳なさが湧き上がってきて。 )
好きな人が自分の為にしてくれることは全部うれしいもん。
……せんせーがみきに笑ってくれるだけでも、みきにはご褒美。
( 好きな人の一挙手一投足を見ているだけで1時間程度なら簡単に時間をつぶせてしまう恋する乙女にとって、事の大小に関わらず自分に何かしてくれるものは全部ご褒美になってしまうもの。みきはちょっぴり恥ずかしそうに頬を染めながらへにゃりとはにかめば、顔の火照りを誤魔化すようにまた1口アイスを齧り。まぁでもそれはそれとして、苦手な勉強を頑張ったご褒美には特大なご褒美を欲してしまうような欲深さはちゃんともちあわせているのだけれど。彼の言葉にきょとん、と瞳を真ん丸にすればその後にすぐパッと笑顔を浮かべて「 んーん。今日は足痛いから打ち上げ参加せずに帰ろうと思ってたからちょうど良かった! 」と優しい嘘をさらり。足が痛いのは事実だし、打ち上げは屹度今日でなくても文化祭後などにも開催されるだろうから必ずしも今日参加しなければならない訳では無いので。だから大丈夫!と言いたげに優しい夕陽色を彼に向けてはこくんと一度頷いて。 )
じゃあ今度からテスト頑張ったご褒美は先生の特別スマイルで充分だな。
( 彼女が恥ずかしそうに語る台詞は聞いているだけでこちらも何だか気恥ずかしくなってくるようなものだが、大したことをしていなくてもここまで喜びを露わにしてくれることは純粋に嬉しくもあり。反論されるのを分かっているうえで、敢えてにっこりと"ご褒美"候補の満面の笑顔を見せて。気を遣った彼女の優しい一言を真っ直ぐ受け取れば「そっか。…じゃあこれがプチ打ち上げってことで。」に、と口角上げて自分の持っているアイスを乾杯を模したように持ち上げて。昼間の燦々とした太陽が西陽に変わってくればまた暑さの種類も変わり、扇風機の風とアイスの冷たさで充分とまではいかなくても汗ばむことは無いほどの涼が取れる。運動後の疲れにそよそよと吹く風は心地良く、ぼんやりと窓の外を眺めながら欠伸をひとつ。 )
う゛、……い、イジワル言うの禁止!
( 当たり前のように彼の笑顔も大好きなので、決してそれも嫌という訳では無いけれど、やっぱり目の前の彼のにっこりとした笑顔は意地悪を言う時専用のような気がして。みきはぎくりと体を固まらせればなんと言おうか迷って迷った結果ムキャ!と拗ねたように抗議をする形に収まり。だって決して嫌ではないから、嘘でもそれを嫌だと言うのはちょっぴり心が痛む気がして。みきはまるで乾杯するようにアイスを持ち上げた彼にあは、と笑ってしまえば自分もおんなじようにアイスを持ち上げて「 プチ打ち上げかんぱぁい! 」とにこにこ乾杯の音頭を執り。もうすっかりアイスも食べ終わる頃、ふと隣の彼を見れば窓の外を見ながら眠たそうに欠伸をしている瞬間をバッチリと目撃してしまい、それに釣られてくぁ…と小さく欠伸をしながらもこれは膝枕チャンス……!?と瞳をキラキラ輝かせてはぺちぺちと短パンから除く生足の太ももあたりを叩きながら「 みきの膝空いてる! 」とおいでおいで!と言わんばかりにアピールを。 )
笑うだけでご褒美だって言ったのお前なのに?
( 先程彼女が口にした事を実践しただけなのにそれをイジワルだと言われれば、満面の笑顔は少し崩れて堪えるような、しかし堪え切れていない笑いがくすくすと漏れて。とはいえ余りにも無欲だとそれはそれでこちらにも張り合いが無くなるので、可愛らしい我儘くらいは叶えてやってもいいだろう。欲がどうとかは別として、"先生の笑顔ですらご褒美"という彼女の台詞は純粋に嬉しいしそれが本音である事も分かってはいるので。アイスを食べ終わる頃には喧しかった蝉の声も少し落ち着いてきたようで、じわりじわりと1日の終わりが迫るのを感じていれば突然掛けられた声に微睡んでいた目はパチクリと開き。「………さすがに無理だから、それ。」キラキラと無垢に輝く瞳と仕草が、彼女が何を差し出しているかを鮮明に語っているようで。しばし思考がフリーズしたものの、ここはハッキリNOの答えを。 )
…ま、強請るのが物じゃないってのが御影らしいよなぁ。
( 真っ赤に染まった顔がそっぽを向いたところで可愛らしい事に変わりなく。今まで彼女に強請られたもので難易度が高かったのはハグのみ。もちろんそれ以上を求められても(今はまだ)与えてやる事はできないが、そこが彼女の中で高望みできるラインなのかもしれない。同世代と普通の恋愛をすれば彼女もここまで色々と我慢する必要は無いだろうに、それを分かっててもなお自分への好意を向け続けてくれるその姿勢にはもはや脱帽だしいつか報いてやりたいという思いを抱きつつ拗ねた横顔を優しく見つめて。眠気と戦っている自分を誘う膝枕が魅力的なものであることは認めるが、そこに"生徒"やら"生足"やらが付与されることで道のりが一気に荊になるのだ。それを理解しているのかいないのか不満げな彼女に「気遣いはありがたいけど絵面がやばいからな。誰かに見られでもしたら終わるぞ俺。」と苦笑して。そもそもお互いが腰掛けている椅子しかない状態で無理に膝枕の姿勢を取るとなれば、教師生命と共にこちらの腰も終わってしまいそうなので。 )
……みきがせんせーから欲しい物は1個だけだもん。
( むす、と頬を膨らませたままちらりと一度だけ彼の方を向いた後にまたそっぽを向いてぽそりと呟くように答えた言葉は、自分から強請るものでは無いものだとわかっているしそもそも自分たちの間では〝まだ〟必要のないもの。自分の指にも彼の指にもまだ嵌っていない其れは、いつか揃いのものが着けられたらいいななんて希望的観測でしかないので欲しい物が何かなんて言う必要はなくて。だから今は今の環境で許されるまでのライン(ちょっとはみ出しちゃっている気もするけど)のものしか強請らないようにしているようで。絵面、と時たま彼が言うお決まりの台詞にまたそれだと言いたげに不満気な視線を送るものの、みきの頭の中での絵面は全くやばいものではないのでイマイチその彼の言葉は同意できるものではなく。ムムム…と頑なな彼(どちらかと言うのは頑ななのはみきなのだが)はどうしたら打破できるだろうかと考えた結果、座っている椅子ごと肩がくっつくほどに彼に近付いては「 じゃあ肩は? 」とこれならどうだと言わんばかりに首を傾げて。電車とかで良くウトウトしてて肩に頭をこてん、ってしちゃう人いるし!と見本を見せるようにそのまま彼の肩にこてりと頭を寄せて。 )
………?
アイスはやったし、ケーキ…も前にやったよな。
…なんだ、何が欲しいんだ?つーか強請るにしても、俺に用意できるものにしてくれよせめて。
( 呟かれた言葉をそのまま拾っては、甘い物が好きな彼女が喜ぶ物…と見当違いをぶつぶつ呟きながら考えるも結論には辿り着けず。もちろん彼女の心の内にも気付くことなく、頬を膨らませたままそっぽを向き続ける彼女をじとりと見。そもそも生徒のおねだりに対してここまで律儀に応える事もないのだが、ちょっとしたお菓子等であれば他の生徒にも与えたりしたことはあるわけで。とは言ってもやはり彼女に対しては無自覚に、他の生徒以上に甘くなっている気がしなくもないのだが。不満顔をするだけで終わるわけがなく、彼女なりの妥協案を提案と共にさっそく行動に移されて。突如として近付いてきたうえにぴとりと肩を寄せられればこちらの肩はびくりと跳ね、解かれたままの黒髪をさらりと流しながら自分の肩に彼女の頭が乗れば「っ、…じゃあも何もねーしもう目も覚めた。」と、払い除けるのはさすがに憚られたがどうにも出来ず、ただ彼女と反対方向に顔を逸らすのみで。 )
んー、……あ。
〝卒業したらわかる〟だよ!だから今はないしょ。
( どうやら食べ物のことだと思っているらしい彼を横目で見つつもしかして食いしん坊だと思われている…?と困ったように笑っては、こてりと彼の方に顔を向けては彼の十八番である言葉を引用しながらシィ、と唇の前に人差し指を立てて内緒のポーズ。だがしかしこうして彼から貰ったものを思い出してみれば他の生徒よりも余程色んなものを貰って…もとい餌付けをされていることを実感してはどことなく特別感を感じて段々と先程まで拗ねていた心はぽかぽかとじんわり暖かくなるような気がして。てっきりそのまま頭を退かせられると思いきや案外彼は言葉とは裏腹に無理やり退かそうとはせずに顔を逸らすだけ。みきはぱち…と驚いたように瞳を丸くしては「 じゃあみき眠たいから肩借りちゃおーっと。 」と機嫌良さそうにニコニコと笑ってはそのまま瞳を閉じて。 )
!……はは、
俺の給料で買える物ならいいけど。
( 自分が良く使う逃げ台詞をまるっと引用されては可笑しそうに笑い、彼女が何を想像しているかは分からずともまあ卒業祝いであれば形として残る物を送ってやってもいいだろうと見当違い其の二(但し無意識にニアピン)。こうして足繁く自分の元へ通う彼女をつい特別扱いしてしまうのは良くないことだと分かってはいても、やはり可愛いものは可愛いので仕方がない。この近距離をどうしたものかと悩んでいれば、まったく眠くなさそうな声色で入眠すると言い始めた彼女にぎくり。「え゛……、いやいやこのまま寝られたら俺動けなくなるんだけど…。」いつもならぐいと押し返すところだが、その手が困ったように宙を彷徨うのはやはり今日の彼女が怪我人だからというのが大きいのかもしれない。 )
んふふ。
なーいしょ。
( 買えると言えば買えてしまうけれど、ニアピンながらやはり正解にはたどり着かない彼にくすくすと笑ってしまえば卒業後のお楽しみがまたひとつ増えて。果たして卒業式の後に彼をそれを強請ったら彼は一体どんな表情をするのだろうと想像するだけでも楽しくて、彼のダークブラウンと目線を絡めてはにひひ。といたずらっ子のように笑って。どうやら本日の彼は言葉だけで退かす手は出ないようで、いつもなら遠慮無くぐいとひっぺがす手は困ったように宙をさまよっているのをちらりと瞳を開けて見てみれば思わず頬を緩めながら「 すやすや! 」と眠っている擬音(?)をわざわざ声に出しては寝ていますよアピールを。本日職員会議が無いのは知っているし、なにか臨時で集まりがあるのならばきっとその時間には無理やりにでも起こすだろうと他責本貫で。とは言いつつも、そこまで彼の方へ体重をかけない変な気の使い方を発揮しており眠っていないことは明らかなのだけれど。 )
いや狸寝入りにしても雑すぎるだろ…。
( 下ろされた髪のおかげでいつもより少し大人びて見えていた彼女だが、悪戯っ子のような幼なげな笑顔はその雰囲気とのギャップがあるためか不覚にもどきりと少しだけ胸が跳ねて。しかし彼女の無意識なその振る舞いに振り回されている自分にそこまで悪い気もしていないのが本音なのだが。小さい子の寝たふりの方がよほど上手いと、彼女の雑なアピールに呆れたように笑い。もちろん彼女が本気で寝ようとしていないことは理解しているうえで、「……別にちゃんともたれ掛かってもいいけど。」と彼女の変な気遣いに対してぽつりと呟き。そのまま小さく溜息を吐けば置き所の無かった手は自分のマグカップへ向かい、飲みかけだったコーヒーを再び啜り。 )
……ふふ。せんせーだいすき。
( どうやら本日の彼は甘々なようで、先程までは彼の方が重くないようにと気を使っていたのを指摘されてしまえばふにゃりと柔らかくはにかんだ後に少しだけ彼の方へともたれかかって。暫くそうしていれば、珈琲のほんのりとした香りと隣にいる彼の香りに包まれて本当にうとうとと船を漕ぎ始めてしまい終いにはそのままこてりと彼に寄りかかって本当に夢の中へ。すうすうと小さな寝息を立てながらも、不意に彼の腕にぎゅっと抱きつけばいつも眠る時にぬいぐるみを抱いている癖でそのまま彼の腕を抱きしめたまま快適そうに眠って。何か良い夢を見ているのから時たま「 …えへへ、 」と小さな笑い声と共に抱きつく力をきゅ、と強めてはまた夢の世界に潜ったりと、彼の様子は我関せずにすやすやと眠っており。 )
トピック検索 |