女子生徒 2024-04-30 23:32:52 |
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、……やだ。
( 突然投げかけられた彼の質問にキョトン。と瞳をまんまるにし、にさも当然のように上記をきっぱりと述べては柔らかな頬を膨らませて。果たしてこの感情論でしかない返答が彼の求めていた答えかは分からないけれど、それでも先に感情が先に前に出てしまうほどには本当に嫌なので。最も、先程の第2試合のときの分かりやすく嫉妬してしまった姿を見られているのでそんなことは彼も承知の上のはずだと思うのでそのあとにむす…と唇を尖らせて「 せんせーのこと好きなのはみきだけでいいって言ったでしょ。…それに、他の子達のだれよりもみきがいちばんせんせーのこと好きだもん。 」と知ってるくせに!と言いたげな抗議的な夕陽色を向けて。─── マァきっと、〝詳しくはどんな対処を?〟と聞かれたらきっと何も出来ないのだけれど。人が誰かのことを想うのは誰にも邪魔をする権利は無いし、そんな酷いことはみきにはできないので。 )
…ははっ、そういやそうだったな。
聞いてみただけだよ、悪かったって。
( はっきりとした感情と言い方で否定を口にした彼女は先程までのにこにこ笑顔から一転、柔らかそうな頬をぷくりと膨らませてあからさまに不満そうな顔を。バスケの時に騒いでいた1年生たちはミーハー的なものだと考えていたため、改めて彼女が普段見せることのない嫉妬の心を曝け出してくれていることに少しばかりキュンとするものがあるのは内緒。彼女の気持ちを知りながら揶揄うような問いかけをした事を素直に謝りながら、ヤキモチを妬かれることを年甲斐もなく嬉しく思ってしまう自分に何処となく気恥ずかしさを覚えたりして。「お前みたいな物好きじゃない限り、俺みたいなおっさんを本気で相手にしようとする奴なんてそうそう居ないからそこまで心配しなくて大丈夫だって。」と、目線は彼女を見つめたまま机に頬杖ついて。しかしその台詞は彼女の真っ直ぐな好意が本物であることを認めたものであり、尚且つ彼女以外からの好意はこちらとしても受け取るつもりが無いという意味が暗に含まれていることに本人は気付いておらず。 )
、……あのね。もし、せんせーのこと好きって伝えてくれた子がいても。
このお部屋でせんせーがその子と二人きりでお喋りするの、……みき、やだ。
( これが我儘だと言うことは充分に分かっているし、自分がそんなことを言える立場の人間でもないということも理解している。けれど、此方を見つめる彼の優しい眼差しと自分の真剣な好意を受け止めてくれる言葉にきゅうと心臓が締め付けられれば先程のようなわがままが次第に芽を出してしまいみきは唇を尖らせたまた拗ねたようにぽそぽそと言葉を付け足して。そもそも〝そうそう居ない〟だなんて言っているけれど、こうして分かりやすくダイレクトに愛情を伝えてくる生徒が自分なだけであって密やかに彼を想っている女子は絶対にいることは分かっているのだ。もしその子が勇気を出して彼に恋心を伝え、この準備室に通うようになったら。そう考えるだけでもズキズキと胸が痛むし、自分の可愛くない顔が見え隠れしてしまう自覚がある。みきはふい、と彼の瞳から逃れるように視線を膝に落とせば、「 せんせーにテスト頑張ったご褒美もらうのも、頭撫でられるのも、みきだけがいいもん…。 」とぽそりと呟いて。 )
そもそも"好き"って伝えられてもその気持ちに俺は応えられないから断るよ。
…ま、異常に諦めの悪い誰かさんに関しては逆にもうこっちが諦めてるんだけどな。
( 何だかんだと普段は聞き分けの良い彼女がこうして胸の内を曝け出してくれるのは珍しく、教師冥利に尽きるといえる内容では無いのだが本来は隠しておきたいであろう想いを吐き出してもらえるのはどこか嬉しいものがあって。応えられないのは彼女の気持ちに対してもそうなのだが、今現在も含めこうして彼女だけが自分の中の特別枠に入っていることは揺らぐことのない事実。もちろん最初は断っていたがめげない彼女にいつの間にやら絆されてしまっている自覚はあるし、最近はそれを悪しとも思わない自分にも薄らと気付いてはいて。逸らされた自然に眉を下げてやれやれといった笑みを浮かべながら、未だに綺麗に纏まったままのお団子を避けて彼女の頭にポンと手を置くと「ご褒美で釣らなきゃすぐ赤点に戻るからなお前は。ほんっと世話が焼けるよ。」くすくすと小さく笑いながらもその笑みは揶揄っているわけではなく、彼女の可愛らしい我儘を受け止めてのもので。 )
……それって、みきの気持ちには応えてくれる可能性がある、ってこと……!?
( なぜだかどこか嬉しそうな様子の彼の言葉に、さっきまで拗ねていたような表情がぽろりと解けては驚いたように夕陽色の瞳をぱちぱちと何度も瞬きさせて。他の子への〝気持ちには応えられないから断る〟という姿勢に対して此方への〝諦めている〟という姿勢はもしかしたら少しでも此方へ矢印を向けてくれる余地があるのではないかと実に前向きでスーパーポジティブな彼女らしい過大解釈をぽろり。入学当初から今現在に至るまで既に何十回何百回と彼に玉砕しているという事実は邪魔なので今だけ隅っこに追いやっておくとして、そういうこと!?と自分の組み立てた推理が絶対に合っていると自信に満ちたキラキラ輝く瞳を彼に向けて。ぽん、と頭に乗せられた優しい彼の手とちゃんと此方を受け止めてくれる言葉や笑顔にきゅん。といつものようにまた恋に落ちてはふにゃふにゃと表情を和らげては「 そうだよ、せんせーがご褒美くれないと頑張れないの。だからこれからもちゃんとお世話してね。 」と彼の言葉を肯定しつつもちゃっかりこれからの未来の約束を取り付けて。 )
───…さあ?
( 言葉の裏に隠された僅かな可能性を拾い上げては先程までと真逆にきらきらと輝く夕陽色でこちらを見てくる彼女に対し、見つめ返すダークブラウンは優しさを孕みつつも意地悪な輝きでにやりとした笑みと共にこてんと首を傾げてみせて。彼女の盛大な期待に少なくとも今はまだ応えられないので、少しずるいような気もするが否定も肯定もはっきりと口には出さず。彼女の超絶ポジティブな考え方に良い意味で呆れては可笑しそうに笑いを零し。拗ねて固くなっていた表情が柔らかく解けていき、いつものように甘えたような台詞を吐く彼女に「俺の負担でかいなぁ…。」と溜め息混じりに苦笑しては時計に目をやり、椅子に座ったままぐーっと伸びをして「あー……午後は外かぁ…。」刻一刻と近付く午後の部に対し少しだけ恨めしそうにぽつりと呟いて。 )
またはぐらかす。
……でもいいもん、みきは最近せんせー限定のエスパーだから。
( 否定も肯定もしない返事につん、と唇を尖らせるものの此方を見つめる彼のダークブラウンの優しげな色にはどこか自分が期待している通りの意味合いが含まれているような気がして、みきはふふん、と自慢げに笑って。入学当初から彼の傍をちょろちょろと歩き回ってついて行っているおかげか、ここ最近はなんとなく彼の考えていることや瞳や顔色からなんとなくの言葉の意味を読めるようになってきたらしく。今回に関しては自分の希望が4割くらい含まれているのだけれど。彼の視線に釣られるように自分も時計に見やっては、まだ時間はあるもののもう実行委員たちは準備に取り掛かっている時間だろう。午後のソフトボールに向けての恨み言のような一言にからりと笑っては「 えー、みきはやっと動けるから嬉しい。室内だし! 」 と午後は外競技の彼へ自慢するように一言付け足して。 )
何だソレ。
……じゃあ次の生物のテストは思考が読まれて作成内容がバレるってことかー、御影は満点確実だなー。
( 可笑しそうに一応ツッコミは入れるものの、ほぼ毎日のように側にいる彼女の考えている事はこちらとて何となく分かる時があるので限定エスパーという単語は自分にも通用するのかもしれない。しかし彼女的にそれが唯一発揮される事が無いであろうシチュエーションをわざと出しては、腕を組んでうんうんと頷いて。…きっと今回だって隠してある意味は薄らと伝わっているだろうし、それが彼女に変に期待を持たせてしまうことで自分から離れていかないようにしてしまうというずるい大人のやり方なのは自覚があるためほんの少しの自己嫌悪。さすがにその感情は彼女に悟られたくないのでしっかりと蓋をしておいて。午前中を応援だけで済ませられた彼女の体力はそれはもう有り余っているのだろう、どこかワクワクとした様子でやる気を見せる彼女が付け足したいらない一言にじとりとした目で視線を送れば「日差しが無いだけで羨ましい……くそ……。…つっても、体育館だってそれなりに暑いんだから水分補給はしっかりしろよ?」と、素直に羨んではその後に大人らしく注意喚起を。自分も午前は室内だったから分かるが、入り口や窓を全開にしているとはいえやはり籠った熱気のおかげでむわりとした暑さがあったので。 )
う゛、……それはまた話が別ですう!
( ぎく、と彼の言葉に先程までキラキラさせていた表情を固まらせてはそれが出来たら今頃当然のように成績優秀な優等生だとつん!と頬杖をつきながらそっぽを向いて。生物のテストでものすごく良い点数を取って教師として彼を喜ばせてあげたいという気持ちはもちろんあるのだけれど、なぜだか限定のエスパーはテストには適応してくれないようでなかなか上手くいかないのが現実。だけどご褒美スタイルが出来てからというものなかなかテストでも好成績を出しているので、このままいけば満点も夢ではないかも…なんて楽観的に考えてしまうのはみきが生まれながらに持っているプラス思考から来るものだろう。彼らしい恨み言のあとに大人としてしっかりと注意喚起をしてくれる様子ににこ!と嬉しそうに笑っては「 はぁい、気を付けます! 」と元気にお返事を。だがしかしいつまでもこうして昼休みを楽しんでいる訳にもいかず、そろそろ移動しなきゃと椅子から立ち上がりながら「 せんせ、みきのバレー見に来てくれる? 」とこてりと首を傾げて。 )
はは、便利な能力だなほんと。
( 予想通りの答えが返ってくれば待ってましたと言わんばかりに乾いた笑いを零しては、都合が悪くなった途端そっぽを向いた彼女を楽しそうに見つめて。とはいえ現金な生徒はご褒美効果で赤点回避を更新中なのも事実で、やれば出来るのになと溜息を吐きながらいつか来るかもしれないし来ないかもしれない満点のテストを心待ちに。元気な返事に頼もしさを覚えては立ち上がった彼女を目で追えば、「考えとく……って言いたいところだけど、応援のお返しはしないとだしちゃんと行くよ。」ふ、と微笑みながら自分の時に頑張って応援をしてくれていた彼女への礼も兼ねて見に行く約束を。…と言っても、同じ午後の部とはいえソフトが始まるまでは時間があるため仮に聞かれていなかったとしても少しだけ見に行ったりしてみようかなという予定は元々立てていたのだが。 )
!
ほんと!?みきすっごく頑張れちゃう!
( これから動くし、彼から指摘されない限り脱ぐまいとずっと着用していた彼のジャージの上着を脱ぐときが来た…としわしわしょんぼり上着を脱いでいたものの応援に来てくれるという彼の言葉を聞けばぱぁあ!と表情を輝かせては分かりやすく嬉しそうな満面の笑顔を浮かべながら喜んで。もちろん彼の応援がなくても自分の持てる力を尽くしてチームに貢献するつもりだったけれど、それから更に好きな人の応援があるとなればやる気もさらに上がるというもの。みきは丁寧に畳んだ上着を机の上にそっと置いては、ふと先程の3年女子のお姉様たちなりの激励を思い出して出発前に重要事項を確認しなきゃとにっこり笑って両手を彼の方に差し伸べて「 せんせーは何点とったらぎゅうしてくれますか? 」首を傾げて。よしよしでもいいな、とは思っているけれどそれでもやっぱりハグがいいみきにとっては正直勝敗よりも重要な確認事項なので、そこはハッキリと授業よりも真面目に質問して。 )
何でハグが前提になってんだ…。
( 自分の応援ひとつでここまで喜んでくれるなら面倒だと思ってたスポ大も少し良いものに思えてくる。キラキラと輝いた笑顔でこの上ないやる気を漲らせて見える彼女に薄く微笑んでは、丁寧に丁寧に折り畳まれた上着に視線を向けて。外競技は暑いしせっかく畳んでくれたし上着は置いていくか…なんて考えていると、にこにことこちらに両手を伸ばす彼女に気付き。昼休憩に入ってすぐ見たようなデジャヴな状況にこちらも再び頭に疑問符を浮かべていれば、3年たちの悪知恵がまだ生きていた提案に目を丸くして。大きな溜息をひとつ吐きながら、そもそも前提に置かれていることがおかしいそれに苦笑を零し。しかし彼女は至極真面目なようで、真剣な夕陽色をじっと見据えては「先生のハグは残念ながらそんな甘いもんじゃないので、優勝したら考えてやってもいいですよ。」と否定はせずとも厳しめな条件で、にっこり笑顔と共に可能性を与えて。 )
えーっ!
みきたちのクラスが1番女バレ少ないのに!
( 彼の言葉に不満そうに言葉を返して唇を尖らせたものの、決して〝無理〟だとかの弱音を吐くことはなく。自分たちも休み時間の間を縫ったりして一生懸命練習はしていたので決して負ける気はそもそも無いようで、すぐにその不満気な唇は勝気に釣り上がり「 でも言質とったもんね、優勝したらちゃんと真面目にギュッでしてくれるの考えてね! 」とぴし!と彼に人差し指を向けてはそのまま指先でハートをなぞり。だがしかしいつまでもこうしてお話をしている訳にも行かず、2人分の空になったお弁当が入ったランチバッグをひょいと持ち上げればきらきらとした笑顔で「 じゃ、いってきまぁす!絶対応援来てね、せんせーの為に頑張るから!だいすき! 」といつものことながら嵐のように準備室を去っていき。 )
はいはい、
でも俺のためじゃなくてクラスのために頑張れよー。
( バレー部員が少ないという大ハンデを背負ってもなお、課された目標に対しての弱音を吐くどころかむしろ強気な様子の彼女に目を丸くさせて。しかしそんな一面は純粋に尊敬するべき所であり、一度口に出した約束事を反故にするなんて教師としてあってはいけない。何だかんだと彼女のペースでご褒美を強請られてはそれに応えてしまう自分はやはり大概甘いのかもなと苦笑をひとつ零し。きらきらとやる気に満ちた笑顔で去っていく嵐にツッコミを入れながら、いってらっしゃいとひらひら手を振って見送り。…とはいえ自分もいつまでもゆっくりしているわけにもいかないので、ふろすけとふぐ太郎への餌やり等自分の用事を済ませて応援へと向かうために椅子から重い腰を上げて。 )
『 みき行くよーっ! 』
オーライ!
( 一方体育館では、女子の応援の少なかった男子バスケとは異なりみきのクラスは女子バレーに出る生徒が所謂一軍が多いせいかガヤガヤと応援で賑わっており、現在1回戦の真っ最中。試合は3試合で優勝が決まり、1回戦の相手は1年生なので特に心配はしていないけれど問題は2回戦。3年生のなかでも特に女バレの多いクラスでどうやら女バレの部長副部長が出ているらしい。先ずはその2回戦は突破しなければということで、相手が1年生ということもありリラックスして順調に点差を引き離している最中。チームメイトと上手く連携を取りながらも、元々運動神経はそこまで悪くないためチャンスボールを拾ったりアタックを決めたりとみきの調子も好調のよう。「 ナイサー! 」などとそれぞれ声を掛けつつ、応援席の男子から応援を受けつつ試合も順調に進めていっては、やはり運動して暑いのか女子高生らしくTシャツの裾を結んでちょっぴりへそ見せをしつつも元気にきらきらと青春の汗を流しており。 )
───お、やってる。
( 体育館に近付けば聞こえてくる声は男バスの時とはもちろん違って女子の声ばかり。たまに応援席からであろう男子の声も混ざって聞こえるが、華やかさはやはり段違いで。ひょこっと入り口から顔を覗かせれば、ちょうど応援を求められた彼女の試合がリードを保つ形で進行しており。そのまま入り口から少し入った所で壁にもたれかかるようにして観戦していれば、想像以上に活躍している彼女の運動神経の良さとセンスに素直に感心して。…とはいえ少しばかり目のやり場に困るような格好ではあるので時折視線を逸らすように彼女のクラスの応援席へ目をやると、どうやら男子たちは女子のそんな姿と試合展開の両方に盛り上がっているようで。ある意味男子らしいそんな様子にやれやれと溜息を吐いていれば、そんな自分にまず気付いたのは彼女のチームメイトらしい。「 …あっ!ね、ね、みきほら! 」試合中ではあるが周りを見れるくらいには隙のある僅かな合間に、とんとんと肩を叩いて友達の想い人の存在を伝えて。 )
!
せんせーっ!
( とんとん、と肩を叩かれて示された方向を見れば、そこには先ほど応援に来てくれると約束したばかりの想い人の姿。先程までも楽しそうにきゃっきゃと競技に励んでいたけれど、それとは比べ物にならないほどパァッと表情を輝かせては誰が見ても好意を持ってると一目瞭然な瞳でぴょんぴょん跳ねつつ彼に手を振って。うれしい、ほんとに来てくれた!とやはり好きな人に見られていれば集中力もやる気も上がるというもので、『 良かったねぇ 』とニコニコ笑う有人に満面の笑顔で頷き。無事に気合が入り直したということでそのまま試合はみきたちのチームがリードしたまま無事に勝利、お互いへの挨拶までもが終われば応援席よりも先にみきは一目散に彼の方へと駆け寄り「 ね!ね!せんせー見てた!?頑張った! 」と飼い犬が飼い主に褒めて!と強請りに来るようにきらきらにこにことアピールして。 )
おー、途中からにはなったけどお前の活躍はバッチリ見れた。
普通にバレー上手いじゃん。
( 試合の真っ最中だというのに突然大声で、しかも飛び跳ねて手を振ってくる彼女の視線の先に注目が集まるのは必然で。こっそり観戦しようという目論見はあっという間に崩れ、「声でかっ。」と思わず苦笑を零しながらひらひらと手を振り返し。その後何の危なげもなく勝利を飾って終えた試合にぱちぱちと拍手を送っていれば、自分のクラスをすっ飛ばしてこちらへ走ってきた彼女から受けるアピールの嵐。に、と笑いながらその勇姿を見れた事を報告しては、想像以上に運動が得意だった彼女を素直に褒めて。どういった形であれ恋愛事はやはりどの年代も好きなようで、わらわらと続いて集まってきた彼女のクラスメイト達に囲まれて。「 そーなの!だからアタシ達的には今でもみきにバレー部入ってほしいんだけどねー 」「 仕方ないよ、放課後は忙しいみたいだし? 」と口々に話すクラスメイト達は温かい笑みを浮かべながらもどこか楽しげに2人の様子を見守るような形になっており。 )
んへへ。
職員会議がある日限定なら入ろうかなぁ。
( しっかりと試合を見てくれたらしい彼ににこ!と嬉しそうに微笑んでは、スポーツ大会では最早恒例になった部活の勧誘をやんわりと受け流して。だがしかし自分の放課後を把握しているあたりさすがクラスメイトで、いつもこうして自分の恋路を優しく見守ってくれているという点には頭が上がらない。あと部活を始めたら両親が仕事でいない日に弟の料理を作ってあげる人が居なくなってしまうのでちょっと困ってしまうのだ。まだまだ高校生で若いとはいえやはり運動後は暑いのかぱたぱたと手で顔やお腹へ風を送りながら「 次の試合がね、3年生のいちばん強いクラスなんだよお。みきたち優勝しなきゃいけないのに! 」とぷく。と頬を膨らませ。 優勝しないいけない理由はお察しの通りだけれど、台詞だけ聞けば単純にスポーツで勝ちたいという健全な台詞に聞こえてしまうのが不思議なもので。 )
それで職員会議の日を増やされたら俺が地獄だからやめてほしい。
( 彼女と友達とのやり取りに真剣な声色で自分の都合満載の横槍を切実に入れて。もちろん丸1年以上も部活の勧誘を蹴ってまで放課後は準備室に通っている彼女の言葉が冗談なことは重々に理解したうえでの横槍ではあるが。「へー。2回戦目でいきなり優勝候補と当たるのか。」と、応援席側から女子のヘソ出しルックスを見ようとする男子の強い視線をさりげなく遮るように立ち位置を変えては何事も無かったかのように話を続け。「 ていうかみき、昨日までそんなに絶対優勝狙う!って感じじゃ無かったよね? 」「 当日になってやる気すごいけど何かあった? 」優勝への熱い思いを口にする彼女にやはりチームメイトは多少なりとも違和感を抱いているようで、その理由の根源とも言える当の本人はどこか気まずそうに、しかし不自然にはならないようにこほんと咳払いをひとつ。 )
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