女子生徒 2024-04-30 23:32:52 |
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せんせー午後は外競技のソフトも待ってるから、計算して動かないと大変だねぇ。
( なぜだかふと逸らされた視線にこてりと首を傾げつつも、このまま無事に勝ち進めば試合に出ずっぱりになる上に午後はこの晴天の中でのソフトボールが待っている現実を容赦なく笑顔で叩きつけていき。だが此方としては貴重な彼のスポーツ姿を堪能できるのでいくらでも試合をしてもらっても構わないのだけれど。充分に手加減された優しいチョップを頭に受ければきゅ!と瞳を瞑った後に不満げに「 あぅ、…適当じゃなくてちゃんとした将来設計なのにぃ。 」と唇を尖らせて。だがしかし見知らぬ3年生からアピールを受ければぱち、と驚いたように夕陽色の瞳をまん丸にしたあとに「 せんせーが好きだからごめんなさぁい 」と告白をいつも断る時に使っている常套句をさらりと述べながら、だがしかしその場のノリの冗談だとは理解しているので特に本気で否定をしている様子はなく表情はへにゃへにゃと穏やかに緩んで。 )
あー、そっちは元から本気出すようなやつじゃないから…。
( 決して忘れていた訳ではないのだが、改めてこの後の予定を口に出されれば外を照らす太陽の存在を再び認識することになってしまい。いっそのこと午後から急に雨でも降らないかななんて邪な考えも頭を過ぎるが、現状言葉通りの雲一つない晴天なので期待はできないだろう。むすりと不満を漏らす彼女に「どこにちゃんとした要素があるのか疑問なんだけど。」とぴしゃり。彼女的には本気なのは分かっているが、当事者フル無視で勝手に将来設計に組み込むなと一応ツッコミは入れておく。あっさりとフラれた男子はあわよくばでも狙っていたのだろう、けらけらと笑いながらもそれならせめて連絡先の交換だけでもと口を開きかけたところで「ほら次の試合そろそろだぞー。お前も後輩をナンパしなくていいからさっさと行けって。」と、彼女と男子生徒の間に割り込むようにして半ば無理矢理の形で引き剥がし。そのまま応援組を振り返ることなく男子を引き連れてぞろぞろと試合へ向かい。 )
……せんせー、今午後から天気悪くならないかなって考えてるでしょ。
( 彼の様子にくすくすと笑いながらぴたりと彼の考えていることを当てて見せればどう?と言うように彼の顔を覗き込んでしたり顔で笑い。もちろん外でスポーツをする彼も楽しみだけれど、ただでさえバスケでこんなに活躍してもらったのだから無理をしない程度にしてほしいななんて2つの心を持ちながらお外競技のときは涼しいグッズでも差し入れしてあげようとこっそりと決意。グイグイと来るのはさすが3年生、と言ったところで困ったなぁとへらりと笑っていたところに彼が間に入ってくれれば驚いたように目を丸くし。庇ってくれたのかな、なんて自意識過剰かもしれないけれどそうだったら嬉しいとふわふわと心の中に増えていく暖かく柔らかい気持ちに思わず頬を弛めては「 せんせ、2回戦も頑張ってねー! 」と此方を振り返ることなくコートの方へと歩いていった彼の背に声をかけては預かっている上着の袖を嬉しそうにぱたぱたと降って。 )
う゛……、…エスパーかお前。
( まさか思考を読まれるとは思わずぎくりと肩を跳ねさせては、こちらを見る視線の圧を感じるも合わないように目は逸らしたままで。諸々と顔に出るようなタイプではないため何を考えているか分からないと言われた事はあるが、ここまでぴたりと頭の中を当てられたのは初めてかもしれない。とはいえ天気がこちらの味方をしてくれる事は無さそうなので願えば願うだけ虚しくなるのだが。外じゃないだけマシだと自分に言い聞かせ、彼女の応援を背に2回戦の準備を。振り向いていないから見てはいないが、嬉しそうに預けた上着をぱたぱたしているその様子が3年女子の母性的な何かに刺さったようで「 みき可愛い~! 」ときゃいきゃい盛り上がっている声だけが耳に届き。次戦の相手は1年生のチームで、どうやら1回戦目は運良く同じ1年同士で当たっていたらしい。次の相手が3年(+教師1人)だと知ると、出来る限りの事をやろうという方針に変えたようでチームメイト同士を鼓舞しあっているのが聞こえてきて。 )
、次の相手1年生だ!
( 3年女子たちに頬をつつかれ頭をぽむぽむ撫でられいじくりまわされていたものの、次の対戦相手がぴかぴか( といっても入学して数ヶ月は経っている )の1年生だと気が付けば、やはり3年生と並ぶと少し幼げのある様子の彼らがちょっぴり可愛くてみきは3年女子に後ろから抱きしめられながら瞳を丸くして。女子のパーソナルスペースが異常に狭いのは今に始まったことではないのでそれは気にしないとして、1年生の女子が『 ね、次の対戦相手3年生だけど鳴海先生もいるよ 』『 鳴海先生かっこいいよね、☆先生より好きかも 』『 鳴海先生ーっ!頑張ってくださーい! 』ときゃぴきゃぴはしゃぎながら敵チームであるはずの彼に声援を送っているのはいただけない。恐れていたことが起きてしまった!とはわはわ3年女子の腕の中で慌てては「 も、モテちゃう…!! 」と彼のジャージを着ているくせに勝手に危機感を感じて彼にどう声援を送るべきか悩んで。 )
へーい。
…ってお前ら自分のクラス応援しろよなー。
( 時すでに遅しかもしれないが、明日以降に襲いかかってくるであろう筋肉痛を少しでも和らげようとストレッチを。三十路にもなると少し体を動かしただけですぐにガタがきてしまうもので、これはまた御影に弱いだのボロボロだのと揶揄われるな…と溜息吐いて。3年生ですら充分に年が離れてて若いと感じるのは当たり前なのだが、相手の1年チームを見ればまあ何ともフレッシュ。そんな1年生の応援席から何故か自分に向けられた応援にひらりと手を挙げて返事をしつつも、一応対戦相手なのでちゃんと自チームを応援するよう笑いながら指摘を。…1回戦では見事に敵チームを(というより個人を)応援していた生徒が約1名いたのだがそこはもはや気にすれば負けなので割愛。そんな彼女の心情は穏やかではないようで、「 あーそっか。みきの"入学早々告白事件"って1年は知らないもんねー。 」と当時2年生だったお姉様方は1年前のそれを思い出すかのようにきゃぴきゃぴとはしゃぐ1年女子を見やりながら依然彼女を抱きしめたままの様子。その声援に込められた気持ちに、彼女がこちらへ向けているものと同じ好意が含まれていることなどもちろん気付いていないのだが。 )
…………どうしよう先輩、みき嫌な子かもしれない。
すごくもやもやする。やだあ。
( 構われると女子はやはり浮ついてしまうもので、彼から指摘を受けた1年女子たちは『 はぁい 』『 かっこいいとこ見せてくれるの楽しみにしてまぁす 』きゃあきゃあはしゃぎながら嬉しそうにまた話に花を咲かせているようで。それらを見て心に浮かんだのはもやりとした嫌な黒い感覚で、みきはそれを振り払うようにぶんぶんと首を振れば依然自分を抱きしめたままの先輩の方に向き直って周りの光景や声をシャットダウンするように抱きつき。自分より上の学年の生徒たちは入学早々彼に思いの丈をぶつけた件を知っているけれど当たり前のように今年入学した生徒はそれを知らずに彼に色めきだっている訳で、別に彼の恋人でもないしそれを制限したり牽制する権利は無いのだけれどやっぱり嫌なものは嫌なのか拗ねたようにポソポソと言葉を吐いて。一方、あと少しで試合が始まるという男子側は相手が一年坊ということもあり時に気楽な様子。『 御影ちゃんだっけ?いーねーモテて。 』『 先生もう手出したん? 』『 てかうちの女子共に抱きついてんの恐れ知らずじゃね 』『 どしたん?俺話聞いてこよか?笑 』と彼にだる絡みをつつ応援席の方を見てへらへらと呑気に試合が始まるのを待っており。 )
もうって何だもうって、出すわけないだろ教師だぞ俺。
だいたいお前ら───……あー、試合始めといて。
相手は1年だしお前ら3年だろ、前半くらいハンデつけてやれ。
( 女子たちのみならず男子からも盛大に茶化され始めたところ、その言葉の内容にちらりと応援席を見れば何だか彼女の様子がおかしい気がする。1試合目はあんなにもキラキラした視線で声援を送ってくれていたものだが、もうすぐ試合開始だというのにこちらに背を向けて先輩である子に抱き着いているのが見えて。それだけならただ仲良くじゃれているだけにも見えるのだが、何となく違和感を感じるのは彼女と過ごしてきた時間の賜物といえるだろう。コートに向かおうとする男子たちとは反対に自分は応援席側へと向かい始めると男子たちからは「 はぁ!?ちょ、先生まじで? 」「 試合ー! 」と引き止められそうになるが、そこは教師命令ということで人数不利でも頑張ってもらおうと。抜けるのが助っ人とはいえ、そもそもの経験値からたぶんハンデをつけても3年チームが負けることはないだろう。審判役の生徒にその旨伝え応援席の方へ。「───御影、どうした?具合でも悪くなったか?」大丈夫大丈夫と彼女を宥めている女子たちの側へ寄っては心配そうな声色で彼女に声を掛けて。 )
!
ぐ、具合悪くない!だいじょぶ!
( お姉様に抱きついていたせいか声を掛けられるまで彼が近付いていたことに気が付かず ─── 全て見えているあ3年女子はみきの変化に気付き試合を放棄してまで此方に来た彼にあら~、みたいな反応をしていたけれど ─── びく、と肩を跳ねさせれば自分勝手な嫉妬に駆られている自分を見られたくないのか今迄抱きついていたお姉様の背後に素早く隠れて。もうすぐ試合始まっちゃうのに、みきが勝手に嫌な子になっちゃっただけなのに、と彼に心配を掛けさせてしまっている今の状況を作り出した自分への不甲斐なさで鼻の奥がつん、と痛くなれば一向に背後からは出てこようとせず。だがやはり餅は餅屋、みきの気持ちを全てわかっている3年生女子たちは無理やり彼の前に突き出すようなことはせずに『 嫉妬してんの 』『 さっき1年にきゃあきゃあ言われてたじゃん? 』とこそこそ小さな声で彼に囁きながら先程の1年生たちの方を顎で指しては揶揄ってます!と言わんばかりににやにや笑って。 )
??あ、そう……。
( 大丈夫だと言いつつも何故だか自分から逃げるような行動をとる彼女を怪訝に思い、当の本人はもちろんなんの心当たりも無いため頭の上にいくつも疑問符が飛び交い。どうしたものかと悩んでいるところにこっそりと耳打ちしてくれる3年女子。彼女の謎行動の答えを知ればきょとんと目を丸くして、やれやれといった気持ちと共にこんな些細なことでヤキモチを妬いてくれたらしい彼女を愛しく感じて。ちらりと1年の応援席を見れば、コートから再び応援席に戻った自分の行動の謎を考察しているのか首を捻りながら喋っているのが見える。そんな状況でもおかまいなしに試合開始の笛は鳴り、こちらのチームは人数不利のままのスタートで。彼女が隠れ蓑にしている3年女子の揶揄い顔を気にしないよう隣に座っては、「……前半はハンデで人数不利にしてきたけど、後半は俺も参加する。でも今のままだと俺の応援だけ無くなるよな~。いっても向こうは敵チームだし、敵に応援されてもな~。」と態とらしくぼやき始めて。 )
!
、……。
( そうこうしているうちに容赦なく試合は始まってしまい、だがしかし依然として隣に居る彼に戻らなくて良いの…?とゆっくりと3年生の肩口から瞳を覗かせては、独り言…というには少々態とらしい言葉にみきの言葉はまん丸に。だってさっきは自分の立ち位置があの1年女子だったのだ( 完全に3年側の応援席で最初から最後まで彼だけを応援していたのはさておき )、その少しだけ無理がある呟きに先程までのもやもやはちょっとずつ彼へのソワソワの気持ちに変わっていき胸がきゅうと締め付けられ。『 みき、ホラ。 』『 アタシたちクラスメイト応援すんので精一杯だからパース。 』と隠れ蓑に使わせてもらっていた3年女子がひらりと場所を開けてはそのまま彼の方に背を押されみきはそのまますとん、と彼の隣に体育座りを。自分より随分と大きい彼の上着の袖から指先だけを覗かせてもじもじとそれを絡ませれば、少し迷った後に彼のジャージの裾を控えめに引っ張り「 ……み、みきが……応援する、よ? 」と何だか今の数分間だけで自分の幼さが露呈したようで頬を赤らめつつ小さな声で不安そうにぽそぽそと自分が応援すると。 )
……当たり前、専属応援団長だろお前。
だいたい大会が始まる前まではあんなに応援するって息巻いてたくせに…詐欺だからなそれ。まあ3年と仲良くなるのはいい事だけど……。
( 3年女子の気遣いにより表に出された彼女はしばらく所在なさげに手遊びをしていたものの、ちょい、と裾を引かれたことでそちらを見ればおずおずと応援の申し出が。その様子が少しだけ可笑しくてふ、と口角が上がってはしれっと専属に襲名。動機がどうであれ、3年女子にくっついて応援どころかこちらを見ようともしていなかった先程までの姿勢に愚痴をこぼし。人数が欠けたことで忙しそうな3年チームと、今のうちにと攻める1年チーム。そしてそのチャンスを逃すなとばかりに、1年女子はすでに自チームの応援に熱が入っているようで。その様子をこっそり指差しながら「…な?あんなもんだって。心配するほど俺はモテないよ、お前以外には。……って自分で言うのもなんか癪だけどな。」と、台詞は自嘲気味なものだが別に嫌味はなく。 )
ぅ、
だって、すごく嫌な子の顔してたから見て欲しくなかったんだもん…。可愛くない顔はせんせーに見せたくない…。
( 彼の言葉にぎく、と体を強ばらせては先程全く顔を見せようとしていなかった理由をちいちゃな声で言い訳のように述べていき。嫉妬に駆られた女の顔というのは古今東西可愛くないもので、いつだって彼にはにこにこ笑顔の自分を見ていてほしいという乙女心故に顔を見せないように ─── きらきらかわゆい1年生の方を見たくなかったというのもあるけれど ─── という理由の体制だったのだと、体育座りをした膝の上に組んだ腕に顔を半分埋めて。彼が出ていないとボールを追うしか興味の出ない試合展開をぼう、と眺めていれば彼が居ないことによる人数の差が大きいらしくなかなかに切迫した試合になっており、彼が指さした方向に目線を向ければ先程まで彼にお熱だった1年生達はもうすっかり試合に夢中なようで。「 ……せんせーのこと好きなのはみきだけでいいもん。 」 といつもはあまり見せない嫉妬の花を咲かせた顔で唇を尖らせては、他の生徒からは少し見え辛い彼の服の裾を指先で掴まえながらバッシュの擦れる音に紛れてしまうような小さな声で呟き。 )
───まさかこの歳になってヤキモチ妬かれるとはな。
つーかお前がヤキモチなんて珍しいし……俺は可愛いと思うけど。
( ぽそぽそと話す彼女を優しく見守りながらも、嫉妬されるなんて久しく経験していないこともあるせいか嬉しいようなこそばゆいような複雑な感情でつい笑いがこぼれ。『 せんせーモテるんだよ 』と(自分に実感はないが)たまに不満のようなものを零す程度の彼女がここまで明確にヤキモチを妬くのは珍しいどころか初めて見るかもしれない。可愛くない顔、というのは分からないがその気持ちゆえにコントロールが効かなくなってしまったのであろう彼女は、こちらからすればむしろ可愛すぎるくらいだ。後半戦、自分が試合に戻ればもしかしたら1年生は再び反応を見せるかもしれないがそれはあくまでミーハー的なものだろう。思った以上に手に汗握るような試合展開になっているのもあるが、彼女たちの興味は今現在こちらに一切流れていないのがその証拠で。裾を掴まれた感覚に、内緒話か何だ何だと耳を近づければ何とも真っ直ぐかつ可愛らしい嫉妬のお気持ち表明。「…そうだな、俺もお前だけでいーよ。」"これ以上お前みたいなのが増えるとめんどくさいし。"といういつもの台詞は敢えて追加せず、視線はコートに向けたままお団子を避けて彼女の頭にぽん、と手を置き。 )
!!
………可愛くないもん……あんまり甘やかしたら調子に乗っちゃうんだからね……。
( 自分で勝手に嫉妬をして1人空回りしていた顔すらも可愛いと言ってのけてしまう彼の言葉にぎゅ、と心臓を掴まれたかのように痛いほどときめいてしまえば、一気に熱くなった顔を隠すようにぽそぽそと照れ隠しを零しながら半分埋めていた顔を完全に突っ伏して。だがしかし小粒な耳が真っ赤になっているのであまりにも周りから分かりやすい様子なのは勿論のこと、試合もそこそこに2人の様子をチラ見している3年女子からすれば明らかに学校指定ではない男物のジャージの上着を羽織っているみきとその上着のデザインと全く同じジャージを着ている彼はどこからどう見てもお互いに気持ちがあるようにしか見えないのだが。ポン、と頭に乗せられた大好きな彼の手の感触といつもの上げて落とす締め言葉の無い彼の台詞にぱち!と真ん丸な瞳で思わず彼の横顔を見つめては、さっきまでの黒いもやもやした気持ちを上回る苦しくなるくらいのどきどきに「 せんせーぎゅってしてもいい……? 」と顔をくしゃくしゃにしながらダメ元ながらこのときめきの発散方法を打診してみて。 )
甘やかさなくても調子いいくせに。
( いくら見えないように顔を隠されても、髪を纏めていることで見えやすくなっている小さな耳が真っ赤に染まっているのを見ると何とも分かりやすい。普段のどこまでも前向きにポジティブな彼女を思い起こしてはにやりといつもの意地悪な笑みを浮かべ。少し離れたところで同じような笑みを浮かべながら明らかに試合に集中せず、こちらをチラ見してひそひそきゃっきゃと話している3年女子たちにちゃんと応援しろとジェスチャーを飛ばし。驚きで丸くなった瞳がこちらを見つめていると思えば、普段人が多いところではしないようなリクエストが彼女の口から出て今度はこちらが目を丸くする番で。一拍置いた後にっこりと笑って「ダメ。」と一言返せば、「そろそろ前半終わるから、さすがに出ないとあいつらに怒られる。」とコートに視線を向けながら立ち上がり。 )
……いつもは可愛い調子の乗り方だからいいの!
( 最もらしい正論に何も言い返せないのかぷく、と頬を膨らませながら顔を上げてはどうやら否定ではなく開き直ることにシフトチェンジをしたのか〝かわいいは正義〟がスローガンである女子高生らしい言葉を返して。やはり人の多いところでは( 人が少ない場所でも何か言い訳がないと彼はしてくれないのだけれど )当たり前のようにNOを突きつけられて分かってはいたけれど不満げに唇を尖らせ。だがしかしどうやら間もなく遅れて登場するヒーローの出番らしく、立ち上がった彼に倣うようにゆっくり立ち上がれば「 いってらっしゃい、せんせー。あのね、いちばん応援してるからね。だいすき。 」と専属応援団長に任命された義務を果たすべく、彼を覗き込むように見上げながらいつもの様にへにゃりと気が抜けたように笑って。 )
はは、自分で言うか?それ。
( どうやら元気が出た様子で、ようやく上げられた顔のぷくりと膨らんだ頬に普段の彼女だと安堵。さっそく言葉通り、可愛らしく調子に乗っている彼女に笑いながら。いつもの決まり文句に柔らかい笑顔、応援団長はやる気を出してくれたらしい。向けられた笑みに返すように目を細めて優しく笑いかけ、「知ってる。」と返すと同時に前半終了の笛の音。やはり抜けたのが助っ人とはいえ人数不利が響いたのか、勝ってはいるもののスコア自体はそこまで大きな差がないようで。「 先生ー!後半ー!! 」とコートの方から息切れ気味の男子に声を掛けられれば、はいはいと返事をしながら向かい。 )
……んへへ。
『 良かったじゃん、みき。 』『 見せつけちゃって~ 』『 先生あたし達のテストも甘々採点して~! 』『 50点差つけて勝ったら女子高生がハグしてあげる! 』
( コートの方へと戻る彼の背中をにこにこふわふわ自然と緩んでしまう頬をそのままに見つめていれば、一部始終を見つめていた3年女子がみきを囲うようにして先程の位置に戻ってきながらコートの中の彼に絶妙な茶々を入れたりみきの頬をつついたりと実に自由に彼女たちなりの青春を謳歌しており。彼がコートに戻ってきたのを見た1年女子たちは予想通り『 先生出てきたぁ~! 』ときゃぴきゃぴはしゃいでいるのだけれども、今はもうそんな様子も気になら……なくはないけれど、先程のような黒いもやもやで心が満ちてしまうということもなく。一方コートではたった一人といえど人数差のある状態でコートを駆け巡っていた3年男子がぜぇはぁと彼を迎え入れつつ『 先生急にどうした? 』『 彼女なんかあったん? 』『 後半ぜってー俺らより動いてな! 』『 50点差付けたらハグしてもらえるってまじ? 』と文句7割心配2割ふざけ1割といった様子で彼を迎え入れて。 )
残念だけどテストはみんな平等に厳しく採点してるから喜べ~。
( きゃいきゃいと騒ぐ女子の声に振り向けば先程まで自分が居た場所はすでに女子軍に占領されており、さらにその真ん中で構われ倒している彼女が目に入り。彼女のテストだけ甘く採点している事実などもちろん無いので、にっこりと胡散臭いほどの爽やかな笑顔で3年たちにひらひらと手を振って。1年も3年も、元気な女子と対照的に男子たちはすでにヘロヘロ状態。さっそく投げかけられる質問に「あー大丈夫大丈夫。…ってアホか。大人は体力回復にも時間が掛かるからお前ら以上に動いたらほんとに死ぬぞ俺。」と、彼女関連のことは流しつつ自分の体力には甘々な判定を。最後のおふざけ男子に関しては、未だ彼女を取り囲むんで騒いでいる3年女子に「おーい。こいつが1人で50点取るからお前らハグしてやれよー。3年の責任だからなー。」と絶妙に彼女を除外した状態で声を掛けて。 )
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