せんせい、あのね。(〆)

せんせい、あのね。(〆)

女子生徒  2024-04-30 23:32:52 
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  • No.21 by 鳴海 司  2024-05-02 21:44:06 




あーはいはい、お前は考えてることダダ漏れすぎなんだって。……しっかし花の女子高生が毎日毎日ここに居座るってのも考えもんだけどなぁ。部活だって今からでも遅くねーし、バイトとかしてみりゃいいのに。

( 隠すことが苦手なのかそもそもしていないのか。表情や態度ですべてを伝えてくるそんな彼女に呆れたように言い放ちながらカップにインスタントコーヒーの粉を入れ、備え付けのポットでお湯を注ぎ入れる。その間背中に刺さる視線の圧は感じており、振り向きざまにべ、と舌を出しては「見すぎ。」と悪態つき。そのまま彼女の隣にある自分の椅子に再び腰掛けると、淹れたてのコーヒーに口をつけながら窓の外に見える運動部の姿に目をやって。 )


  • No.22 by 御影 みき  2024-05-02 22:33:59 



だってみきせんせーとお話してる時が一番楽しいんだもん。部活もバイトも楽しそうだけど、みきはここが好きなの!
あ、それはもちろんせんせーが大好きだからなんだけど!

( 彼の言葉にえへえへと笑いながらいつもの様に隠す気の微塵もない愛情を全力投球で彼に投げては最後の言葉にはキメ顔らしい下手くそなウインクを共に添えて。部活動でのきらきらした青春もバイト先での他校や年上のイケメンとの出会いも確かに魅力的なのだけれど、それよりも珈琲の優しい香りが漂うこの小さな一室での時間が何よりも幸せなのだと馬鹿正直にその瞳は雄弁に語り。「 ッ、~…!!!わ、わんもあ!!せんせ今のもっかいして! 」 カッコイイなあ、好きだなあ、とにこにこふわふわ見つめていたのも束の間、いつの間にやら珈琲が注ぎ終わっていた彼から振り向きざまに舌を出して悪態をつくだなんてとんでもサービスを受ければトスッ。と恋の矢は何度でもみきの胸を貫いて。友達とのプリクラが透明ケースに挟まったスマホを構えながら紅潮した頬をそのままにオカワリを強請り。 )



  • No.23 by 鳴海 司  2024-05-02 23:18:59 




いやこんな30手前のおっさんとこで青春使い果たすの勿体無いからな普通に。
お前みたいな可愛らしいやつなら、彼氏の1人や2人すぐにできるのになたぶん。………ッア!いや違う今の無し、可愛いっていうのは別にあれだ、悪い意味じゃないから訴えたりとかすんなよ!?

( やたら興奮気味に向けられたスマホをちらりと見、「絶対嫌。」とすぐに顔を背けて。いい大人がカメラに向かってあっかんべーの状態でシャッターが切られるのを待つなんて、想像したくもない光景だ。それよりもどうすれば彼女に高校生らしい生活を、と考える方にシフトチェンジ。本音を言えば好意を向けられている事に悪い気はしていないのだが、いかんせん先生と生徒という超えられない壁がある以上はどうしても無理なのも事実で。別に詳しいわけではないが、彼女が身だしなみに気を遣っているのは分かるし、実際可愛らしい。コーヒーを啜りながら無意識に出た言葉だったが、自分が何を言ったかに気付くと彼女の気持ちどうこうよりもまずセクハラではないと慌てて訴え。 )


  • No.24 by 御影 みき  2024-05-03 00:35:32 



、─── …へ、?

( 可愛い。かわいい。カワイイ。KAWAII。頭の中がその四文字で埋めつくされ、みきのちいちゃな脳みそはあっという間にショートして。…今、せんせーわたしの事可愛いって言った? 少しして彼から今自分がなんと評されたのかと理解をすればぶわわ、とあっという間に顔はいちごのように真っ赤に染まり、いつも穴が空いてしまうほど見つめている目の前の彼からパッ、と視線を逸らして相手に聞こえてしまうのではないかという程にばくばく煩い心臓の音を無視しながら「 え、へへ。やだなー!せんせ、彼氏を何人も作っちゃったら浮気だよお…。 」と誤魔化すようにへらりと笑って。なるべく赤い顔を見られないように、彼の顔を見ないように校庭にて部活動に勤しむ生徒たちへと視線を落としては別に見る気もないしショートした頭では全く何をしているのか理解できないサッカーをしている様子を見つめて。 )



  • No.25 by 鳴海 司  2024-05-03 01:14:32 




あ、あーーー…うん、そうだな。浮気は良くないよな、うん…。
──つーか普段の方がアレなのに、これで照れるとかお前チョロすぎない?

( やらかした。普段は猪突猛進に好きだなんだと騒いでいる彼女が、今まで見たことないほど顔を赤らめたうえに先ほどまで突き刺さるようだった視線すらも逸らしている。とりあえずは、教え子に可愛いと言ってしまったことで犯罪者の道が開けてしまうという心配は杞憂だったと安堵し、彼女が絞り出した台詞にそれとなく便乗して返し。しかしこの状況、自分のたった一言でここまで照れてしまう相手を見るのは初めてかもしれない。向けられた好意をどれだけ流してもめげない彼女の意外な一面に、少しばかり興味を唆られてしまうも何となく別の意味で心配になってしまい。「もし俺がお前と同年代だったら…まあ、気になる子くらいにはなってたかもな。」フォローのつもりでぽつりと呟いて。 )


  • No.26 by 御影 みき  2024-05-03 09:03:40 



好きな人に可愛いって言われたら照れちゃうもん!
誰にでもちょろいわけじゃないし!

( 真っ赤になった顔を隠すように両頬に手を添えては普段彼に色んなことを流されているからこそ少しの供給であわあわしてしまうのか馬鹿正直に照れており。だがしかしいつもとは自分の一面を想い人に見られるのが恥ずかしいのかこっち見ないで、と言いたげに羞恥にうるんだ瞳でムキャ!と威嚇をひとつ。一気に熱くなってしまった体を冷やすかのように手で顔をパタパタと仰いで少しでも赤くなった顔をいつもの餅のような白さに戻そうとするもまたもや小粒な耳に届いた彼の言葉に漸く落ち着きかけてきていた心臓がまた大きく高鳴れば「 ぅ、あ、も、もうこれ以上ドキドキさせるの禁止! 」 と両手の人差し指でバッテンを作って彼の口元にそれを近付け強制的にストップを。 ただでさえ普段の彼を見ているだけでも充分に胸は高鳴るのにこれ以上の糖分摂取は体に毒なのだと1人騒いではさらさらとしたツインテールを揺らしながらそっぽを向いて。 )



  • No.27 by 鳴海 司  2024-05-03 09:54:15 




わ、分かった分かった、悪かったって!

( 未だ真っ赤な顔のまま、まったく怖くないが勢いはある威嚇を向けてくる彼女に少したじろぎ。物理的に口を封じにかかってきた小さなバッテン印から距離をとるように少しだけ後ろに身を引いて。これ以上下手な発言はしない方がいいだろうと、いつものように呆れた声色で「はあ……ほんと物好きだなお前は。」と溜息混じりに。実際のところ10歳近く離れている自分にこれほど執着してくる相手を、純粋に生徒として可愛らしいと思う反面やはり心配にもなるもので。そっぽを向いてしまった彼女に、さてどうしたものかと頬を掻きながら一拍。とりあえず立ち上がり、部屋の壁際にて飼育されている教材用のメダカに餌をやろうとその場を離れて。 )


  • No.28 by 御影 みき  2024-05-03 20:45:59 




みき物好きじゃないもん。
せんせー女の子たちからすっごく人気なんだからー!

( ム、とよく手入れされたさくらんぼ色の唇を尖らせてはモテている自覚がないであろう彼に文句をひとつ。年頃の女の子は簡単に恋に落ちてしまうのにこれ以上ライバルが増えたら困る!とその瞳は実に真剣なのだが、彼の移動に視線がつられてメダカの方にいけばエサをあげる様子が気になるのかちょっぴり拗ねた気持ちを引きずりつつ自分もメダカの水槽の側へ。「 ふぐ太郎たちにごはんあげるの? 」とメダカの水槽と目線を合わせるように屈んでは自分が勝手に名付けた名前を呼びかけつつへにゃへにゃ笑ってメダカたちに手を振り。 )



  • No.29 by 鳴海 司  2024-05-03 22:48:28 




ええ……?お前…そうやって煽てても内申点やらねーからな?
ていうかお前みたいなのが増えても困る。物好きは1人で充分。

( じとり、と訝しげに相手を見据え、わざとらしくハッとした表情で採点途中のテストの山へと視線移し、再び訝しげな目つきで彼女の方を見て。自分より若くイケメンで、日頃から黄色い声をかけられている先生はいる。その人気教師を差し置いて自分を追いかけてくる変わり者は、目の前の1人だけで手一杯なのだ。彼女の真剣な眼差しをスルーしてメダカに餌をやっていると、いつの間にか側にきていた彼女からメダカに付けるには分不相応な名前が聞こえて。初めて聞いたときはその壊滅的なセンスに吹き出したものだが、慣れてしまえば一周まわって癖になる。「そーそー。早いとこふぐになってもらって捌いて食いたいからな。」と軽口で返しつつ、ふと思いついたように彼女をじーっと見つめて。 )


  • No.30 by 御影 みき  2024-05-03 23:34:15 



内申点は要らないけどせんせーからの好感度は欲しいかな…
って、それって先生の隣にはみきだけで充分…ってコト?!

( 本当は内申点も取らなければ実にまずいテストの結果なのはさておき、えへえへと照れながらいつものように軽口を叩きかけたがその後に続いたよ彼の言葉をよくよく噛み砕いて自分なりに自由気ままな解釈をしてはわざとらしく口元に両手を添えながら瞳をきらきらと輝かせて。全くもって見当違いなのではあるが、乙女の超絶前向きプラス思考の前ではその違いは些細なものであり「 聞いたふぐ太郎、みきだけでいいんだって! 」と水槽をつん!と優しく静かに続いてはメダカ達に報告をする始末で。だがしかし〝食べる〟と聞き捨てならない単語が聞こえれば先程のはしゃぎ様は何処へやらあわあわと慌てながら彼から守るように両手を広げて水槽を隠して 「 さ、魚はともだち!餌じゃない! 」とふるふる首を横に振って。 )



  • No.31 by 鳴海 司  2024-05-04 00:00:48 




先生の好感度を上げたいならまずテストの点数を上げるところからだ。なあ、赤点常連娘。

( 相も変わらず呑気なことしか言わない彼女に、にっこりと黒さを携えた笑みを向けて。正直、最初の頃は自分に付き纏うためにわざと補習を受けてるのではと疑っていたが、彼女のことを知っていくにつれその疑惑は晴れた。ただ純粋に「勉強が苦手な子」だと知ってある意味安堵したような絶望したような気分になったことを思い出し。こちらの言ったことを何倍にも誇張させるほどの頭の回転はあるのに。と乾いた笑いをこぼしながら「言ってねーよ。」と鋭くツッコんで。しかし一変、にこにことメダカと話していた彼女が今度はこちらの言葉をなぜかそのまま受け取って水槽の前に立ちはだかったので、「冗談だし友達でもないし。教材だからこいつらは。」と二度目のツッコミ。餌をやり終わった次はゴソゴソと棚から虫かごを取り出して。 )


  • No.32 by 御影 みき  2024-05-04 00:36:33 



あう、……
ど、努力はしてまぁす…。


( かっこいいのに何だかとてつもない威圧感を感じる彼の笑顔にぎく、と表情やら体やらを強ばらせてはススス、と静かに目線をあさっての方向に向けて努力は認めて頂きたい旨をアピールし。一生懸命授業自体は受けているのだ、居眠りもしなければこっそりスマホをいじったり音楽を聴いたりだなんてすることもない。だがしかし如何せん何を言っているのかが理解できない ─── 言わば異国の言葉で45~50分間ずっと喋られてるような ─── そんな気分。あと単純に先生の顔を見てたらいつの間にか授業が終わっているのだから仕方ない。 「 ふぐ太郎はみきのこと友達だと思ってるって言ってるもん、魚と人間の友情は成立する、─── …なあにそれ? 」 男女の友情、そして犬と人間の友情が成立するように魚と人間の友情も存在するのだとメダカたちを見つめながらウンウンと頷いていたものの、ふと彼が徐に棚から取りだした虫かごが目に入ればこて、と緩く首を傾げて。 )


  • No.33 by 鳴海 司  2024-05-04 01:01:11 




ま、それは知ってる。俺の授業で1番熱心なのお前だもんな、多分。

( 核心を突かれたからか即座にぎこちなくなった相手に今度は自然と出た笑みを向けて。授業中の生徒の様子は背中を向けていようと存外分かってしまうもので。寝てたりお喋りに夢中になっていたり、あまり厳しくするタイプではないので咎めるにしてもやんわりと流すようにするのがいけないのかもしれないが。その中でも彼女だけは集中を切らさずに真っ直ぐこちらを見てくる。…大半は自分を見ているのが分かるのでそこは何とも言えないが、それでも授業態度が秀でているのは確かなので。そこは褒めるべきだなとひとりうんうん頷いていると、さすがに気になったのか虫かごを取り出した時点で声がかかり。「明日の放課後あたりフィールドワークに行こうかと思って。その準備だよ。」虫かごに薄く被っていた埃を手で軽く払いながら答えて。 )


  • No.34 by 御影 みき  2024-05-04 09:43:06 




……んふふ。そーだよ!だってみきせんせーのこと大好きだもん!


( ちゃんと見てくれている。彼が生徒に対して真摯な教師だということはもう既に知っていたけれど、それが改めて実感が出来れば嬉しそうににこにこと笑ってはいつものように言葉を付け足して。大好きな人の一挙手一投足は一瞬足りとも見逃したくないという乙女心はどうやら教師心にも好転的に伝わっていたようで、みきは満足そうにウンウンと1人頷き。ふぃーるどわーく…とたどたどしく慣れない単語を小さくぽそりと繰り返しては、「 それ、みきもついてっていい!? 」とキラキラした瞳で問いかけて。虫はそこまで得意な訳では無いけれど、だからといって毛嫌いするほどではない。種類によるけど。それならば彼の傍について行ってたのしくラブラブ(当社比)放課後を過ごす方が断然お得だと同行者に立候補して。 )



  • No.35 by 鳴海 司  2024-05-04 20:48:53 




はいはい。
───さっきふぐ太郎に餌やってる時に考えたんだよ。近々行く予定だったし…どうせ明日もお前来るんだろ?残念だけど、元から手伝わせる予定だ。

( すこぶる機嫌の良くなった彼女からいつもの台詞が飛び出すとこちらもいつものように流して。そのうち「好きな相手の授業」から「好きな授業」になることをひっそりと願い、違う意味とはいえやる気は満ち溢れている彼女を少なからず頼もしく思い。明日の予定をちらつかせれば予想通り、目を輝かせて同行を求める彼女の発言を受けてはあまりにも想定通りすぎて吹き出しそうになるのを堪え。メダカをふぐ太郎と呼ぶ彼女を見ているときに、新しい生き物を採取したらこいつはまた変な名前を付けるんだろうな。ならいっそのこと採集から手伝ってもらおうと画策し。生徒の予定、ましてや放課後の予定を勝手に決めるなんて教師としては良くないかもしれない。だが人手があれば助かるのは本音だし、何より彼女なら断らないだろうという謎の信頼感から、にやりとした笑みと共に理不尽ともいえる誘いを。 )


  • No.36 by 御影 みき  2024-05-04 22:26:43 



せんせーの中で既にみきは隣にいるってこと…!?
放課後デートだ~!

( 元から手伝わせる予定。もうすっかり彼の中に自分の存在が定着しているんだと伝わるその言葉にバンザイと両手をあげて楽しそうにはしゃいで。見てますかライバルの皆さま、みきの方が断然リードです。と心の中でライバルたちにこっそりマウントを取りつつも明日はちょっと可愛い髪型で学校来ちゃおうかな、なんて今から既に乙女の悩みはつきず。「 聞いた?ふぐ太郎、みき明日せんせーとデートなんだよ~。新しいお友達たくさん連れてくるから待っててね~。 」とまんまるい瞳で此方を無機質に見つめるメダカににこにこへらへらと報告をしてはメダカも何故かみきを見つめたまま話を聞いているかのようにじっとしていて。 )



  • No.37 by 鳴海 司  2024-05-04 22:59:06 




ばーか。今回も赤点ギリギリで可哀想な生徒に、先生の手伝いで名誉挽回のチャンスを与えてやろうって話です。

( 自分の一言で想像以上に喜ぶ彼女を少しだけ微笑ましく思い、笑いながらもいつものような流し口調で未だ机の上にあるテストの山──の隣にある高さの低いもうひとつの山にちらりと視線を送って。何でもかんでもメダカに報告する彼女を見て、心底メダカが人の言葉を理解しなくて良かったと思う。ただのフィールドワークをデートだと思い込むのは当人だけで充分だ。そんな事を考えながら用意した虫かごを分かりやすい所に置いた後ちらりと時計を見ると、そろそろ日が沈み始める時間帯で。大事な生徒を遅くまで残らせるわけにはいかないので、再び椅子に座り「というわけで、明日俺とデートしたいならさっさと帰りなさい。このテストの採点が終わらなかったらフィールドワークは延期だからな。」と、多分いちばん効き目のあるだろう言い回しで帰りを促して。 )


  • No.38 by 御影 みき  2024-05-05 00:03:56 



あ゛……。
こ、今回は頑張ったのに…。

( 今回こそ!と臨んだテストはやはりというかなんというかいつも通りの結果だったらしくわかりやすくガックリと肩を落として。だがしかし彼の言う〝名誉挽回のチャンス〟が与えられているのがいつもの赤点常習犯たちの中でも自分だけなのだと気が付けばんふふ!とさっきまでしょんぼりしわしわしていた顔も一気ににこにことご機嫌に変わり。だがそんな事をしているのも束の間、彼から何よりもみきにとって今現在1番帰宅を促すにあたって効果があるであろうカードをきられてはハッ!と我に返ると「 それはだめ!明日デートは絶対するの!じゃあせんせ、テストの採点頑張ってね!また明日!だいすき! 」と彼の前におやつとしてスクールバッグの中にあったキャラメルとキューブチョコをを差し入れとしてそっと置いた後に最後にいつもの挨拶を付け足しつつちゅ!と彼に向けて慣れたように投げキスを送ってはぱたぱたと騒がしく準備室を出ていき。 )



  • No.39 by 鳴海 司  2024-05-05 00:40:19 




頑張りだけは伝わってるんだけどな、頑張りだけは。

( あからさまにへこんでいる彼女を見てフォローを入れたが、即座に回復したその様子に苦笑をこぼし。これだけ元気なら、今年の夏休みに行う予定の補習は少し厳しくしよう。と若干の遠い目をしつつまだ先の予定を頭の中で雑に組んで。バタバタと帰り支度を始め、マシンガンのように喋った後は嵐のように去っていく。扉から出て行く背中に向けて「おー。気をつけてなー。」と軽く返すと、突然戻ってきた静けさに台風一過に近しい感情を覚えて。置き土産のキャラメルを手に取り、ほんの少しだけ柔らかくなり始めているそれを口に含んで。本来こういった菓子等は学校に持ち込んではいけないのだが、そこに厳しく目くじらを立てるのはベテランの先輩教師方。しかしこういう物はどの生徒に対しても暖簾に腕押しなので、自分はもはや注意と言えないレベルの口を出すだけにしている。口内にじんわり広がる甘さに「うま。」と一言呟いて、明日のために目の前の仕事を終わらせようとペンを取って。 )


  • No.40 by 御影 みき  2024-05-05 01:17:09 



せんせー!来たよーっ!

( 翌日。そわそわしながら全ての授業を終えて、昨日さんざん悩んでいた髪型はフィールドワーク中でも邪魔にならないように編み込みのお団子ツインテールにしてもらい更にはちょっとだけメイクもしてもらって瞼にラメを散らした女子高生は最強。いつもよりも二割増できらきらした笑顔を浮かべつつ準備室の扉を開けては元気よくアピールをすれば念の為に持ってきた体操着の入った紙袋を掲げて。フィールドワークの意味は昨日の夜バッチリ調べて来たのでこのまま山中に入ろうがどこに行こうが準備万端なのである。「 放課後デート行こ! 」敢えてフィールドワークとは言わずにあくまで放課後デートスタイルを貫くのかにこにこぴかぴかと笑ってはふぐ太郎にもやっほー、とひらひら手を振り。 )



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