2024-04-30 21:16:15 |
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出来が悪い上に重いので投下するつもりは更々なかったけど裏設定として一応練っていたもの。こそっと書き捨てておこう。
〝……隊長!応答を、隊長!……クソッ……、何がお国の為だ、何が大義だ…――真っ先に逃げおおせやがって!〟特殊任務は敵の増援により失敗、銃撃戦の末に敵地において包囲されるという絶望的状況を悟るやいなや、一早く新兵混合の小隊を囮に安全圏へと逃走した上官への苛烈な恨み節を。以降も無線機へ生死不明の仲間に対する呼びかけと孤立した自身の潜伏場所を報せる年若い男の声が響いていたが、やがてそれも無音の絶望をもって地へと叩き捨てられて。そんな無思慮な音に喚起されてか、不意に遠方から此方へと近付く不明の足音に詰まる息。暫し間を置いて辿々しい銃の装填音と共に、ガチガチと歯が自身の銃口を無為に食む、自決の覚悟すら決まらぬ音が幾らか鳴った後、やがてそれすらも緩慢に下ろされてしまい。〝……嫌だ、いやだ……死にたくない……。――母さん。〟最早明々に真隣へと近付く足音、その無骨な軍靴の音が自身の装備と全く同一の物である事にも気が付かず、怯懦に震え切った啜り泣きが微かに響いた所で。
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