継 2024-04-18 08:43:30 |
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【死にたがり神父と堕ちかけ天使】
昔々ある所に一人の神父が死にたがっていました。
数年に及ぶ東西の国による戦争で両親を亡くし、友人は戦地から帰って来ず、
神職ゆえ数々の屍と相対する日々に神父は祖父の家にあった一冊の魔法陣の描かれた本を手にしこう思いました。
『──…悪魔にお願いして皆殺して僕も死ぬか…』
余り書いてあることは理解していなかったけれど魔法陣は見様見真似で描けそうだし変わり者の祖父だった故にこれは屹度悪魔召喚の儀式を行えるのだろうと縋る思いで教会の中庭にて召喚の儀式を始めました。
鈍く眩く円形の光の中から出てきた人の形をした何かは悪魔的な何かではなく、何方かと言えば天使に近いものでした。──毛髪と翼が3分の1ほど黒く染まった異様な出立ちの御使でした。
『こんばんはァ、神父さん。…いきなりだけど俺困ってンだよ、…助けてくんね?』
『……!……!?…思っていたのと違う…!!』
願いを叶えてくれそうに無さそうな本来なら崇める存在に近いそれに戸惑いを隠せず、それを無視して説明する天使の様な何かはこう言いました。
天界に帰りたいけれど御使の同僚に嵌められ冥界に住む黒い天使に堕とされそうだと言う話。
黒い天使に今なってしまうと数多死が蔓延する現状ブラックな職場過ぎて嫌だと言う話。
『──…で、アンタのこの先の運命の中で3つ…岐路があって。そこでの善行に手を貸すとこの戦争が終わるしこの国の死者も減るっつー話で、俺の上司もその上もそういう感じにしてェし俺も成功したら復職出来るんだけど。手伝ってくんね?』
『…マッジで帰ったりしてくれないのか?』
『んは、辛辣。チェンジは不可なんだなァ、これが』
本来なら悪魔を呼びたかったのになぜこんな事に、と面倒ごとになった予感しかしない神父は苦虫を噛み潰したような顔をしました。
さて、役目を終えるか黒い天使に染まり切らないと帰れない天使と契約してしまった運の無い神父は果たしてどういう結末になるのでしょうか──。
>>続…?
( / そんな感じでバーッと仕上げてきたよ。本当は崇臣君の苗字からシープヘッドだったので悪魔の想定もあったのだけれど話の作りとして天使の方が話を纏めやすいからこうなりました。暇な時にでも読んでみてね )
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