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令和3年2月
東京都某区
沢山の人々が行き交う東京。
都道府県各地の文化が融合した事なだけはあり、ビル街や街並みも様々な顔を見せている。
そんな街並みを疲れきった若者が歩いている。
いや、文明の早さに必死に乗ろうと躍起になり、疲れているのは老若男女同じかーー
ネクタイをだらしなく緩めてスーツを着崩し、寝癖頭で歩くこの若者は『萩原 昂』(ハギワラ コウ)
一般企業に務める所謂社畜である。
だからこそ昂の歩いている時間帯が深夜だとしても何ら不思議な事ではなかった。
(やっぱ冬は東京でもさみぃな)と昂は心の中で呟く。
昂は自分のアパートへの帰路に着いてる途中だ。
それにしても今日は一段と寒い。ただでさえ寒がりな昂はアパートまでの道程をいつもの近道で帰ることに決めるーー
そこは本当に東京の都心なのかと疑いたくなる様な程に人もほとんど居なかった。いや、日中は普通に居るんだろう。
それでもこの時間帯…深夜2時に居ないのにはちゃんとした理由があった。
昂が近道にしている路地の途中に古びた神社があったからだ。昼間ならばともかく、こんな深夜に好き好んでそんな如何にもな場所を通るのは初めて来た人間か、余程の変わり者くらいな者だろう。
【昂】
(ん?あれって…)
昂は鳥らしきものが地べたに倒れているのを見つける。そうして近づいてみると、どうすればこんな状態になるのかと不思議に思うほどに小鳥の内臓は酷い状態で抉り取られていたーー
(こりゃどう見ても信じ待ってんな)
その思考と共に彼はいつもは素通りするボロ神社(昂名称)に寄って小鳥の臨時墓碑を建てることにする。
【昂】
「相変わらずひでぇ神社だな。」
そう毒吐きながら境内に入るとなるべく他人に踏まれないような場所を探す。するとちょうど良さげな場所を見つけた彼は「ここなら安心かな」と安堵しながら鳥を埋めるための墓穴を掘っていく。
【昂】
「普段何の役にも立ってねぇんだから仏さんの世話ぐらいはしろよな。」
そう独り言を漏らしながら小鳥の墓をしっかりと建てると、臨時墓碑の小鳥の墓に向かって手を合わせながら在りし日の小鳥を思い浮かべながら3分間の黙祷をする。
自由の空を舞う小鳥達ですらこんな状況なのだ。地面にいる昂達人間ではもっと自由がないのは分かりきっている。
それでも人は無理矢理自由を演じようとする
一通り黙祷し終えると、律儀に小銭を賽銭箱に入れながら手を合わせながら鳥の面倒を見てやってくれと深くお辞儀をする。
これで自分の役目は終わったかなと心の中で呟きながら踵を返してさっき通った鳥居をまた潜る瞬間ー
『ありがとう。輪廻転生の輪に戻してくれて…』
昂が「え?」と呟きを返して辺りを見回しても人影など誰も見当たらなかった。
だが確かに聞いた。女性の声だった。
【昂】
(疲れてんだな…)
そう思い直して鳥居から出た瞬間だった。
眩い光に包まれて彼は思わず目を瞑った。
そうして光が止んだ頃に再び目を開けてみるとそこには信じられない光景が広がっていた。
先程まで東京のど真ん中に居た筈なのに。もっと言えば地上に居た筈なのにいつの間にか空飛ぶ島々の上に立っていたのだ。
(とうとう幻覚でも見たか?)と内心混乱しながら地面を触ってみると、草木の感触が伝わってくる。
それだけではなく、草木の匂い、虫達の鳴き声の音楽が昂を包み込んでいた。
昂はそれを聞いてるうちに(あぁ、こりゃ俺も過労死したパターンだ。)と頭を両手で抱えていた。
全く見覚えの無い島々ーしかもその島々が空に浮かんでるとなれば誰もが天国を想起するのは無理もないだろう。
オマケにいつの間にかさっき通った鳥居が消えてしまっている。
退路は完全に絶たれてしまったという訳だ。
こうなったら進むしかないと決めた昂は当てもなく島々の探索をする事にする。
という以前に探索しなければ帰る方法が見つからない。
そんな彼に呼び掛ける黄色い声-
【???】
「ねぇ、ねぇってば!!ちょっとそこのボサボサ頭!!」
昂は(今流行りだし)と心でボヤきながら声の方へと顔を向ける。
するとそこに立っていたのは金色と紫の混じったロングヘアーを撫で下ろし、童顔で目はクリっとした感じの顔立ちで背中から大きな翼が生え、洋風のドレスを身にまとった少女だった。
【昂】
「こりゃ過労死してるパターンだ」
そう呟きを落としながら心底うんざりしていた。
何故なら明らかに天使みたいな女性が立っているからだ。
でもまさか自分が天国に行けるとはー
そこで昂は彼女の名を聞いてなかった事に気付くとさり気なく彼女に名前を尋ねるが、染み付いた社畜習性の性か自分から名乗る
【ミア】
「○×商事??変な組織ね。あ、あたしミア!!『神原ミア』!!よろしくねコウ!!」
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