匿名さん 2024-01-18 21:20:33 |
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鮫島旭
「………維持と、筋肉増やすにはこれくらい食べないと追い付かないんですよ。」
(あくまでもスマホから顔は上げず、先輩の声に素っ気無く答える。─と言うかむしろ、今の注文した料理のカロリーでようやく現状維持レベルだ。追加でもう一品くらい頼まなければ筋肉が増えない。そうこうしているうちに先ずは大きめのジョッキに入った生ビールが運ばれてきた。軽く会釈してそれを受け取り、携帯を片手に3分の1程の中身を一気に飲み干して。)
五条悟
「真面目だねー、彩莉菜は。こんなのテキトーで良いんだよ。」
(彼女のまとめた報告書に目を通すと、あの頃から何も変わらない─生真面目さが文章の節々から滲み出ていた。先程と同じニコニコとした笑顔を浮かべながら、思い切って彼女の頭にぽすんと手を置いて茶化すように笑ってみる。その後にだってどれだけ祓ったかとか覚えてないもん、と付け加え、頭の上で腕を組んで─その場で椅子ごと一回転し。)
五条悟
「へー…それがパワーの秘訣なんだ。大変なんだねー」
(やはり食べたものは筋肉に変わるらしい。あれだけのパワーを出すためにはこれくらい食べないといけないってことか。うんうんと納得しながらもいつもの調子で他人事のように告げる。話していれば飲み物が届いたようだ。旭はジョッキを手に取ると3分の1程一気に飲んだ。飲みっぷりも良い。見ているだけで気持ちが良い。じっと旭の飲みっぷりを目隠し越しに眺めていて。)
胡桃沢彩莉菜
「…学生の時もそんな事言われた気がする。」
(テキトーで良いと頭をぽんとする彼。あの頃も、よくこうして真面目な私に力を抜くように言っていた気がする。何に対しても真面目だった私に彼は真面目だと茶化しながらも力の抜き方を教えてくれた。彼がそうしてくれていなかったら1人で頑張って抱えて挫折していたかもしれない。あの頃を思い出しクスッと笑みを浮かべ呟く。)
鮫島旭
「………いただきます。」
(適当な返答はいつもの事なので聞こえなかった振りをして携帯を触り続ける。─ところで、食事する度に常々疑問に思っていたのだが─何故この先輩は自分が酒を飲んだり、物を食ったりしている姿をやけにじっと見つめてくるのだろうか。そんなことを思っている内に、唐揚げと焼き鳥が運ばれてきた。携帯を一旦テーブルに置いて箸を手に取り、手を合わせてから唐揚げを箸で摘んで口の中へと放り込む。ついでにビールも呷った。皿にこんもりと盛られた唐揚げは一つあたりでそれなりの大きさがある筈なのだが─数回の咀嚼だけで、あっという間に口の中へと消えていって。)
五条悟
「あれー、そうだっけ。案外あの時から変わってないんだね、僕。」
(頭に置いた手の平から感じる髪の感触に目隠しの下で目を細めていると─彼女から掛けられた言葉にふと首を傾げた。─確かに学生時代、真面目な彼女が可愛らしくてちょっかいをかけていた覚えはある。その事だろうか、とぼんやりながら一瞬は思考したものの、直ぐにそれは脳内で放棄された。自分が至極適当に書いて済ませた報告書は、既に逆側の位置に山積みになっていて。)
五条悟
「え、もう唐揚げ食べちゃったの?僕少し貰おうと思ってたのに。」
(旭の飲みっぷりをじっと観察していれば、唐揚げと焼き鳥が運ばれてきた。旭は早速唐揚げを食べ始めたようだ。唐揚げ1つはとても大きく何回も咀嚼しないと食べられないくらいであるはずだが、旭は数回の咀嚼で食べてしまう。やっぱり旭の食べっぷりは見てて気持ちが良くて飽きない。ニコニコとしながらビールを呷りながら唐揚げを食べる旭を見ていてはいつの間にか唐揚げが皿から全てなくなり完食していた。1個くらい残してくれるかと思っていたのに。ムッとしてはブーブーと文句を垂れて。)
胡桃沢彩莉菜
「学生の時はそれでも良かったけど、今は駄目。…ちゃんと丁寧に書いて?」
(あまり覚えていない様子の彼に何気なくしていたことだったのだろうかと思いながら、彼の作成した報告書は逆側の位置に戻した。それに気付いた彼に目を向ければ、やはり適当なのは駄目な事であるため優しく諭した。もう大人であるし、そういうところはきちんとしないといけない。生徒にも影響が出てしまう。生徒の彼に対する扱いから反面教師になっているような気はするが、きちんとすることに悪い事はないだろう。笑みを浮かべ丁寧語で先生と敬称した。)
「生徒の見本になってください?五条“先生“?」
鮫島旭
「…………」
(機嫌良く唐揚げを完食したところで、先輩の文句が聞こえてきた。─一応、今口に放り込んで咀嚼しようとしていた最後の唐揚げが残ってはいるが、一度口に入れたものを出して他人に渡すなんて─それこそ言語道断だろう。─何よりそんな不衛生な事、頼まれてもしたくない。かと言ってずっと文句を垂れられるのも面倒なので─仕方無しに大皿に盛られた焼き鳥の串を一本掴み、文句を垂れるために開いている先輩の口にそれを押し込んで、無理矢理押し黙らせる。その後近くを通った店員を呼び止め、中身の減ったジョッキに目線を落としてから追加注文を告げて。)
「…あ、すみません。唐揚げ大盛り、一皿追加で。後…ビール、もう一杯貰っていいですか。」
五条悟
「えー…彩莉菜のケチ!真面目!」
(彼女の言葉にわざとらしく泣き真似と文句を一つ、鼻をすするような仕草をしながらも─普段ならば知らない、と突っ撥ねるところだが、彼女から言われたとなれば仕方無しに報告書に手を付けた。─が、矢張り慣れないことはするものではない。集中していたのは最初の数分程だけで、直ぐに集中力が切れては椅子に背中を預けて倒れ込み。)
五条悟
「旭から食べさせて貰っちゃった♪」
(文句をブーブーと垂れていると、焼き鳥を口に押し込まれた。一瞬面食らい文句は止み黙る。やったー!旭に食べさせてもらった!意図せずとも食べさせてもらった事が嬉しくて機嫌を直せばもぐもぐと焼き鳥を咀嚼して。でも本音を言えばあの口に入れた唐揚げが良かったけどね。旭は店員を呼んで唐揚げを頼んでくれている。まぁ、焼き鳥食べさせて貰えたし良いか。焼き鳥を食べ終えれば上機嫌に告げて。)
胡桃沢彩莉菜
「もう集中切れちゃったの…?」
(泣き真似して文句を言っていた彼だが、報告書に手を付け始めた。その様子に安堵し小さく笑みを浮かべ私も集中して手を付ける。だが彼は数分程で椅子に背中を預け倒れ込んでしまった。困ったように呟きどうしたものかと思案する。諦めて私が書くしかないかな。彼の分も私がしようと手を伸ばそうとしていては近くの席の硝子が「ご褒美でもやればやる気出るんじゃないか?なぁ五条?」と声を掛け彼に訊ねている。)
鮫島旭
「………そうですか、それは良かったですね。」
(─図らずも上機嫌になった先輩を何処か冷めた目で見遣る。感情の籠もらない棒読みで先輩の言葉に返答しつつ、焼き鳥の串を2本一気に掴んで─串に刺さっている肉を歯で一気に引き抜き、咀嚼して飲み込んだ。先程から妙に店内中の視線を感じる。─恐らく、自分が一人で数人前レベルの量を食っているからだろう。ジョッキの中に残ったビールを一気に飲み干し、空になったそれをテーブルに遠慮しつつも叩き付けた。─と、そうこうしている内に唐揚げとビールが運ばれ、運んできた女性店員は空の皿と自分の顔を見比べながら『お客さん、凄いですね』と驚いたような声を上げつつも─居酒屋の店員らしく明朗に笑う。生徒達に向けるような笑みを返し、軽く頭を下げて。)
「…ええ、まあ…結構鍛えてるんです。これくらい食べないと、すぐにお腹が空いてしまって。」
五条悟
「あ、それいいね。硝子ナイス!」
(少しの間椅子に背中を預けて脚を組んでいたが、ふと家入から掛けられた言葉にぴくりと反応する。─さて何を要求してやろうかな、と悪戯を考える子供のように浮き足立った思考のまま、背凭れから勢い良く身体を起こしては彼女の方を向き、机に頬杖をついた。んーっとねえ、とわざとらしく間延びした声を上げながら首を捻った後─普段の笑みを一層深くして、彼女の顔をじっと覗き込み。)
「じゃあ、これ全部終わったら…キスしてよ。あ、勿論口じゃなくていいからさ。」
五条悟
「細身に見えるけど意外とバキバキなんですよー。」
(冷めた目で棒読みの返答をする旭を気にすること無く上機嫌のまま食べっぷりを眺める。周りも旭の食べっぷりにおどろいているらしく視線を感じる。そうなんだよ、旭は凄いんだよ。と何故か僕も嬉しく自慢したくなってくる。そうしていると店員が唐揚げとビールを運んできた。店員は驚いた様子で声を掛けている。それに旭は生徒達に向ける笑みで返している。この子は旭を狙って声を掛けているのか、それとも純粋に凄いと思って声を掛けているのか何方だろうか。何れにしても旭が女の子と話しているのは気に食わなく僕も話に加わる。)
胡桃沢彩莉菜
「え……キス…?」
(硝子からの言葉に彼は反応を示した。私が何か言う前にもうご褒美を何にするか考えている。此方を向き頬杖をついて考える彼を見ていればキスをして欲しいと言う。そんな事をお願いされるとは思わず目を瞬かせ頬に熱が集まる。言い出しっぺの硝子に助けを求めようと硝子を見るが休憩に行ったのか既に姿は無く。逃げたな…。ムッとしながらも自分で思案する事にする。先程の彼の感じであればこれを全て終わらせるなんて出来そうにない。出来ても半分ほどではないかな?それでもやる気を出す気になったのなら。そう思い彼に目を向ければ小さく頷いて。)
「………分かった。ちゃんと丁寧に書いて全部終わらせられたらだよ?」
鮫島旭
「……そうですね、王道だと…スクワットとかでしょうか。正しい姿勢でやると、結構なカロリーを消費できますよ。」
(─流石接客業と言うべきか。女性店員は急に話へ入ってきた先輩に驚くでもなく、掛けられた言葉に『そうなんですか!』と目を見開きながら─少々大袈裟に見えなくもない相槌を打つ。そして彼女は続けて『最近運動不足で。良い筋トレとかありませんかね…』と眉を下げ、困ったように笑いながら頬を掻いた。その呟きに首を捻り、当たり障りの無い返答を返すと─彼女は今にもメモを取り出しそうな程真剣極まりない表情でふんふん、と相槌を打ちながら首を縦に振るものだから─そういう動作をする玩具のように見えて、思わず笑ってしまう。途端、彼女は慌てた様子で唐揚げとビールをテーブルに置き、『あ、急に話しかけてしまってすみません!これ、ご注文の唐揚げとビールです!』自分達にぺこり、と頭を下げては別の注文を取りに向かった。その背中を見送り、ふと─彼女にするならああいう屈託の無い元気な子が良いな、と脳内で呟いた筈が、知らぬ間に口に出ていたようで。)
五条悟
「はーい、じゃあ頑張ろっかな。」
(巻き込まれたくないのか早々に職員室から消えた家入には、後でお礼代わりに日本酒でも渡しておこうかな─とぼんやり思う。恐らく全部終わらせられない、と思っているのだろうが─彼女の同意も得た。半分ハイになったような状態で報告書に取り掛かれば、先程とは比べ物にならない程の集中力で次々に終わらせ始めて。)
五条悟
「なに旭、ああいう子がタイプなの?…傷心したばっかりなのにもう別の子なんて、旭ヤラシイー」
(急に話に入るも、店員は驚く様子もなく相槌を打った。そして旭に話を振っている。旭も返事をしており、2人の様子を観察する。楽しそうに会話しており旭も満更では無さそうだ。…面白くない。内心ムッとして嫉妬しているがそれは表面にはなんとか抑え様子を見る。どうやら話は済んだようで店員が去って行った。やっと居なくなったかと内心安堵していては旭が彼女にするならああいう子がと呟いた。折角傷心しているから励まそうと思ってきたのにもう次の子に手を出す気か。嫉妬を燃やしながらも表面ではいつも通りに茶化しながら手で胸元を隠すようにして告げる。)
胡桃沢彩莉菜
「……さっきと全然違う。」
(同意をすると、彼は返事をした後報告書に取り掛かる。私もしようと再開をして程なくした頃様子を見てみる。すると彼は集中しておりどんどんと報告書を終わらせている。半分程は出来ているのでは無いだろうか。でも、さっきみたいにちゃんと書いてないかもと出来ている方の書類に目を通す。完璧とまではいかないが先程よりも丁寧に書かれている。これは本当に終わらせそうな勢いだ。でもまだ分からない。飽きっぽくて自由な彼なら途中でどうなるか分からない。そう考え私も作業に集中して。)
鮫島旭
「……五月蝿いですね…俺がどんな子と付き合おうが、俺の勝手でしょう。下らないこと言ってるとまた唐揚げ全部食べますよ。」
(あの店員は何処となく、雰囲気が詩織に似ていた─思っていたことが口に出ていたのか、と自覚したのは先輩に指摘された後だった。下らない仕草で茶化してくる先輩を横目で睨みながらも、不貞腐れる代わりに運ばれてきたビールを一気に呷り、唐揚げと焼き鳥を交互に口に放り込んでは─ビールで胃の中へそれらを勢い良く流し込む。暫くそんな事を繰り返している内、酒に弱い方では無いものの流石に酒が回ってきたらしく─若干頬が熱を持ち、赤くなってきたのが自分でも分かった。まだ呂律はきちんと回っているし、思考回路もしっかり働いてはいるが─今口を開けば何かしらやらかす可能性は無きにしも有らず、と言った所だろう。会話を一旦区切り、眼の前の唐揚げを咀嚼することに集中して。)
五条悟
「…終わったー!」
(自分にしては珍しいが集中力が切れることもなく、報告書を次々に片付けていく。数十分程経った所で─最後の一枚への記入が終わり、眼の前に積み上がっていた大量の報告書はすっかり消え失せていた。すっかりご機嫌な様子で仕事中の彼女をじっと見つめ、彼女の仕事が終わるのを今か今と待ち侘びる。家入に渡す酒は何にしようかな、とぼんやり考えつつ彼女の横顔を見つめていて。)
五条悟
「ごめんごめーん。もう言わないから唐揚げは残しといてよー。」
(どうやら自然と口をついてでていたようである。茶化すとそれに気付いたようで僕を睨むとビールを一気に呷り唐揚げと焼き鳥を交互に口に入れている。その食べっぷりに目を見張りながらも旭の言葉にいつもの調子で謝り唐揚げを箸で取り1つ貰う。こんな大きい唐揚げをよく簡単に食べられるな。流石旭だ。何回かに分け咀嚼して食べる。その間にも旭は食べて飲んでを繰り返していた。旭の顔が若干赤い気がする。それに急に話さなくなった。もしかして酔ってきたのだろうか。旭の顔の前で手を振りながら声を掛ける。)
「旭ー。顔赤いけど酔ってきた?」
胡桃沢彩莉菜
「…出来た。………あれ、五条くんもしかして終わったの?」
(作業に集中しており、数十分程して作業に区切りが付き息をついていては横からの視線に気付いて。彼はご機嫌そうに此方を見ている。ちらと書類の山があった方に目を向ければそこには書類がなくなっていて。これは全て終わったということに違いないのだろう。そう思うが念の為に確認してみることにする。まさか本当に終わらせるとは。しかも早いペースだった。彼はやれば出来るんだ。感心しながらも彼に目を向け首を傾げて。)
鮫島旭
「………酔ってないです。」
(眼の前で手を振られると普段よりも少しじとり、とした眼差しで先輩を見つめながら言葉少なに返答を返す。何杯かビールを頼み、テーブルには空のジョッキが大量に並んでいた。─家入先輩程では無いが、自分もかなりザルな方ではある筈─苛立ちを紛らわす為に酒を飲みすぎたらしい。もう何杯目かも忘れたビールのジョッキを運んできた先程の彼女は、『あの…余計なお世話かとは思いますけど、飲み過ぎじゃないですか…?』と心配そうに尋ねてきた。大丈夫です、と答えようとした拍子に彼女の手に自分の手が当たり、思い切りビールをジーンズに溢してしまう。彼女は慌てた様子で『すみません、すぐに拭きます!』と言いながら布巾を持って来ては、席の近くにしゃがみ込みながらジーンズを拭き始めて。)
五条悟
「勿論。ちゃんと終わらせたよー!」
(彼女の言葉に首を縦に振った後─何故かドヤ顔をしつつ、机に両肘を付いてあざとく首を傾げてみせた。だからご褒美ちょうだい、と子供のように強請りながら、座っている椅子ごと彼女の方へ少しずつ近付いていく。目隠しは取らないまま顔を寄せ─我ながら整った顔立ちを彼女の眼の前へと持っていって。)
五条悟
「はいはーい、それは僕がやるから君はもう戻って良いよ。」
(旭の目の前で手を振るといつもよりもじとりとした視線を向け言葉少なに否定してきた。空のジョッキもテーブルが埋まるほど置かれているしこれは流石に飲み過ぎだろう。ビールのジョッキを運んできた店員も飲み過ぎではと言っている。また話し掛けてきた。内心ムッとしていたところ旭が店員の子の手に当たりビールをジーンズに溢した。店員の子は慌てて布巾を持ってくるとジーンズを拭いている。それを見ては流石に我慢ならなくて2人に近寄ると布巾を取って、店員の子にはにこりとした表情で告げる。)
胡桃沢彩莉菜
「え…あ…ぅ…………こ、これで良い…?」
(確認してみたがやはり終わったようで、ご褒美をちょうだいと椅子ごと近付いてくる。椅子がくっ付くくらい近付くと顔を近付けられる。目隠しはしているが相変わらず綺麗な顔で。目の前まで顔を近付けては私がキスする事を待っている。今職員室には誰も居らず2人だけだ。狼狽え頬を赤らめながらも覚悟を決めてはそっと頬に唇を寄せると頬にちょんと唇を押し付けて。そしてすぐ離れては椅子ごと動き距離を取り赤くなった頬を隠すように横を向きながら訊ねて。)
鮫島旭
「…………」
(ジーンズを拭き始めた矢先、先輩に布巾を取り上げられた彼女は『え、でも…』と何処か困惑したような声を上げていたが─先輩の有無を言わせぬ雰囲気の笑顔を暫く困ったように見つめた後、やがてその顔は至極申し訳無さそうな表情に変わり─『あ…じゃあ、お願いします。すみません!』ぺこりと効果音が付きそうな程深く頭を下げながら、慌てた様子で別の客の注文を取りに向かった。─良く冷えたビールがジーンズに染み始めて、少しばかり肌寒くなる。ぶるり、と小さく身震いしながら先輩を横目で睨み、催促するように声を掛けて。)
「………あの、拭くなら早くしてください。」
五条悟
「うん、ありがと。」
(様子を伺うような恐る恐るのキスだったのと、直ぐに離れられてしまったのは少々残念だったが─自分的にはそれでも大満足で、上機嫌にニコニコと微笑んでみせた。照れてる姿も可愛いなあ、なんて思っている顔を家入なんかに見られたらきっと、暫く大爆笑を伴って揶揄われるレベルで締まりの無い顔をしている気がする。これ以上虐めるのは可哀想だったので、一旦椅子ごと彼女から離れて。)
五条悟
「あ、ごめんごめん!すぐ拭くねー。」
(流石に店員があそこまで親身に拭くのはどうかと思う。普通なら本人に拭いてくださいって渡すだけでしょ。あそこまでするって気があるに違いない。心の中で文句を垂れながら別の客の注文に行った店員の子をにこにことしたまま手をひらひらとして見送る。そうしていると旭から催促される。阻止は出来ても旭に風邪でも引かれては良くない。いつもの調子で謝れば布巾をジーンズに乗せぽんぽんとしながら水分を布巾に吸い込ませる。)
胡桃沢彩莉菜
「もう…やれば出来るんならこんな…ご褒美とかしなくてもちゃんとすれば良いのに…。」
(自分の赤い顔を隠し冷ますのに必死で彼の顔には気付かず彼が離れた気配にほっと安堵する。ドキドキが止まらない…なんで…?こんな気持ちはあの頃のようだ。この想いは抑えないと。頭から気持ちを消すように頑張りながら彼の顔は見ないようにして頬の熱を冷ますように手で扇ぎながらもポツリと告げて。そうしていては、ちょうど終業のチャイムが鳴って。特に残ってしないといけない仕事はないため机の上を整理しては鞄を手に持ち立ち上がって。)
鮫島旭
「…………案外雑じゃないんですね。」
(─まずい、今になって酔いが回り始めてきた。喋る言葉の呂律が自分でも分かる程若干怪しくなり、頭全体にぼんやりと靄が掛かったような感じがする。─今の自分が酔っていると分かれば、確実に先輩に酔ってるの、などとイジり倒されるのは目に見えていた。悟られないよう喋る言葉を必要最低限に絞り、先輩がジーンズを拭く手付きをじっと見守る。高専時代は不注意で何か溢そうものなら注意散漫、だの小学生かよ、だのと散々煽り倒された挙げ句に更にジュースやら何やらの追い打ちを食らっていたが─今ジーンズを拭く手付きからは昔のクソガキっぷりがほんの少しだが消えている気がして。)
五条悟
「僕、褒められないとやる気出ないタイプなんだよねえ。」
(彼女の呟きを耳聡く拾い、椅子から立ち上がって山積みの報告書を手に取った。そうしてそのまま彼女の側に近付き、「じゃ、またねー。」と出来るだけ軽い調子を心掛けて声を掛け、その報告書を学長やら上層部やらに持って行く。─何回かお叱りも喰らったものの─それらは全て右から左へ受け流し、溜息と共に空気中に吐き出した。硝子に渡す酒買いに行かなきゃ、と思いつつ、自分も高専を出て。)
五条悟
「旭が風邪でも引いたら僕の可愛ーい生徒達が悲しむでしょ?まぁ、僕も心配だけど。」
(高専時代はこういう事があった時は揶揄いまくっていた記憶がある。そうしてちょっかい掛けるしか旭を構う術が思い付かなかった。まぁ、今も似た様なものだが少しは成長しているつもりだ。旭もそう感じたのか雑じゃないと言われた。またあの子が来て旭にベタベタされるのが嫌なのが1番の理由であるが、旭が風邪を引いてしまうのも心配であり。後者の方を告げる。拭きながらも本当に思っているのかいないのか分からない調子で告げた。そろそろ乾いてきただろうと確かめる為に旭のジーンズに触れて。)
胡桃沢彩莉菜
「…うん、またね。」
(彼はご褒美など何も無ければやる気にならないらしい。それはそれで彼らしい気もする。どうやら報告書を提出するようでそれを見送り手を振った。鞄を手に挨拶をしてから彼より一足早く高専を出て。_次の日、同僚だった男と会うため気は重いが約束していたカフェに向かう。ミモレ丈のフレアワンピースにカーディガンを羽織った姿で、恋人役である彼が来るのを待つ。彼に休みの日に会うと思うとドキドキしてあの頃の気持ちを思い出し胸に手を添えて。)
鮫島旭
「……ん…さわんな。」
(自分が無駄な足掻きをしているうちに、酔いは完全に回ったらしい。擽ったくて小さい声が漏れた後─ジーンズに触れる先輩の手をバシ、と思い切り払い除けながら、普段の敬語も取っ払った粗雑な─と言うより、ほとんど元々の─口調で舌っ足らずに告げて先輩を睨んだ。腹いせに眼の前にあった唐揚げを口に放り込み、もさもさと咀嚼して飲み込んではまた食べる─という仕草を繰り返し、酔いが回って据わった目でじとりと先輩を睨んだまま「……だいたいあんた、いっつもうっとうしいんだよ。おれが、やだっていってるのにからんできやがって…」飲み過ぎた酒で脳内のストッパーが外れているからだろう、普段の恨み言が堰を切ったようにぽろぽろと溢れ出して。)
五条悟
「お待たせー、待った?」
(家を出てから、彼女の恋人役を務めるのだから、と少々気合を入れすぎたかもしれない─とぼんやり反省していた。道行く女性の視線が次々に突き刺さって面倒だ。小さく舌打ちをした時、彼女の姿が目に入って─ぱあ、と表情が目に見えて明るくなる。ぶんぶんと大きく手を振りながらそちらに近付き、「ね、今日の僕…変じゃない?大丈夫?」と彼女に問い掛けた。─普段の目隠しは外され、高専時代のような黒の丸いサングラス。ふわふわの白髪は整髪剤で軽くセットし、服装は黒のジャケットに白いタートルネックを合わせたごくシンプルなものだが、どれもブランド品ばかり。そして極めつけには国宝級の美形がその頂点に鎮座する姿で─ジャケットの裾を摘み、首を傾げて。)
五条悟
「旭、やっぱり酔ってるねぇ。」
(そろそろ乾いただろうかとジーンズに触れているといつもの口調とは違う粗雑な口調で手を払い除けられ睨まれた。これは完全に酔いが回ったらしい。舌っ足らずで目が据わっている。ジーンズは乾いていたため布巾をテーブルに置きながら旭をじっと見る。旭は唐揚げを食べていたが僕を睨み、これは本音なのだろうかぼろぼろと不満を口にしてくる。どうやら鬱陶しいと思われているらしい。まぁ、それはいつもの雰囲気からバシバシ感じていたが。こんなに頑張っているのにやはり旭は振り向いてくれない。この際、本音を聞いてみるかと「へー…そんなに嫌なの?僕にちょっかい掛けられるの。」と顔を覗き込み訊ねてみて。)
胡桃沢彩莉菜
「あ…五条く…っ…」
(周りを眺め彼を待っていては聞き慣れた声が聞こえてきて。其方に目を向けると手を振り此方に近付いてくる彼。何時もと違う雰囲気に胸が高鳴り名前を呼んでいたが途中で言葉を失う。目の前まできた彼は変じゃないかと訊ねてくる。変なんてことは無く寧ろカッコ良い。再会してこんな姿の彼を見るのは初めてだった。あの頃のようなサングラスを掛けているが、あの頃より幼さは抜けカッコ良さが増している気がする。ドキドキと鼓動が収まらず、なんでこんなにドキドキしてるの?と気持ちに整理が追い付かないながらも、首を横に振り「…ううん、その…カッコ良いと思う…よ?」と彼を見上げ答えて。)
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