匿名さん 2024-01-18 21:20:33 |
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鮫島旭
「………しつこいですね、嫌だって言ってるじゃないですか。」
(尚も食い下がってくる五条先輩の姿を見ていると─ビキリ、と額に青筋が浮かぶ。ここが職員室で無かったなら、問答無用で─この、無駄に造形の整った顔を一発ぶん殴っているところだ。その様子を見かねたのだろうか、いつの間にか医務室から戻って来ていた家入先輩が「…一回だけ付き合ってやれよ。嫌だったら、そこから断ればいいだろ。」と声を掛けてくる。─夏油先輩が離反した今、唯一尊敬できる家入先輩にそんなことを言われてしまうとどうにも断り辛く、仕方無しに─これ見よがしに長い溜息を吐き出しながら、渋々頷いて。)
「……1回だけですよ。…今日、健人と飲みに行くので…五条先輩もどうぞ。」
五条悟
「んー…ガトーショコラ!」
(彼女からの問いに暫く考え込んだ後、元気よく挙手して答えた。─少し苦いらしいが、彼女が作ってくれるなら問題無く食べられるだろう。机に頬杖をついた家入が口の動きだけで「きしょ」と笑ったのが見えたが、つん、と顔を背けて。)
五条悟
「行く行く!楽しみだな~」
(諦める訳にはいかず食い下がっているとしつこいと額に青筋が浮かんでいる旭。これはそろそろ引いた方が良さそうかと思い始めた時、一筋の光が。硝子が付き合ってやれと言うと旭は渋々了承した。僕には反抗するのに硝子の言うことは聞くってそれはそれで腹が立つが了承してくれたので良しとする。今度硝子に良い酒を買ってあげよう。そんな事を考えながらも旭の言葉にうんうんとご機嫌で頷いて。しかし、今日ということは先程携帯を弄っていたのは七海とやり取りしていたという事だったんだ。諦めなくて良かった!と食い下がった自分を褒めて。)
胡桃沢彩莉菜
「分かった、ガトーショコラだね。」
(彼に何食べたいかと訊ねると元気よく挙手しガトーショコラと答えた。ガトーショコラならレシピもあまり難しくないし作れそうだ。そう思い頷き了承をした。材料も確か今家にある物でできそうだ。今日にでも作って明日渡せそうかな。...それなら今から家に来てもらって夕食とガトーショコラを作ってご馳走するのも良いかもしれない。「そうだ...良かったらだけど今から私の家に来てガトーショコラ食べて行かない?夕食も一緒にご馳走出来ればなって思うんだけど...どうかな?」と伝えてみた。家入も居るのに彼だけ誘うのもどうかなと思い2人に目を向け訊ねてみた。)
鮫島旭
「………そうだ、家入先輩もどうですか?」
(結局五条先輩が来ることになってしまったが─そうなるとどうにも気乗りしない。そう言えば、今日飲みに行くのは─以前、家入先輩が行きたいと言っていた居酒屋だ。そのことを思い出し、家入先輩に尋ねてみた。すると家入先輩は─「お、いいのか?」と乗り気な反応を見せてくれる。このまま何の問題も無く、家入先輩が一緒に来てくれれば万々歳なのだが─と思いつつ、爽やかな笑顔を向けながら頷いて。)
「ええ…家入先輩が来るなら、楽しくなりそうですし。」
五条悟
「勿論行くよー!…硝子はどうするの?」
(彼女からの思わぬ提案に笑顔を浮かべ、了承する旨を告げる。家入にはどうする、と尋ねつつも─暗に来るな、と言わんばかりの圧を掛けた。家入も理解してくれたようで、「いや、私はいいよ…今日も徹夜だろうからな。」と軽く手を振って断り、椅子ごと身体を回転させる─その背中に小さく親指を立てて。)
五条悟
「硝子も来るの?...まぁ、賑やかで良いんじゃない?」
(るんるんと楽しみにしていると旭が硝子も誘い出した。そんなに僕が嫌なのか。硝子も乗り気な反応で。旭と2人きりなのに硝子も誘われたら反対するが元々七海も居る。それなら1人増えても別に構わない。硝子なら察してくれてさっきみたいに助け舟を出してくれる可能性もある。しかし、硝子が飲み過ぎた時がめんどくさいがまぁ何とかなるでしょ。そう考え特に反対せず了承をして。)
胡桃沢彩莉菜
「そっか...頑張ってね。明日持って来るよ。」
(先程の少し不満気な様子の表情から一変し笑顔で彼は了承した。硝子はどうやら徹夜で来られないらしい。それなら仕方ない。残念そうな表情を浮かべながらも明日ガトーショコラを持ってくることを約束した。それなら硝子の邪魔をしないためにも自宅に帰ることにする。荷物を纏めデスクの上を整理すると鞄を肩に掛けて準備を終えると彼の方に目を向けて「五条くん、行こうか。」と声を掛けて。)
鮫島旭
「……じゃあ、授業終わりに─と言ってもまあ、そろそろですけどね。」
(全員の了承を取った後、壁の掛け時計が指す時間に目を遣って─発しかけた言葉を一旦飲み込む。時計の針が定時を指したのを見計らい─デスクの上を適当に整え、椅子を引いて席を立った。「…俺は、七海を迎えに行くので…家入先輩、五条先輩のことは頼みました。」と言い残し、絡まれる前に職員室を後にする。─その背中に手を振って見送った家入は溜息を一つ、五条の方を振り返って「……五条…お前、相変わらず鮫島のこと好きなんだな。……七海に嫉妬とか大人気ねー。」と嘲るように笑って。)
五条悟
「ん。じゃあ硝子、頑張ってねー。」
(彼女の準備が終わったのを確認し、声に答えて立ち上がる。早く行ってこい、と言わんばかりに手を振ってくる家入に声を掛けると─家入は「…はいはい、じゃあな。」と適当な返事を返して大欠伸をした。その後は彼女の隣を陣取って高専を出て。)
五条悟
「うん、大好きだよ。...だって七海、旭に気あると思うんだよねー」
(時計の針が定時を指すと七海を迎えに行くと言う旭。2人にしてはいけないと僕も行くと告げようとするより早く硝子に僕を託すと職員室を出て行った。旭の背中を不満気に見送っていると振り返った硝子が旭への想いと嫉妬について言及してきた。大人気ないと言うがそんなの関係ない。好きな人と仲良くしている奴がいたら誰だって嫉妬するものだ。それに先程の七海、嫉妬をしているような雰囲気だった。油断出来ない。硝子の言及に頷き即答し、その後 声のトーンを下げ答える。)
胡桃沢彩莉菜
「ここだよ、どうぞ。」
(硝子に手を振り職員室を出ると彼と並び高専を出た。_それから彼と他愛ない話をしながら自宅に向かっていると、マンションが見えてきた。高専に勤務することになって高専に近めのマンションに引っ越した。エントランスに入ると鍵で開きエレベーターに乗り自身の部屋の階のボタンを押し部屋のある階まで向かう。エレベーターを降り自身の部屋に到着すると鍵を開けドアを開き彼に入るように促して。そういえば異性を部屋に入れるのなんて初めてかもしれない。部屋綺麗にしてたよね?心配になり外からちらとリビングを見れば特に散らかっておらず安堵して。)
鮫島旭
「……健人、迎えに来たけど…起きてるか?」
(職員室の中の会話など露知らず、七海の家のインターホンを押して声を掛ける。すぐ行くのでそこで待て、と言う旨の返答が返ってきて、大人しく待っていると─それから少しして、普段のスーツに身を包んだ七海が顔を見せた。お待たせしました、と礼儀正しく頭を下げながら出てくる七海を連れ、先に現地へと向かう。─五条の言葉を聞いた家入は乾いた笑い声を上げ、「ま、アイツらは昔から仲良かったからなー…そういう関係になってても、あんま違和感は無い感じするな。」と言いながら携帯の画面を見て─「アイツら先に居酒屋入ってるってよ。」と言い。)
五条悟
「はーい、お邪魔しまーす。」
(高専を出て歩き、彼女と他愛の無い話をしている内に─いつの間にか彼女の家に到着していた。彼女の家に上がるのなど、初めてな気がする。興味深そうに部屋の中を見回し、綺麗に片付いた部屋のソファに腰を下ろして。)
五条悟
「不穏なこと言わないでよ。本当にそうなったらどうすんの?」
(硝子は付き合っていても違和感は無いと言う。確かに学生時代から仲が良かったのは知っている。だが学生時代は学年も違うし2人が仲良くするのを阻止する事は出来なかった。だから偶に会う時があれば必ずウザ絡みしていたけど。僕より七海の方が旭と過ごした時間は長い。そういう関係になっても可笑しくはない。硝子にムッとして言い返す。そうしている間に旭と七海は先に居酒屋に居るらしい。一刻も早く2人の元に向かわなければ。家入に手をひらひらとさせながら「僕先に行ってるから、硝子はゆっくり来なよ。また後でねー。」と告げては硝子に何か言われる前に瞬間移動して居酒屋の前に到着して。)
胡桃沢彩莉菜
「...これ学生の時のアルバム。懐かしくない?良かったらこれ見て待ってて。」
(部屋の中に入った彼は部屋を見回しソファに腰を下ろした。その間にキッチンからオレンジジュースをコップに入れ持ってきてテーブルに置いて。部屋の中を見られるのは少し恥ずかしくて棚から高専生時代のアルバムを取り出すと彼に渡してキッチンの方に向かい。冷蔵庫を確認するとハンバーグでも作ろうと思い材料を取り出すと作り始める。彼に渡したアルバムには皆で写った写真や自身の写真もあるが、あの頃から彼のことを想っていたため彼の隠し撮りしていた写真など、彼の写真を多めに撮っていた事を忘れており。)
鮫島旭
「……お前も相変わらずだよな…また絡まれたのか?」
(店員には後から連れが2人来る、と言って先に自分名義で4人掛けの座敷席を取り─我先にと生ビールを注文した。元気よく返事をして立ち去った店員を見送り、注文が来るまでの暇な時間。隣の席に座る七海に声を掛ければ─七海は少しの間を置いて頷いた後、「…旭も相変わらず絡まれているようですね。」と、普段よりは何処か柔らかい表情で答える。もう慣れたよ、と五条先輩への嫌味を込めて鼻で笑ってやれば、釣られたように七海も軽く破顔した。─一人残された家入は職員室の扉を引き開け、「……ガチ恋初心者ってめんどくせー…」と小さく呟きながら居酒屋へと向かって。)
五条悟
「はーい。」
(本音を言えば、もう少し彼女の部屋を見たかったが─ここは大人しく引き下がり、渡されたアルバムに目を通す。家入や夏油と一緒に映ったものもあれば、彼女と映っているものもある。懐かしいな、と思いながらぼんやり眺めていると─夏油と馬鹿笑いしている自分の写真に突き当たった。だがその写真は、正面から撮られたものではない。少し不思議に思いつつも、彼女が戻ってくるのを待って。)
五条悟
「いたいた!お待たせー」
(瞬間移動で居酒屋の前まで到着すると、店の中に入る。店員が来たため連れが待っていることを告げれば旭達が伝えていたようですぐに分かったようで座敷席に案内される。到着すると中に旭と七海がいるのを見つけいつもの調子で声を掛け2人の向かいの席に腰を下ろす。旭の隣が良かったのに七海に取られていた。旭に気付かれないよう若干七海に無言の圧を掛けて。そして2人に「もう何か頼んだ?」と訊ねて。)
胡桃沢彩莉菜
「もうすぐ出来るよ。...あ!」
(ハンバーグを作ることに決めて、材料を準備して作り始める。程なくしてハンバーグを焼き終えると皿に盛り付け野菜も添えるとダイニングテーブルに並べる。彼に目を向けると、大人しくアルバムを見てくれているようで安堵して。近寄り声を掛けながらアルバムに目を向けると、隠し撮りしていた写真を見られていた。すっかりそんな写真があることを忘れていた。あの後のページにも彼が居眠りしている写真やサングラスを外した姿など何枚かある。思わず声を上げて。)
鮫島旭
「……自分の分のビール、頼みましたけど。」
(店のドアが開き、五条先輩が顔を見せたかと思えば─向かいの座布団へ腰を下ろす。嫌な先輩の顔を見ながら酒を飲むのは御免だったが、かと言って─隣に来るのも余計嫌だ。七海が自分の隣を陣取ってくれていることに少しだけ安心しつつ、先輩からの問い掛けに渋々答える。早く家入先輩が来ればいいのに、と内心思いながら店員が注文を運んでくるのを大人しく待っていた。─一方七海は─五条からの圧など素知らぬ顔で受け流しており、家入はのんびりと歩いて居酒屋の前に到着して。)
五条悟
「んー?どうしたの?」
(彼女が上げた声に首を傾げつつも、アルバムのページをぱらりと捲る。途端、呑気に口を開けて机に突っ伏しながら寝ている─学生時代の自分の写真が目に飛び込んできた。こんな時もあったな、と思いながらその写真を眺めて。)
五条悟
「じゃあ僕も飲み物頼もー。すみませーん、オレンジジュース1つ。」
(何か頼んだのか問うと飲み物は頼んだらしい。それなら僕も飲み物を頼むかとメニューを手に取り眺める。アルコール類は色々種類があるがソフトドリンクは余りないためサッと目を通すと決めて近くを通りがかった店員に飲み物を注文した。そして、2人に目を向ければ頬杖をついてニコニコとしながら「いつも2人で飲みに来て何の話してるの?」と訊ねて。2人が色恋に発展する様な話をしていてはこれは今後も2人で飲みには行かせられない、そう思い訊ねており。)
胡桃沢彩莉菜
「な、なんでもないよ。懐かしいなって思って。」
(思わず声を上げてしまうと彼は首を傾げながらも次のページを捲ってしまった。居眠りしている写真に彼は特に何も言うことも無く眺めている。何も指摘されない事に安堵しては声を上げたことを誤魔化すように伝える。しかしこのまま見ていると彼の写真ばかりなため不審がられ無いだろうかと内心焦るが何も言えず冷や冷やとしながら一緒に眺める。)
鮫島旭
「…………仕事の話ですよ。」
(流石に本人の前で愚痴を言っている、などとは言えず─適当に誤魔化しておく。七海も察してくれたようで、相槌を打つ姿が視界の端に入った。早く家入先輩が来ないものか、と再び思ったその時、居酒屋のドアが開く。家入先輩が此方に手を振りながら近寄って来て、「遅れて悪いな。」と声を掛けてきた姿に─思わず表情が緩み、手を振り返して家入先輩を招いた。家入先輩は「おー、」と軽い調子で返答して席に腰掛け。)
「……すみません、急にお誘いして…どうぞ。」
五条悟
「ん、ホント懐かしいよねー。」
(一瞬だけ、どうして自分の写真しかないのか─と疑問に思ったものの、彼女が隣に来てくれたことでその疑問は霧散した。ニコニコと上機嫌に写真を眺め、自分でも忘れていたような姿の写真などを見つめて─こんなことしてたっけ?と笑って。)
五条悟
「硝子遅かったねー」
(何処か誤魔化している感じの反応に追及しようとしていると硝子が来た。旭は表情を緩め手を振り返している。何その反応…。僕が来た時はそんな反応しなかったのに。心の中は嫉妬で燃えているが表情には出さず僕もひらひらと手を振り硝子に声を掛ける。僕の隣に腰掛けた硝子に旭は謝っている。何この僕との態度の差!僕も先輩なんだけど。腹いせに2人の話に割って入り「気にする事ないって!硝子はお酒飲めるなら別に良いんだから。」と硝子の代わりに答えて。)
胡桃沢彩莉菜
「五条くんよくこんな事してたよ。」
(ヒヤヒヤとしていたが、彼は特に指摘することなく上機嫌で懐かしそうに写真を見ていた。その様子に安堵して隣に座ると私もその当時を思い出しながら笑みを浮かべ答える。ページを捲っていると彼がサングラスをしていない姿で硝子が彼のサングラスを付けている写真があった。「あ…硝子、五条くんのサングラス付けてる。」と呟く。この時、私も付けてみたいなと思ったが言い出せず硝子は直ぐに彼からサングラスを奪われていた。後から硝子にその事を言うと五条に強請れば付けさせて貰えると言われたが結局言い出せなかった。)
鮫島旭
「………」
(五条先輩が割り込んできたことに眉を顰めていると─家入先輩が「気にしなくていい、五条の言う通り…私も飲みたかったしな。」とフォローするように笑う。何か言おうとして口を開きかけた時─頼んでいたジョッキが眼の前に置かれた。苛立ち紛れにそれを引っ掴み、中身を一気に喉へと流し込む。「相変わらずだなあ、」煙草に火を点け、感嘆したような声を漏らす家入先輩には小さく笑ってみせた。家入先輩は煙草を1本吸い切った後、次々に日本酒やら焼酎やらを注文する。自分も料理やら何やらを注文するうち─いつの間にかテーブルの上は空き瓶と空のジョッキ、そして空の皿でどんどん狭くなってきた。─ストレスが溜まっているからか、脳にアルコールが回るのがいつもより早い気がする。「……けんと、みず。」と何処かぼやけた発音のまま、隣にいる七海に水を要求すると─七海は溜息を吐きながらも水を手渡してくれたので─ふにゃり、とだらしなく笑いながらその水を受け取って口を付け。)
「……あんがと、」
五条悟
「うっわ、懐かし…」
(彼女の手を目で追って、ページ内の写真を眺めていると─随分と懐かしいものが目に飛び込んだ。そこには─サングラスを掛けてピースする家入と、夏油に取り押さえられながらもサングラスを取り返そうと躍起になる自分が映っている。あまりの懐かしさに思わず声が出て。)
五条悟
「旭、もう酔っちゃったの?」
(僕との対応の差に腹いせに割り込むと旭は眉を顰めていた。しかし、硝子がフォローしてくれた。流石硝子!硝子ならそうしてくれると思ってた。今度美味しい酒を買ってきてあげないとな。そう思っていると頼んでいたものが届いたようで。旭は相変わらずの飲みっぷりで一気に飲んでいる。それからお酒やら料理やらを頼んでいるうちに旭は酔ってしまったようで。呂律の回らない様子で七海に水を要求している。七海が水を渡すとだらしなく笑い受け取っている。水くらいなら僕に言えば良いのに。僕にああして笑い掛けて欲しい。内心でモヤモヤと思いながらも何時もの口調で旭に声を掛ける。)
胡桃沢彩莉菜
「ほんとだね…この時は言い出せなかったけど、実はこの時私も五条くんのサングラス掛けてみたかったんだ。」
(呪術師ではなく一般の道に進んだ時、アルバムを見返しもう会えないと思うとあの時言えば良かったかなと少し後悔していた。しかし今はこうして一緒に居られて恋人でもある。この当時は想像もしてなかった事だなとページを捲る手を止めていると彼が懐かしいと声を上げている。彼もこの時のことを思い出しているのだろうかと思いながら、今なら言っても良いかなと当時の胸の内を告げて。)
鮫島旭
「……あ゛?」
(アルコールで靄がかってぼやけた頭では、他人の声を聞き分けるのがやっとで─普段の表情を取り繕う暇も無い。あからさまに不機嫌な表情と低く掠れた声で五条先輩の声に答え、首をぶんぶんと横に振った。その拍子にぐらりと身体が揺れ、隣の七海の肩に頭を預ける形となる。七海がいつものように─微かに苦笑いしながら頭を撫でてくれるので、うとうとと船を漕ぎ始めた。家入先輩が堪え切れないようにくすくすと笑っているのが視界の端に映ったが、気にしている余裕も無く眠りに落ちて。)
五条悟
「…ホント?なら、今度持ってこようか。」
(彼女が打ち明けてくれた言葉に、思わず目が丸くなった。そう言えばあの時、確かに彼女も羨ましそうな眼差しで自分を見ていた気がする。学生時代の頃のものは大抵処分したか実家に送ったが─サングラスは確か、まだ持っていた気がした。そう思い、彼女に問い掛けて。)
五条悟
「あ、七海ズルい!代わってよー」
(明らかに酔っているというのに旭は首を横に振った。その拍子に七海の肩に頭を預ける形となった。そして七海が頭を撫でると旭は眠り始めた。僕が旭の隣に居れば僕の肩に頭を乗せてくれていたのに。居てもたってもいられなくなれば七海に抗議をする。しかし、旭を起こしてしまうのは忍びなくて無理に引き剥がすことは出来ず言葉だけで嫉妬を言葉の端々に感じさせながら抗議をする。)
胡桃沢彩莉菜
「良いの?嬉しい。…あ、でもわざわざ良いの?」
(当時の胸の内を告げると、持ってこようかと問い掛けられた。当時のサングラスは無いだろうと胸の内だけ伝わればと伝えたのだが、そう言われるとは思わなかった。しかし、10年程前の思いが今になり叶うとは嬉しくてパッと表情を明るくする。しかし、わざわざ用意してきてもらうのも申し訳ない気もしてきて訊ねてみる。)
鮫島旭
「………」
(アルコールのお陰で周囲の雑音が遮断され、周りを気にすること無く─気分良く寝入っていた。七海は五条の嫉妬心剥き出しの言葉に眉を顰め、首を横に振りつつ─「…お断りします。…五条さんに旭は渡しません。」と答えて─ここからは自分の預かり知らぬことだが、どうやら顔に出ないだけで中々に酔っていたらしい七海は自分にキスをした─そうだ。そう言われても眠っていたので、実際のところはよく分からないが。その様子を見た家入は─「お、やりやがった」言葉の割にはあまり関心も無さそうな様子で声を上げ、尚も日本酒の入ったグラスを煽っている。その顔はほんのりと赤く、ごく微かに酔いが回り始めているように見え。)
五条悟
「別にいいよー。」
(ニコリ、と微笑んで彼女の問い掛けに首を横に振り、顔をじっと見つめた。彼女が喜ぶなら、サングラスを持って来るくらい苦でもない。そういえば、夕食は出来たのか─と思ってダイニングテーブルに目を遣って。)
五条悟
「…七海、お前何したか分かってる?やって良い事と悪い事があるでしょ。」
(僕の嫉妬心剥き出しの言葉に首を横に振った七海は渡さないと断ると旭にキスをした。その光景に目隠し越しに目を見開く。最悪な事が起きた。黒いモヤモヤとした感情が心を埋め尽くし、すんと表情を消すとつかつかと七海と旭の側に回ると七海の胸倉を掴み片手で目隠しを少し上げ怒りと嫉妬が混ざったような瞳を向け睨みながら低い声で告げる。そして七海から手を離し目隠しを元に戻すと旭を七海から引き剥がし、術式で旭を抱え上げれば「…僕が連れて帰る。」と一言告げ札をテーブルに叩くように置けば居酒屋を出て行き。)
胡桃沢彩莉菜
「ありがとう、それならお願いしようかな。」
(申し訳なく思って訊ねるも、彼はニコリと微笑み別にいいよと言ってくれた。彼がそう言ってくれるのであれば言葉に甘えようと思い笑みを浮かべお願いした。そうすると彼がダイニングテーブルに目を遣るのに気付く。そういえば出来たからと呼びにきたのだったと思い出す。「そうだ夕ご飯、あとご飯用意するだけだから座って待ってて。」と告げては立ち上がりキッチンに向かうと茶碗にご飯をよそい、ダイニングテーブルに並べて。席に座ると「食べようか。」と声を掛けて。)
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