人もをし、人もうらめし。(〆)

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匿名さん  2024-01-05 19:35:07 
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  • No.101 by イナリ  2024-02-04 18:55:10 

す、すまーとふぉん…? 今の携帯は斯様に奇っ怪な形をしておるのか…。

(聞き慣れない言葉に戸惑いながらも名称をたどたどしく復唱する。携帯電話だと聞き、まじまじと見つめる。指で直接画面を操作できることに驚き目を見開く。未だに現代的な言葉は言い慣れない。この間ガラケーを問題なく言えるようになったばかりだと言うのに、もう新しい横文字が登場する。変化が早い現代社会にイナリは柔軟に対応できないので少しばかりストレスだ)

我が知っている携帯はガラケーという奴じゃ。斯様に奇っ怪な携帯全くもって知らなんだ。これも「ぐろーばる化」とかいう術のせいなのか。
…のう、お主。買い出しに行く時は我から片時も離れるでないぞ。その…お主の魂は此処に封じられてる故、その姿は我以外には見えぬ。迷子になったら面倒じゃろう?

(思えばイナリは街に行く度に、その変化の凄まじさに圧倒されてきた。また未だに現代社会に馴染めないので走っている車が以前と違うものだった時すら戸惑ってしまう。だからじっくりと人間社会のトレンドや最新技術というものに目を向ける余裕が無かった。昔は政変などはあっても文明の利器が急激に変化する時代ではなかったから、変化が苦手なのだろう。「ヘンゲ」は得意中の得意なのに。未だにイナリのような妖怪を恐れる人間もいるのだろうが、イナリからすれば絶え間なく進化を続け高度化や多様化を実現している人間の方が余程恐ろしい。恐るべし「ぐろーばる化」。そんな恐ろしさの現れか、彼女に自分の傍に居続けるように忠告する。ただし名目上は迷子にならないようにと)

  • No.102 by 日向 静蘭  2024-02-04 19:48:44 


ガラケー…懐かしいわね。私も中学生の頃までガラケーが主流だった気がするわ。スマートフォンも進化が早くて…私でも最新版はよく分からないもの。凄いわよね。

(懐かしい携帯の呼び名を聞けば肩を竦めて笑いつつ、確かに現代社会の技術というか、進歩には驚くことが多い。携帯電話の歴史だって、“平成”の時代だけで見ても30年ほどしかない筈なのに、その間の進化が著しかった。…とはいえ、自分もいつかのテレビ番組で見た知識しか頭にないが。
それに、グローバル化という言葉を聞くところによると、彼は現代にも興味があって、自分なりに現代のことを理解しようとしているのだろう。まぁ、術…ではないのだが、これはなんと説明しておこうか。
そんなことを思いながら小さく笑っていたが、次の言葉には少しばかりショックを受けたようで、顔をぱっと上げると少しばかり間をあけて。)

……私、見えないのね。…良かったわ。途中で生徒とか職場の人達に見られたら厄介だし。
そうね、離れないように、気を付けるわ。

( 口ではそう言うが、その視線は明らかに動揺しているようだった。自らこの社に囚われるよう願い、その後の運命なんて分かりきっていた筈なのに、いざ、周りから存在を認知されないと知ると何とも言えない哀しみが駆け上がってくる。彼が何を理由に離れないように忠告したのか、その本意を知る由もなく、ふらりと歩みを進めると「ちょっと、本殿に戻っているわ」と彼の顔を見ることなく社務所を後にした。)



  • No.103 by イナリ  2024-02-04 21:22:03 

(彼女の話を聞いて再び驚く。彼女の口ぶりからして彼女が持っているスマホは最新のものでは無いのだろう。では最新のものは一体どれ程の進化をしているというのか。まさか四角か形状が変わっているのか。画面に触れることなく念力で動かせるようになっているのか。実際そんなことは無いのだが、イナリは意外に怖がりな性格でもあった。一度警戒したものはこの目で現実を確かめるまで疑い続ける。そういう性格だから突飛な妄想をしてしまう。そんな下らないことを考えている内に彼女が口を開いた。
イナリは掛ける言葉が見つからなかった。彼女の視線は明らかに泳いでいた。そして自分の反応を確かめることなく社務所を後にしてしまった。残されたイナリは何か彼女の気に障ったかと考えるも全く分からなかった。自分は事実しか言わなかったはずだが。いや事実を言われたから動揺していたのだろうか。自分の姿が認知されないことにショックを隠せなかったのだろうか)

…人間とは難儀じゃな

(複雑な人間の心境にぽつりと呟くと、ここは一人にしておいた方が良いだろうと考え、その場に腰を下ろす。今回の件と言い、鳥居前での涙の件と言い、人間と接することが好きな彼女のことだから、やはりショックだったのだろう。イナリのように人間に忘れられた状態が永く続けば別に何も思わないのだろうが。そう考えると自分にはデリカシーが欠けていたかと僅かながら反省する。放っておくとは決めたものの、やはり気になって立ち上がって本殿へ向かう。いきなり声を掛けると吃驚させてしまうかと思い、音を消して本殿まで近付くと少しだけ顔を覗かせ中の様子を伺う)

  • No.104 by 日向 静蘭  2024-02-04 21:57:18 


(本殿に着くや否や、壁に背をくっ付けて縮こまったまま座り込む。髪留めやヘアゴムを外して肩から垂らした黒髪を撫で付けながら気持ちを落ち着かせ、なぜ自分がショックを受けたのか自問自答を繰り返す。自ら愛されることを諦め、孤独でいる道を望んでいた。いっその事みんなが自分の事を忘れてしまえばいいのにと思っていたはずなのに。
受け取ったまま持ってきていたスマホの画面をもう一度開き、そこに映っていたかつての同級生達の後ろ姿を眺めた。そして深い溜息をつくと、昔の思い出に蓋をするように手帳型のケースを閉じた。
自分は何一つ、諦められていなかったのだと気付かされる。心の奥底で、いつか誰かに認められて愛されるのではないかと淡い期待を秘めていたのだ。だからこそ、その期待が報われることは無いと知ってショックを受けたのだ。そして何より、勝手に期待して勝手に失望している自分が情けない。全て、自分の所為なのに。
…未だ哀しい事には変わりないが、涙を流したりすることは無かった。自分の中で気持ちを整理することで幾らか落ち着いたし、哀しんだところで何も変わらない。少なくとも、先程言ったように周りから見えないことで助かることも事実だし、単純に彼と出掛けるのも少し楽しみだし。いつまでもウジウジと済んだ事を嘆いても時間の無駄だと自分を奮い立たせる。

「大丈夫よ」そう自分に向けて呟くと、ゆっくりと立ち上がる。何やら帯を解き始めたかと思うと、彼が覗いているとも知らずにそのまま小袖を脱ぎ出す。彼が気を使ってくれたのか、雨で濡れていたはずの衣服も綺麗にされていた事だし、見えないとはいえ外に出るならば現代の衣服に着替えようと思ったらしい。)

  • No.105 by イナリ  2024-02-04 22:23:52 

……ッ!?

(幸いなことに涙を流していたり嗚咽を漏らしていたりすることがなかったので、一先ずは安心した。自分の想像していたようなショックの受け方はしていなかったことを確認できたので本殿へ入るタイミングを計っていた時だった。徐に立ち上がったかと思うと小袖を脱ぎ始めたでは無いか。あまりに唐突の事だったので、暫くその場に立ち尽くしてしまっていたが、ハッと我に返り屋根の上へ瞬間移動する。万が一にも想像していなかった彼女の行動に八つ当たりの苛立ちを抱きながらも、わざとでは無いとは言え女性の着替えを盗み見てしまった罪悪感と、羞恥心とで心の中は乱されていた。女子の裸体など今更見ても何とも思わなかった筈なのだが、唐突の事だったからか動揺してしまったのだろう。彼女なりの気合いの入れ方なのかもしれないが、後で境内での振る舞いについて遠回しに注意しておくことにしよう。尤も注意をしたとて彼女はイナリが術を掛けなければ境内から出ることは叶わないのだが。暫く屋根の上で気持ちを落ち着かせていたが、やがて屋根の上から降りる。十分程度は時間を置いたので恐らく着替えが終わっているであろうと信じて、本殿に何食わぬ顔を作りながら入る)

  • No.106 by 日向 静蘭  2024-02-05 17:12:35 


(着替え終えると、小袖は丁寧に畳んで鞄の傍へ置いておく。たった1日ほどスーツを着ていなかっただけなのに、えらく久しぶりのような感覚を得るのは、恐らく働いていた頃は毎日朝から晩まで着ていたからだろう。流石に窮屈なのでジャケットは着ないが、白のYシャツとタイトなスーツスカートよりも断然小袖の方が動きやすい事に今更ながら気がつくと、帰ってきたらまた其方に着替えようと内心思う。
ついでに、この2セットの服で過ごすというのもなんだか味気ないので、買い出しの時に洋服も買ってしまおうか…なんて、そんな事を脳内で考えながら自分の財布を取り出していると、ふと本殿に入ってくる彼の姿が見えた。すると、じーっと彼の顔を見てからなんの遠慮も無しに言葉を発する。)

…どうしたの。なんだか顔が変よ。

( 自分のせいで彼が気を遣っているとも知らずに平然とそんなことを言えば、疑わしい目をしたまま尚も彼の顔を見つめた。
変とは言え、その言葉通り変顔なんかをしているのではなく、ただ単に無表情とはまた違った取り繕ったような顔に見えた為、違和感を感じたようだ。まるでやんちゃな男子生徒がやましい事を隠しているかのような顔。
まぁいいわ、と首を小さく振ると相手へ歩み寄り、黄色のシンプルな長財布を手渡して。)

私は居候のようなものだし、買い出しの時は使って頂戴。

  • No.107 by イナリ  2024-02-05 18:00:49 

…誰のせいじゃと思っておるのだ

(彼女から取り繕っていることを見抜かれ、それが此方に落ち度があるような物言いをされれば聞こえるか聞こえないかの小さな声でぼそっと呟く。此方にも過失はあろうが、8割方は其方の責任じゃろう。抗議したくなったが追求されるとイナリが覗きのレッテルを貼られるため、尚も取り繕った顔を続ける)

折角じゃが…これは使えぬな。お主を封じた際にお主の私物も我以外には認知できぬようになった故な。
それに我は富を増やすことなど朝飯前。欲しいものがあれば遠慮なく言うが良い。異論は言わせぬ。我は絶対じゃからな。

(手渡された長財布を暫く眺めていたが、彼女に押し付けるように返す。本当は彼女の私物は問題なく使用できるのだが、嘘をついた。一つは居候の金で買い物をするなぞ名誉に関わると考えたから。もう一つは彼女を解放した後のことを考えていたから。 イナリは彼女をずっと手元に置いておく気はなかった。以前に街へおりた際図書館で読んだ本には、現代人は過酷な労働の割に収入を得ていないと書いてあった。彼女の経済事情は分からないが、何にせよ今ここでイナリが使ってしまっては今後の彼女の生活に差し支えると考えたからだ。イナリは金を稼ぐ苦労を知らない。元よりその手中で富を生み出すことができる妖術を持っていたし、人間たちがお布施もしてくれてたから。その身も心も擦り減らしながら労働の生贄となっていた彼女の苦労は分からない。だからこそ多少の引け目を感じてつまらない嘘を言った。
やはり尊大な物言いをすると、パチンと指を鳴らす。すると耳と尻尾が消え、完全に人間の姿になる。久方ぶりの人間への完全な変化に少し違和感を覚えながらも、彼女の方を向いて問い掛ける)

街までは歩いて行きたいか? それとも我の術で一瞬で行きたいか? 選ぶが良い。

  • No.108 by イナリ  2024-02-08 19:25:04 

(/上げです!)

  • No.110 by イナリ  2024-02-11 12:34:19 

(/上げです!)

  • No.111 by 日向 静蘭  2024-02-11 16:23:35 


( まるで自分の所為と言わんばかりの発言をする彼に、若干眉をひそめながら首を傾げるが、未だ着替えを見られたことには気付いておらず、まぁいいかと肩を竦めた。
次いで差し出した財布を押し返されると、「そうなの?」と短く返して大人しく財布を仕舞った。財布までもが認知されないなんて今まで稼いだお金がある意味無駄になってしまったと少しばかり残念な気持ちと、何も役に立てない情けなさが入り交じる。富までも生み出せる彼には、人間が苦労に苦労を重ねて手に入れるものも、きっと、何でも手に入るのだろうか。
便利だけど、不便だわ、なんて胸の中で呟いていると、指を鳴らす音につられ、完全な人間の姿となった彼を見る。)

………、折角だし、貴方と歩いていきたいわ。
それと、薄々思っていたけれど、貴方ってかっこいいわよね。可愛らしい耳と尻尾がなくなるのは残念だけれど。

(相手のことをじーって見つめていると、移動手段を問われ少し考えた後に歩きを選択する。元々歩くのは好きだし、折角天気が良いのだからのんびりと外の空気を味わいたいらしい。
それとついでに思っていた事を告げると、トントンと自分の頭を指して耳や尻尾を惜しむと、くすりと笑って見せた。)

  • No.112 by イナリ  2024-02-11 17:48:28 

へ…?

(かっこいい、なんて初めて言われた言葉を耳にすると間抜けな声を出して硬直する。かっこいい? 誰が? 我が? なぜ? 理解が追い付いていない頭に耳と尻尾が可愛らしいなどと言われると、頭の上に大きな「?」が浮かび上がり。徐々に言葉の意味を理解するとやや頬を赤らめ、そしてボフッという大きな音と共に変化が解けてしまい。狐の姿で彼女をキッと睨みながら再び人間体へと変化する)

馬鹿な物言いをすると置いてくぞっ!

(変化が終わると言うが早いか飛び出すような勢いで本殿から出ていく。乱暴に指を鳴らすと結界の力が弱まり、彼女が境内から出れるようになる。九尾の狐に対してかっこいいなどという女子なぞ見たことも聞いたこともなかった。彼女は自分が言われ慣れていない言葉を平気で言うのが趣味なのか。此方の反応を楽しんでいるとしか思えない。恐ろしい女子だ。一頻り心の中で彼女を論うと自分も自分だ、と自省する。人間の女子に何を言われようと堂々と受け流す位の余裕を見せつけてやれば良かった。そうだ、自分は妖なのだから。人間の良いようにされて堪るか。決意を新たにするとずんずんと進めていた歩みを鳥居を潜った所で止め、彼女が追い付くまで待つ)

  • No.113 by 日向 静蘭  2024-02-11 19:41:44 


(一瞬変化が解ける彼の様子を、またも肩をビクつかせながらも眺めていれば、飛び出すように本殿を出ていく背中を慌てて追いながらまたもくすりと笑いを溢した。また怒らせただろうかと思いながらも、実のところ容姿を褒められるとどういった気持ちになるのか分かっていなかった。同性からも異性からもロクに褒められたことが無かったし、自分にとってはただの正直な褒め言葉でしかない。恋人は…いたに等しい時期が一度だけあったが、振り返ってみれば何一つ褒められたことは無かった。
 ぼんやりと数年前のことを思い出していると、鳥居の前で一度立ち止まり、向こう側にいる彼を見る。ゆっくりと一歩を踏み出すと、ほんの少し、空気が変わったように感じた。ふと自分の両手をかざしてみると、確かに自分の目にはしっかりみえるのにここからは幽霊同然かとこれまた不思議な気持ちになる。)

 …ごめんなさい。行きましょうか。

(小走りで彼の隣へ追いつけば、上記を述べて歩き出す。妖である彼と、人間であるにも関わらず他者からは見えない自分、未だに現実味はないのだが、清々しい晴空が心地よいのは確かで、無意識に深呼吸をすると静かに息を吐き出す。そして、もう一つ買いたい物があったんだと思い出すと、前を向いたまま問いかけてみて。)

 そうだわ。…私、洋服が欲しいのだけれど、寄り道してもいいかしら?

  • No.114 by イナリ  2024-02-11 20:52:07 

(彼女が追い付くと小さく頷いて歩みを進める。今までは自分一人で歩いていた道も隣に彼女がいると、また違った景色が見えてくるようだった。女子と肩を並べて歩くのは百年ぶりだろうか。女子でなくても人間と歩くのは本当に久方ぶりだった。だからイナリはこういう時、どういう話しをすれば良いのか分からない。百年前であったら雑談も問題なく出来ていただろうが、今となっては雑談のやり方すら忘れてしまった。ましてや横に歩いているのはイナリを惑わす魔女のような人間だ。どう接すれば良いのか。僅かに気まずさを感じていた時、彼女が口を開いた)

うん? 洋服? …構わんぞ。好きなだけ買うと良い。お主がどのような衣を好むのか興味があるでな。

(イナリは現代人のあれこれについて全く知らなかった。街へ買い出しに行っても現代人の服装は目には入るが、いまいちよく分からない。それに、一々服装に気を配る余裕もない。イナリにとって街への買い出しは、平和な世での唯一の乱世であり、自分の正体が露見するかもしれない危険な行為なのである。だから彼女のような現代に生きる女子がどのような服を好むのか知りたい。"幽霊の正体見たり枯尾花"という言葉があるが、いい加減に現代人や現代の技術に驚くのは辞めたい。だから現代人をよく知ることで恐怖心を無くそうとしたかった。いくらでも買っていいという気前のいい発言には、そういう裏が隠されているのだった)

  • No.115 by 日向 静蘭  2024-02-12 09:45:30 

…ありがとう。でも、私、お洒落ではないから…あまり見ていて楽しいものではないと思うわよ…?

(ついでの買い物を了承されれば、小さく礼を述べて。しかし、あまりお洒落に関心がある方では無いし、恐らく現代のファッション というか洋服に興味があるであろう彼の期待に応えられる自信はないとおずおずと言葉を付け足して。実際にはシンプルな服装を好んでいるだけでセンスが無いとかそういう訳ではないのだが、本人曰く、こういう服装を着る自分はオシャレに無頓着なんだと思っているらしい。
兎にも角にも、まずは目的を達成するべくスーパーへと向かい、時々すれ違う人に目を向けていた。知人がいるのでは無いか、と内心複雑な心境になりつつも、他者から見えないのであれば此方から視線を向けてもバレないので気を遣わなくていいな、なんてこともちらりと思ったり。
そんなことを考えながら歩いていると、思いのほかあっという間にスーパーへ着いてしまって。カゴぐらいは自分が持とうと小走りでカゴを取りに行ったはいいが、実体を掴めず、その手は空を握るだけだった。)

……ごめんなさい。私、役に立てることは無さそうだわ。

( 一間、その場で固まるがその手を背に隠して特に表情も変えずにそう言った。実際は何故か手が震えて止まらないのだが、知らないフリをした。
魂は社に封じられ、周りからは見えない。よく良く考えれば物を持てないのも納得がいく訳だが、それでも、映画や漫画などにあるように、自分が死んだと自覚した幽霊のように、動揺が表れる。それでも表情も変えず、震えを背に隠すのは、これ以上情けないところを見せて彼に憐れみを向けられたくはなかった。
「早く済ませてしまいましょう」と涼し気な顔をしたままそそくさとスーパーの中へと進もうとする。)

  • No.116 by イナリ  2024-02-12 12:37:52 

楽しむためでは無い。知るために見るのじゃ

(お洒落だとかそういうことは全く分からない。イナリは最近の洋服の何たるかも知らない。そもそも「洋」に関する知識が昔のままでストップしているのだから。イナリのイメージは未だに貿易港の異邦人、黒船と共に来た外国人、スーツを着て街を歩く大使など時代錯誤もいいところだ。
しばらく歩いていくとスーパーに到着してしまった。分かっていたことだが人が多く大きく溜息を吐く。しかし今日はいつもとは違う。なんてたって彼女が一緒にいるのだから。ここでは頼りにせざるを得ない相棒を一瞥すると小走りでカゴを取りに行ってしまった。焦ってイナリも後に続くが、カゴを握ることができない彼女に後ろから声を掛ける)

いや、大いにある。買うべき物を伝えよ。それとじゃな…その、我から片時も離れるでないぞ

(表情は変わっていないが不自然に背に隠された手はきっと震えているのだろう。彼女に代わってカゴを持つと彼女にやって欲しいことを伝える。それと恥を忍んで改めて傍に居るようにお願いする。彼女は気付いただろうか。彼女が小走りでカゴを取りに行った際、イナリの表情が大きく歪んだのを。境内ではイナリの方が上位であるが、こと文明社会の中では彼女の方が上位だ。だから居てもらわなければ困る。自分本位と言われようが構わない。我はここを無事に脱してみせる──決意をすると彼女の言葉に頷き、横に並んでスーパーの中へ歩みを進める)

  • No.117 by 日向 静蘭  2024-02-12 13:31:32 


…そうね、まずは向こうから行きましょう。

(彼からの声掛けに頷いて改めてスーパーの中を進んで行くと、精肉コーナーから向かおうかと行き先を指さしてちらりと彼の顔を見上げた。するとその時、あ、と小さく声が漏れた。1度離れるなと忠告された時にはその言葉の本意に気が付かなかった。だけれど、今はなんとなく分かってしまった気がする。彼は自分が迷子にならないようにと言っていたが、迷子のような顔をしているのは彼の方だった。はっきりと困ったうな表情をしていた訳では無いが、境内でみる彼とは明らかに雰囲気が違っていた。
しかし、それもそのはずで、変化で体力も消耗している上に、長年生きてきた彼にとって現代人の生活圏は未知で溢れているはず。勝手に現代にもある程度慣れていると思い込んでいたが、携帯の話を思い返せば、自分ですら最新についていけていないのに、目まぐるしく進化していく現代に彼が慣れるのは安易なことでは無いはずだと今更ながらに気がついた。)

…鶏肉と、挽肉も欲しいわ。あと、調味料は向こうね。

( 声が漏れた直後すぐに前を向くと、するりと隣に並ぶ彼の腕に自分の手をそっと添え、そのまま軽く腕を握ったまま歩き出す。傍から見ればカップルが腕を組んで歩いているようだが、自分の姿は見えないし、これはあくまで迷子防止──どちらのとはあえて言わないが── の為だと自分に言い聞かせる。彼が嫌がって此方の手を振り払ったのなら仕方ないと思いつつ、精肉コーナーで肉を選んでは指を指し、きょろきょろと辺りを見渡して他の商品を吟味する。)

  • No.118 by イナリ  2024-02-12 14:09:34 

…ッ
……あ、ああ。これか。…いつもそんなに吟味して選んでおるのか?

(小さく声を漏らしたのが気になってどうしたと問いたくなったが直後に、腕を握られては少しだけ肩が跳ねるも、大人しく受け入れる。いつもだったら「我に安易に触れるとは不敬じゃ!」だの「女子が斯様なことをするとは破廉恥じゃ!」だの言って、さっさと腕を振り払ってしまうのだが、今は状況が違う。例えるなら彼女は異国の地で頼れる唯一の希望の星だ。腕を振り払って彼女が機嫌を損ね、一人帰ってしまったら大変だ──実際には彼女はイナリと違ってそんな短気では無いのだろうが──だから無下にはできない。腕を握ってくれている間は、彼女がどこにも行かないということを確約しているも同然だ。此処は少しばかり恥ずかしいが、周囲にはどうせ見えないのだし、大人しくしておく。それに彼女が触れていると僅かに温もりが伝わり、不思議と心が落ち着く気がする。
とは言ったものの、やはり中々落ち着かない。彼女が指差した商品をカゴに入れ、彼女が吟味している間は、周囲の人間を観察する。相変わらず何をしているのか分からない。耳に何かを挿している者もいれば、四角い時計のようなものを付けている者もいる。「すまーとふぉん」は分かるようになったが、一方で知らないことがどんどん増えていく。いつもは適当に選んで逃げるように買い物を済ませていたから、一つのコーナーに長く留まることがなかった。商品を吟味する彼女の横顔を見つめながら、周囲に怪しまれないように小さな声で訊ねる)

  • No.119 by 日向 静蘭  2024-02-12 14:45:29 


…そうね、野菜やお肉なんかは日によって安いものが違っていたりするから、少し悩んでしまうかもしれないわ。

( 小声で問われた質問に対して言葉を述べながら、尚も商品を吟味してやっとのこと1つを指さした。自分の中では長く居座っているつもりは無いのだが、言われてみれば確かに特定のコーナーでは立ち止まっているかもしれないと思い返し。
しかし、そんな精肉コーナーや野菜コーナーでの買い物を済ませてしまえば、尚も握ったままの腕を引きながら、あとは特に迷うことも無く調味料など必要そうなものをあれこれと指を指す。ついでに彼から直接好物を聞いた訳では無いが、独断と偏見で油揚げも多めに買っておいた。
途中、クセで何度も商品を手に取ろうとしてしまうのが、表情には出ずとも何とも情けなくて恥ずかしく、またも空を掴んでしまった事を誤魔化すように咳払いをした。
そのまま他に何か買うものはあるだろうかと商品案内の看板を見上げたところ、“お菓子”の文字を見て「そうだわ」と何やら思い出したように歩き出した。)

…これ、気に入っていたみたいだし買っておいたら?残り少なかったでしょう?

(そう言って飴玉やグミなどが陳列した棚で指さしたのは、彼にあげたあのいちご飴の商品。元々自分が持っていた分は少なかったし、あの量じゃ物足りなかったのでは、と思ったらしい。「他に買いたいものが無ければ、そろそろレジに行きましょうか。」と他の商品をなんとなく眺めながら言うと、相手の顔を見あげて小さく微笑んだ。)

  • No.120 by イナリ  2024-02-12 17:43:30 

そ、そうか。意外に難儀じゃな…

(やっと彼女が商品を指差すと素早くカゴに入れる。一つのコーナーを離れられると安堵の息を吐く。別に彼女を急かしているつもりなどはないのだが、自然と息が詰まるような感覚に陥るのだ。その後は野菜コーナーや調味料の売り場で次々とカゴに入れていく。テンポよく進んで気分が楽になってきた。また彼女が油揚げを指差した時は破顔しそうな顔を精一杯堪えていた。伝えた訳でもないのに自分の大好物を見抜かれて、しかも多めにカゴに入れられて多幸感に包まれる。いつもは素早く済ませてしまうので、油揚げの売り場には全く見向きもしなかった。早速今日料理してもらおうか。彼女が居なかったらきっと子供のような笑顔を晒していたことだろう。彼女は表情を保つのが上手い。先程から気になっていたが、商品を手に取ろうとして取れないことに気付き咳払いで誤魔化す。こんなことを何度か繰り返しているのに表情は変わってない。恥ずかしさみたいな感情を一切見せない。自分はこんなに表情を変えさせられているのに。いつか彼女の様々な表情が見たい、なんてことを考え出す)

これか! 油揚げの次に好きじゃ!

(お菓子コーナーに着くと彼女から貰ったのと同じ飴があり、またしても目を輝かせる。まだ二個残してあるが、彼女の言う通り買うことにしよう。いちご以外にも何種類かあったので、一通りカゴに入れる。この甘味と油揚げがあればイナリは何でもできる気がする。五百年以上生きてきて、飴と油揚げごときに全能感を支配されるのは傍からみたら情けないだろうが、本人は気にしていない。飴をカゴに入れると彼女の言葉に頷き、少し表情を硬くしながら「…行くか」とまるで合戦の前のような雰囲気でレジへと歩みを進める)

  • No.121 by 日向 静蘭  2024-02-12 18:05:59 


(陳列していた飴の全種類をカゴに入れる様子を見て、可笑しそうにくすりと笑ってみせると、同時に油揚げが好きというのは迷信では無かったかと安堵する。カゴにたくさん入った油揚げも飴玉も無駄にはならないようだ。
いつか洋菓子も勧めてみようかなんて考えながら、レジへ向かう途中でふと彼の顔を見た。その表情は先程よりも固く、殺伐とした雰囲気でレジへ近づいていく姿に、そっと小さく声をかける。)

……カゴを渡して、案内されるまでは待っていればいいわ。精算機の事は私が説明するし、大丈夫よ。そんな顔してたら、店員さんも怯えちゃうわ。

(そう言って握っていた腕を優しくポンポンと叩き、レジの列へと並ぶ。レジでは店員が商品のバーコードを読み取り、テキパキと慣れた手つきで別のカゴへと次々商品を並べていく。袋を貰うよう隣で助言をしながら店員の動きを眺めていると、あっという間にバーコードのスキャンを終え、傍に設置された自動精算機へ案内される。
尚も彼の腕に掴まったまま、ゆっくりと1つずつ操作手順を説明しながら彼が液晶画面を操作する様子を見守っておく。すると、ふと、いつかの仕事帰りにこうして操作方法を教えていた頃をまたも思い出した。あの時の彼の顔は覚えていないが…確か、こんな顔だった…?──気が付くとじっと彼の顔を見あげていて、呟きを一つ。)

…あの時…あれは、イナリ様だったの?

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