匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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む。そうか。
こういうことをされるのはあまり慣れていないよう……じゃな。
(イナリとしては何気なく、ただ寒いと言うから此方の方が暖かいだろうかと思い付きでやった事だったのだが、彼女があまりにも大きく反応するので逆に此方が気まずくなってしまう。彼女の今までの事を考えると仕方の無いことで、安易にこんなことをするイナリに非があるのかもしれない。
チラ、と隣の彼女に視線を向けると、此方に同じく視線を向けていた彼女と目が合う。そしてドキッとする。彼女の熱を帯びた視線。それが蠱惑的に見えたから。イナリは彼女のこういうところに弱かった。ふと気を抜くと此方が思いも寄らぬ事を言うしやる。大人しいようでいて、言動は大人しくない。そんなギャップも面白くて好きなのだが)
…今宵はもう横になったらどうじゃ。
此処は我が片付けておく故…。
(本殿へ入るとそそくさと彼女から離れる。繧繝縁に座ると気まずそうに視線を逸らしながら言う。これからは自分がしっぺ返しを喰らわないように立ち回る必要がある。そうでないとイナリの心が持たない)
(/いえこちらも戻ってきていただけて嬉しいです! さて今後の展開なんですけど、どうしましょうか? なにかご希望があったら何でも言ってください!)
…な、慣れてる訳無いじゃない。経験豊富な貴方と比べないで。
( 慣れていない、と言われると途端に自分が幼稚に思えて恥ずかしくなり視線を逸らして、尚も熱を帯びている顔を両手で包むと反論するように上記を述べる。大学時代の彼とはそれなりに出掛けたりしたが今思えば触れ合うことはほとんど無かった。後々考えれば「罰ゲーム」だったので当たり前だが、当時の自分はどうにか恋人らしく振る舞いたいとお洒落をしてみたり色々頑張ったものだ。一方的に頭を撫でたり服に触れたりするのは何とも思わないのだが、相手から触れられるのには滅法弱い。おまけにお互いに想い合っているなんて状況が初めてなのだから無理もないだろう。本殿に着くと離れていってしまう温もりに少しだけ惜しいと思ってしまうが、緊張が解けて少しだけほっとする。片付けを済ましておくという彼の言葉には小さく頷いて「ありがとう」と礼を述べると、その言葉に甘えて自分は一足先に布団へと身を潜らせて休むことにした。暫くは胸の高まりがなかなか収まらずに眠れそうに無かったが、だんだんと自然と瞼がおりてきて、数分後には横を向いたまま小さな寝息を立てて眠りにつくのだった。)
(/実は、狸さんのお話が出た時から気になっておりまして(
狸さんと静蘭が出会ってしまったらどうなるんだろうという興味があるのですが、どうでしょう??)
(/ なるほどいい考えだと思います!ぜひやりましょう! 狸妖怪はどういう感じがいいでしょうか? 「チャラいイナリ(コメディ5割、シリアス5割程度)」みたいなのを想像してたんですが、狸について希望があれば何でも言ってください!)
(/ ありがとうございます!
私もそれぐらいのイメージだったのでそれでお願いしたいです!人間には高圧的だと思いますが、多分、静蘭ちゃんも負けずに口答えしまくると思うので、お互い『なんだコイツ』となっても楽しそうですし、『口答えする人間面白ろ』となっても美味しい気がしています())
(/ 分かりました! 静蘭ちゃんと狸妖怪の出会いはどうしましょう? このままイナリが眠っている間とか、翌朝どこかへ出掛けている間に神社に侵入して…みたいな感じにしますか?)
(/ そうですね…
翌朝、静蘭が早朝に目が覚めてしまって1人で外に出ている時に、社へ遊びにきた狸さんと出くわす、等はいかがでしょう?)
(/ いいですね! ではこういうのでいかがでしょうか?)
……綺麗じゃ
(盃と空になった瓢箪を社務所へ片付けへ行き、入浴を済ませ戻ってきてみると彼女は眠っていた。勢いで想いを告げ、そして今こうして夫婦でも恋人でもない微妙な関係になった。こんなにはっきりしない関係は不健全、と思うものもいるかもしれないが、今はただ彼女と同じ想いを共有出来ている事実だけで満足だ。眠っている彼女に近付くと、その頬に手を当て優しく撫でながらぽつりと呟く。ハッと我に返ると一つ咳払いをして、そそくさと繧繝縁へ戻る。変化を解くとその上で丸くなり、これからの彼女との接し方に思案を巡らせながら、意識を夢の中へと手放す)
(久しぶりに訪れてみると、そこはよく整えられた空間だった。建てられてから随分と時が流れたのに、当時の姿をほぼ保っている。あの狐のことだから、きっと活気に溢れ楽しかったあの頃を忘れてしまわないようにしているのだろう。意味は分かるが全く理解はできない。しかし間もなく朝日が昇るというのに姿を見せないとはどういうことだろうか)
『イナリ。
イナリおらんのか?
フウリ様のお成りじゃぞー!』
(フウリと名乗った狸は声を張り上げる。だが待てど暮らせど本殿からも社務所からも出てくる気配はない。おかしい。以前ならフウリが入っただけで飛んできて何をしに来たと睨めつけるのがお約束だったのに。裏の風呂にでも入っているのだろうか。ゆらゆらと身体を揺らしながら裏の露天風呂へと向かう)
( 空が白み始めた頃ぱちりと目が覚めた。静寂の中で小さな寝息が聞こえると、上半身を起こして繧繝縁の上で丸くなって寝ている彼の姿を視界に捉える。目を細めて思わず口元を綻ばせるが、彼の寝顔を眺めていると昨夜の出来事が嘘だったように思えてしまう。しかし、あれは紛れもない事実で、思い出しただけでもまた熱を帯びてしまいそうで、首を横に振って深呼吸をするとゆっくりと立ち上がる。あまり長い間睡眠を取った訳では無いが、熟睡したのかすっかり頭も目も冴えてしまい二度寝をする気も起こらなかった。寝ている彼を起こさないように静かに本殿を抜け出すと、小袖や乱れた髪を手で整えながらまだ薄暗い空を見上げる。)
──…、誰?
( 心地の良い風に当たりながら社周辺を散策し、裏にある露天風呂への道まで来ていた。周囲に咲く花々に足を止め、特に何をする訳でもないがただしゃがみこんで其れらを見ていたが、ふと、背後から近付いてくる音に背筋が伸びる。立ち上がり、音のする方へじっと顔を向けると、呟くように上記を述べた。)
(/ ありがとうございます!
また、改めましてよろしくお願いします!何かあればまたご相談しましょう!)
『……やあやあやあ。俺の姿が見えるんだ。今どきの人間にしては珍しいね』
(露天風呂へ行くとそこには見知らぬ女がいた。イナリと最後に会ったのは昭和が終わる頃だが、その時は斯様な女はいなかった。すると肝試しか何かに来ている女だろうか。いずれにしてもコイツは背を向けている。その無防備な背中に飛び付いて驚かせてやろうか、なんて思っていると何とその女はこちらを振り返り、自分の存在を認めたでは無いか。しかもさして驚く様子もない。フウリは一般的なタヌキより二倍も三倍も大きな図体をしているし、顔付きだって狸というより狼のように凶暴で、しかも理知的──これはフウリが自称しているだけだが──で一目で他の狸とは違うと分かるはずなのに。これは久方ぶりに弄べそうな人間だ。一瞬ニヤリと笑うと、すくっと立ち上がり優しい声色で話し掛ける。口調も現代人に親しみ易いように砕けさせて。まずは甘く優しく。そして後に圧を掛けながら支配的に。それがフウリが人間で遊ぶ時の遊び方だった)
………多少、妖は見慣れているので。
( 優しく声音が耳に届くが、此方は一向に顔色を変えずに淡々と上記を述べる。驚いていない訳では無いが、元はと言えば顔に出にくい性格故、未だ冷静を保っているように見えるだろう。
やってきたのは大きな図体をした動物で一瞬何者か分からなかったが、その色味や模様、尾の形から察するに狸の妖だろうかと推測する。となれば、脳裏に浮かんだのは彼が口にしてた西の社の事。目の前にいるのがその社の主なのだろうかとじっと視線を向けるものの、此方から歩み寄ることはしない。確か彼は「相手にするな」と言っていた気もするし、今までの口ぶりからするにあまり良好的でなかったのか否か…此方からすれば不透明な関係性だったはずだ。
とはいえ、既に相手と話してしまったので「相手にするな」という助言はあっさり破ってしまった気がするのだが、少なくとも警戒心は怠らないでおこう、と堂々とした態度で再度口を開いた。)
イナリ様なら居ないけれど、一体どのようなご要件かしら。
(妖を見慣れている? それでようやく分かった。この女は肝試しに来ている訳では無い。着ている装束とこの冷静さからして、あの変化バカの新しい妻か妾なのだろう。数百年前に妻を喪ってからすっかり意気消沈していたが、ようやく次の女を娶ったか。しかし今度も人間の女とは。全く人間ごときの何がそんなに良いのだろう。力は無いしすぐに死ぬし。此方からすれば赤子程度の存在でしかない。そんな存在でしかないのに、このフウリを見て顔色一つ変えない。こういう女は嫌いだ)
『不在なんだァ。それは残念。イナリ君とは幼き頃から知った仲でさ。久しぶりに顔を見に来た。あ、俺の名はフウリ。見ての通り狸妖怪』
(何の用件だと問われると一瞬ピクリと尻尾が逆立つ。何かこの女と話していると嫌な気持ちになる。フウリを前にしてこんなにも堂々たる態度をしている女に会うのは二回目だ。変化バカの最初の妻。男勝りで肝っ玉の大きかったあの娘。彼奴もこのフウリを前にこんな態度だった。尤も向こうはもっと乱暴な口調だったが。何故こういう女ばかり傍に置いておくのか。一言物申したくなるがグッと堪えて努めて笑顔で返す。イナリ君だなんて呼んだこともない呼び方をしたものだから毛が少し逆立つ。自己紹介をするとわざとらしく前足を差し出して握手を求める)
私は日向 静蘭。…狸の妖なら、私、貴方の社に何度か行ったことがあるわ。
( 幼い頃から面識がある、と言う相手には「あら、そうなの」と返事をし、お返しにこちらも自己紹介をしておく。
知り合いであることは勿論知っているが、なんとなく無知のふりをしておいた。勝手に彼伝ての話をべらべら喋るのは良くないかもしれないから。その代わりといってはなんだが、昔自分が社によく立ち入っていたことを話し肩を竦める。狸の姿なんて見たことがなかったので、きっと彼自身も自分の存在を知る由もなかっただろうが…、結構あの社にはお世話になっていた。
だが、彼の話し方にはなんとなく違和感を感じる。笑顔が張り付いたその瞳の奥は全く笑ってはいないように思うし、ざわざわと逆だっている体毛はいかにも居心地が悪そうだ。)
…ごめんなさい。妖様に触れるのは不敬だと教わっているの。
( 差し出された前足を暫く見つめ数歩近づいたはいいものの、その手を取るかどうか悩んだ末に出た答えがこうだった。厳密に言えば自分が勝手に触った後によく言われていた言葉なのだが、どちらかといえば今の使い方の方が正しい気がする。)
『へえ…日向って姓なのにあんな薄暗い所を好むなんて物好きだねえ』
(何度か来たことがあると言われてもピンとこない。あの社は既にフウリの本拠では無いからだ。今のフウリはもっと山奥の洞窟を根城としている。元より人間が勝手に建てた社だ。情けで住んでいただけに過ぎない。今となっては気まぐれで何ヶ月に一回か降りて来るだけだ)
『……イナリ君からいい教育を受けてるんだねえ。できた奥さんだね。…それとも俺には触れるなとか言われてるのかなあ。イナリ君、俺に意地悪ばかりするから』
(握手を拒否されると暫しの間笑顔を貼り付けたまま硬直する。前足を降ろしながら小さく咳払いすると嫌味のように褒める。今ので決めた。この女を絶対に泣かせる。このフウリにこのような態度を取ったことを後悔させてやる。フウリはイナリの数倍短気だった。そして目的のためには手段を選ばない事を美徳としている。フウリは必ずこの女の泣き顔を見届け、それをイナリの眼前に差し出す事を決心した)
あら、奇遇ね、私も自分の性はあまり似つかわしくないと思っていたの。貴方と感性が似ていて嬉しいわ。
( 自分の性について言及されるとちらりと視線を外しつつも平然と言葉を返し、言い終わった後には小さく笑ってみせる。皮肉な事に初めてこの社で自己紹介をした際、自分でも似合わない、と比喩したことがあったが、目の前の狸に言われる筋合いは無かった。自身の社を薄暗いと表現するあたり、この社を大切にしている彼との違いは明らかだ。それに、相手の話し方はどことなく大学時代の頃を彷彿とさせる…優しかった口調が一変し、あくまで揶揄うようにして段々と此方を高圧的に捉えてくる。この社に来て随分と気持ちが溶かされた気がしていたけれど、再度表情が固まるのを感じる。
次いで自分の事を“奥さん”だと表現する言葉には一瞬眉を動かし、まだ自分たちが名も無い関係性にあることに気付いた。)
奥さんじゃないわ。
…それより、折角遊びに来たのなら温泉にでも入ってきたらどうかしら?イナリ様には私から伝えておくわ。
( 一言はっきりと否定するとその他の言葉には返事をすることなく、誤魔化すようにこの先にある露天風呂を話題に出した。そして「 私はもう戻るから 」と澄ました顔のまま相手の横を通り過ぎようと歩みを進めた。)
『まあまあ待ってよ。人間と話すのは久しぶりなんだ。俺も人間が好きでねえ。イナリ君が帰ってくるまでの間、話し相手になってよ』
(横をすり抜けようとする彼女の腕を掴むと尻尾を身体に巻き付ける。簡単には逃がさない。そんな意思を込めて彼女に顔を近付ける。憂いを帯びたような顔。幸薄そうな女だと思った。だが顔が整っているので妙に色気がある。容姿は悪くないが態度は最悪だ。ふと思った。なぜ自分は警戒されているのか。それは自分が妖の姿のままでいるからではないか。こういうタイプは同族には騙されやすいのでは無いか。イナリと一緒にいるのも彼奴が気取っ人間の姿でいるからでは無いのか。自分は変化などは全くしない。イナリのように精巧な変化は無理でも、この女一人を騙せる程度の技量はあるかもしれない。そうと決まれば、とボフという音と共に耳と尻尾を残して人間の男性に擬態する。嫌味のようにイナリの人間体に似せてやった)
『こっちの方が話しやすいでしょう? ねえ奥さんじゃないって言ってたけど。だったらどうしてこんなところにいるんだい?』
( 腕を掴まれ引き戻されたかと思った矢先、相手の尻尾が身体に巻き付いて行く手を阻む。近付いてくるその顔を見つめて少しばかり怪訝そうな顔をするが、特に暴れたり抵抗する気はないらしい。その代わりに「離してちょうだい」と口を開こうとした時、空気の含んだ音と共に軽風が飛んできて反射的に目をつぶってしまった。風が収まったのを感じてゆっくり目を開けるとそこには見慣れた姿があった…というのも、おそらく狸が化けただけだとすぐに理解したが、わざわざ似せて変化する姿に眉間のシワが少しばかり深くなる。おまけに、こっちの方が話しやすいでしょ、なんて言う相手に対し、動物の方が好きだわ、と直球に言葉を返しそうになったけれど何でもかんでも食らいつくのはやめようと出かかった言葉を飲み込んだ。)
色々と嫌になって、この社で神隠しを願ったの、そうしたらイナリ様が叶えてくれただけ。
…言っておくけど、お相手するほど面白い話題は持ち合わせていないわよ。
( しかし、続いて問われた内容に関しては無視してもしつこそうだと感じたのかそのまま上記を答えた。今となってはお互い絆されて離れがたくなった、とまでは流石に言わなかったが、これも決して嘘ではないだろう。)
『ははははっ! か、神隠し?! ふはは、そんなものを願ったのか! まるで江戸の世だな!』
(神隠しなどという凡そ現代で聞く機会のない言葉が彼女の口から飛び出し、更にはそれをイナリが叶えてやったと聞けば思わず大口を開けて笑ってしまう。酔狂にも程がある。今どき神隠しを願うこの女もそうだが、それ以上にイナリがたまらなく滑稽に思えた。神隠しをするということは魂を自分の手元に置いておくということ。それはつまり彼女の魂を縛り付けておくこと。人間は身勝手だ。きっとこの女も今にここでの暮らしが嫌になり、イナリから逃れようとするだろう。そんな不安定で身勝手な存在をわざわざ手元に縛り付けておくとは。全く後先考えないバカのすることだと、思わず素で笑ってしまう)
『…静蘭さんは面白い人だねえ。だからイナリ君に相当気に入られてるんだねえ。小袖まで与えてるんだから。良かったねえ。でもイナリ君の相手をするのも大変だろ? 仲間の狐からも疎まれる位なんだから』
(一頻り笑うと咳払いを一つし、すぐに先程と同じ様に取り繕う。嫌なことがあったから神隠しを願った人間とそれを受け入れた九尾。チグハグなようでいて似た者同士だ。面白い話題などないと言っていたが、彼女とイナリを見ていれば話題などなくても十分に面白い。だからもっと話を引き出したくて、彼女に色々とアイツにとって都合の悪いことを吹き込んでやろうと悪巧みする)
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