透徹

透徹

   2024-01-04 23:14:52 
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追憶を踏み越えた、その先へ。








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  • No.32 by      2024-04-22 00:48:08 






2

(作業台の上のアクセサリーを一つ一つ改修していく。これまで隠した部分を前面に押し出した。傷があっても変わらず宝石は輝けると主張するようにリボンと金具を引き立て役にした。売れないことが分かっていても、作り続けなければと使命感に突き動かされて止まれなかった。一方で、この商品にどれ程の価値を見出そうとしているのか、拾い集めた時のように冷静な意識も機能していた。人目を引く華やかなデザインも、澱みを押し出したデザインも本当に自分が作りたい物なのか。どちらも違う気がする。分かっていたけれど、止まらずに作り続けた。完成させれば、心を突き動かす答えが見つかるかもしれない。そんな幻想を抱いていたものの。結局のところ装飾品が溢れ返って何も見付かりはしなかった。改修を続けている間も店は評判を落とし続け、立ち行かなくなり畳むことにした。かちゃりとコートのポケットに仕舞い込んだアクセサリーが音を立てて主張するものだから外に出して一瞥すると遂に光さえも放たなくなっていた。それが余りに虚しくて、リボンも金具も捨て去りトランクの中に押し込んでその街を後にした。去り際にあの店は以前ほど良い物を売らなくなった。店じまいして当然さ。そんな言葉がどこかから聞こえた。)






  • No.33 by      2024-04-23 20:08:25 




「  眩しさばかりが胸を衝くなら、瞼を閉じて  」


  • No.34 by         2024-04-23 20:53:50 






3

(そんな、日々だった。──店を畳んでから、土地を転々としながら細々と生計を立てている。装飾屋としての腕と引き換えに、それなりに穏やかな毎日を享受していた。最近では休みの日にこの森で本を読んだり、絵を描くことが日課になっている。今日は本を片手にうたた寝していたらしく、温かな風で意識が引き戻される。一体どれだけの時間が経ったのか、回らぬ頭で周囲を見渡すと不意に意識を奪われた。幼い少女が、独りぽつんと佇んでいた。薄汚れた高価な服と、横顔でも分かる曇り空のような瞳に、気がつけば声を掛けていた。そんな顔をしてどうしたの。少女は驚いたように顔を上げ、しょんぼりとした声で呟いた。大事なブローチをなくしちゃったの。一体どんなブローチなの、と尋ねてみたものの少女は口を噤んだまま。しゃがんで目線を合わせても、うんともすんとも言わぬまま曇り空の瞳で押し黙っている。教えてくれたら、一緒に探せるよ。途中まで言いかけた言葉を遮って、少女はやっと口を開く。見つけられっこない、だって秘密のブローチなんだもん。透明なブローチ、誰も分からないブローチなんだもん。持ち主が必死で探して見つけられないのに、あなたに見つけられっこないわ! 
曇り空から、ぽつり、ぽつりと雨が降る。震える少女を前に、私は掛ける言葉を無くしていた。その瞬間だけは、きっと声も無くなっていた。)






  • No.35 by      2024-04-24 07:12:41 





「  想いの形に眩む前に  」



  • No.36 by     2024-04-25 07:02:59 





「  まばゆい輝きとときめきは誰にも止められない  」



  • No.37 by        2024-04-25 20:03:29 





「  溢れ落ちた言葉の跡が、あんまりにも綺麗で  」



  • No.38 by       2024-04-25 20:07:23 




「  焦がれた夢の花火、消えて行かないで  」



  • No.39 by     2024-04-25 20:37:37 





「  ちがうよ  」



  • No.40 by       2024-04-25 20:38:33 




「  飛んで花開け、どこまでも遠く、何よりも鮮やかに  」



  • No.41 by      2024-04-25 21:24:18 




「  リグレット、何だか今日は酷く眠いんだ  」


  • No.42 by      2024-04-26 05:07:41 





「  怖い夢を見たんだ。どうか笑ってくれるかい  」



  • No.43 by         2024-04-26 05:10:27 




「   心を包む朝の光。何だか今朝は月みたい   」



  • No.44 by      2024-04-26 20:15:14 





「  さあ、祝福を  」



  • No.45 by      2024-04-26 20:52:14 




「  握り締めた手はきっとこうやって開くの  」


  • No.46 by      2024-04-27 17:12:36 




「  頬を撫でる風がいつもより恋しい  」


  • No.47 by       2024-04-28 16:06:56 




「  よかった  」



  • No.48 by      2024-04-28 23:40:30 




「  心地良い夜風に足を止めた  」



  • No.49 by      2024-04-29 01:45:12 




「  おやすみ、×××××。今日は良い夢が見れそうだ  」



  • No.50 by           2024-05-02 19:27:47 



「  大事なこと  」


  • No.51 by           2024-05-02 19:35:15 




「  あの空のような透徹  」


  • No.52 by       2024-05-02 20:26:57 




「  願いは何でも叶うから、明るいことを願いたい  」



  • No.53 by        2024-05-03 02:45:58 




「  眠れぬひつじ。こんな夜更けにどこ行くの  」

  • No.54 by         2024-05-03 02:48:52 




「  月を見にいく  」


  • No.55 by    2024-05-03 15:18:03 



「  お日さまに照らされた猫は花束に寄り添う  」


  • No.56 by      2024-05-03 15:25:34 




「  ゴロゴロ喉を鳴らして、花畑の中を歩いていく  」



  • No.57 by     2024-05-03 15:32:48 




「  子羊とマーガレット  」



  • No.58 by    2024-05-04 15:33:27 

 


「  そっか  」


  • No.59 by     2024-05-04 15:40:31 




「  ふわふわ浮いていく。あの空に近づいてしまう  」



  • No.60 by       2024-05-04 16:27:43 




「  今のそよ風が好き  」



  • No.61 by      2024-05-04 17:04:42 





「  可愛い音がして、心がふわりと綻んだ  」




  • No.62 by      2024-05-05 13:05:20 




「  少しずつ  」



  • No.63 by      2024-05-05 13:07:27 




「  少しずつでも  」


  • No.64 by    2024-05-05 19:32:56 




「  束の間の夢  」




  • No.65 by    2024-05-05 20:35:01 



「  全て、大事なもの  」


  • No.66 by     2024-05-06 00:55:54 




        「  笑って  」


  • No.67 by      2024-05-06 01:17:21 




「  優しい光  」



  • No.68 by      2024-05-06 01:23:26 




「  柔らかくて、暖かい記憶  」


  • No.69 by      2024-05-06 01:26:23 




『  おやすみなさい  』



  • No.70 by     2024-05-06 22:41:14 




「  書きたい話と伝えたい言葉があるんだ  」



  • No.71 by     2024-05-06 22:42:07 




「  どうか、見届けて欲しい  」


  • No.72 by      2024-05-09 14:30:26 




「  大事にする  」


  • No.73 by     2024-05-09 20:01:12 




「  あの子の笑顔に照らされてる  」


  • No.74 by     2024-05-09 20:06:27 




「  大丈夫、って微笑むあの子や、その藤の花を大事にしなさいと教えてくれた旅先の人とか  」



  • No.75 by       2024-05-12 02:06:45 




「  足るを知り、その行末が実を結んだことに胸を撫で下ろした  」



  • No.76 by      2024-05-13 05:36:24 




「  まだ僕はよるのなか  」



  • No.77 by      2024-05-13 05:38:58 




「  水底ばかりが美しくて参ってしまうわ  」


  • No.78 by      2024-05-17 00:33:56 




「  ──見ててね、マイ・ヒーロー!  」



  • No.79 by      2024-05-17 22:07:18 




「  頼んだ品物が夏を閉じ込めたような色彩で わくわくと 心が躍った  」



  • No.80 by     2024-05-18 21:38:17 




「  花霞みたいね  」



  • No.81 by     2024-05-19 17:14:11 




「  明るく前へ。花のように陽のように!  」



  • No.82 by      2024-05-19 17:54:20 




『  大事な人と好きなものでいっぱいで、今は悠々と羽を広げられたんだ  』



  • No.83 by     2024-05-19 19:38:37 




「  押しては引いて寄せては返す波の中で翼をひろげる  」



  • No.84 by     2024-05-19 19:40:08 




「  ばたばたと羽音を立てながら遠く飛び立つ日に備えて  」



  • No.85 by     2024-05-19 22:07:00 




「  玉になった糸に触れずとも案じてくれる心遣いに何度も安らいだ  」



  • No.86 by         2024-05-20 14:47:45 




「  私がどうしたいのか  」



  • No.87 by      2024-05-20 20:25:33 




『  ねぇリグレット。僕を攫ってはくれないか  』



  • No.88 by          2024-05-25 00:10:04 




( 空に浮かぶ月を抱き締めた。優しく、淡く、わたしを照らす青ときんいろの満月。月は妙に温もって、ゆるりとゆるりと手のひらをくっ付けては別の面に触れる仕草を繰り返す。離れがたい温度が傍にある。それだけで、さらりと心は軽やかに、心地の良い眠りへ誘われた )


  • No.89 by      2024-05-25 23:21:42 




「  おかえりと、ただいまと、君のカンテラ  」



  • No.90 by       2024-05-26 13:46:13 




『  どうしたって快晴に恋をしてしまうんだ  』



  • No.91 by      2024-05-28 21:30:12 




『  ああ、なんか。ふふ、って顔が綻ぶのは久しぶりかも  』



  • No.92 by        2024-05-28 21:34:44 





『  あの曲と、旅先の思い出と。あなたと君のおかげ、かな  』




  • No.93 by      2024-05-28 23:32:36 




『  ──優しいゆめ。まだ、どうか、もう少しだけ続いていて  』



  • No.94 by       2024-05-30 16:23:46 





「  もう少しだけ、待ってて  」




  • No.95 by     2024-06-02 18:02:56 




「  空はまだ明るいね  」



  • No.96 by          2024-06-02 20:59:51 




『  いいんだよ。頑張って笑わなくても。  』


  • No.97 by      2024-06-02 21:27:23 




『  僕が思っていた以上に、僕はまだこの世界の景色が好きみたい  』



  • No.98 by     2024-06-03 01:52:21 




「  困ったね。寝付けないや  」


  • No.99 by      2024-06-06 07:19:58 




『  今日はきっと良い日になるね  』


  • No.100 by      2024-06-09 19:40:50 





「  リグレット。君は今、笑えている?  」



  • No.101 by          2024-06-09 19:47:41 




『  分からない。けれど今、この余白を許せているよ  』



  • No.102 by          2024-06-09 21:10:13 




『  余白に消せない歪みが滲み出す。そんなことを何よりも恐れていた  』



  • No.103 by                2024-06-09 21:12:39 





『  馬鹿だねって、今なら笑い飛ばせるさ  』



  • No.104 by     2024-06-11 19:20:56 




『  映るのは、夕焼けが残した藍色だけ  』


  • No.105 by     2024-06-11 19:23:29 




「  今日はきっと、そういう日  」



  • No.106 by     2024-06-11 19:42:30 





「  爛々と、大切なものが手のひらの上で輝いた  」




  • No.107 by     2024-06-11 19:47:33 





「  難解、棘だらけ。なのに、一つとして無駄なものは無いから不思議だね  」




  • No.108 by   2024-06-11 21:24:11 




『  頑張りすぎちゃったね  』



  • No.109 by      2024-06-11 22:11:08 





「  ──大丈夫だよ。君だから、大丈夫  」



  • No.110 by     2024-06-13 21:20:33 





「  変わりゆく、想いも全て  」




  • No.111 by     2024-06-13 21:32:53 




「  綺麗で、美しい  」



  • No.112 by      2024-06-18 23:06:30 




『  新世界は、はるか遠く。
  けれどトキメキは目の前に  』


  • No.113 by     2024-06-18 23:22:07 




『  あまねく輝きに、
  今恋をしている  』



  • No.114 by        2024-06-23 10:09:27 




『  君を逃すために与えた名前がそれだったね。リグレット  』



  • No.115 by     2024-06-24 01:07:29 




『  おやすみリグレット。君が明日も笑えますように  』



  • No.116 by     2024-07-14 01:50:29 




「  言の葉に滲む  」


  • No.117 by     2024-07-14 01:53:02 




「  繰り返し繰り返し、優しさに触れている。
  繰り返し繰り返し、苦悩を見つめている  」


  • No.118 by     2024-07-14 01:56:13 




「  握り締めたのは、願いと星屑  」


  • No.119 by     2024-07-14 02:08:11 




「  能動的に生きていたい  」


  • No.120 by      2024-07-16 19:06:15 





「  伸ばした手は  」



  • No.121 by      2024-07-16 19:17:29 




「 ──なんて、
   ──ぜんぶ、秘密だよ  」



  • No.122 by     2024-07-21 21:05:04 




「  あの日の口枷が、外れていくようで 」


  • No.123 by       2024-07-21 21:09:40 




「  どうか幸せであれ、
  あなたに降り注ぐもの全てが祝福であれ  」


「  そして叶うのなら、
  その祝福が永遠であれ  」



  • No.124 by      2024-07-22 20:17:26 




「  ようやく第一章を終えたような、そんな心地  」


  • No.125 by      2024-07-22 20:24:03 




( 綺麗なものを掴んではいけないと思っていた。
許されないのだから、手に入らなくても仕方ないという理由を探していたのかと今になって思う。けれど、それは些事で。とっくに手の中に握られていた。そして、真実の姿で見つめられなかったことも含めて、辿るべき道だったのかと )



  • No.126 by     2024-07-24 00:50:54 




「  恐れることはないんだって  」


  • No.127 by     2024-07-24 00:58:31 




「  今はただ、祈りも願いも忘れて眠ろうか  」


  • No.128 by     2024-07-25 21:42:35 




「  もう一歩  」


  • No.129 by      2024-07-25 22:01:02 




「  僕のリグレット  」


  • No.130 by      2024-07-25 22:01:52 




「  ――わたしのエトワール  」



  • No.131 by     2024-07-27 09:42:23 





「  夢と呪いの繰り返し  」



  • No.132 by     2024-07-27 09:45:09 




「  けれど、涙は無い  」



  • No.133 by     2024-07-27 09:46:29 




「  背中に宿る祝福を糧に飛んでみようか  」



  • No.134 by     2024-07-27 10:01:31 




「  豊かな自由も、
  あの頃のたおやかさも、
  澄んだ世界へ足を踏み出すところも
  全て愛おしいのだ  」



  • No.135 by     2024-07-27 20:34:14 




「  揺蕩う星空、夢の跡  」


  • No.136 by      2024-07-28 18:32:12 






「  忌々しいと吐き捨てられた断片を愛おしいと思えるまで  」




  • No.137 by      2024-07-28 18:42:24 





「  少しずつ好きを集めていこうか  」




  • No.138 by     2024-07-28 18:55:33 





「  全ての悲しみを我が物として食べていた時期があった。使命感にも似たそれは、きっと思い込みに過ぎなかった  」




  • No.139 by     2024-07-28 19:13:36 





『  あの日の君が見たら浅ましいと怒るだろうね  』



  • No.140 by     2024-07-28 21:10:26 





『  ちがうよリグレット。大事な君の軌跡さ  』




  • No.141 by     2024-07-31 00:11:33 





「  星くず。花。海。朝の光  」



  • No.142 by       2024-07-31 00:12:21 





「  好きなものを忘れないで  」



  • No.143 by     2024-07-31 00:18:46 





「  醜さからも目を逸らさないで  」



  • No.144 by     2024-08-03 12:47:55 




>1
「  最初の願い  」




  • No.145 by     2024-08-03 13:33:28 





「  ――恐ろしいね  」



  • No.146 by     2024-08-04 12:05:19 





「  光を抱き締めて  」



  • No.147 by     2024-08-05 18:46:24 




「  美しい羽は、自由なままで  」 



  • No.148 by     2024-08-05 18:47:22 




「  その翼を、誰が折れるというのだろう  」



  • No.149 by     2024-08-06 22:01:19 




「  子供のような、幻想  」


  • No.150 by     2024-08-06 22:25:09 





「  余りにも甘やかな  」



  • No.151 by       2024-08-06 22:34:01 




>10
「  僕の好きな色にしよう  」



  • No.152 by     2024-08-07 19:07:02 




「  揺らごうとも  」



  • No.153 by     2024-08-07 19:47:01 




「  恐れず身を任せて  」


  • No.154 by     2024-08-07 19:49:06 





「  揺らぎも自分の一部  」




  • No.155 by     2024-08-07 20:29:19 




「  明日こそ、晴れるように
  たとえ雨でも、雨ごと笑い飛ばして  」



  • No.156 by     2024-08-07 20:38:48 




「  馬鹿!  」




  • No.157 by     2024-08-07 20:40:48 




「  ちゃんと歩いていた  」



  • No.158 by     2024-08-08 07:07:47 




「  おはよう、エトワール  」


  • No.159 by     2024-08-08 19:50:22 





「  愚かな罪ごと抱き寄せて  」



  • No.160 by     2024-08-10 10:10:14 




「  光に包まれて  」


  • No.161 by     2024-08-11 00:04:59 




「  少しずつ、祈りで埋まっていく  」


  • No.162 by       2024-08-11 00:21:39 




「  自分の為に積み上げた祈りが、一つ実を結んだよ  」



  • No.163 by     2024-08-12 16:06:36 




#没
「  そこの神様、このあたりで手打ちにしてくれないか  」



  • No.164 by      2024-08-12 23:15:13 





『  優しく、淡い  』




  • No.165 by     2024-08-13 15:47:54 




「  幼い過去の断片  」


  • No.166 by     2024-08-13 17:09:28 




(太陽を手放して夕焼けの街を走り出す。呪いと祝福を振り切って裸足で駆け抜ける。色鮮やかな讃歌とは逆方向、淡い童歌が聞こえる方向へ無我夢中で走る。壊れた足に血が通う錯覚は、駆け抜ける楽しみを再び見つけ出す始まりだと信じたい。)


  • No.167 by    2024-08-14 03:25:19 




「  まばゆい一番星。どうか絶えず輝いて  」


  • No.168 by      2024-08-14 03:31:11 




「  暖かな祈りに生かされている  」


  • No.169 by     2024-08-15 12:45:57 




「  満ちる、夢の歌  」


  • No.170 by     2024-08-15 19:25:13 




「  小さな祝福だったのかもしれない  」


  • No.171 by    2024-08-15 23:28:57 




「  羽根が重たい  」


  • No.172 by     2024-08-15 23:30:14 




「  ――早く飛びたい  」


  • No.173 by     2024-08-15 23:44:03 




「  そんな焦燥が、少しだけ安らいでいく  」


  • No.174 by     2024-08-16 18:04:54 




「  その足で、歩み続けて  」



  • No.175 by    2024-08-24 22:59:55 






「  レールとプレイリスト  」

(好きだった曲をプレイリストから消した。秀逸な歌詞は、空いた穴に入り込んでかろうじて埋め合わせて、体を再び動かす役割を担った。奏でるメロディが、快晴の向こうに飛んでく風船のようで、追いかけるみたいにいつまでも聞いていた。音に乗せて走って走って走っていたら、穴の中で言葉が、がちゃがちゃ混ざる音が内側に響いていた。それまでかろうじて埋まっていた言葉が、外側にぼんと放り出されて宙を舞って、地面に散らばるワンシーンが見えた。映画みたいだと思っていたら、振り向きざまに見えた背中を押す私の姿で、やっと自分事だと気付いた。特別な意思があるとか、自棄とか、決意があったわけじゃない。ただ、今はいいと、ゴミ箱マークを押してリストから消した。
――レールを踏み外すことが怖かった。間違っても足を滑らせないように、地に落ちることばかり気にしていた。土を踏み締める感覚と歪まない視界が恋しくなった頃にはとっくに実体を失くしていて、それももしかしたら最初からあるように見せかけていただけなのかもしれない。何もなくなったし、何もなかった。壊れた足じゃ、土を踏む感覚だってまともに分からない。分からないのに、視界は変わってしまった。歪む時間が、少しずつ、少しずつ短くなっていく。そしてまた歪んで、それでもほんの数秒程度、視界が澄むの繰り返し。歯を食いしばっていた時に欲しかった澄み切った視界は結局手に入らなくて、レールから転げ落ちて得たものはゴミ箱の底に捨てられていそうな何か。変化みたいな思い込み。一目でわかる価値どころか、手にした人間すら価値が分からないほどちっぽけな何か。今更遅いのに、足は戻らないのに、空っぽなのに。――レールから落ちて、壊れた先で、子供みたいにわんわん声をあげて泣きじゃくった。嫌になるほど安心した。泣き疲れて眠った日は、溺れる夢を見なかった。
プレイリストの中は今日も変わらない。消して増やして、時に戻して、また消してを繰り返している。嫌になったり、飽きて消しているわけではない。新しい曲を崇めているというのも違う。この行動に意味なんてないと思う。だけど例えば、意味はないと言った一言がどうでもいいとか私にとって無価値なものを示唆していると言われれば――私ははっきりと否定するだろう。また今日もプレイリストを再生する。レールの上で聴いた曲も、壊れた足と一緒に聴いた曲も、この瞬間に流している曲も。ゴミ箱の外と中を行き来して今日を過ごす。一瞬だけ、視界が澄んだ気がした。)





  • No.176 by    2024-08-24 23:09:54 




>175

「  すきとおること。澄んで濁りのないこと  」



  • No.177 by     2024-08-26 19:32:58 




「  花と灯篭の夢  」



  • No.178 by    2024-08-27 23:29:25 




「  優しい月の下で眠ろうか  」



  • No.179 by    2024-08-27 23:32:20 




「  夜空の揺籠はすぐそばに  」



  • No.180 by    2024-08-29 21:32:18 






(劇場の端で、射貫くようなまなざしを向ける女性がいた。――僕は役者だ。視線を集めることは呼吸と同じであり、彼女のような存在は日常茶飯事だ。食い入るように見ては、笑顔も浮かべずにホールから立ち去る。鳴り止まない喝采の中にいても、彼女は笑わなかった。ある冬の日、一つの公演を行った。悲劇にも喜劇にもなる台本で、僕らが作り上げた喜劇を披露する。自信に満ちた本番前、観客席の中央に例の彼女がいた。力強く華やかな舞台を、彼女は気にいるだろうかと邪念が働く。本番前、何度も経験してきっとこれからも生まれ続ける迷いの芽を撫でてやる。摘み取ることはしない。ただ、成長する方向が違ったのなら、向きを変えてこの手で包むだけ。座長の呼びかけに応じる。――舞台の幕が上がる。
彼女の背を追いかけた。早く見つけなければ、大歓声が響くホールで幕が降りる数秒前に瞳を見開いていた意味を知りたかった。彼女がもうすぐ扉から出てしまう。振り絞った一声で振り向いた顔は、ただ純粋に驚きだけを帯びていた。観客席で見えた表情の意味を知りたい一心で次の言葉が出てこない。僕が狼狽えていると、彼女が口を開く。とても良い舞台でした。あなたが演じたエトワール、素晴らしかった。震えで裏返った声と緊張した笑顔が印象的で、観客席の彼女とは別人だった。もう一つ、今度は僕が問いかける。教えてください。今までの舞台と何が違いましたか。今回初めて貴女は笑ったはずだ。納得の表情で、一瞬だけ口角を横に引いた彼女は答えた。どの劇も素晴らしかった。でも、今日初めて上を向いてみようと思って観た舞台だった。
交わした言葉はそれが最後だった。僕は今日も演技を楽しみ続ける。舞台の幕が上がる。本番前、生じた迷いを片手で包む。顔は少しだけ上向きに、とびきりの喜劇を今日も届けよう。)





  • No.181 by    2024-08-31 17:08:50 




『  ばいばい、八月  』



  • No.182 by    2024-09-01 22:15:16 




『  ありがとう  』



  • No.183 by    2024-09-02 19:02:32 




「  嗚呼  」



  • No.184 by    2024-09-02 19:07:01 




「  ──やっと見つけた  」



  • No.185 by     2024-09-04 21:24:01 




「  穏やかに
  どうか暖かに  」



  • No.186 by     2024-09-04 21:42:33 




「  壊れていいものなんて、他には無いのだから  」



  • No.187 by     2024-09-04 22:48:59 




「  安らぎと幸運以外に、願えるものがあるだろうか  」



  • No.188 by     2024-09-07 18:51:39 




「  やさしい青空のような人
  はじける炭酸のような人
  たくさんの表現のような人  」



  • No.189 by    2024-09-07 22:08:40 




>188

「  幾度となく世界を変える人達
  分岐点で会った大切な人達  」



  • No.190 by     2024-09-08 13:28:42 




(何気ない話の過程で、彼女は張り付いていた呪いの一部をあっけらかんと剥がした。何事もないように呼吸をするように当たり前に、一瞬で終わらせてはじける笑顔で笑う。相変わらずの破天荒に一歩引いた部分も噛み合わない考えもあったけれど、彼女は忘れた頃に大事なことを教えてくる。隣に大事にしてくれる人もいるようで安心した。この先もずっと、楽しく生きて欲しいと思う。)



  • No.191 by     2024-09-08 18:07:33 




『  休んじゃおうか  』



  • No.192 by    2024-09-09 00:32:20 




「  あまりに鮮やかで焦ってしまった  」



  • No.193 by    2024-09-09 00:54:40 




 「  のんびり歩いていこうね  」



  • No.194 by     2024-09-09 19:40:02 




『  溢れる幸福と自由と、安らぎを君に  』



  • No.195 by    2024-09-10 13:00:32 




「  どうか健やかに  」



  • No.196 by     2024-09-11 00:21:00 




「  ――最果ての海で、夢を見ていた。
  ――――遠い遠い世界で、大切なものに会う夢を  」



  • No.197 by     2024-09-11 00:34:33 




「  恐れを辿って、翼をひろげて  」



  • No.198 by     2024-09-13 00:00:59 




「  思考疲れ  」



  • No.199 by     2024-09-13 00:06:20 




「  おやすみ!  」



  • No.200 by     2024-09-14 14:42:12 





「  永く儚さの虜だったのに、力強く生きる眩しさに触れてから世界が変わってしまった 」




  • No.201 by     2024-09-14 16:18:33 




『  放っておいて。責任なんか、ほっといて!  』



  • No.202 by     2024-09-15 00:41:15 




『  大好きな人達、どうかいつまでも幸せでいて  』



  • No.203 by     2024-09-15 00:45:45 




「  今は頑張りたくないから、もう少しだけ甘やかしておくよ  」



  • No.204 by     2024-09-15 11:52:38 




「  マーブル  」

(雨と雷鳴の音で目が覚めた。喉元には僅かな苦しさが宿っていて、カーテンを閉めた室内が一段と暗い気がした。微睡をぼんやりと通り抜けるとまた思考を繰り返す性に堪らず布団に潜り込む。昨日、透き通った純粋な想いで大好きを謳う物語に触れた影響かと考えたけれど、あの物語の余韻を大切にとっておきたくてそれ以上は放っておいた。ずっと答えを探している。外側にばかり向けた探知機を内側に向けてずっと探し続けている。本当は、歪みを癒して歩いた道を答えと呼ぶことに気付いている。けれど今はもう少しだけ、この曖昧なマーブル模様を抱かせて。)



  • No.205 by     2024-09-16 19:42:53 




「  ああ、それでも  」



  • No.206 by     2024-09-16 19:43:33 




「  ――抱きしめるなら、透徹がいい  」



  • No.207 by     2024-09-16 21:08:29 




「  いつか会いたい人に会いにいけたらいいね  」



  • No.208 by     2024-09-17 23:07:13 




「  その落胆や現実は自分が生んだもの、それだけのこと  」



  • No.209 by     2024-09-17 23:07:54 




「  忘れないように  」



  • No.210 by     2024-09-18 00:45:56 




(学びと自戒を探し漁って見つけたものを全て詰め込んだ。好きなものと祈りを沢山詰め込んだ。両肩の荷物は地面に落ちて、今はただ遠くを眺めている。空になり、ゆっくりと歩くようになった今では恐怖に備えた学びも誰かが呟いた自戒も、本当は少し遠くに置きたいのかもしれない。)



  • No.211 by     2024-09-18 01:18:48 




『  おやすみ、お月様  』



  • No.212 by     2024-09-28 20:00:02 




( 見つけてくれてありがとう。ふと目に留まったひとこと。好きな人達がそう口にしていたことを思い出して一体どんな気持ちで紡がれたのか気になって唱えてみた。甘やかで、安らかな心地がした。)



  • No.213 by     2024-10-06 23:56:47 




『  愛しき花々。陽に揺られ、月光に包まれ煌めいて  』



  • No.214 by     2024-10-20 13:56:45 




「  行かないで、私  」



  • No.215 by     2024-10-24 06:20:09 




「  深海で朝の光を待ち望む  」



  • No.216 by     2024-10-26 17:10:34 





『  10月26日  』




  • No.217 by     2024-10-27 19:26:34 





「  8/17 10/27  」

( 秋から冬へと向かう今、夏に交わした小さな約束を果たした。言葉を紡ぐことが難しくなった今、あの子に何を渡せるのか。欲を自覚できない自分では面白味がないと踏み出さず、夜に数百年生きた人間みたいに好きに生きれば良いと語った矢先だった。前後に存在する感傷に影響されたのかもしれない。幾度か見逃したのに身勝手かもしれないとブレーキを踏んだ。それでも、この約束を果たすのはきっと困難で叶えられないかもしれないと思っていた自分に生まれた選択肢を選んでもいいじゃないか、と。――どうせ短い人生だ。刹那でも永遠を誓えなくても責め立てられることは無いし、何より安寧に程遠い道は嫌と言うほど歩き慣れている。
――――星と後悔と思い出に導かれ、しかし確かに果たした約束。遠ざけた恐れの内側には僅かな明るさが実っていた気がした。その約束を忘れてしまわないよう瞳を閉じる。忘却の海に呑まれ、例え忘れてしまっても再び思い出せるように。 )




  • No.218 by     2024-10-29 21:53:31 




『  きらり輝け。夜空に咲くリグレット  』



  • No.219 by     2024-11-07 19:32:25 




『  敵わないなと思うのです  』



  • No.220 by     2024-11-08 22:05:45 





『  ただ二つの灯火だけ  』




  • No.221 by     2024-11-11 20:50:20 




「  手を繋いで帰ろう
  貴方が深く眠れるように  」



  • No.222 by    2024-11-17 12:25:27 




「  夢焦がれ夜空に沈み月を見る 
  誰が為の影は向後の月虹  」



  • No.223 by    2024-11-17 12:31:54 




「  双眸へ空へと描く陽の色
  吹き抜ける風の音は祝福に  」



  • No.224 by     2024-11-18 19:55:23 




『  瞳の奥に光が降り注ぐ。きっと、そういうものが一番美しいと知っていた  』



  • No.225 by     2024-11-20 21:37:18 




「  どうか笑っていてね  」



  • No.226 by     2024-11-24 11:09:27 




『  リグレット。君の剣を手放して  』



  • No.227 by     2024-11-24 22:07:39 




『  ――何度失っても、自分でいたい  』



  • No.228 by     2024-11-25 01:12:53 




「  どうか穏やかに  」



  • No.229 by     2024-11-29 21:23:20 




「  ――僕を、ちゃんと見て  」



  • No.230 by    2024-12-01 02:27:09 




「  心ひとつ、夜の静寂に溶けてゆく  」



  • No.231 by    2024-12-01 03:00:22 




(心ひとつ、夜の静寂に溶けてゆく。夜の色に背中を預けて音のない時間そのものに身体も溶けてゆく。陸を目指して泳ぐ魚のように夜空へ向かって言の葉たちがひらりひらりと舞い散る様子を眺めて飽きた頃、瞼をゆっくりと下ろしてしまおう。朝の光が降り注がなくても、あのメロディが聞こえなくなっても、僕は再び目覚めると信じて。)



  • No.232 by    2024-12-02 22:02:03 




『  意固地だね、リグレット  』



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