2024-01-04 23:14:52 |
通報 |
(何気ない話の過程で、彼女は張り付いていた呪いの一部をあっけらかんと剥がした。何事もないように呼吸をするように当たり前に、一瞬で終わらせてはじける笑顔で笑う。相変わらずの破天荒に一歩引いた部分も噛み合わない考えもあったけれど、彼女は忘れた頃に大事なことを教えてくる。隣に大事にしてくれる人もいるようで安心した。この先もずっと、楽しく生きて欲しいと思う。)
「 マーブル 」
(雨と雷鳴の音で目が覚めた。喉元には僅かな苦しさが宿っていて、カーテンを閉めた室内が一段と暗い気がした。微睡をぼんやりと通り抜けるとまた思考を繰り返す性に堪らず布団に潜り込む。昨日、透き通った純粋な想いで大好きを謳う物語に触れた影響かと考えたけれど、あの物語の余韻を大切にとっておきたくてそれ以上は放っておいた。ずっと答えを探している。外側にばかり向けた探知機を内側に向けてずっと探し続けている。本当は、歪みを癒して歩いた道を答えと呼ぶことに気付いている。けれど今はもう少しだけ、この曖昧なマーブル模様を抱かせて。)
(学びと自戒を探し漁って見つけたものを全て詰め込んだ。好きなものと祈りを沢山詰め込んだ。両肩の荷物は地面に落ちて、今はただ遠くを眺めている。空になり、ゆっくりと歩くようになった今では恐怖に備えた学びも誰かが呟いた自戒も、本当は少し遠くに置きたいのかもしれない。)
( 見つけてくれてありがとう。ふと目に留まったひとこと。好きな人達がそう口にしていたことを思い出して一体どんな気持ちで紡がれたのか気になって唱えてみた。甘やかで、安らかな心地がした。)
「 8/17 10/27 」
( 秋から冬へと向かう今、夏に交わした小さな約束を果たした。言葉を紡ぐことが難しくなった今、あの子に何を渡せるのか。欲を自覚できない自分では面白味がないと踏み出さず、夜に数百年生きた人間みたいに好きに生きれば良いと語った矢先だった。前後に存在する感傷に影響されたのかもしれない。幾度か見逃したのに身勝手かもしれないとブレーキを踏んだ。それでも、この約束を果たすのはきっと困難で叶えられないかもしれないと思っていた自分に生まれた選択肢を選んでもいいじゃないか、と。――どうせ短い人生だ。刹那でも永遠を誓えなくても責め立てられることは無いし、何より安寧に程遠い道は嫌と言うほど歩き慣れている。
――――星と後悔と思い出に導かれ、しかし確かに果たした約束。遠ざけた恐れの内側には僅かな明るさが実っていた気がした。その約束を忘れてしまわないよう瞳を閉じる。忘却の海に呑まれ、例え忘れてしまっても再び思い出せるように。 )
(心ひとつ、夜の静寂に溶けてゆく。夜の色に背中を預けて音のない時間そのものに身体も溶けてゆく。陸を目指して泳ぐ魚のように夜空へ向かって言の葉たちがひらりひらりと舞い散る様子を眺めて飽きた頃、瞼をゆっくりと下ろしてしまおう。朝の光が降り注がなくても、あのメロディが聞こえなくなっても、僕は再び目覚めると信じて。)
トピック検索 |