一見さん 2023-12-23 17:33:22 |
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〈倉木真澄〉
「……言っておくが、君が眠れるベッドはないよ。僕のベッドはシングルだからね。」
(施設を出ても相変わらず背中を付いて回る五条を呆れた眼差しで見遣り、そう言い放つが─当の五条には堪えた様子は無く、「だいじょ~ぶ!僕最強だから、狭くても寝られるよ!」何故か誇らしげな表情を浮かべて胸を張った。倉木は相変わらず呆れたようにそういう問題じゃない、と呟いた後─五条と共に、借りているマンションへと消える。まず最初にクリスタルガラスの灰皿に溜まった吸い殻をゴミ箱へ捨て、バスルームの中まで着いて来ようとする五条をあしらいながら─さっとシャワーを浴びた。倉木は押しの強い五条に溜息を漏らしながら仕方無しにシングルベッドに男二人で潜り込み、身体を丸めて目を閉じる。)
──
〈五条悟〉
「あー!だから!!」
(素っ頓狂な返事を返す彼女に痺れを切らしたのか、後ろから別の客が来ているのもお構い無しに─声を上げた後彼女の頬をばちん、と両手で挟んだ。そのまま赤くなった顔を寄せ、「お前の!!ことが!!好きなの!!分かれよ!!」と人目を憚らない大声を張り上げる。)
夏油傑
「君には先に伝えておこうと思ってね。他の家族達には折を見て私から伝えるよ。」
(菅田を呼び倉木のことに関して、今日から共に楽園を築く同志になったことを伝える。菅田はまだ倉木のことを信用はしきっていないようだが夏油が決めた事ならと賛同をして。その様子に夏油は満足気に笑みを浮かべては、すぐに会うことが叶わない家族達にはまた会う機会があった時に紹介をすることを伝える。菅田は“分かりました。”と答えると部屋を後にして。その後は特に問題も無く夜が更けて。)
白雪咲桜
「え……」
(疑問が残り気になって五条にどういうことかと訊ねていては、痺れを切らしたように声を上げた。目を瞬かせ驚いていれば頬をばちんと両手で挟まれ赤い顔をした五条が顔を寄せ大声で想いを伝えてきた。何を言われたのか理解してきては一気に頬が熱くなるのを感じて。頭が追い付かず「…悟、意地悪だし…私だけ揶揄うし…かと思えば……急に優しい時もあってドキドキしちゃって…」と狼狽えながら言葉を紡ぐ。今まで五条に振り回され一喜一憂したり、五条の事ばかり考えてしまうのは五条のことが“好き”だから。やっと気持ちの正体に気付いては赤い顔のまま見詰め返し「…私も悟のことが…好き…」と答えて。)
〈倉木真澄〉
「……最悪の寝覚めだ。」
(案の定と言うべきか、ほぼ同じ体格の男が二人シングルベッドで眠るのは無茶だったらしく─険しい表情で目を覚ました倉木は、低く呟きながら首を回す。無理な姿勢で寝た為に関節が凝り固まっているのか、動かす度に首からはボキボキと鈍い音が鳴った。そして倉木の呟きに反応したらしい元凶─五条も呻きながら目を覚まし、倉木を視界に入れた瞬間─「おはよ、真澄。」寝起きなので目隠し無しの─美しいアイスブルーの六眼が露わになった、まるで天使のような美貌でにこりと微笑む。が、倉木はそれを意に介することも無く着替えを済ませ、煙草を片手に─「……仕事だ…行くよ、五条くん。」と聞き分けの悪い犬でも呼ぶように、何とも愛想の無い声で五条を呼び付けた。それにすらもはあい、と嬉しそうな返事を返して一目散に擦り寄ってくる五条を侍らせ、倉木は最早見慣れた施設の内部へと足を踏み入れる。)
「……や、良い朝だね…僕にとっては最悪だけど。新しい"飼い主"は…もう起きてるかな?」
──
〈五条悟〉
「…そうかよ。…はー…なんか今の俺、すげーダサかった気がする。」
(彼女の、口から溢れるような返答を聞き─五条は深々と溜息を吐いた。後ろでは入ろうとしていた他の客が、気まずそうに黙ったまま二人を眺めている。─それほど人目も憚らずに大声を張り上げたことが今更恥ずかしくなったのか、先程告白した時以上に顔は赤く染まっていた。五条は片手で目元を覆い、彼女の手を引いてゲームエリアから出る。)
夏油傑
「あぁ、大丈夫だよ。ありがとう。」
(倉木のことは、施設内に居るものには話を通しているが、特に何か対応が変わるということは無く同じ待遇であり。そのまま挨拶をされては通されて。一方、夏油はいつも通り同じ部屋に居り。今回は枷場美々子と枷場菜々子と共に居り。倉木の話をしたところ、どうやら倉木を見たいらしい。菜々子は“夏油様の髪梳いてあげる~!”と髪を梳いており。美々子は黙って傍で本を読んでおり。夏油も同じく本を読みながら梳かされており。菜々子は髪を梳かしながら“夏油様、痛くない?”と訊ねており。夏油は本を読みながらそれに答えて。)
白雪咲桜
「…ううん、想い伝えてくれて嬉しかった。」
(此方も想いを伝えると深々と溜息をついた五条。ダサいと言っているが想いを伝えてくれて嬉しかったためそのことを伝える。ふと周りに目を向ければやっと周りの目に気付いて。五条は大声で言っていたし周りに聞かれていたのかと今更ながら気付き、此方もじわじわと頬赤らめて俯いて。そうしていれば五条に手を引かれてそのまま手を引かれながらゲームエリアを出て五条の背を追いながら歩いて。)
〈倉木真澄〉
「……やあ、夏油くん。…ところで、君達は?」
(案内された部屋に足を踏み入れ、平常通り軽く声を掛ける─が、今日は見知らぬ少女二人が目に入った。仲の良さげな様子にふと俯いてあれが"家族"か、と半ば自虐的に笑いつつ、表向きには普段通りの─愛想の無い、冷えた声で問う。今日は珍しく、余計な口を挟まない五条にちらりと視線を投げて鼻を鳴らし、気まぐれに頭を撫でてやった。ゴロゴロと喉を鳴らしかねない表情の五条の頭を撫でたまま─一応目の前の少女達は未成年だと思われるからか─煙草を手に取ることはせず、営業スマイルで軽く頭を下げる。)
「……夏油くんから聞いてるかな?僕は倉木真澄。君達の新しい"家族"─いや、"飼い犬"だよ。」
──
〈五条悟〉
「…ならいいけど。」
(ゲームエリアを足早に離れ、近くにあったベンチに彼女を連れて座る。ふと五条が携帯を見ると家入たちからのメールが入っていた。"五条のボリューム調節ミスった声、下まで聞こえてたけど"との家入のメールに舌打ちをする。"俺だってお前らに聞かせる気で言ったんじゃねえよばーか"と返信し、携帯を閉じた。)
夏油傑
「あぁ、来たのか。待っていたよ、真澄。君のことを話したらこの子達が君の事を見たいと言って聞かなくてね。」
(丁度、髪を梳き終わりセットが完了した頃、ドアが開かれて。声が聞こえたのを聞けば夏油は其方に目を向けて、2人がいる事情を伝えて。菜々子は持っていたヘアブラシをテーブルに置くと倉木を見て。美々子も本を閉じ菜々子の隣に立ち倉木を見て。高専に籍を置くと聞いたためか警戒しているようで菜々子は“夏油様を裏切るような事があったら許さねーから。”と開口一番警戒した表情で述べて。美々子はその様子に“…菜々子、失礼。まずは自己紹介。”と注意して。菜々子はむっとしながらも“美々子、だってそれ言う為に来たんじゃん。…分かった、…枷場菜々子。”と渋々自己紹介をして。それに続いて美々子も“…枷場美々子。よろしくお願いします。”と自己紹介をして。)
白雪咲桜
「メール…?」
(頬に熱を帯びたまま手を引かれついて歩いていればベンチに到着をして。腰を下ろした五条の隣に腰を下ろして。頬に触れると熱くまだ赤いことが分かれば両手で頬に向けて手を扇ぎ風を送り熱を冷ましていれば携帯を見た五条が舌打ちしながら何やら文章を送っているようで。送り終わり携帯をしまったのを見ては上記のように訊ねて。)
〈倉木真澄〉
「……ははっ、その点はご心配なく。僕は君達の"夏油様"に飼われている"猟犬"だからね。噛みつく相手も、尻尾を振る相手も…ちゃあんと選ぶさ。」
(どうやら夏油傑を盲信しているらしいその少女達を少々揶揄ってやりたくなったのか─ふ、と彼女らを嘲るような笑みを唇の端に浮かべ、鋭く尖った犬歯を見せつけるように口を大きく開いて笑い声を上げた。靴を整えるついでにブーツの爪先で床を蹴り、甲高い音を立てる。それまで倉木の隣を陣取ったまま、大人しく口を噤んでいた五条もへらりと軽薄に笑って─「僕は真澄の監視役で~、五条悟で~す。よろしく!」と声を上げた。)
──
〈五条悟〉
「……硝子から。ぜってー明日から揶揄われんじゃん…」
(この場に居ないあの二人の悪い笑みがありありと想像できたのか、五条はそう呟いた後─天を仰いで、大きく溜息を吐いた。と、そこに再び家入からメールが入る。"買い物終わった。今からそっち戻る"という文面と共に、夏油に荷物を持たせて呑気にピースをしている家入の写真が送られてきた。)
夏油傑
「…菜々子、美々子。」
(倉木の嘲るような態度にまんまと2人は引っ掛かっており、眉を顰めれば菜々子は“美々子ぉ、アイツゲロムカつかねぇ?”とスマホを構えて、美々子は“…菜々子、吊るす?”と人形をつけた縄を手に述べて。それを見た夏油は諭すように2人の名前を呼び。その声に2人は夏油様が言うならとしゅんとして構えの体勢を辞めて。辞めた2人にいい子だと言うように頭を撫でながら倉木に「すまないね、私の事になると少々気性が荒くなってしまうんだ。…君も揶揄うようなことは辞めてくれ。」と笑みを浮かべながらも諭すような声色で述べて。五条が挨拶したのを見た菜々子は“知ってる。夏油様から聞いてるし。ね、美々子。”と美々子に問い掛け。美々子も“うん、知ってる。”と答えて。どうやら五条は前々から話を聞いていたからか、今は倉木の方が気になるようで冷たくあしらわれ視線は倉木に集中しており。)
白雪咲桜
「また硝子から…?」
(メールが来たのかと問うとどうやら硝子から来たらしい。溜息をつき揶揄われるといった言葉に家入達にも五条の告白は聞こえていたということだろうか。そんなに周りに聞こえていたのかとまた頬に熱が集まってくるのを感じていればまたもメールが来たようで。連投してくるという事は家入だろうかと予想して上記のように訊ねながら近寄り携帯を覗き込み。)
「ふふ…硝子、楽しんだみたいだね。」
〈倉木真澄〉
「……くく…悪い悪い。こういう子を見ると、ついつい揶揄いたくなってね。」
(面白いほど自身の挑発に乗せられた彼女らを横目に緩む口元を右手で押さえ、まだ微かに楽しげな笑みを含んだ謝罪を口に出す。─隠した左手の掌の中、獲物に喰らいつく"牙"のように渦巻く二本の水圧カッターを人知れず解除し、青灰色の眼差しで夏油傑を見遣った。「……君も拗ねるなよ、五条くん。」彼女らに冷たくあしらわれて─む、と不貞腐れたように頬を膨らませる五条の頭を撫でる。その後はすう、と温度の引いた冷たい瞳でどうやら双子らしい彼女らを見遣り、「─悪いが、君達と仲良しこよしする気はないよ。術式も一部しか開示しない。…上層部に変な疑いを掛けられると面倒だからね。」瞳と同じ冷えた声で吐き捨てた。)
──
〈五条悟〉
「傑、すげー荷物持たされてんじゃん。」
(写真の中で大量の紙袋を持たされている困り顔の夏油に思わず笑い、彼女の方へと携帯を寄せる。そうこうしている内にまずは家入が顔を覗かせ、"待たせたか?"と声を掛けた。その後ろから写真通りに大量の紙袋を持った夏油が顔を覗かせる。)
夏油傑
「程々に頼むよ。この子達は本気にしてしまうからね。」
(夏油は菜々子と美々子を落ち着かせるように頭を撫でながら謝罪を述べる倉木に揶揄うのは程々にしてやってくれと述べて。夏油は倉木が術式を発動させていた事に気付いていたようで解除した様子に目を向けていて。倉木が菜々子と美々子に告げれば、菜々子は“は?仲良くなんてするつもりねーし。こっちから願い下げだっつーの、ね、美々子。”と倉木を睨みながら述べて。美々子も“うん、夏油様を裏切れば吊るすだけ。”と此方も倉木を睨みながら述べて。)
白雪咲桜
「ほんとだ、傑大変そうだね。」
(夏油のことを告げ携帯を寄せてくれたのを見ては夏油の様子に此方も思わずクスッと笑みを零して。そうしているうちに家入が顔を覗かせ声を掛けてきた。家入に笑みを浮かべ「大丈夫だよ、そんなに待ってないから。」と答えて。後ろから夏油が写真通りの様子で顔を覗かせたのを見ればクスッと笑みを浮かべつつ、夏油にも「傑、荷物持ちお疲れ様。」と声を掛けて。)
〈倉木真澄〉
「……それなら良いんだよ。─宜しくね?美々子くんに…菜々子くん。」
(─どうやら、彼女らが思った通りの反応をすることが─倉木にはどうにも面白くて仕方無いらしい。くくっ、と喉の奥で押し殺すような笑い声を上げ、最早遠慮しなくなって箱から取り出した煙草にカチリと火を点けた。─一応は副流煙を気にしてか、彼女らから顔を背けながら、煙草の煙を唇からふわりと吐き出す。倉木が事前に聞いていた予定では、今日は一般人の来訪が数件と講演会が一つ。さて暇な時間をどうするか、と天井に目線を投げた所で「ねえ、真澄~。」五条が甘ったるい声を掛けてきた。億劫そうに視線をそちらに移せば─五条はするり、と腕を絡めて「…あは、やっと僕のこと見てくれた~。」と楽しげに笑う。)
──
〈五条悟〉
(待っていない、と言われた家入は"それなら良いんだけど"とあっさりとした声で答えた。紙袋を持ったままの夏油は困ったように笑い、"硝子、この荷物どこまで持てば良いんだ?"と声を掛ける。"ん~、高専まで"と鬼畜な一言を口にしつつ、家入はいつの間にか吸っていた煙草を口から離した。)
夏油傑
「菜々子、美々子。失礼のないようにと約束しただろう?」
(菜々子は倉木の言葉に“アイツマジでゲロムカつかね?美々子。何がよろしくだよ、よろしくなんかしねーっツーの。”と文句を述べており。美々子は“うん、今度こそ吊るす?菜々子。”と菜々子に同意し述べており。その様子を見た夏油はどうやら倉木達が来る前に約束していたようでそのことを伝え諭す。菜々子と美々子は言葉を噤んで。その様子を見ながらも、倉木が煙草を吸うのに2人に向けないようにしているのに気付いて。2人の扱いも分かっているようだしなんとか上手くやっていけるだろうと思えば、五条に目を向ける倉木に述べて。)
「…まぁ、上手くやっていけそうで安心したよ。」
白雪咲桜
「もうこんな時間か…そろそろ帰らないとだね。」
(高専までと言われる夏油にファイトだと心の中で応援しつつ、携帯を確認しては時刻は夕刻を示しており。帰路に着くことにしては出口に向かい歩き出す。そういえばあんなに沢山荷物があったが家入は何を買ったのだろうか。分かれる前に服を見に行くと言っていたため服だろうか。気になれば隣を歩いていた家入に「何買ったの?」と訊ねて。)
〈倉木真澄〉
「……ははっ、あの子達はまだまだ子供だね。あんなもの…僕にとっては挑発のうちにも入らないのにさ。」
(夏油傑の言葉に酷く乾いた笑い声を上げ、皮肉っぽく鼻を鳴らしてみせた。笑った拍子に煙草がポロリと零れ落ちそうになるのを指先で器用にひょいと摘み、再び口元へと戻す。─ふと悪戯を思い立ったかのように─左掌に呪力を集中して、先程作り出した渦を巻く鋭い"牙"を今一度生成し、刃のように鋭利な笑みを浮かべてみせた。「……ところで、夏油くん。僕は尻尾を振ったとはいえ、まだ君に飼い慣らされたわけじゃないんだ。ちゃんと躾けておかないと─噛みつくかもね。」と冗談めかして言った後、暇でも潰しに行くらしく─五条を連れて一旦部屋を出る。)
──
〈五条悟〉
「あー、だな。」
(ちらりとショッピングモール内の時計に目を向ければ、門限が近づいてきていた。勝手に外出したことに加え、門限を破って更に怒られるのも面倒なのか─五条はベンチから立ち上がる。彼女に尋ねられた家入は"んー?服。買えるだけ買ったよ、荷物持ちいると楽だなー"と悪びれる様子もなく笑った。)
夏油傑
「…噛み付くか、やっぱり真澄は面白いね。」
(菜々子と美々子の扱いもよく分かっている様子で、挑発のうちに入らないなどと述べている倉木。菜々子と美々子は睨んでいるが、夏油に言われたからか我慢していて。呪力を集中させ鋭い牙を生成させた倉木は飼い慣らされた訳ではない、躾けておかないと噛み付く、などと言い五条を連れて部屋を出た。やはり倉木は面白いことを言うなと思い上記のように述べていれば、菜々子が“夏油様ぁ、アイツの何処が良いの?噛み付くとか言ってたし、ゲロムカつくだけだよね?美々子。”と夏油に述べた後、美々子に同意を求めて。美々子は“うん、アイツ噛み付くとか言って夏油様のこと裏切るかもしれない。”と菜々子に同意し述べて。その言葉に夏油は2人を安心させるように撫でながら「ちゃんと買い慣らせば問題ないよ。」と述べて。)
白雪咲桜
「あっという間だったね。」
(ベンチを五条と共に立ち、出口に向かい歩き出しつつ上記のように述べて。家入に買ったものを訊ねると服らしい。夏油は楽しめていないだろうが家入は楽しめた様子で。その様子に「全部服なんだ。傑はお疲れ様だろうけど、硝子は楽しめたみたいだね。」と述べて。)
〈倉木真澄〉
「……玲?」
(五条を連れて外に出たは良いものの、どう暇を潰そうか─と思案していたその時、尻ポケットの携帯が震えて着信を告げた。怪訝そうな表情をしつつそれに出ると─相手は倉木より少し上か、同年代程度の女性だった。倉木を心配して電話を掛けてきたらしく、煙草の煙を吐き出す気怠げな声と共に仕事はどうなのか、と問うてくる。「……別に、大したことないさ。…玲こそ、禁煙するんじゃなかったのかい?」普段は見せない、柔らかな揶揄い混じりの笑みを浮かべて電話越しの女性に軽口を叩いた。女性の方も黙ってろよ、と言葉よりは棘のない声で返し、和やかな時間が流れているのを─五条はなんとも面白く無さそうに眺めている。)
──
〈五条悟〉
(家入は彼女の言葉に笑い、"まあな。夏油に持たせてるからいくらでも買えるし"と煙草の吸殻をそれとなくポイ捨てした。夏油は苦笑いをしつつ"買い過ぎだよ、硝子"と苦言を呈すものの、家入は堪えた様子もなく目を逸らしながらすたすたと歩いていく。)
夏油傑
「2人とも行かなくて良いのかい?」
(2人とも嬉しそうに頭を撫でられていたが、どうやら学校に行かないといけないらしい。頭を撫でる手を止め訊ねると、2人は思い出したような顔をして。菜々子は“まだ夏油様と居たいー!”と夏油にくっ付いていたが、美々子は“私も。でもそろそろ行かないと、菜々子。”と述べつつも夏油にくっ付いて。夏油は2人の様子に困ったような笑みを浮かべていたが頭を撫で「またすぐ会えるだろう?行ってきなさい。」と優しく諭し。2人は名残惜しげに離れては手を振り部屋を後にして。)
白雪咲桜
「硝子ったら…」
(家入と夏油のやり取りを聞けば、くすっと笑みを浮かべつつ歩を進める。そうして暫く歩いていれば高専に到着をして。療の建物の前まで来れば止まって“今日は楽しかった。また明日ね。”と笑みを浮かべ手を振り。)
〈倉木真澄〉
「っはは…いや、玲が元気そうで何よりだよ。」
(肩を小刻みに震わせて楽しげに笑い、普段の冷えた声は何処へやら─言葉の節々に親愛の情が伺えるそれで、電話越しの女性と喋り続ける。「…ああ、そうそう……薫、元気にしてる?…うん、うん…それなら良いんだ。」─それが余程面白く無かったらしい。五条は倉木の腕を遠慮がちではあるが引っ掴み、扉を乱暴に押し開けた。当の倉木は女性との会話が楽しいのか─頬を膨らませた五条に引きずられていることには気付いておらず、無抵抗に部屋の中へと足を踏み入れる。その間も女性との会話は続いており、倉木の表情は─今までに見たことが無い程柔らかく、声にも普段の皮肉っぽさや棘の痕跡は一切無かった。「…うん、分かってる。……って、またそれ聞くのかい?─昔も今も好きだから、安心してくれ。じゃ、切るよ。…またね。」通話を切った倉木は漸く今の状況に気付いたのか、怪訝そうに周囲を見回す。)
「……もう時間かい?…というか、僕はいつこの部屋の中に入ったんだ…?」
──
〈五条悟〉
「…おー、またな。」
(先ずは五条が、次いで家入と夏油が彼女に手を振る。彼女の姿が見えなくなると家入は夏油の方を向き直り、"じゃ、部屋まで運んでくれ"と更なる無茶振りを口にした。夏油は苦笑しつつも頷き、五条の方を一旦向いて─"悟。…あれ、丸聞こえだったよ"と揶揄う色をたっぷりと込めて笑う。五条は小さく"放っとけ"と言った後、ポケットに手を突っ込んだまま自室へと戻っていった。)
夏油傑
「悟?真澄は…あぁ、成程。」
(菜々子と美々子が行ったのを見送り、やれやれといった様子で座布団に腰を下ろし脇息に肘を掛ける。すると乱暴に扉が開かれた音がして其方に目を向けると倉木ではなく五条が顔を見せた。珍しいなと思い声を掛けるも頬を膨らませた五条が後ろに倉木を引っ張ってきているのに気付き、構って貰えず拗ねているのかと理解して。しかし、真澄はいつもと様子が違い柔らかい雰囲気があり。あんな顔もするのかと考えていればどうやら話が終わったようで。通話を切った倉木はやっと状況を理解したようで周囲を見回している。そこまで夢中になる相手なのかと考えては興味が湧き訊ねる。)
「あぁ、もう間もなくといったところかな。…悟が引っ張ってきたみたいだが、それにも気付かないとはね。通話の相手は誰だったんだい?」
白雪咲桜
「…眠れるかな。」
(3人に手を振り分かれ部屋に戻る。眠る準備をしてベッドに入れば今日の出来事を思い出してしまい頬に熱が集まるのを感じつつも目を閉じて。眠るのに時間は掛かったが眠りにつき、朝。身支度を整え、部屋から出て。寮から高専までの道を歩いていて。)
〈倉木真澄〉
「……成程、五条くんが拗ねたのか。」
(夏油傑の説明を受けた後─納得の行った様子で呆れたように肩を竦め、隣で不貞腐れる五条の頭を撫でた。途端に五条の膨れっ面は元の美形に戻り、上機嫌な顔でその手に頭をぐいぐいと押し付ける。「…ああ…玲だよ。彼女は、そうだね…僕の─大事な人、かな。」─言い終わるか否かの刹那。普段の鋭角なものではなく、緩やかな弧を描いた唇からふ、と思わず本心からの笑みが漏れるのと同時に、普段纏う刺々しく近寄り難い雰囲気もふわりと解けた。それに釣られてなのか─五条を撫でる手も普段の雑で荒々しいものではなく、ペットでも可愛がるような優しい手付きへと変化する。)
──
〈五条悟〉
「……ねみ…」
(夜更かしせずとも朝には弱いのか、五条は見事なまでの大欠伸と肩伸ばしをしながら廊下を歩いていた。途中で合流した家入には"五条、欠伸でかっ"とけらけら笑われ、夏油にはまた夜更かししたのか云々と詰められる。いつも以上に面倒なのか"うるせー"とだけ返事をし、教室の扉を引き開けた。)
夏油傑
「大事な人か…家族か恋人か、そういったところかな?」
(倉木は状況を理解すれば五条の頭を撫でた。そして、先程の電話の人物について語る。どうやら玲という女性らしい。大事な人だと語る倉木は普段とは違う雰囲気で優しい雰囲気に変わる。ここまで気を許す人物となると家族や恋人辺りだろうかと推測すれば、上記のように訊ねて。)
白雪咲桜
「3人ともおはよう。」
(寮から高専まで歩いていれば高専に到着し、教室に向かう。丁度教室に入っていく3人が見えれば駆け寄り挨拶をして。教室に入り席に座ったところで、夜蛾が入ってきた。夜蛾は案の定、昨日のことで怒っており、入ってきて早々“お前ら、ここに正座しろ!”と険しい顔で目の前の床を指差して。)
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