一見さん 2023-12-23 17:33:22 |
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〈倉木真澄〉
「……行くか…最悪の気分だがな。」
(たっぷり時間を掛けて一服したことで腹は決まったらしく、深く溜息を吐きながら─一歩、足を踏み出す。─正面入口から堂々と入ることが出来る程肝は座っていない。裏側にある勝手口の方に回り、鍵穴に水圧カッター型に生成した術式を差し込んで鍵穴の内部を破壊し、半ば無理矢理鍵を抉じ開けた。カーペット敷きの床とは言え一応足音を殺し、施設内を物色する。少し進んだところでふと術式を発動し、全身に呪力で強化された水の膜を纏った。─水は繊細だ。ごく僅かな力の乱れでも、凪いだ状態が消え失せてしまう。傍目には分からないが、警戒した状態で施設内を歩く。)
──
〈五条悟〉
「あ!あったあった。見るから来いよ!」
(暫くの間DVDデッキを探していたが、漸く見つけたのか声を上げる。嬉々とした表情でホラー映画のDVDをパッケージから取り出し、デッキに挿し込んだ。低く唸るような起動音を立て、テレビが点くと─チャプター選択から既に血腥い内容であろうことが容易く想像できる画面が映し出されていた。五条の呼び掛けに応え、家入は先程囁いた通りに手を軽く握りつつ─夏油はそれとなく二人を庇うような位置に回ってテレビの前へと腰を下ろす。)
夏油傑
「成程。肩が重く倦怠感が続いていると。分かりました、私が楽にしてあげましょう。…動かないで。」
(応接室に到着すれば腰を下ろし出迎える準備を整えて。菅田に非術師を入らせるように伝えれば、非術師が入ってきて。入ってきた瞬間に憑かれているのは一目瞭然であるも一連の話を聞きにこやかに何とかすると伝えれば手を翳し呪霊を取り除き。仏様だと崇めお礼を言う非術師ににこやかに笑みを浮かべながらも菅田に帰らせるように指示し応接室から出して。1人になれば先程非術師から取り除いた呪霊玉を飲み込み、嫌味を吐いて。)
「仏様ね…よく分かってるじゃないか。呪術を扱えない猿共め。」
白雪咲桜
「う、うん…分かった。」
(漸くデッキを見付けたらしく、ディスクが入れられればテレビにおどろおどろしいメニュー画面が表示されている。声を掛けられれば返事をしながらも、なるべく画面を見ないようにして腰を降ろして。家入は約束通り手を握ってくれ、夏油もなるべく見えにくいように庇ってくれており。これなら何とか大丈夫そうだなと考えつつ“硝子、離さないでね。”と小声で述べつつ家入の手をきゅっと握って。)
〈倉木真澄〉
「……殺しはしない、黙ってネンネしてな。」
(ふと全身に纏う水がぶわり、と大きく揺らぐ。左手で箱から煙草を取り出しながら背後から来る気配の口元へ右手を押し当て、術式でその口腔内に水を一気に流し込んだ。背後でゴボゴボ、と苦しげに呻く男の声が聞こえ、やがてどさりと倒れる音が聞こえる。─威力は随分手加減した、精々この場で数分気絶している程度だろう。ふう、と気怠げに煙を吐き出しながら廊下を進み、応接室の裏口で足を止めた。"夏油傑に接触しろ"─上層部からのその指示に従い、コンコン、と軽くノックをして─恐らくその中に居るであろう、夏油傑に声を掛ける。)
「……少し失礼するよ、特級呪詛師─夏油傑。」
──
〈五条悟〉
「…なんか傑、前のめりじゃね?」
(二人を庇っている所為で、妙に画面と距離の近い夏油に訝しげな視線と声を向ける。が、流石は夏油と言うべきか─"ホラーなんて久しぶりでね。見たいだけだよ"といつもの胡散臭い笑みを浮かべ、五条の言葉をさらりと流してしまった。釈然としない表情のまま五条は本編再生のボタンを押す。手を握る家入は薄く笑い、"分かってるって"そう言った後画面へと視線を移した。)
夏油傑
「構わないよ。どうぞ。」
(1人呟いていれば廊下の方から何かが倒れる音がした。そしてそれから数秒も経たないうちにドアをノックする音が聞こえ、聞いた事のない男の声。取り敢えずドアを開け中に招き入れる。やはり見掛けない顔であり、関係者では無さそうだ。ここまで騒ぎを起こさず来るとは階級の高い呪術師のようだ。そんな事を考えつつも直ぐに危害などを加えるつもりはなく表情は笑みを保ったまま用件を訊ねて。)
「おや、見掛けない顔だね。わざわざこんな所に1人で来るなんて…私に何か用かな?」
白雪咲桜
「…硝子、傑、ありがとう。」
(五条が夏油の位置を指摘するが、上手いこと交わしてくれほっと安堵して。手を握ってくれている家入と見えにくくしてくれている2人に五条には聞こえないように小さな声でお礼を伝えて。本編が始まれば家入の手をぎゅっと握って夏油の背中に隠れなるべく見ないようにしながら耐えており。見ないようにしていても音が聞こえてきてびくりと小さく身体を揺らして。)
〈倉木真澄〉
「……用?そんなモノ有りも有り、大アリさ。…ああ、初めに聞きたいんだが…ここは禁煙か?」
(声掛けから程無くして扉が開き、袈裟を纏った自身の"監視対象"─夏油傑と直接対面することになった。─流石は特級と呼ぶべきだろうか、先程から纏う水は乱れ、大きく揺らぎ続けている。その揺らぎに釣られるように、唇の端に苦笑いが浮かんで消えた。代わりに皮肉な笑みを浮かべ、正面のソファに腰を下ろす。箱から取り出したままだった煙草を咥え、ライターで火を点けようとして─止めた。)
──
〈五条悟〉
「うわー、超グロいじゃん。首飛んでるし。」
(思っていたより好みであったのか、三人そっちのけで映画にのめり込んでいるが─必要以上に怖がらせるために、節々で悪趣味な実況を挟むのは忘れない。夏油はほぼ動じず、時折大音響でびくりと一瞬驚く程度─家入は何とも思っていない様子で血飛沫の飛び交う画面を眺めており、二人は気にするな、とでも言うように首を横に振った。)
夏油傑
「大アリか、一体何の用だろうね。私と同じ志というのなら大歓迎だけどね。」
(用があって来たのかと問うと、何やら大きな用があるらしい。まぁ、ここに忍び込んで来た時点で何となく想像はついていたが。同じ志の持ち仲間を志願しに来たのならば大歓迎であるがそういう訳でも無さそうだと思いながらも同じ志ならなどと告げて。どうやら男は喫煙者のようで禁煙かと訊ねてきた。別に勝手に吸えばよいものを律儀だなと考えつつも別に抵抗は無いため了承をして。)
「構わないよ、好きに吸ってくれ。」
白雪咲桜
「ぅ…想像しちゃうじゃん…」
(五条が意外とのめり込んでいるようで、このままなら何とか大丈夫そうだと思っていた矢先。時折、実況を挟み出した。画面を見なければ大丈夫と思っていたのに耳からどんな状況か情報を得てしまい怖さは増す一方で。2人は気にするなと首を横に振ってくれるが、どうしても耳に入ってしまい想像してしまう。家入の手をきゅっと握って目を閉じもう片手は耳に持っていき耐えていて。)
〈倉木真澄〉
「…助かるよ、"コレ"が無いとマトモに喋れないもんでね。」
(皮肉な笑みを一層深くした後カチ、とライターを鳴らし、咥えた煙草に火を点けた。吸い始めの濃い煙で視界が一瞬ぐらつき、少ししてから紫煙を吐き出す。時間を掛けてその一本を吸い切った後、手の平で煙草をまた握り潰した。吸い殻を尻ポケットに捩じ込み、板目の美しいテーブルに背を丸めながら頬杖を突き─その下で長い足を行儀悪く組んで、単刀直入に侵入した理由─"用件"を切り出す。)
「…僕は倉木真澄、1級呪術師。ま、早い話が─上層部から依頼された、君の"監視役"だ。」
──
〈五条悟〉
「やっべー!めっちゃ血出てる!」
(何が面白いのやら、とうとう血飛沫が飛び交うシーンですらげらげらと悪趣味に笑い始める。夏油がやれやれ、と言った調子で深い溜息を吐き、"悟、うるさい。集中させてくれ"と声を掛けるものの、五条の実況が止まる気配はなかった。家入は"きしょ"と小さく呟いた後、"そのまま目閉じてろよ"と言いつつもう片方の手で抱き締めるようにして頭を撫でる。)
夏油傑
「成程、いつかこういう事があるんじゃないかと思っていたよ。…それで?監視役の君が態々直接私に話をしに来たのには何か理由があるんじゃないのかい?」
(煙草が無いとまともに話せないと言った男は煙草を吹かした。煙草を吸い切った後、男は話し出した。名は倉木真澄と言うらしい。どうやら監視役を依頼されたらしい。上層部の連中の考えることは簡単に予想が出来ており、長年隠れて潜伏していたがいつかこういう事が起こるのではないかと予想していた。さして驚く様子も無く、それでは何故直接話をしに来たのかと訊ねる。監視役なら陰に潜んで黙って監視していれば良かったものを当人に監視している事を伝えるとは。興味深そうに足を組み見詰めて。)
白雪咲桜
「う、うん…分かった。」
(何とか耐えていると、げらげらと笑いながら悪趣味に実況をしており。テレビからの叫び声や血の飛ぶような音と五条のヒートアップした実況のダブルコンボに、恐怖は倍増しており涙目であり。夏油が宥めるものの止まる様子はなく、家入から頭を撫でられ目閉じているように言われればこくこくと頷き、きゅっと目を閉じて早く終わらないだろうかと頑張って耐えており。)
〈倉木真澄〉
「……案外驚かないんだな。…まあ、別に何でもいいが。他でもない老害共…じゃなかった、上層部から"君と接触しろ"とのお達しが下ったんだ。理由は知らない。」
(─反応は想定内だが、お前の"監視役"だ、と告げたところで夏油傑は存外落ち着いていた。眦の吊り上がった青灰色の瞳を怪訝そうに細め、対面する夏油傑の細く黒い瞳を見つめ返して呟く。溜息を一つ吐いた後、噛んだガムでも捨てるような─心底嫌そうな口調でそう吐き捨てては組んだ足の上下を乱暴に組み変えた。流れるような動作でもう一本、煙草を箱から抜き取ってカチリと火を点ける。ぷかり、と煙を吐き出し、皮肉めいた笑みを深くしたまま─夏油傑を正面から見据えた。)
「……ただ。僕はね、君の動向監視は必須だが…君による非術師の殺害"以外は"黙認しろ、と言われている。…これがどういう意味なのか。…聡い君なら分かるだろ?」
──
〈五条悟〉
「今腕飛ん……痛ってえ!!何すんだよ傑!」
(怖がる様子を楽しんででも居るのか、更に実況を続けようとしたところで─いよいよ痺れを切らしたらしい夏油の拳が、五条の頭にゴッ、と鈍い音を立てて落ちる。大袈裟に悲鳴を上げ、サングラス越しに夏油を睨んだ。だが当の夏油は何処吹く風、"集中させてくれって言ったじゃないか"飄々とそう言い放つ。家入は夏油を見遣ってくすりと笑い、"大丈夫だからなー"と子供でもあやすように頭を撫でていた手で背中を軽く叩いた。)
夏油傑
「へぇ…そう来たか。事情は分かったよ。監視でも何でもすれば良い。」
(高専に在籍していたこともある身、上層部が考えそうなことくらい分かる。監視なども想定内だ。驚くことも無く話を聞けば倉木真澄は眉を顰めていたが話を続けた。上層部からの接触の達し、監視はするが非術師を殺害以外は黙認。それは想定はしていなかったが面白い展開だ。五条であればそんな指令無視して挑んで来そうだが、倉木真澄はそういう訳では無さそうだ。まぁ、挑んできたところで己に敵わないだろうが。それにしている事を監視されたことで計画が狂うような事でもない。余裕そうに笑みを浮かべれば上記のように述べて。)
白雪咲桜
「硝子…うん…」
(更にエスカレートする実況に震えていれば、夏油が助けてくれた。五条は文句を言っているが、実況が止まってくれて安堵して。家入は背中を軽く叩いてくれ大丈夫だと言ってくれる。涙目になりながらも名前を呼びこくりと頷いて家入に身を寄せて。このまま何もしてこなければ良いなと願いながら目を閉じ見ないようにして身を寄せたままじっと耐えて。)
〈倉木真澄〉
「察しが良くて助かるよ。……僕は面倒事が嫌いなんでね、仕事を増やさないで欲しいんだ。」
(今しがた夏油傑に述べた"非術師の殺害以外の黙認"─これは、自身が老害共に─酷く面倒な脅しを掛けてまで勝ち取った絶対条件。今度はフィルターギリギリまで吸い切った煙草を空中に軽く放り投げ、夏油傑の目にまざまざと見えるように─術式を行使してやった。掌の上に張っていた薄い水の膜が一気に厚みを増し、短くなった煙草を包み込んで消火する。濡れたそれを携帯用のポケット灰皿に押し込み、ソファから腰を起こし─応接室の壁に背を預けて凭れ掛かった後、どこか自虐めいた─酷く乾いた笑い声を上げた。)
「……それに。君が本気で抵抗すれば、僕なんて其処らを飛んでる羽虫と何も変わらないだろう?君が"猿"と呼ぶ一般人から呪霊を集めるのも、金を巻き上げるのも─全部、勝手にやってくれ。…僕はそれに干渉しない、する気もない。」
──
〈五条悟〉
「クソ、痛ってぇ~…」
(映画もいよいよ終盤、五条は夏油の拳を食らった頭を恨みがましそうに擦っていた。悪趣味な実況をする気よりも痛みの方が勝つのか、先程よりは随分と静かに画面を眺めている。夏油は画面から目線を外さないまま"後少しだから"と後ろの二人へ声を掛けた。家入も同意するように頷き、"後であのクズ吊るし上げるから我慢なー"と毒を吐きつつぎゅ、と少し強めに抱き締める。)
夏油傑
「よく分かっているじゃないか。猿共の殺害以外黙認するのなら今まで通り好きにさせてもらうよ。…君、倉木真澄と言ったね。気に入ったよ。どうだい?私と一緒に呪術師だけの楽園を作らないかい?今なら幹部として歓迎しよう。」
(術式を見せ付けられるも動じることはなく水の使い手かとまじまじと見ており。腰を上げ応接室の壁に凭れ掛かり自虐的に笑い声を上げ此方に勝てないことと非術師を殺害すること以外には干渉する気は全くないことを告げられた。戦う気もなければ干渉する気もない倉木真澄に興味が湧けばにこりと笑みを浮かべ芝居がかった動作をしつつ近寄れば勧誘をして。)
白雪咲桜
「うん、何とか頑張って耐えるよ。」
(どうやら実況をするより痛みの方が勝るらしく先程より大人しくなった。夏油からあと少しだと言われ家入と共に頷いて。このまま五条が静かなままなら何とか耐えられそうだ。家入から我慢だと抱き締めてくれた様子に頑張ることを伝え、家入を抱き締め返し目を閉じ見ないようにして片耳も手で覆い頑張って耐えて。)
〈倉木真澄〉
「…君、初対面の僕に随分と入れ込むね。楽できるなら乗らせてくれ─と言いたいところだけど…生憎とね、今の僕は上層部連中の"犬"なんだ。」
(夏油傑からの思わぬ言葉に、一瞬だけ驚いたような色が顔に滲む。─だが直ぐに先程の皮肉な笑みが唇の端に浮かんだ。大袈裟に肩を竦め、最早必需品と化した煙草の箱を片手に、心底残念そうな声色で─首を横に振る。と、にわかに応接室の外が騒がしくなって来た─恐らく、次に約束を取り付けていた"猿"でも来たのだろう。だらしなく壁に預けていた背を戻し、夏油傑の座っていたソファの辺りへ移動した。彼から何か言われる前にけら、と再び乾いた笑い声を上げる。)
「…面倒だが…定期的に上層部へ君の監視内容を報告する必要があるからね、同席させて貰っても?」
──
〈五条悟〉
「…あ?もう終わり?」
(頭を擦りながら画面を眺めている内、いつの間にか画面からはエンドロールが流れ始めていた。五条が気の抜けたような声を上げるのとほぼ同時、家入は抱き締めていた力を徐ろに緩める。夏油は"終わりだね"と言いつつリモコンを奪い取り、エンドロール中だが映画の再生を止めた。五条の抗議の声も無視し、振り向いては"付き合わせてごめんね、もう遅いし戻りなよ"と声を掛ける。)
夏油傑
「それは残念だな。上層部と相反した時は歓迎するよ。」
(猿共が嫌いなだけで呪術師を憎んではいない。しかし邪魔をするなら排除するまでだ。だが倉木真澄は邪魔をする気はない。なかなかに興味深い奴だ。そのため勧誘してみたが断われてしまった。しかし無理強いをする気はなく残念そうな表情で上記のように告げて。そうしていれば外が騒がしくなってきた。倉木真澄は出て行くのかと思いきや己が座っていたソファの近くに移動した。そして同席を要求してきた。邪魔をする気もないようだし、特に見せて困るようなものでもない。特段渋る事もなく了承をする。)
「別に見られて困るものでもないし構わないよ。」
(そう話をしていればノックの音が聞こえ返事を返せば菅田が入ってきた。“失礼します。約束されていた方が来られました。…彼は?”菅田は倉木真澄に気付けば訝しげな表情を浮かべて。)
白雪咲桜
「傑も硝子もありがとう。うん、そうするね。お邪魔しました。」
(あれからは何も無く無事にエンドロールが流れ始めた。家入の手が緩み離れたのに気付けば漸く終わったと分かり、目を開き顔を上げて。無事に耐え抜いたことに安堵して溜め息をつき力を抜いて。そうしていれば夏油から戻るように言われ、疲れたし今日はよく眠れそうだと思いつつ頷き、助けてくれた夏油と家入にお礼を伝えて立ち上がって。五条に何か揶揄われる前にと挨拶をしてそそくさと玄関の方に向かい。)
〈倉木真澄〉
「…倉木真澄、君らの"教祖様"の監視役だよ。ま、邪魔はしないから…安心してくれ。…僕のことは"教祖様"に聞いた方が早いかもね。」
(─"相反した時には歓迎する"その言葉にはふ、と微かに唇から息を吐き出すだけの笑いで応えた。煙草の箱をポケットへ押し込んだところで扉が開き、夏油傑が施設に帰る際に同行していた─秘書らしい女が入って来ては何とも怪訝な眼差しを向ける。彼女に向け、普段動かさない表情筋をフル活用してにこり、と営業スマイルを浮かべつつ首を小さく傾げた。"邪魔はしない"自身で発したその言葉を皮切りに、長い足をクロスさせた─精巧な造りの置物にも似た姿勢でぴたりと黙り込む。)
──
〈五条悟〉
「あ、おい!…なんで帰すんだよ。」
(玄関を出たところで漸く気付いたのか、壁になっていた二人に抗議の声を上げた。途端、振り返った家入が溜息を吐きながら"五条ー、お前小学生かよ。あんまり虐めてやるなって"と乾いた笑い声を上げる。夏油も腕組みをしつつ頷き、"硝子の言う通りだよ、嫌われても知らないからね"と呆れたように説教を垂れた。子供のように頬を膨らませ、ぷいと顔を背ける五条に二人は顔を見合わせ、苦笑いを浮かべる。)
夏油傑
「上層部からの派遣らしいが此方に危害を加えるつもりもないし安心して良い。」
(入ってきた菅田は訝しげな表情を浮かべ倉木を見た。倉木は軽く自己紹介をし、あとの詳細は此方に任せた。軽く説明をし安心しても良いことを伝えた。菅田は夏油がそういうのであればと納得はしたが、倉木をまだ完全に信じきってはおらず警戒をしながらも夏油から非術師を呼ぶように言われればドアを開き待たせていた非術師を入れれば何かされた時のためなのか倉木の隣に立ち。今回の非術師は母娘連れのようで、2人に呪霊がついており。)
白雪咲桜
「硝子、傑。行きたいカフェあるんだけど一緒に行かない?」
( 無事に部屋に戻れば安堵して一息ついて。しかし、なんであんなに意地悪をするのか、そんなに玩具にして面白いのか。ふつふつと怒りを感じつつその日の夜は更けて。次の日、まだ怒りは収まらず五条のことを避け続けて放課後になった。雑誌で見付けた行ってみたいカフェがあり、何時もなら皆に声を掛ける所だが夏油と家入にのみ声を掛けて2人に雑誌を見せて行きたい店を指し示して。)
〈倉木真澄〉
「……娘が2級、母親が4級…ってところかな。」
(秘書らしい女が警戒した表情のまま隣に立っても気に留める様子は無く、入って来た一般人二人─母娘連れに目線を向ける。母親らしい中年女性の肩には大きめの蠅頭が2匹か3匹程乗っているだけだが、娘の背中に抱きついているのは─絶えず呻き声を上げる、無数の目に包まれた、かろうじて人型を取っている呪霊。青灰色の目を細めていたが、ふと娘が向けてきた視線にはにこり、と先程と同じ爽やかな営業スマイルで応えた。)
──
〈五条悟〉
「…なんかつまんねー。」
(夏油と家入にだけ声を掛ける様子を横目で眺め、不貞腐れたような表情で呟く。呟きが聞こえたらしい家入は五条を振り向き、口の動きだけで"ばーか"と笑った。その後は向き直って"いいよ。夏油はどうすんだ?"と夏油を向いた。夏油に至っては完全に無視を決め込んだまま、家入の言葉に微笑んで"そうだね、行こうか"と答える。)
夏油傑
「成程、分かりました。黙って動かないで。」
( 母娘の非術師はどうやら己を信奉している猿共の勧めにより来ているようで。娘は“帰ろうよ。“などと言っているが母親は“評判の方なんだから大丈夫よ”などと述べており。娘は倉木と目が合えばスマイルにやられたのか何も言わず黙って。母親はここ最近の症状を述べており。話を聞き終えれば頷き、動かないように伝えれば母親の前に手を翳し母親の呪霊を取り除き。母親は気分も身体も楽になったようで喜んでおり。)
白雪咲桜
「やった、決まりだね…!それじゃあ行こうか。」
(家入と夏油が了承してくれた様子に嬉しそうに笑みを浮かべ立ち上がって教室の出口に向かい。五条への怒りから避けてはいたものの、ずっと避け続けているからか少し罪悪感も湧いてきているようでちらと不貞腐れている五条に目を向ければ、出口まで一緒にきた夏油と家入に“悟、誘った方が良かったかな?”と五条に聞こえないように小声で述べて。)
〈倉木真澄〉
「………大した役者だ。」
(夏油傑の言動やら行動やらに一喜一憂する母娘連れ、主に母親の方─を見遣ってから夏油傑に目線を戻した後、微かな皮肉を含んだ笑みと呟きが漏れる。─と、その時─尻ポケットに押し込んであった携帯が着信を告げて小さく震えた。秘書の女に軽く手を上げて断りつつ応接室を出て行き、物陰で着信を確認する。着信相手は─"老害"。舌打ちを一つした後に通話ボタンを押し、普段そうするように無愛想な声で"はい、倉木ですが"と出る─途端に大声で何やら喚き散らす老人の声に、思わず携帯を耳から離した。"今現在、夏油傑の動向に不審な点はありません"、老人の喚きを断ち切るように鋭く言い放ち、さっさと通話を切る。携帯を尻ポケットへ戻した後─今日一番の、盛大な溜息が漏れた。)
「………老害め。僕の術式の─ほんの一部しか知らないくせに、知ったような口を利くものだ。」
──
〈五条悟〉
「………」
(むす、と不貞腐れたような表情のまま頬杖を突き、暇そうに机の下で足をバタつかせていた。家入はちらりとその様子に目線を遣り、首を横に振りながら"良いって良いって。放っとこう"と笑う。夏油も疲れたように頷きながら"悟には反省してもらわないと。また今度誘ったらいい"と苦笑いをして背中を押し、二人の背中に手を回して出口の辺りまで歩き出す。)
夏油傑
「…肩が重く倦怠感があり、いつも視線を感じる。眠れば毎晩悪夢を見る。」
(倉木が出て行く様子をちらと横目に見ながらも母娘に笑みを浮かべており。母親は娘にも相談するように伝えるがまだ訝し気な様子な娘に今起こっていると思われる症状を当てて。娘は驚いている様子で、それに続け動かないように伝えれば手を翳し簡単に呪霊を取り除き。娘は楽になったし視線もなくなったと喜んでおり。母親はお礼だと現金の入った封筒を渡すが、断り。本音を言えば貰うつもりであるが1度断りを入れ信用させる算段であり。)
「いえ、これは奉仕活動の一環ですから戴けません。」
白雪咲桜
「そっか、…そうだよね。いつも意地悪してくるんだし反省して貰わないと。」
(誘わないことに少し罪悪感を感じていたが、家入と夏油の言葉に頷き納得をしては背中を押されつつ教室を出て。それから高専を出て店に向かい歩きながらも、五条のことを考えてしまい。意地悪ばかりなのに嫌いにはなれず気になってしまう。しかし、五条は己のことは嫌っているのかもしれない。モテるし女の子には困っていないだろうしなと考え溜め息をつき。)
「悟、何で意地悪ばっかりするんだろう。私、嫌われてるのかな?」
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